東北の経済と文化の中心地・宮城県仙台市。最新のショップやグルメが集う東北一の都市に、長いあいだ地元に愛されるレトロな横丁があるのをご存知でしょうか?
夜はお酒好きの大人で賑わっていますが、「壱弐参(いろは)横丁」と「文化横丁」は、最近は若者や女性向けのお店も増えています。懐かしさを感じられる横丁を散策しつつ、素敵なお店を探してきました。
仙台駅から文化横丁、壱弐参横丁までのアクセス
最寄りの駅は地下鉄の青葉通一番町駅で、そこからは徒歩約1分です。JR仙台駅からは徒歩約12分ですが、駅前からアーケード伝いに歩くのも楽しいのでおすすめ。
どちらの横丁も「サンモール一番町」のアーケードからつながっているので、すぐに見つけられます。
昭和の風情を色濃く残す「壱弐参横丁」
「壱弐参(いろは)横丁」は、仙台空襲から立ち上がろうとした市民による、露店市が始まりといわれています。今も昭和の名残を感じさせる、間口の小さなお店が軒を連ねています。
一番町アーケードから見た壱弐参横丁の入り口。2本の通りからなっていて、屋根がかかっています。平日の昼間は、ランチを目当てに近所に勤めるサラリーマンが多く利用しています。
レトロな看板に低い屋根。偶然人通りが途絶えて、ふっと時が止まったような錯覚におちいります。
通りの中ほどの開けた場所に、手押しポンプの井戸があります。かなり古いもので、1948年に掘られ、80年代までは実際に使われていたそうです。動かすとちゃんと水が出てきます。
井戸の横には、昔の横丁の様子が分かる写真が展示されています。当時の賑わいやお祭りなど、人のぬくもりが感じられますね。
壱弐参横丁の案内看板。こんなにたくさんのお店があるんですね! ちなみに、各所にきれいな公衆トイレもあるので、女性のひとり呑みもあまり心配なさそうです。
売り切れ必至!「ハサミヤ オオトモ」のサンドイッチ
2021年8月にオープンしたサンドイッチのお店「ハサミヤ オオトモ」。実は、安くてうまいと人気の立ち飲み屋「スタンド オオトモ」がお昼に開いている、テイクアウトのお店です。近隣にお勤めの方がランチを買いに立ち寄り、あっという間に売れてしまいます。
具材たっぷりでボリュームのあるサンドイッチは作りたて。価格もリーズナブルです。一番人気はチャーシュータマゴ。定番はタマゴ、メンチ、エビツナチーズ、カツサンド。変わり種でトムヤムクンもありました。
こちらは「タマゴ」(130円)。ブラックペッパーが効いた大人の味。オーロラソースを使っているそうで、個性があります。タマゴの刻み具合、パンの厚みと柔らかさも完璧です。タマゴサンドファンにはぜひ一度味わってほしい一品です。
女性におすすめなのが、「エビツナチーズ」(180円)。少食だけどいろいろ食べたい派の方にぴったり。やさしい味付けなので、お子さんと一緒に食べるのも良いかもしれません。
こちらが一番人気の「チャーシュータマゴ」(190円)。食べやすいように刻んだチャーシュー、タマゴの火の通り具合まで完璧です。チャーシューとパンがこんなに合うとは驚きです。納得のおいしさ!
