提供:SAUNA BROS.(サウナブロス)
『SAUNA BROS.(サウナブロス)』とは…
すべてが自由ですべてがピースフルな「サウナ」を少しでも多くの方に伝えたいと思い、ただただサウナが好きな編集部員が、愛情と熱量だけで制作するサウナ雑誌。2021年1月にvol.1が発行されて以降、全国的に有名なサウナから、近年オープンした人気サウナ、さらにはローカルに愛されるサウナなど、幅広く、そしてディープに紹介し、サウナーから高い支持を得ています。現在、vol.5が発売中。
発行/株式会社東京ニュース通信社
公式WEBサイト/SAUNA BROS.WEB
サウナ人気の高まりとともに、全国各地で次々と新しい施設がオープンしています。その一方で、これまでブームをけん引してきた人気施設、老舗施設もさらなるアップデートを!
そうしたリニューアルを敢行された施設をあらためて訪問するとともに、各店の”仕掛け人”たちにもお話をうかがってきました。
令和に、あえて「昭和ストロング」なサウナ室を新設! その狙いとは?
都内でも屈指の人気を誇る……いや、全国的にもファンの多い、錦糸町の「スパ&カプセル ニューウイング」に新たなサウナ室ができる! そんな噂を聞いたのは2022年の春のことでした。
「新しくサウナ室を増設しようと思ったのは、お客さんがサウナ室に入りきれなくなってきたからなんです。だいたい10人ちょっとが入れるサウナ室がもう1つ必要だな、と数年前から考えてはいたんですよね。もういよいよ限界かな、ってところにきたんで、思い切って、『第3のサウナ』を増設しようと決めました」(支配人・吉田健さん 以下同)。
「ニューウイング」には、これまで2つのサウナ室がありました。メインのサウナ室である「ボナサームサウナ」は、その名の通り、座面下に仕込まれたボナサームヒーターからのオートロウリュや、床にまく湯から立ち昇る湿度・蒸気で絶妙なセッティングを味わえましたし、もう1つの「テルマーレ改」ではセルフロウリュが楽しめます。
そんな「ニューウイング」なので、その「第3のサウナ室」も、おそらく温度と湿度のバランスが絶妙なんじゃないかなんて勝手に想像していたのですが……。リニューアル完成が近づいてきたころ、SNSのタイムラインを見て驚きました。新サウナ室の名称が、なんと「からからジール」だというのです。「からから(※湿度が低い)」って? と。
「ふふっ。やっぱり驚きました(笑)? まぁ、そうかもしれないよね。これまでの2つのサウナ室では湿度で勝負してきたから。でも、個人的にはカラカラというか、いわゆる昭和ストロング的なサウナも嫌いじゃないんですよ。あのカラカラの良さを味わってもらうのもいいんじゃないかって思って。
ここ数年のブームでサウナを好きになった若い人には『こういう熱さもあるんだよ』と紹介してあげる。昔ながらのサウナ好きには懐かしい感じになってもらう。そういう狙いが、このリニューアルにはあったんです」。
たしかに筆者も嫌いじゃないですが、普通に考えるとカラカラは時代に逆行しているような気がするなぁ、と最初は思いました。
ですが、結論から言うと、想像していた以上に、その「からからジール」が賑わっているのです!
「逆張り」で、日本のサウナの「豊かさ」が証明された!?
「もちろんボナやテルマーレ……ほかの2つのサウナ室と同じように湿度・セッティングにこだわってもよかったんだけど、逆にその2つの良さをあらためて感じられて、なおかつ違う気持ちよさも味わえるものにしてみたらおもしろいんじゃないかなって思ってね。
もちろん、自分が好きなサウナ室にだけ入るお客さんもいるけど、3つあったら順番に全部入ったり、好きな2つを往復したり、そういうことをしたくなるじゃない(笑)?」。
まさに! 実際に周囲を見渡すと多くのお客さんがそれぞれのサウナ室をはしごしています。さすが、お見通しですね(笑)。
「いろんなサウナがあって、それぞれ気持ちよさがありますから。複数あれば、もし気に入ってもらえなければ、そのサウナ室には入らなきゃいいわけだし(笑)。そういうこともできると思ったんだよね。
もちろん『息苦しい』とか、そういうのは感じないように注意しながら、『湿度』ではなく、純粋に『熱さ』を味わえる……それが『からからジール』なんですよ」。
お客さんが自分の好みのサウナ室を選べて、なおかつ「最初は『テルマーレ改』でじんわり体をあたためて、次は『からからジール』で熱さを楽しんで、そのあと『ボナ』でじっくりと仕上げていく」みたいな「組み合わせ」も楽しむことができてしまいます。
気持ちよくなるだけじゃない! ちょっと大げさかもしれませんが、なんだか日本のサウナの“多様性”すら感じてしまう――。今回の“逆張り”で、「ニューウイング」は、そんな施設に進化しちゃったような気がします。
時間が許せば……浴後もぜひココでゆったりと!!
さて、浴室内のアップデートのみならず、階上にあるリラクゼーションエリアでもプチ改装というか模様替えが行われています。
「ああ、そうですね。『プレジ』(東京・上野にあった「スパリゾート プレジデント」)のリクライニングを4階に置かせてもらってます」。
そう、昨年夏に惜しまれつつ閉店してしまった、上野「スパリゾート プレジデント」のリクライニングチェアが4階にズラリと並んでいるのです。
「閉店前におじゃましたときに、『やっぱりいいなぁ』と思ったんだよね、サウナもリクライニングコーナーも食堂も。『これ、どうするの?』って聞いたら、『持っていってもいいですよ』って言ってくれたんで、もらってきちゃった(笑)」。
いたずらっぽく笑いながら、そう話す吉田さん。
「まぁ、驚いたし、やっぱりショックだったよね。プレジの閉店は。だから(リクライニングチェアは)もちろん、座り心地が良いからもらったっていうのもあるけど、なんか『残したいな』みたいな気持ちも少しあって。それで譲り受けたんですよね」。
いやぁ、サウナ好きとしては座り心地(寝心地)抜群なことだけでもうれしいですが、そんな背景を知ってしまうと(ちょっとエモい思いも抱きつつ)なんだかさらに豊かな気持ちになってきます。
よく「施設には、運営されている人たちの個性や思いがあらわれる」と言いますが、あらためてそれを痛感します。
浴室でも、休憩フロアでも。そしてレストランでも。館内のあらゆるところからサウナ好きが「少しでも居心地よく過ごせるように」「少しでもくつろげるように」という思いがあふれだしている施設。
ついつい「ニューウイング」に、また足が向かってしまいます。
スパ&カプセル ニューウイング
- 住所
- 東京都墨田区江東橋2-6-11
- 営業時間
- 24時間営業 年中無休
- 料金
- 男性専用施設
【通常】2,600円(0:00~5:00は+800円)
【2時間】2,000円(5:00~22:00)
【4時間】2,300円(10:00~22:00)
※レディースデーあり
撮影/田中健児