北海道の北東部、オホーツク海に面したオホーツクエリア。網走監獄や世界遺産の知床などが有名で、大自然に囲まれた見どころの多い地域です。旅の起点は「女満別(めまんべつ)空港」。新千歳空港や羽田空港のほか、季節によっては関西国際空港、中部国際空港からの直行便が就航しています。
そんなオホーツクエリアで外せない定番観光スポットやグルメ、流氷など大自然を満喫する、女満別空港発2泊3日旅行のモデルコースを北海道在住のライターがご紹介します。
女満別空港発 2泊3日モデルコース
【1日目】女満別空港から知床方面へのドライブで、絶景を堪能!
女満別空港に到着したら、予約していたレンタカーをピックアップしましょう。空港から網走市内へ向かうバスもありますが、見どころが点在する2泊3日の道東旅では、全日程でレンタカーを借りておくのがおすすめです。
2日目に知床五湖を楽しむために、初日はウトロ地区の宿までドライブをしながら移動。途中に知床の大自然を楽しむスポットへ立ち寄ります。
天に続く道
全長およそ28キロメートルにも及ぶ、北海道らしいスケールの直線道路が「天に続く道」。周囲に大きな建物や集落などがなく、まっすぐに続く道はどこか神秘的で、まさに天国へと続いているような雰囲気です。年間を通して楽しめますが、春分の日と秋分の日の前後数日間、日の入り前が大人気。道の先に沈む夕日を眺めることができます。
スタート地点には無料の駐車場があるほか、坂道の途中には木製の小さな展望台も。視界をさえぎるものがほとんどないため、周囲に広がる畑からオホーツク海、知床連山の雄大な山並みまでぐるりと見渡せます。
天に続く道
- 住所
- 北海道斜里郡
- アクセス
- 【車】女満別空港から約60分
- 駐車場
- あり(無料)
オシンコシンの滝
「天に続く道」を見た後は、ウトロ地区の宿へ向かいます。途中の立ち寄りスポットとしておすすめなのが、「天に続く道」から車で40分ほどの場所にある「オシンコシンの滝」。落差30メートルほどの美しい滝は、知床八景の一つです。階段を使って滝のすぐ近くまで上ることができ、2つの滝が岩肌を流れるダイナミックな景観が楽しめます。
冬季はすぐそばの海へ流氷が流れつき、滝も一部が凍るなど冬の知床らしい景色を堪能できます。積雪や路面の凍結もあるので、足元には十分に注意してくださいね。
オシンコシンの滝
- 住所
- 北海道斜里郡斜里町ウトロ西
- アクセス
- 【車】女満別空港から約80分
【バス】斜里バス「オシンコシンの滝」下車すぐ - 駐車場
- あり(無料)
【2日目】世界遺産・知床の自然に抱かれる知床五湖ウォークへ!
ウトロの温泉宿で疲れを癒やしたら、いよいよ旅の2日目。世界遺産の知床を体感するため、知床五湖のウォーキングへ向かいます。季節によって入れるエリアは変わりますが、冬季の一部を除いて気軽に訪れることができます。知床は北海道内でもヒグマが多く生息する地域のため、基本的な注意事項をしっかり理解してから出かけましょう。
知床を満喫した後は、国定公園の湖や人気の道の駅に立ち寄ってから、網走市内のホテルに宿泊します。
知床五湖ウォーク
知床連山のふもとに点在する知床五湖の周囲をウォーキングして、大自然を満喫。一帯は国立公園に指定されており、雄大な山並みと深い森、美しい湖が広がる風景を楽しめます。
散策できる道は大きく2つ。無料で自由に散策ができる「高架木道(こうかもくどう)」と、有料の「地上遊歩道」があります。高架木道は往復約1.6キロメートル、地上遊歩道の場合は小ルーブコースで1周約1.6キロメートル、大ループコースで1周約3キロメートルの道のりです。体力的・装備的に問題なくトレッキングができる場合は、より身近に自然を感じられる地上遊歩道にぜひ挑戦してみてください。
なお、ヒグマの活動期である5月10日から7月31日までは、「知床五湖登録引率者」によるガイドツアー(要予約・有料)に参加することで地上遊歩道を利用することが可能になり、3kmのコースを3時間ほどかけて回ります。また、そのほかの時期も、知床五湖フィールドハウスで必要なレクチャーを受けてからの散策が必須です。
さらに、毎年1月半ば~3月上旬ごろの厳冬期には、夏には行けない湿地や凍った湖の上を歩くことができる有料のエコツアーも開催されています。
知床五湖(知床五湖フィールドハウス)
- 住所
- 北海道斜里郡斜里町遠音別村字岩宇別549
- 開園期間
- 例年4月中旬~11月中旬
