デートにも子連れにもおすすめ「門司港レトロ」
明治から昭和にかけて国際貿易の拠点として発展し、横浜・神戸と並んで「日本三大港」のひとつにも数えられた門司港。当時建てられたレンガ造りの建物などが今なお残り、レトロな雰囲気が漂う一帯は「門司港レトロ」として、人気の観光地になっています。
名物の焼きカレーやふぐ料理のお店、ミュージアム、関門海峡を見渡せるスポット、みやげもの屋など、見どころ多数。夜のロマンチックな光景はデートにもぴったりです。
門司港駅の周辺に見どころが集中しているので、ブラブラ歩いて回れるのもおすすめのポイント。「門司港レトロ」の見どころとモデルコースを詳しくご紹介していきます。
【1】 門司港駅
関門トンネルが開通するまで、九州の鉄道の玄関口として、また、対岸の下関とを結ぶ関門連絡船の中継駅として、多くの人で賑わった「門司港駅」。
現在の駅舎は、大正3(1914)年に門司駅として開業したネオ・ルネッサンス様式の駅舎を復原したもので、2019年3月にグランドオープンしたばかり。鉄道駅舎としては初めて、国の重要文化財に指定されています。
ホームもレトロなら、駅員の制服も門司港駅だけはほかの駅と異なり、大正レトロな装い。門司港駅に着いたら、改札を出る前に、ホームと駅員の制服もお見逃しなく!
そして、かつて三等車両の乗客用の待合室だった場所には、「スターバックス コーヒー 門司港駅店」が。白い漆喰壁と淡い黄色で塗装した店内は、門司港駅ならではの特別な空間を楽しめます。
2階の貴賓室として使われていた場所には、かつてあった洋食レストラン「みかど食堂」が再オープン。料理は、「ワールド50ベストレストラン」に11年連続で選出されている東京・南青山のフレンチレストラン「NARISAWA」の成澤由浩シェフが監修しています。門司港名物の焼きカレーをはじめ、オムライスやハンバーグなど、九州の食材にこだわった洋食をいただけます。
- 見学所要時間
- 5分程度
- 住所
- 福岡県北九州市門司区西海岸1-5-31
- スターバックス コーヒー 門司港駅店
- 8:00~21:00
- みかど食堂
- ランチ 11:30~14:00
ティータイム 14:00~17:00
ディナー 17:30~20:00(L.O.19:00) ※平日はディナー営業なし
【2】 九州鉄道記念館
門司港駅に隣接する「九州鉄道記念館」は、九州の鉄道路線の歴史を辿ることができる展示施設です。
赤レンガ造りの本館は、明治24(1891)年に旧九州鉄道本社屋として建てられたもの。本物の運転台に座って運転の疑似体験ができる「運転シミュレーター」(1回約8分・100円)や、明治時代の客車を復元した車両、「つばめ」をはじめとした歴史的な名列車のヘッドマーク、歴代の制服、昔の切符などを見ることができます。
屋外には、機関車やブルートレインなど大正から昭和にかけて製造された実物の車両の展示も。一部は車内を見学できます。
本格的なミニ鉄道に乗って自分で運転できる「ミニ鉄道公園」(1回300円)など、子ども向けの施設も充実していて、子連れにも大人の鉄道ファンにもおすすめです。
- 見学所要時間
- 1時間30分~2時間程度
- 営業時間
- 9:00~17:00(最終入館16:30)
- 定休日
- 毎月第2水曜日(祝日の場合は翌日休)
※7月は第2水・木曜日休
※8月は無休
- 入場料
- 大人300円、中学生以下150円、4歳未満無料
- 住所
- 福岡県北九州市門司区清滝2-3-29
- アクセス
- JR「門司港」駅より徒歩約3分
【3】 旧門司三井倶楽部
門司港駅の目の前にある「旧門司港三井倶楽部」は、大正10(1921)年に三井物産の宿泊施設・社交倶楽部として建設されました。木造の骨組みにレンガや石などを埋めて造られたレトロな建築で、こちらも国の重要文化財に指定されています。
完成翌年の大正11(1922)年には、講演旅行で来日中だったアインシュタイン博士が、12月23~24日と25~29日に、この「三井倶楽部」に夫人とともに宿泊しました。2階には、そのときの家具・調度品を展示する「アインシュタイン メモリアルルーム」があります。
