見て、食べて、癒やされて!家族で高知を遊び尽くす老舗旅館「城西館」の1泊2日のワクワク旅

坂本龍馬をはじめ幕末の志士が生まれ育ち、NHKの連続テレビ小説『らんまん』のモデルとなった牧野富太郎博士のゆかりの地である高知。また、ここは豊富な海の幸や、東西に長い地形と気候に恵まれた土地で育まれた新鮮な野菜や果物など、食通もうなるグルメの街。食と文化の宝庫・高知には、食べて遊んで、家族で楽しめる観光スポットがギュッと詰まっています。

この街で2024年に創業150年を迎えるという高知を代表する老舗旅館が今回訪れた「城西館(じょうせいかん)」。圧倒的なクチコミ高評価を誇る、老舗旅館の伝統的なおもてなしと地産地消の食を堪能する、家族で高知を遊び尽くす1泊2日の旅のはじまりです。

城西館へのアクセス

城西館

現在運行している路線で日本最古の歴史を誇るという路面電車に乗って「上町1丁目」電停で下車。目の前に城西館があります。JR「高知」駅からはタクシーで約7分。高知空港からは空港バスで「はりまや橋」で下車。路面電車に乗り換えて「上町1丁目」電停下車かタクシーで約5分です。

 

城西館

到着したらフロントでチェックイン。係の方が丁寧に館内の説明をしながら、お部屋まで案内をしてくれます。

 

窓から龍馬の歩いた街を一望!広々とした和室でくつろぐ

城西館

今回宿泊するのは、「千寿」7Fにある和室10畳のお部屋。5名まで宿泊ができるという広々とした部屋は、三世代で宿泊してもゆったりと快適。

窓からは、龍馬が乙女姉さんと泳いだという鏡川や、龍馬が散策したという高知の街並みが一望できます。

 

城西館

大きな窓から日差しがたっぷりと入る明るい部屋で、用意されていたお茶をいただきながらひと休み。城西館オリジナル菓子「銀不老かりんとう」のほんのりとした甘味が疲れを癒してくれました。

 

城西館

予約の際にゆかたのサイズを伝えておけば、自分にピッタリサイズの浴衣が用意されています。食事やお風呂など、館内の移動はすべてこの浴衣を着て移動できます。

 

城西館

お部屋はバスタブとシンク付き。必要なアメニティがそろえられています。

 

仕事がはかどる和モダンなワーケーションルームも

城西館

2019年にリニューアルした本館「天誠」には、コロナ禍で登場した「和モダンスーペリアツイン」のワーケーションルームも。和の落ち着いた雰囲気と、仕事に集中しやすい使い勝手の良さが人気です。

 

城西館

仕事のしやすさにこだわった大きなデスクとPCディスプレイを完備。特にビジネスチェアは人間工学に基づいて設計されたビジネスマンの憧れ「ハーマンミラー」のチェアが用意されています。

 

家族の記念日には三世代でバリアフリーの和室に宿泊

城西館

「天誠」には、74平米の広々とした「バリアフリー特別室」があります。エントランスはもちろん、お風呂やトイレまで、細部にわたって車いすでも使える工夫が設えられた造り。

6名まで宿泊可能なので、家族三世代のお祝いごとなどにも最適なお部屋です。

 

すぐそばは龍馬が生まれた地。高知の偉人の史跡を散策

城西館

夕食までの時間は、龍馬の歩いた街を散策。宿を出て東へほんの数分歩けば、坂本龍馬誕生地の記念碑があります。

高知城下の地図を見れば、板垣退助、武市半平太、後藤象二郎など幕末の志士の生誕地があり、歴史好きなら大興奮間違いなし。

 

城西館

宿の裏側には「龍馬の生まれたまち記念館」があります。坂本龍馬が育った高知の街やその家族を紹介したり、映像で龍馬の時代を体感できたり、貴重な資料が常設されているスポット。家族で楽しみながら龍馬とその歴史を学べます。

 

龍馬の生まれたまち記念館

開館時間
8:00~19:00
休館日
無休
入館料
大人300円、高校生以下無料
公式サイト
龍馬の生まれたまち記念館

 

地元民が作るツアーで高知を10倍楽しもう!

城西館では「高知が10倍楽しくなる旅」と題し、ガイドブックに載っていないようなオリジナルの体験型オプショナルツアーがたくさんあります。地元の宝である観光資源を活かした「地元民が作るツアー」は、ほかでは見たこともないような個性的なツアーが30以上も!

