香川県の西部、丸亀市の中心部に位置している標高66mの亀山。その上に築かれたのが日本100名城・現存木造天守12城のひとつがある国指定史跡の「丸亀城」です。日本一小さな天守を持つ城で、美しい石垣が多く残されていることから「石の城」「石垣の名城」とも呼ばれています。本記事では、そんな「丸亀城」の天守や、石垣に見られる様々な石積みの技術、城内で手に入る「御城印」や伝統工芸品の「丸亀うちわ」などをご紹介します。
目次
「丸亀城」ってどんなところ?
「丸亀城」が造られたのは、1597年のこと。讃岐国の領主であった生駒親正(いこまちかまさ)とその子どもの生駒一正(いこまかずまさ)によって丸亀市の亀山に築城されました。1615年には幕府による「一国一城令」が出され廃城となりましたが、讃岐国が二つに分けられた後に、西讃岐国の領主となった山﨑家治(やまざきいえはる)により再築されました。
石垣の名城として知られる「丸亀城」ですが、その石垣が築かれたのは山﨑氏の時代とされています。城内には「打ち込みハギ」や「切り込みハギ」、「野面(のづら)積み」と様々な積み方によって築かれた石垣が残されていて、「石の城」とも呼ばれています。
「丸亀城」は現在では市のシンボル的な存在として、地元の人や観光客が訪れるスポットとなっています。現存している天守は1660年に完成したもので、1943年には国の重要文化財に指定されました。
それぞれの見どころについてご紹介していきます。
城内の見どころ「大手門」「見返り坂」「天守」
内堀北側中央部に位置している「大手一の門・二の門」。お城の正面の入り口であり、ちょうど天守も見えているので、最初に訪れるのがおすすめです。内側にあたる「一の門」は、楼上に太鼓を置いて城下に時刻を知らせていたそうで、「太鼓門」とも呼ばれています。天守に加え、この「大手一の門・二の門」も国の重要文化財に指定されています。
大手門から天守のある本丸へと向かう坂道は「見返り坂」と呼ばれ、城内でも見逃せないスポットのひとつです。坂道は緑に囲まれており、歩くだけで爽快。かなり急勾配なため、足元にご注意ください。
坂を上った場所にある三の丸北側では、「丸亀城」の中で最も高い石垣が見られます。20m以上に積み上げられた石垣が続いている様子は美しく、見応え抜群。また、「丸亀城」は多くの文化人と所縁があり、この場所には愛媛県出身の俳人である高浜虚子(たかはまきょし)が城を訪れた際に詠んだとされる句碑も建てられています。
さらに上に向かうと「三の丸」にたどり着きます。ここまで上がると眺望が広がり、近くには丸亀市内や「讃岐富士」と呼ばれる飯野山を、遠くには瀬戸内海まで見渡せます。
城内の最上部に位置しているのが「本丸」です。本丸には隅櫓(すみやぐら)・渡り櫓(わたりやぐら)や土塀が造られていましたが、現在は天守のみ残されています。3層3階の木造天守は高さが約15mあり、唐破風(からはふ)や千鳥破風(ちどりはふ)などの装飾が施されています。
天守の中にも入ってみましょう。入場料は大人200円、小人100円です。四国には4つの現存天守がありますが、「丸亀城」の天守はその中でも最も古い1660年に造られたもの。「丸亀城」の資料や山﨑家の家紋が付けられた鬼瓦などが展示されている一階部分から、町を一望できる最上階へ上ると、美しい丸亀の風景を楽しめます。
桜並木やライトアップ、季節の見どころも
城内には季節ごとに多くの見どころがあります。そのうちのひとつがライトアップです。期間限定で、「世界自閉症啓発デー」や「環境の日」などの普及啓発を目的とし、夜間に天守が青や緑などの様々な色のライトで彩られます。
さらに城内にはソメイヨシノを主として、約650本の桜が植えられています。例年4月上旬には本丸や二の丸などがピンクに染まり、お花見の季節には多くの人でにぎわいます。
御城印や丸亀うちわなどのグッズもチェック
城内の散策を楽しむだけではなく、関連グッズも必見です。天守内で販売されている「御城印」は、訪問を記念して購入することがおすすめ。1658年に丸亀藩主となった京極高和(きょうごくたかかず)の家紋である「平四つ目結」がデザインされています。
他にも、お土産ショップを兼ねた「丸亀城内観光案内所」には、うちわ工房「竹」が併設されているので、訪問の際には立ち寄ってみましょう。丸亀市は国内のうちわの約9割を生産している一大産地で、「丸亀うちわ」は国の伝統工芸品に指定されています。ここでは、うちわの販売や製造実演に加えて、うちわ作り体験に参加することも可能です。
うちわ工房「竹」
- 開城時間
- 10:00〜16:30
- 定休日
- 年中無休
- 住所
- 香川県丸亀市一番丁丸亀城内
- アクセス
- 【車】「高松空港」から約1時間15分
丸亀の魅力が詰まった「丸亀城」を満喫しよう
国内屈指の美しい石垣を持ち、丸亀市のシンボル的な存在として知られている「丸亀城」。四国で最も古い現存天守はもちろん、ライトアップやお花見など、季節限定の見どころも満載です。また、伝統工芸品の「丸亀うちわ」に触れられる貴重な場所でもあります。「丸亀城」に訪れ、丸亀の魅力を存分に味わってみてはいかがでしょうか。
丸亀城
- 開城時間
- 9:00〜16:30(天守・丸亀城内観光案内所)、9:00〜16:00(大手一の門)
- 定休日
- 年中無休
- 住所
- 香川県丸亀市一番丁
- 入城料
- 無料
※天守のみ200円、小人は100円 - アクセス
- 【車】「高松空港」から約1時間15分
- 駐車場
- あり(約50台・無料)
取材・撮影・文/岡本大樹
関連記事