そして、その隣には、門司出身で『放浪記』などを執筆した女流作家・林芙美子の記念室も。原稿や直筆の手紙、パスポート、再現された彼女の書斎などを見ることができます。
1階にはレストラン「三井倶楽部」が。レトロで格式高い雰囲気の中で、焼きカレーやふぐ料理などがいただけます。
- 見学所要時間
- 2~3分程度
2階の2施設を見学する場合は30分以上
- 営業時間
- 9:00〜17:00
[レストラン]11:00~15:00(L.O.14:00)、17:00~21:00(L.O.20:00)
- 定休日
- 無休
[レストラン]不定休
- 入場料
- 入館無料
2階「アインシュタイン メモリアルルーム」「林芙美子記念室」セット 大人150円、小中学生70円
- 住所
- 福岡県北九州市門司区港町7-1
- アクセス
- JR「門司港」駅すぐ
【4】 旧大阪商船
「三井倶楽部」のとなりにあるのが「旧大阪商船」。大正6(1917)年に建てられた大阪商船門司支店を修復したもので、かつて灯台の役割を果たしていた八角形の塔と、オレンジ色のタイルの外観が目を引きます。
1階奥には、明治時代に作られ、旧三菱合資会社門司支店で使われていた金庫が。簡単に開きそうでなかなか開かないので、根気よくトライしてみて。
同じく1階には、北九州出身のイラストレーター・わたせせいぞう氏のギャラリーや、地元の作家の作品を展示する「門司港デザインハウス」もあります。カフェも併設しているので、レトロな街並みを眺めつつ休憩するのもおすすめです。
- 見学所要時間
- 5~10分程度
ギャラリーを見学する場合は30分以上
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 無休
- 入場料
- 入館無料
[わたせせいぞうギャラリー]大人150円、小中学生70円
- 住所
- 福岡県北九州市門司区港町7-18
- アクセス
- JR「門司港」駅より徒歩約3分
【5】 ブルーウィングもじ
全長約108m、日本最大級の歩行者専用はね橋「ブルーウィングもじ」。1日6回、約4分間かけて、水面に対し約60度の角度に跳ね上がります。
「恋人の聖地」に認定されていて、橋が閉じて最初に渡ったカップルは永遠に結ばれるといわれています。
- 開橋時間
- 10:00、11:00、13:00、14:00、15:00、16:00(それぞれ20分後に閉じる)
- 住所
- 福岡県北九州市門司区浜町4-1
- アクセス
- JR「門司港」駅より徒歩約3分
開橋中は「海峡プラザ」経由で徒歩約7分
【6】 旧門司税関
明治42(1909)年の門司税関発足を機に、明治45(1912)年に建てられた赤レンガ造りの「旧門司税関」。昭和初期まで税関庁舎として使われていました。
館内には、税関業務についての展示や、フルーツパーラー「Mooon de retro(モーン デ レトロ)」、休憩室、3階には関門海峡を見渡せる展望室もあります。
ちなみに、門司に税関が置かれるきっかけを作ったのは、2015~2016年に放送されたNHK朝ドラ『あさが来た』のあさのモデル・広岡浅子。筑豊の石炭を輸出するには、当時は長崎港まで運ばねばならず、炭鉱に近い門司を輸出港にできればと、彼女が税関設置を申請したのだとか。そうして門司港はのちに、日本最大の石炭積出港にまで発展したという歴史があります。
- 見学所要時間
- 5~10分程度
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 無休
- 入場料
- 入館無料
- 住所
- 福岡県北九州市門司区東港町1-24
- アクセス
- JR「門司港」駅より徒歩約8分
【7】 大連友好記念館
中国・大連とを結ぶ重要な国際航路があったことから、古くから交流が盛んで、友好都市を締結している大連市と北九州市。その締結15周年を記念して、「大連友好記念館」は造られました。
建物は、明治35(1902)年にロシア帝国が大連に造ったドイツ風の歴史的建造物を模したもの。