 

城西館

例えば、自然あふれる土佐湾に面した上ノ加工漁港の現役漁師さんの指導で釣りや籠網漁をする「漁師体験」。季節ごとに変わる漁を体験したり、家族で漁師さんから海の知識を学んだりすれば、もっと魚が好きになります。(4時間コース/大人9,900円、小学生7,150円、子ども1,100円) 

 

城西館

「龍馬の生まれたまちで夕暮れさんぽ」は、城西館のスタッフの解説を聞きながら龍馬の史跡を巡ってお散歩。高知の街や龍馬のことをもっと深く知ることができます。(40分コース550円 ※5日前までに予約)

 

城西館

高知の有名な観光スポット・仁淀川(によどがわ)。仁淀ブルーと呼ばれる美しい川の最もきれいな安居渓谷(やすいけいこく)から水が流れ込むところで「クリスタルカヤック体験」。透けるカヤックに乗って仁淀ブルーの美しさを家族で楽しんで!(小学生以上6,500円 ※8/11~16は7,000円、前日の15時までに要予約)

そのほかにもたくさんのツアーが目白押し。旅に出かける前に予約をしておくと、もっと城西館での滞在が充実したものになります。

 

地元の素材にこだわった夕食で高知を食べ尽くす

城西館

毎日17:50から始まる城西館名物の藁焼き実演を見るために2階の「藁焼きたたき工房」へ。ここではカツオマイスターの資格を持つ料理人が焼くというこだわりの「藁焼き」を目の前で見ることができます。

その日上がった一番新鮮なカツオを高知県産の藁を使って豪快に焼き上げる炎の迫力に圧倒!

 

城西館

「藁焼きたたき工房」でも焼き上げられたカツオのたたきが夕食に。このボリュームでスタンダードプランの夕食だというから驚きます!

中央の大きなお皿は高知名物の皿鉢(さわち)料理。女性も一緒にお酒が飲めるように大きなお皿に料理を盛り付けて提供するという土佐の伝統的なスタイルです。「本物の高知の味を食べて帰ってほしい」という宿の理念から、食材は料理長自らが生産者のもとへ出向き、いいと思ったものだけを仕入れ、その素材の味を最大限に引き出したというこだわりの逸品ばかり。和食も洋食も楽しみながら、1品ずつゆっくりと提供されます。

最後にお腹がいっぱいになったら、釜めしをおにぎりにしてもらって夜食に!

 

城西館

肉厚でほどよく脂がのり、弾力がある藁焼きカツオのたたきの味は、今まで食べたカツオのタタキが何だったのか……と思うほどの感動的な味! あまりのおいしさにお箸が止まりません。

その日獲れたばかりの厳選された魚を選んだお造りはどれも味がしっかりと濃く、跳ね返すような弾力のある新鮮なもの。(写真は2人前)

 

城西館

もうひとつの城西館の名物が「黒毛和牛の芋ケンピすき焼き」。黒毛和牛のすき焼きに火をつけ、途中で芋けんぴをのせ、温泉卵につけていただきます。芋けんぴと牛すき焼きの意外な組み合わせにトマトの酸味が加わって、何度もリピートしたくなるクセになる味です。

 

高知城を望む展望露天風呂!城を照らす驚きの装置も

最上階にあるのが展望大浴場「いごっそうの湯(男湯)」と「はちきんの湯(女湯)」。どちらも、展望露天風呂と内風呂、サウナ―にもうれしい広々としたサウナと冷水風呂を完備しています。朝と夜で男湯、女湯の入れ替え制。どちらのお湯も楽しめます。(入浴時間:12:00~24:00 ※火曜のみ15:00~/6:00~9:00)

 

「いごっそうの湯」は木の風合いを感じる東屋風の露天風呂。龍馬の泳いだ鏡川や四国山脈を見ながら、ゆったりとお湯につかれば旅の疲れが癒されていきます。

 

「はちきんの湯」の露天風呂にはジャグジーを設置。夜になるとライトアップされ、幻想的な雰囲気に。

 

城西館

ゆっくりお風呂につかった後は最上階の湯上がり茶屋「城見櫓」で休憩。ゆず茶やマッサージチェア、高知に関する本も置いてあるので、ライトアップした高知城を見ながらゆっくり過ごせます。

 

城西館

宿から見えるライトアップされた高知城。実はこれ、宿に設置されたライトを自分自身で操作して明るく照らすことができるのです。あんなに離れたところまで灯りが届くのはとても不思議。でもライトアップしているのが自分かと思うとちょっぴり優越感に浸れます。

 

旅行ガイドでも高評価!種類豊富な朝食バイキング

城西館

ふかふかの布団でたっぷり睡眠をとったら、朝は早起きをして評判の朝食ブッフェへ。土佐の名産を自分で盛り付ける「土佐丼」やライブキッチンで焼いてもらえる「オムレツ」など、和洋折衷、好きな料理を好きなだけ食べられるのが城西館の朝食の醍醐味。