ハサミヤ オオトモ
- 住所
- 仙台市青葉区一番町2-3-28
- アクセス
- 仙台市営地下鉄東西線「青葉通一番町駅」より徒歩約3分、またはJR「仙台駅」西口より徒歩約12分
- 営業時間
- 平日10:00頃〜14:00
- 定休日
- 土・日・祝・月
「LOOK UP! CAFE・FACTORY」の手作りスイーツとドリンク
手作りのスイーツとドリンクが人気のカフェ「LOOK UP! CAFE・FACTORY(ルックアップ!カフェ・ファクトリー)」。自家焙煎のコーヒー店で経験を積んだ男性オーナーが切り盛りしています。
お洒落な店内。1階はカウンター席。2階にテーブル席があります。オーナーさんが気さくなので、1人で行っても楽しく過ごせるお店です。
お店の商品は手作り。イートインメニューでは、プリンやキャロットケーキ、ドリンクはカフェオレが人気だそうですが、どうしてもクラフトコーラが気になって注文。
注文を受けてから作ってくれるクラフトコーラ(500円)は、スパイスが効いていて、香りも後味もクセになる味。おいしい! 独自配合のシロップとスパイス類に加え、季節で使うフルーツを変えているそうです。
蔵王産の卵を使ったプリン(480円)は、てんさい糖やブラウンシュガーの素朴な甘みで、ほっと心がなごみます。カラメルの苦味とクリームとプリンのバランスが絶妙で、男性にもおすすめしたい一品。
LOOK UP! CAFE・FACTORY(ルックアップ!カフェ・ファクトリー)
- 住所
- 仙台市青葉区一番町2-3-28壱弐参横丁内135号
- アクセス
- 仙台市営地下鉄東西線「青葉通一番町駅」より徒歩約3分、またはJR「仙台駅」西口より徒歩約12分
- 営業時間
- 12:00頃〜18:00(日祝は17:00まで)
飲食店が連なる文化横丁
なんと、始まりは大正時代という「文化横丁」。何代も続く老舗店もあるそうで、お寿司から洋食、中華、リーズナブルな居酒屋まで、グルメとお酒好きにはたまらない通りです。そしてここに、女性に人気のスイーツのお店があるんです!
インスタで人気の甘味処「すずや」の新感覚もなか
「すずや」でいただくのは、女性に人気の和スイーツ、「もなか」です。これまでにないもなかを提供していきたいと、お店オリジナルのメニューを開発しています。見た目もかわいいので、インスタグラムでも話題になっています。
2階の喫茶スペースでいただきます。白を基調としたおしゃれな店内で、文化横丁にいることを忘れそうになります。テイクアウト可能な商品と、あんみつなどのイートイン限定の商品があり、もなかは一部テイクアウトOK。
すずやのイートインで楽しいのが、自分でお抹茶を点てられること。「京都宇治抹茶 青嵐」(715円)。このときは写真を撮るためにスタッフさんにお願いしました。コーヒーも、もなかに合う豆にこだわって選んでいるそうです。
こちらは定番人気の「あんバター」(440円)。十勝産小豆を毎日大釜で炊いて作るあんは、粒を残すことで食感が良く、そこへフランス産発酵バターとぎゅうひ、無敵の組み合わせです。注文を受けてから作るので、皮もパリッとしています。
「白あんマンゴー」(550円)は、白あん、発酵バターに、ドライマンゴーとピスタチオが入っています。白あんの中に小さな発酵バターが隠れていて、最後まで幸せ度が高いです。マンゴーとピスタチオの風味が爽やか。
すずや
- 住所
- 仙台市青葉区一番町2-3-37
- アクセス
- 仙台市営地下鉄東西線「青葉通一番町駅」より徒歩約1分、またはJR「仙台駅」西口より徒歩約12分
- 営業時間
- 12:00〜19:00(L.O.18:30)
- 定休日
- 不定休(Instagramにてお知らせ)
仙台のパワースポット 縁結びの「野中神社」
壱弐参横丁から一番町アーケードを挟んだ向かい側、ビルの隙間にひっそりと神社があるのをご存知でしょうか? 伊達政宗公ゆかりの「野中神社」は、縁結びと商売繁盛の神社です。
伊達政宗公が仙台に城下町をつくる際、町割に使った縄をこの地に埋めて祀ったと伝えられています。一番町アーケードからは、鳥居を模したゲートが目印。
ビルの隙間を縫うように進んでいくと、良縁や恋愛成就を願うたくさんの絵馬が掛けられています。普段は空いていませんが、毎月11日には、社務所でお守りを手に入れられます。縄が祀られているということで、縁結びには頼もしい神社ですね。
野中神社
- 住所
- 宮城県仙台市青葉区一番町2-7-18
- アクセス
- 仙台市営地下鉄東西線「青葉通一番町駅」より徒歩約3分、またはJR「仙台駅」西口より徒歩約12分
ローカルを感じる旅に出よう
壱弐参横丁も文化横丁もお店の方々が気さくで、人情味あふれる昭和の時代にタイムスリップしたような気分です。遠くへ行かなくたって旅はできるもの。寄り道気分で、そんな小さな旅に出かけてみるのはいかがでしょう? 懐かしい横丁で、あなただけの素敵なお店に出会えるかもしれません。
取材・撮影・文/Junko Saito