鎌倉観光でぜひ訪れたいのが「高徳院 鎌倉大仏」。750年以上前から鎌倉の地に鎮座し、仏像として鎌倉で唯一の国宝に指定されています。そこで今回は、鎌倉大仏の見どころや周辺スポット、ランチにおすすめのお店などをご紹介します。
「高徳院 鎌倉大仏」へのアクセス
「高徳院 鎌倉大仏」があるのは、神奈川県鎌倉市長谷(はせ)。JR横須賀線「鎌倉」駅または、JR東海道線/小田急線「藤沢」駅を経由し、江ノ島電鉄に乗り「長谷」駅下車。駅から徒歩約7分の場所にあります。
バスの場合は、鎌倉駅東口バス乗り場1番から江ノ島電鉄バス、バス乗り場6番から京浜急行バスに乗り、「大仏前」停留所で下車すると「高徳院」の入り口に到着します。境内に駐車場はないので、公共交通機関を利用して訪れるのがおすすめです。
高徳院は、法然上人(1133〜1212年)を開祖とする浄土宗の仏教寺院です。善悪、男女、年齢、身分などの別なく、万人の救済を本願とされる西方極楽浄土の教主、阿弥陀如来に帰依されました。
高徳院を訪れると、始めに立派な仁王像が目に入ります。こちらの仁王像は仁王門と一緒に18世紀に別の場所から移築されてきたといわれています。
外から大仏さまを観られないので、券売所で拝観料を支払って境内に入ります。拝観料は一般・中高生300円、小学生150円(未就学児は無料)。後ほど紹介する大仏胎内の拝観料は別途50円必要となります。
開門時間は4月〜9月は8:00〜17:30、10月〜3月は8:00〜17:00。入場は閉門15分前まで、胎内拝観は16:30までなので、時間に余裕を持って訪れましょう。大仏胎内の拝観も含めて、所要時間は30分程です。
手水舎で身を清めて、大仏さまのもとへ向かいましょう。
約13メートルの大迫力! 国宝・鎌倉大仏
鎌倉大仏は、武家政権と民衆の安寧を願って作られた金銅の鋳造仏です。造立が開始されたのは1252年。作者は不明ですが、「慶派」(運慶とそれに連なる仏師達)の作風と宋代中国の仏師達からの影響の双方を合わせ持つ、いかにも鎌倉期らしい仏像といわれています。やさしいほほえみと、鎌倉の豊かな自然に溶け込んだ姿が印象的です。
重量は約121トン。高さ(座長)は11.31メートル、台座も含めると13.35メートルもあるので、近づくとその迫力に驚くと思います。奈良の大仏と並び、日本三大大仏の1つに数えられています。奈良や京都の仏像の多くは国宝に指定されていますが、鎌倉では唯一の国宝に指定された仏像です。
それでは、大仏さまをじっくりと見ていきましょう。手の組み方は、最も格式が高い「上品上生印(じょうぼんじょうしょういん)」を結んでおり、深い瞑想に入っている様子を表しています。
大仏さまには、常人と異なる「三十二相八十種好(さんじゅうにそうはちじっしゅごう)」という仏の姿の32の特徴があるといわれています。紺青色とされる目や眉間の白毫(右巻きの白い毛のかたまり)もその1つ。白毫からは人々を照らす光が発せられるといわれています。髪型の「螺髪(らほつ)」は、悟りを開き高い知恵を有していることの象徴とされています。
大仏さまの前には蓮の香炉があり、線香は一束100円で購入できます。
大仏さまの背後にも注目
背後に回ると、大仏さまの背中に2つの窓のようなものがあります。こちらは鋳造の際に中の土や型を取り出すために作られたそうです。胎内拝観の際に光を取り入れる役割も担っています。
下には4枚の「蓮弁(れんべん)」が並んでいます。蓮弁とは蓮の花弁を形にしてもので、仏様の装飾に用いられるもの。江戸時代中期に台座の修復をした際、本来32枚鋳造される予定でしたが、4枚のみの完成となったそうです。
大仏さまの周囲には56個の平べったい大きな石があります。拝観客がベンチとしても利用していますが、実はかつての大仏殿の礎石。14世紀頃の災害で倒壊するまで大仏さまを守っていた大仏殿の土台です。大きさはそれぞれ異なりますが、直径2〜3メートル程あります。
大仏さまの胎内へ
大仏像の中は空洞なので、拝観料50円を納めると胎内に入ることができます。
大仏像は鋳造法という方法で作られており、121トン もの銅を少しずつ溶かしては固めるという作業をしています。内壁の格子模様からは、約40回にも分けて鋳上げられた様子をうかがうことができ、分けた個所は「鋳繰り(いからくり)」という技法を使って強固にしているのだそう。胎内から改めて鑑賞すると、当時の高度な技術に驚かされるでしょう。
巨大なわらじ「奉納大原草履」
休憩所には、「大仏さまに日本中を行脚し、万民を幸せにしていただきたい 」という願いが込められた、長さ約1.8メートル、重さ約45キログラムの大わらじが展示されています。茨城県常陸太田市の子供会が制作したもので、3年に1度奉納されています。
「観月堂」
15世紀中頃、漢陽(現ソウル)の朝鮮王宮内に建築されたと伝えられる建物。江戸後期の作品とみられる観音菩薩立像が安置されています。
「与謝野晶子」の歌碑