- 地上遊歩道の散策条件
- 開園~5月9日(植生保護期 春)/レクチャー受講
5月10日~7月31日(ヒグマ活動期)/知床五湖登録引率者のガイドツアーに参加
8月1日~閉園(植生保護期 夏・秋)/レクチャー受講 - 料金
- 【レクチャー】大人(12歳以上)250円、小人100円
【ツアー】大ループ/大人(12歳以上)6,000円、小人(6~11歳)3,000円、未就学児2,000円
小ループ/大人(12歳以上)3,500円、小人(6~11歳)2,000円、未就学児2,000円
※要予約 - アクセス
- 【車】女満別空港から約120分
【バス】斜里バス「知床五湖」下車すぐ - 駐車場
- あり(有料/普通車500円)
- 詳細
- 知床五湖 二つの歩き方|環境省
濤沸湖
網走市内のホテルへ向かう途中、立ち寄りたいのが「濤沸湖(とうふつこ)」。国道244号線やJR釧網本線の線路沿いに広がる湖です。
ラムサール条約登録湿地でもある濤沸湖は、冬にはオオハクチョウなどの渡り鳥が飛来するスポット。「濤沸湖水鳥・湿地センター」では、濤沸湖の自然環境や渡り鳥について学べるほか、湖にやってきた水鳥たちの様子を望遠鏡でチェックできます。
夏は湖畔に放牧されている馬たちを眺められるほか、天然の花畑である「網走国定公園 小清水原生花園」も見頃の季節。人の手に頼らず自然のままで咲いているエゾスカシユリやハマナスなど、北の大地らしい花が見られるでしょう。
濤沸湖(濤沸湖水鳥・湿地センター)
- 住所
- 北海道網走市北浜203-3
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 月曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
- アクセス
- 【車】女満別空港から約40分
【バス】網走バス「白鳥公園入口」下車、徒歩約5分 - 駐車場
- あり(無料)
- 詳細
- 濤沸湖水鳥・湿地センター - 網走市
道の駅 流氷街道網走
濤沸湖から車で約15分、網走川の河口に位置するのが「道の駅 流氷街道網走」。館内には観光案内所があり、レンタサイクルも利用可能です。季節によっては、「流氷の妖精」と呼ばれるクリオネが展示されていることも。地元産の野菜や海産物のほか、網走のクラフトビール「流氷ドラフト」など人気のお土産を購入できます。
また「道の駅 流氷街道網走」の裏は、流氷観光砕氷船「おーろら」号の発着場になっています。例年2~3月上旬ごろの流氷シーズンに訪れた際は、ぜひ乗船してダイナミックな流氷を体感してください。流氷の状況にもよりますが、およそ1時間のクルーズで、オホーツク海を埋め尽くす流氷を見学できます。
ちなみに、流氷シーズン以外も「おーろら」号は停泊しています。撮影スポットとしても人気なので、忘れずにチェックしてみてくださいね。
道の駅 流氷街道網走
- 住所
- 北海道網走市南3条東4-5-1
- 営業時間
- 4月~9月/9:00~18:30
10月~3月/9:00~18:00 - 定休日
- 12月31日、1月1日
- アクセス
- 【車】女満別空港から約30分
【バス】網走バス「網走バスターミナル」下車、徒歩約9分 - 駐車場
- あり(無料)
- 詳細
- 流氷街道網走 オホーツク
【3日目】網走監獄で歴史に思いを馳せ、流氷館へ立ち寄ってから空港へ
旅の最終日は網走市内観光へ。網走に来たら外せない観光スポットである「網走監獄」を訪問しましょう。その後は、季節を問わず流氷が体験できる「オホーツク流氷館」へ立ち寄ってから、女満別空港へ向かいます。
博物館 網走監獄
「博物館 網走監獄」は、かつて実際に網走刑務所で使われていた建物を移築した博物館。網走監獄や北海道開拓の歴史について学べるだけでなく、広い敷地内には8棟もの国の重要文化財があり、建物そのものも見応えがあります。
重要文化財の一つである「旧網走監獄 舎房及び中央見張所」は1912(明治45)年に建設されたもの。中央部分に立つ看守が効率よく全体を見渡せるよう、放射状に広がった舎房(しゃぼう)が見どころです。
展示にはマネキンが多用されているため分かりやすく、子どもでも興味を持って見学できそう。
また、敷地内にはレストラン「監獄食堂」があり、受刑者の食事を模した麦飯や焼き魚などを食べられる「監獄定食」が人気です。食堂は有料エリアの外側にあり、博物館の見学の前後に立ち寄るほか、食事だけの利用もできます。