 

城西館

広い朝食会場の1/3スペースに所狭しと高知の名産や野菜、果物、パン、ドリンクが並び、食べる前からワクワク気分が盛り上がります。

 

城西館
城西館

ライブキッチンで焼く出来立ての「出汁巻玉子」は大人気。洋食なら、アツアツの「フレンチトースト」や「オムレツ」を好きなフレーバーでリクエストできます。

 

城西館

高知は野菜やフルーツもおいしい土地。旬の野菜や果物もたっぷり用意されています。

 

城西館

牛乳やオレンジジュースと並ぶ、紙パックに入ったドリンクは「リープル」という高知のご当地ドリンク。濃い乳酸菌飲料といった味わいで朝やおやつ、お風呂上がりに飲みたくなる味。ぜひ一度お試しを!

 

城西館

こちらも高知のご当地パン「ぼうしパン」。高知市のパン屋さんから生まれ、帽子のつばにあたる部分はサクッとした甘いカステラ生地。軽い食感とほんのりした甘さはいくつでも食べられそうなおいしさ。

 

城西館

ちくわのきゅうり巻き「ちくきゅう」も高知のご当地グルメ。高知のちくわは皮が薄くきゅうりが丸ごと1本入るほど穴が大きいんです。切って並べると迫力満点!

 

城西館

しらすやちくきゅう、旬のたけのこやオリジナルの生姜佃煮など、お椀にごはんをのせたら、高知のおいしいものを好きなだけ盛り付ければ、自分だけの「土佐丼」の完成! でも欲張って乗せすぎると食べきれないので、ごはん少な目、おかず多めがコツ。

 

高知の名産品が集まる売店で旅の思い出をお土産に

城西館

朝食の帰りに旅の思い出を買いに、フロントの横にある売店へ。高知県内の名産品や城西館オリジナル商品などがたくさん並んでいます。旅行者には珍しいものが多いので、見るだけでも楽しい!

 

城西館

人気のお土産のひとつが、お部屋のお茶うけでもいただいた「銀不老かりんとう」(388円)。高知県大豊町でしか栽培されず、年間生産量800kgという非常に希少な幻の「銀不老豆」を守るために城西館が考案したというお菓子だそう。JALのファーストクラスにも採用されています。右は沢渡茶かりんとう(388円)、天日塩おかき(432円)。

 

城西館

こちらは女性にも人気の「グローカルバウム」(194円)。天日塩キャラメル、柚子、西山きんとき芋など、高知のご当地食材とコラボをした商品。ひとくちサイズが食べやすくて、職場やお友達みんなに配ったらきっと喜ばれます。

 

生産者と食を盛り上げ、地域文化を通して高知の魅力を発信

城西館

この日は木曜日。チェックアウトをしたら荷物をあずけて15分ほど歩いたところにある、毎週木曜日に立つ「木曜市」へ。

屋台には地元の農家さんが持ち寄る新鮮な野菜や山菜、フルーツ、手作りのお餅がずらりと並んでいます。農家の方に「これは何ですか?」と聞くと、まるで昔なじみのように話が弾んで止まりません。高知県民の底抜けに明るい人柄と珍しい食材に出合えます。高知城の追手門から延びる追手筋では「日曜市」も開催されています。

 

「生産者の想いを『持って為す』=おもてなし」がモットーだという城西館。コロナ禍で観光客が途絶えた時には、スタッフが県内の農家や漁港をくまなく訪ねて回り、新たな食材探しをしたそうです。この宿には地元の生産者と一緒に高知の食材を盛り上げ、地域の文化を通してお客様に高知のことをもっと知ってもらいたいという想いがあふれていました。1泊2日の短い旅の間にもスタッフのお話や心のこもったおもてなし、そして地元産の食材を使ったお料理すべてに、みなさんの熱い高知愛があふれ、旅の終わりにはすっかり高知の大ファンに!

底抜けに明るい高知県民の人柄と、味にうるさい高知人が選んだここでしか食べられない究極の味を求めて、リピーターが多いというのも納得。一度ここへ来たら、次の旅も高知の尽きることのない「うまいもの」を探しに、ここへ戻って来ようと思うはずです。

 

城西館(じょうせいかん)

住所
高知県高知市上町2-5-34
チェックイン
15:00(最終24:00)
チェックアウト
10:00
総部屋数
61室
駐車場
あり(1泊・車880円、バイク550円)
アクセス
【電車】路面電車「上町1丁目」電停目の前。JR「高知」駅よりお車で約7分
【車】高知自動車道「高知」ICより約20分

 

 

取材・文/山本美和 撮影/田辺エリ

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