1階には中華料理店「大連あかしあ」、2階には休憩スペースや大連市の紹介コーナーなどがあります。アールヌーボー様式のおしゃれなタイルや暖炉なども必見です。
- 見学所要時間
- 5~10分程度
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 無休
- 入場料
- 入館無料
- 住所
- 福岡県北九州市門司区東港町1-12
- アクセス
- JR「門司港」駅より徒歩約8分
【8】 出光美術館(門司)
小説『海賊とよばれた男』のモデルにもなった、門司発祥の出光興産。「出光美術館」では、創業者・出光佐三氏による、日本や東洋の陶磁器、書画などのコレクションを展示しています。また年数回、企画展も開催されています。
敷地内には「出光創業史料室」を併設し、出光興産と出光佐三氏の軌跡を辿ることができます。
- 見学所要時間
- 1~2時間程度
- 営業時間
- 10:00~17:00(最終入館16:30)
- 定休日
- 月曜日(祝日及び振替休日の場合は開館)、年末年始、展示替期間
- 入場料
- 一般700円、高校・大学生500円、中学生以下無料(保護者の同伴が必要)
[出光創業史料室のみ]一般100円、中学生以下無料
- 住所
- 福岡県北九州市門司区東港町2-3
- アクセス
- JR「門司港」駅より徒歩約8分
【9】 門司港レトロ海峡プラザ
「門司港レトロ」の中心にあり、門司ならではの飲食店やショップが軒を連ねる商業施設「海峡プラザ」。
「オルゴールミュージアム門司港」や、世界各国のガラス細工やランプなどを展示する「赤煉瓦ガラス美術館」、「トリック3Dアートミュージアム」など、ミュージアムも充実しています。観光途中の食事やおみやげ探しに足を運んでみては。
- 営業時間
- [物販]10:00~20:00
[飲食]11:00~21:00(店舗により異なる)
- 定休日
- 無休(一部店舗は定休日あり)
- 住所
- 福岡県北九州市門司区港町5-1
- アクセス
- JR「門司港」駅より徒歩約2分
【10】 三宜楼
昭和6(1931)年に建てられ、現存する料亭としては九州最大級の「三宜楼(さんきろう)」。木造3階建てながら高台に建っているため、下から見上げると、その大きさに驚かされます。
無料で内部を見学できるようになっていて、「百畳間」と呼ばれる大広間や、門司港の繁栄を物語る展示などを見ることができます。
1階の「三宜楼茶寮」では、ふぐの御膳を昼は3,300円、夜は5,500円と、比較的手ごろな価格で楽しむことができます。
- 見学所要時間
- 30分程度
- 営業時間
- [見学]10:00~17:00
[三宜楼茶寮]
昼食 11:30~15:00(L.O.14:00)
夕食 17:00~21:00(予約制)
- 定休日
- 月曜日(祝日の場合は翌日休)
- 入場料
- 見学無料
- 住所
- 福岡県北九州市門司区清滝3-6-8
- アクセス
- JR「門司港」駅より徒歩約8分
「和布刈(めかり)公園前」バス停までバスで約7分
【11】 ノーフォーク広場
関門橋のたもとにある「ノーフォーク広場」。その名前は、北九州市の姉妹都市であるアメリカ・バージニア州ノーフォーク市にちなんで付けられました。
船の種類が書かれた説明板もあり、目の前の関門海峡を行き来する船をウォッチするのに役立ち、大人も子どもも楽しめます。
夜はライトアップされた関門橋や下関の夜景が、昼とは異なるロマンチックなムードを作り出します。
- 営業時間
- 見学自由
- 入場料
- 無料
- 住所
- 福岡県北九州市門司区旧門司2-5
- アクセス
- 門司港駅から「和布刈(めかり)」行きバスで「和布刈公園前」バス停下車すぐ
北九州銀行レトロライン潮風号(3~11月の土日祝日を中心に運行) 「ノーフォーク広場」駅すぐ
【12】 関門トンネル人道
「関門トンネル人道」は、本州側の山口県下関まで歩いて渡れる海底トンネルで、下関まで約780m、徒歩15分ほど。途中には、本州と九州、山口県と福岡県の境界線が引かれています。
- 営業時間
- 6:00~22:00
