仙台 恋人の聖地「作並温泉郷」へ。きれいを叶える湯めぐりに出かけよう

仙台の奥座敷と称される作並温泉郷は古くから文化人にも愛されてきた名湯で、その景観や風情から「恋人の聖地」に選出された、カップルや女性におすすめの観光地です。恋のパワースポットをめぐり、「美女づくりの湯」として有名な温泉、作並こけしの絵付けや工場見学、人気グルメなど1日で作並温泉郷を満喫！心も体もきれいになる、おすすめプランをご紹介します。

作並温泉郷は200年以上の長い歴史を持ち、古くから文化人にも愛されてきた名湯です。その泉質から「美人づくりの湯」と呼ばれています。仙台市街地からのアクセスが良く、温泉宿以外の観光スポットも点在。景色・食・体験の3つが揃う、温泉だけじゃない楽しみ方も叶えてくれるエリアです。

東京駅から仙台駅まで東北新幹線で約1時間30分。仙台駅でJR仙山線に乗り換え作並駅までは約40分ですが、今回は作並温泉郷周辺の複数の観光スポットを周遊するため、仙台駅周辺でレンタカーを借りて向かうコースをご紹介。仙台市街から山形県へと抜ける国道48号線沿いを旅します。

仙台駅から作並温泉郷に向かって約30分、国道の途中には広瀬川が削る深い渓谷があります。

車が渡るために架けられたアーチ型の熊ヶ根橋と、JR仙山線が通る第二広瀬川橋梁（通称：熊ヶ根鉄橋）が並んでいます。鉄道ファンには有名な橋で、国道からも見えます。自然を身近に感じられる開放的な景色でリフレッシュできますよ。

仙台の清澄な水と豊かな森に囲まれた隠れた名瀑布「鳳鳴（ほうおう）四十八滝」は、仙台市のシンボルとして親しまれる広瀬川の上流にあたります。

渓流のように流れる大小の滝を総称する呼び名で、滝の音響きが鳳凰の鳴き声のようだということが名前の由来になったそう。四季折々に美しい表情を楽しむことができます。仙台駅から車で約33分、国道沿いの駐車場に車を停めて徒歩約2分で行くことができます。

作並温泉郷は、肌にやさしい泉質と豊富なお湯から「美女づくりの湯」とも言われています。露天風呂や岩風呂、立ち湯など各旅館の多彩な湯めぐりができるのも魅力。今回は、仙台駅から約40分の場所にある、作並温泉の元湯「鷹泉閣 岩松旅館」へ足を運んでみました。

こちらでは、4つの異なる源泉から湧く天然温泉の岩風呂が有名です。220年以上の歴史ある混浴露天風呂で、宿泊すると女性専用の時間帯もあります。

ほかにも源泉の異なる女性専用「香華の湯」と男女別の「不二の湯」があるので、ひとつの宿でも湯めぐり気分。優しいお湯で、お肌がしっとりもちもちになる美人の湯。

露天岩風呂は渓谷にあるため、宿の1階から下へ下へと降りていきます。88段もの長い木造階段そのものに風情があり、開湯当時からの長い歴史を感じさせてくれます。

今回は冬に訪れましたが、春から夏のシーズンは新緑に包まれてとても気持ち良いんです。広瀬川の美しい渓流と四季折々の風情を堪能しましょう。

鷹泉閣 岩松旅館の道路向かい、徒歩約1分の場所にある「湯神神社」。

「湯神が守る恋／作並温泉郷」として恋人の聖地に指定された作並温泉郷。古くから作並温泉を見守ってきた「湯神神社」は縁結びにご利益があるといわれ、カップルや女性客が訪れるそうです。

本堂に向かって左側に木の洞（うろ）がハートの形をした「愛生ハートマークの木」があるので発見できたらラッキー！
たくさんの絵馬が掛けられているので、訪れたらぜひ見てみてくださいね。

神社は無人のため、御朱印は岩松旅館で300円でいただくことができます。ぜひ御朱印帳持参で出かけましょう。

作並温泉郷には、湯神神社と5つの宿、作並湯の駅ラサンタに湯神神社でご祈祷を受けた「恋のお湯かけ地蔵」が安置されています。

お湯かけ地蔵が安置されているのは「鷹泉閣　岩松旅館」、「ゆづくしSalon一の坊」、「La楽リゾートホテルグリーングリーン」、「湯の原ホテル」、「OYO 44612 Katakuri No Yado」の5つの宿です。

湯めぐりと一緒に願いを掛けてみてはいかがでしょうか。各宿では、それぞれの温泉のお湯が入った小瓶を入手できます。小瓶には異なる文字が書かれていて、全部揃えれば願いが叶うかも？

絵馬などの願掛けグッズも旅館で購入することができます。左から恋のお湯かけ小瓶（165円）、お湯かけ地蔵ミニこけし（1800円）、湯上神社絵馬（510円）です。

湯神神社から車で約2分、仙台駅からは車で約40分のところにある「平賀こけし店」では、伝統工芸品の「作並こけし」の絵付けが体験できます。体験時間はおよそ1時間、費用は700円で、白木のこけしに顔や模様をつけていきます。