境内には石碑や歌碑などが点在しています。こちらの歌碑には、女流歌人与謝野晶子が、大仏を見て詠んだ短歌「かまくらやみほとけなれど釈迦牟尼は美男におはす夏木立かな」が刻まれています。
御朱印やおみくじ
御朱印は、ご朱印所でもらうことができます。拝観終了よりも受付時間が早く閉まるので、注意が必要です。朱印帳への記帳と、印刷紙朱印の授与から選ぶことができ、記帳の場合は、御朱印の授与まで20分程時間が必要なので、訪れたらまずはご朱印所に向かうのがおすすめです。
秋には季節限定の特別御朱印の頒布もあります。毎年デザインが変わるので、楽しみにしている方も多いのだそう。直営売店では、大仏さまのイラストが描かれた御朱印帳の販売もありました。
大仏さまの形をした招福ストラップや、大仏さまの御影像が封入された心願成就のお守りもあります。
家族へのお土産にもおすすめなのが大小2膳入の長寿箸。ご利益は延命長寿です。
イラストで大仏さまが描かれたポストカードもあったので、旅の思い出に購入するのも良いですね。
参拝前後のランチや休憩におすすめの立ち寄りスポット
高徳院や長谷駅周辺には、ランチや休憩に訪れることのできるレストランやカフェも多くあるので、参拝前後に訪れてみてはいかがでしょうか。
鎌倉土鍋ごはん「Kaedena」
素材にこだわった土鍋ごはんを味わえると、クチコミ評価の高いお店が、鎌倉土鍋ごはん「Kaedena」です。西の米処といわれている丹波篠山(たんばささやま)産コシヒカリを使い、土鍋で炊いたごはんに具材を乗せ、日替わりの3種副菜と赤出汁の味噌汁をあわせた定食セットをいただけます。
土鍋ごはんのメニューは、旬の食材を乗せたメニューも含むと約10種類ほどあり、どれもおいしそうで悩んでしまいます。今回は鮭といくらの土鍋ごはんを注文。炊きたての米の上に、ゴロッと肉厚の鮭といくらが乗っています。ごはんを炊くときに昆布でとった出汁で炊いているため、ごはんに艶が出てふっくらと仕上がり、具材との相性も良くなるのだそう。
営業時間は11時から、なくなり次第終了なので早めに訪れるのがおすすめです。
鎌倉土鍋ごはんkaedena.
- 住所
- 神奈川県鎌倉市長谷3-8-13 2F
- 電話
- 0467-25-3770
- 営業時間
- 11:00〜なくなり次第終了、不定休
- 公式サイト
- 鎌倉土鍋ごはんkaedena.
KANNON COFFEE kamakura
参拝前後の休憩におすすめなのが「KANNON COFFEE kamakura」。おいしいコーヒーとお菓子を提供する、地元の人に愛されるコーヒースタンドです。神奈川、東京、愛知に7店舗ありますが、鎌倉店限定で大仏ビスケットが乗った商品を販売しています。
大仏さまのビスケットはシナモン味。やさしくほほえむ様子に癒やされます。クレープは季節に合わせて2種類の味わいが登場。今回味わった「和梨と鳴門金時のモンブランクレープ」は、最後までたっぷりと和梨のコンポートが入っていて、食べごたえも抜群でした。
大仏ビスケットやコーヒー豆なども販売しているので、お土産に買うことも可能です。
KANNON COFFEE kamakura
- 住所
- 神奈川県鎌倉市長谷3-10-29
- 電話
- 0467-84-7898
- 営業時間
- 10:00〜18:00、無休
- 公式サイト
- KANNON COFFEE kamakura
きんつば専門店 鎌倉いとこ
小腹が空いたときやお土産に買いたいのが「きんつば専門店 鎌倉いとこ」のきんつばです。小麦粉と米粉でもちもちの餡を包んだ和菓子ですが、同店ではスチーマーで蒸しあげて固めているため、一般的なものよりも、もちもちとした食感を楽しめます。
店頭できんつばを作っている様子を眺められます。王道から変わり種まで様々な味があり、1個から購入可能なので、気になる味を試してみてはいかがでしょうか。
きんつば専門店 鎌倉いとこ 長谷本店
- 住所
- 神奈川県鎌倉市長谷3-10-22
- 電話
- 0467-24-6382
- 営業時間
- 10:30〜17:30 ※売り切れ次第終了、不定休
- 公式サイト
- きんつば専門店 鎌倉いとこ
由比ヶ浜
「長谷」駅から鎌倉大仏とは反対方向、海の方へ向かって歩いていくと「由比ヶ浜(ゆいがはま)」があります。夏には多くの海水浴客が訪れますが、それ以外の季節でも砂浜に降りて散歩をする人の姿も。大仏と山の風景を楽しんだら、少し足を延ばして海沿いを散歩するのもおすすめです。
「高徳院 鎌倉大仏」は、周囲が山に囲まれているため、春は桜、秋には紅葉やイチョウなどが色づき、季節によって異なる風景を楽しめます。鎌倉観光の定番ともいえる大仏さま、鎌倉駅周辺や江ノ電沿線の観光と合わせて訪れてみてはいかがでしょうか。
取材・写真・文/加藤あやな
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