- 定休日
- 無休
- 入場料
- 歩行者 無料、自転車・原付 20円
- 住所
- 北九州市門司区門司
- アクセス
- 門司港駅から「和布刈(めかり)」行きバスで「関門トンネル人道口」バス停すぐ
門司港駅からスタートして、おすすめの観光スポットをまわるコースはこれで終了! ここからは、門司港のグルメをご紹介します。ぜひ観光の途中に立ち寄ってみてください。
門司港名物といったら「焼きカレー」
貿易港として栄えた門司港には、昔からハイカラなメニューを出す洋食店も多く、「焼きカレー」の発祥は昭和30年代に門司港にあった喫茶店といわれています。余ったカレーをオーブンで焼いたところおいしかったので、お店で提供するようになったのだそう。(諸説あり)
現在、門司港レトロ地区には焼きカレーを提供するお店が20店以上あります。店によって海鮮やお肉など具材はさまざまで、食べ比べてみるのもおすすめ。
ちなみに、上で紹介した「三井倶楽部」の焼きカレーはバナナ入りで、レプリカの瓦で提供されます。(スープ・サラダ・漬物・コーヒー・デザート付き 1,496円)
女優・上戸彩さんがテレビ番組で地球最後の日に食べたいものに選んだ「BEAR FRUITS」の「スーパー焼きカレー」、お笑い芸人・ロバートの秋山竜次さんのお父さんが営む「ファンキータイガー・アジト」といった、メディアで取り上げられる人気店も門司港レトロ地区にあります。
門司港はバナナの叩き売り発祥の地!
門司港駅前にある「バナナの叩き売り発祥の地」の碑
台の上にバナナを並べ、独特の口上で客を呼び寄せるバナナの叩き売りは門司港が発祥。「門司港バナナの叩き売り」として「日本遺産」に認定されています。それゆえ、門司にはバナナを使ったみやげものやグルメが多数あります。
また、第1~4土曜日、第2・4日曜日の13:30からは、港ハウス前広場で、バナナの叩き売りを実施しています。(雨天中止、売り切れ次第終了)
できたての地ビールを味わえる「門司港地ビール工房」
北九州地区唯一のブルワリー「門司港地ビール工房」。ビルの2階が醸造所で、ビールのコンペティションなどで金賞を受賞した「ヴァイツェン」や「ペールエール」、昭和初期のラガービールを再現した「門司港驛ビール」など、できたてのビールを味わえます。
1階と3階がレストランになっていて、1階ではジンギスカン、3階では自社のビールを使ったオリジナル焼きカレーや窯焼きのピザなどが。関門海峡の絶景を眺めながらビールと料理を堪能できます。
※門司港レトロ地区でのレストラン営業は2020/9に終了し、2020/12より新店舗(福岡県北九州市小倉北区米町1-3-19)に移転
- 営業時間
- 11:00~22:00(L.O.21:15)
- 定休日
- 1~4月の第2・4月曜日(祝日の場合は翌日休)
その他、冬季休業期間あり
- メニュー例
- 特製生ラムジンギスカン・野菜付き 1人前900円、ビール焼きカレー1,200円 など(いずれも税抜)
- 住所
- 福岡県北九州市門司区東港町6-9
- アクセス
- JR「門司港」駅より徒歩約5分
- 詳細
- 門司港地ビール工房公式ページ
大陸との貿易の拠点として栄えた頃の面影を色濃く残す門司港レトロ地区。ご紹介した名所をまわっていると、明治から昭和初期にタイムスリップしたような気分が味わえます。
博多や対岸の下関からのアクセスもいいので、日帰りで観光することもできます。博多や下関への旅行中にちょっと足を伸ばしてみませんか?
門司港へのアクセス
【博多駅から】
新幹線で「小倉」駅まで約15分、在来線に乗り換えて約15分
特急「きらめき」号で約1時間10分
※土日祝日に日帰りで遊びに行く際は、博多~小倉駅間の新幹線に乗車できる往復きっぷ「新幹線よかよかきっぷ」が大人3,150円、子ども1,570円とお得です。(利用期間に限りあり)
※平日は、博多~門司港駅の特急列車・自由席の乗車券が2枚つづりになった「2枚きっぷ」(大人3,140円、子ども1,570円)もあります。
【下関から】
「下関」駅から在来線で約20分(「門司」駅で乗り換え)
「唐戸桟橋」から船で約5分