絵付け体験の間、優しく褒めてくださった8代目工人の平賀さん。代々受け継がれてきた伝統的な作並こけしとともに、平賀さんの生み出すポップでかわいいこけしは、眺めているだけで癒されます。

小ぶりなものは1,000円ほどと手軽なので、旅のお土産にもぴったり。絵付体験は1週間前までに予約が必要です。世界にひとつだけのオリジナルこけしをつくってみてはいかがでしょうか。

平賀こけし店から車で約5分、仙台駅から車で約30分の場所にあるつつみ屋作並店で、見た目もかわいい人気の和スイーツをいただきましょう。サクサクの衣にこしあんとクルミが入った名物「つつみ揚げ」（120円）。おだんごは「ぴいなっつ」、「ずんだ」、「しょうゆ」と期間限定の「桜あん」（各140円）。素材の食感を残したタレで、香ばしさがたまりません。

つくりたてを味わってもらうため、注文を受けてからタレを付けるおだんごは、もちもちでボリュームもあるので、散策途中のスイーツにおすすめ。JR作並駅のすぐそばなので、電車で来た際の立ち寄りにも便利です。

つつみ屋から車で約3分、仙台駅からは車で約37分のところにあるニッカウヰスキー仙台工場（宮城峡蒸溜所）へ。敷地内には、立派なレンガ造りの建物が並び、まるで異国の世界に訪れたようです。ガイドさんの案内付きで製造工程を無料で見学できます。

ドラマ「マッサン」で知られる創業者の竹鶴政孝が、北海道余市の次に蒸溜所を設立したのがこの場所。ウイスキーに欠かせない良質な水があることから選ばれたそうで、余市とは異なる製造方法でウイスキーがつくられています。

見学の最後には3種類のお酒の試飲ができます。見学した後だと香りの違いがよく感じられ、味わいも格別です。こちらも無料で、ドライバーのためのソフトドリンクもあります。炭酸水と割ってハイボールとしても味わいを楽しめるのがうれしいポイントです。

もっと飲みたい方は購入することもできますよ。

お土産も充実していて、ここでしか買えないオリジナル商品も多数あります。ウイスキー初心者の女性でも挑戦しやすいミニボトルのお土産もおすすめです。

工場見学を楽しんだ後はランチへ向かいます。作並温泉郷から仙台駅へ向かって車で約10分、仙台駅から車で30分の場所にあるのが、野菜にこだわったイタリアンがいただけるレストラン「アルベロ」。店内の窯でつくられる焼き立てピッツァやパスタが評判で、平日でも混雑する人気店です。

注文したランチセット（Bセット1,450円）はピッツァやパスタにサラダ、食前酢、デザート、ドリンクがセットになっています。ひとつはマルゲリータ、もうひとつは緑野菜とキノコのペペロンチーノ。提携農家さんから仕入れているこだわりのお野菜、そしてハーブやオイルまで美味しくて感動するはず。

最後にコーヒーとスイーツをいただいて、お腹いっぱいになりました。
アルベロオリジナルのスイーツは日によって変わるので訪れたときのお楽しみです。

木のぬくもり溢れる店内は、草花の装飾がほどこされ、落ち着いてかわいらしいインテリア。ついつい長居したくなってしまう、心地良さが魅力のお店です。

アルベロから車で約20分、仙台駅からは車で約50分の「定義山（じょうぎさん）」も作並温泉観光の際に訪れたいおすすめスポット。定義山にある「定義如来西方寺」は、縁結び・子授・安産などのご利益があると有名で、毎日多くの人たちが訪れます。

写真：久保田耕司

お寺の隣に隣接した参道にある「定義とうふ店」では名物グルメ「三角あぶらあげ」を食べることができます。揚げたばかりのサクサク油あげは絶品！

ほかにも大きな焼きおにぎり「やきめし」や「揚げ饅頭」など、ここでしか味わえないご当地グルメが豊富です。

山形県の名所として知られる「山寺」。松尾芭蕉、長い石段、絶景などで有名なお寺で、外国の旅行者からも絶大な人気を集めています。

実は仙台作並温泉郷から車で約1時間で行ける場所にあります。電車だとJR仙山線で、最寄りの作並駅-山寺駅間は約20分で行くことができるんです。せっかく作並温泉まで訪れたら、山寺まで足を運んでみるのもおすすめ。

松尾芭蕉が「閑さや岩にしみ入る蝉の声」の句を詠んだ風光明媚な山寺。切り立った山の上に建つ立石寺は千年以上の歴史があり、悪縁を断ち切るお寺としても有名です。作並の旅で時間に余裕があればぜひ訪れてみましょう。

仙台市内からそれほど離れていないのに、自然豊かで美しい作並温泉郷。優しい方言で迎えてくれる作並の人々と名湯、おいしいグルメやスイーツにも癒やされ、日々の疲れが浄化されていくようです。

恋のパワースポットをめぐり、「美女づくりの湯」として有名な温泉で、美しさを磨きをかけて…。皆さんも仙台から近い温泉郷へ、ぜひ遊びに行ってみてはいかがでしょうか。

写真・取材・文／Junko Saito