博物館 網走監獄
- 住所
- 北海道網走市字呼人1-1
- 料金
- 大人1,500円、高校生1,000円、小・中学生750円
- 営業時間
- 9:00~17:00(入館受付16:00)まで
- 定休日
- 12月31日、1月1日
- アクセス
- 【車】女満別空港から約20分
【バス】網走バス「博物館網走監獄」下車すぐ - 駐車場
- あり(無料)
- 公式サイト
- 博物館 網走監獄
オホーツク流氷館
網走付近の海で流氷が見られる時期はその年によって異なりますが、通常は2月初旬から3月上旬ごろまで。わずか1カ月半ほどの限られた期間です。そんなレアな存在の流氷を年間を通じて楽しめるスポットが、「網走監獄」から車ですぐの「オホーツク流氷館」。
真夏でもマイナス15度に保たれた室内では、本物の流氷に触れられます。また、オオカミウオやクリオネなど、オホーツク海に住む希少な生き物も展示。敷地内の「名勝 天都山展望台」からの眺めは必見で、網走の街並みと雄大なオホーツク海、網走湖や濤沸湖などのほか、晴れた日にはオホーツク海の向こうに広がる知床連山まで見渡せます。
オホーツク流氷館
- 住所
- 北海道網走市天都山244-3
- 営業時間
- 5~10月/8:30~18:00(最終入館17:30)
11~4月/9:00~16:30(最終入館16:00)
12月29日~1月5日/10:00~15:00(最終入館14:30) - 定休日
- なし ※不定休あり
- アクセス
- 【車】女満別空港から約20分
【バス】網走バス「天都山流氷館」下車すぐ - 駐車場
- あり(無料)
- 公式サイト
- オホーツク流氷館
網走〜知床エリアの旅行中に食べたい名物グルメ
最後に女満別空港発、網走〜知床までのオホーツクエリアの旅で味わいたい名物グルメをご紹介。新鮮でおいしい魚介類はもちろん、乳製品も豊富な地域です。また、じゃがいもやタマネギなどの農業も盛ん。素材の味をそのまま生かしたグルメが多いので、旬の食材を選んで食べてみてくださいね。
かにめし
網走で外せない名物が「かにめし」です。やさしい醤油味で、地元オホーツク海で取れたカニのフレークが乗ったスタイルが一般的。最もよく知られているのは、網走駅で売られている「モリヤ商店」の駅弁ですが、道の駅や食堂などでも提供されています。また、網走市内のホテルなどでは、朝食のご当地メニューとしてかにめしが食べられることも。
新鮮な魚介類
かにめし以外にも、網走〜知床エリアは新鮮でおいしい海鮮が豊富。知床半島の南側にある羅臼(らうす)漁港も、ホッケやサケ、ウニなどが水揚げされることで知られています。北海道の鯛と呼ばれる白身魚の「ソイ」など、ほかの地域ではあまり流通していない魚もぜひ試してみてください。道東はサケが多くさかのぼってくるエリアでもあるので、イクラもおすすめですよ。
ソフトクリーム
北海道旅行に来たらおいしい乳製品は欠かせません。土地の広さを生かした大規模な酪農が盛んな道東・オホーツクエリアは、北海道内でも特に乳製品がおいしい地域です。長いドライブの途中、ソフトクリームでひと休みするのもおすすめ。写真は「オホーツク流氷館」で購入できる「流氷ソフトクリーム」(400円)。オホーツク海の塩を使った塩キャラメル味で、大人から子どもまで大人です。
じゃがいも
じゃがいもの生産量が全国1位の北海道。中でもオホーツクエリアは、広大なじゃがいも畑が広がる一大産地です。旬の時期は品種や地域によって異なりますが、「男爵」や「メークイン」は夏頃、「きたあかり」は少し遅めの9月以降に収穫されることが多いようです。
シンプルなじゃがバターや揚げいものほか、ほんのり甘い郷土料理の「いももち」などを味わってみてください。
女満別空港発、2泊3日の旅を楽しもう!
網走監獄やオホーツク流氷館などの定番観光地から、知床のダイナミックな自然まで堪能できる女満別空港発2泊3日旅のモデルコース。美しい緑と涼しさを求めて夏に訪れるのはもちろん、流氷観光や毛ガニ・牡蠣など冬ならではの楽しみもあり、季節ごとの魅力があります。
北海道の中でも特に車で旅をする人が多いエリアのため、夏休みや冬休み、大型連休などにレンタカーの空きがない…という可能性も。旅行の予定が決まったら、航空券やホテルとともにレンタカーも早めに予約をして、思う存分ドライブ旅を楽しんでください!
取材・撮影・文/羽田さえ