正面には青々とした海が一面に広がり、背には若草色と緑青色の山々が控える静岡県伊東市。県内随一の温泉湧出量を誇り、多くの文人墨客が訪れた歴史があるほか、近海で水揚げされたキンメダイやアジなど、新鮮な海の幸を楽しみに訪れる人も多いです。
伊豆半島東部に位置し、新幹線を利用すれば東京・名古屋から2時間以内とアクセスも抜群。温暖な気候にも恵まれ、1泊すれば海と山の両方を満喫するだけでなく、美食と温泉も堪能できます。
1日目<10:00>オレンジ屋根の伊東駅からスタート
旅のはじまりは、伊東温泉の最寄り駅でもある伊東駅から。改札を出ると、すぐに温泉街らしい看板が目に入り、ヤシの木が南国の雰囲気を漂わせています。
伊東駅にはお土産屋さんと観光案内所がありますので、まずはそこで情報収集。パンフレットが並んでいるほか、スタッフさんもいるのでイベントなども聞けます。また伊東市内を巡る東海バスの案内所も併設しており、乗り放題のフリーパスなどを販売しています。
伊東市観光案内所の基本情報
- 住所
- 静岡県伊東市湯川3-12-1(伊東駅)
- 時間
- 9:00~17:00
- 電話番号
- 0557-37-6105
伊東駅を出たら、そのまま商店街の湯の花通り、キネマ通りをぶらぶらしながら東海館へ。徒歩約10分の道すがら、両側には干物や温泉まんじゅう、椿油などが販売されていますので、お土産候補を探してみて。
また湯の花通りでは、七福神にお湯をかけることで願いが叶うという「お湯かけ七福神めぐり」ができます。かわいいデザインなのでお気に入りの七福神と一緒に2ショットを撮ってみるのも旅の良い思い出になるはず。
<10:15>「東海館」で日本の伝統美にうっとり
細い路地に入ると、まるでタイムスリップしたような重厚な建物が見えてきます。昭和3(1928)年に温泉宿として開業した「東海館」は、伊東のなかでも一、二を争う歴史があり、当時の温泉街の様子がうかがえる貴重な場所として、市の有形文化財に指定されています。
建物内部は見学ができ、写真撮影も可能。1~3階が当時の客室で、各階を3名の棟梁がそれぞれ担い、お互いが競い合うことで技巧が存分に発揮された内装は、階段を上がるごとに異なる趣向を発見できる醍醐味を味わえます。特に創業者が元材木商という経歴の持ち主なので、建物には希少な木材や変木がふんだんに使われているのも見どころです。
その後、新たに望楼も建設され、現在も伊東の町並みを一望できます。時間によっては無料の館内案内ツアー(所要約40分。時間は日によって異なる)に参加でき、らんまなど細かな装飾にも職人のこだわりが宿っていることが知れて、改めてその建築美に惚れ惚れするはず。
1階は喫茶室になっていて、建物目の前を流れる松川など涼しげな風景と共に抹茶やあんみつをいただけ、ほっこり気分に。喫茶室のみの利用も可能です。
2021年6月1日から9月30日まで、伊東温泉では浴衣で旅をすると特典が受けられる「ゆかたび」を実施。東海館では浴衣のレンタルができ、250着以上の浴衣から好きな柄を選べるほか、かごバッグや下駄など小物類も借りられます(要予約)。
※「ゆかたび」の詳細はこちら(PDF)
東海館の基本情報
- 住所
- 静岡県伊東市東松原町12-10
- 時間
- 9:00~21:00 最終受付20:00
※コロナウィルス感染拡大防止のため、開館時間が異なる場合があります。詳細は直接お問い合わせください - 定休日
- 第3火曜日(祝祭日の場合は翌日)、1月1日
- 電話番号
- 0557-36-2004
- アクセス
- JR伊東駅から徒歩約7分
- 駐車場
- なし
- 入館料
- 大人200円、小人100円
- 公式・関連サイト
- 東海館
<11:30>ランチは「まるたか」の超ローカル定食に決まり!
伊東に訪れたなら、新鮮な海の幸はぜひとも食べたいもの!東海館から湯の花通りに戻り、まるで漁師小屋のような雰囲気をまとった「まるたか」へ。看板メニューでもある、うずわめしの旗が目印です。
うずわは、ソウダガツオの別名で、鮮度が落ちやすいため、市場にも出回らず、漁師さんの間でのみ食されていました。しかし、こちらでは伊東周辺で捕れたうずわを直接仕入れることで、通年、定食として提供が可能に。うずわ定食(1,280円)を求めに伊東駅で途中下車する人がいるほど、一度食べたら、ヤミツキになるのだとか。
うずわ定食を頼むと、まず案内されるのがその食べ方。実は3通りあり、最初はお刺身のようにうずわ本来の味を堪能。次はご飯と一緒、最後にダシ汁をたっぷり掛けてお茶漬けとしていただきます。
うずわには青唐辛子が加えられ、一口食べるごとにピリッとした辛味、そして時間を追って、濃厚なうずわの味が広がります。さらにご飯と一緒に食べることで、うずわの旨みが増し、熱いダシ汁によって食感も凝縮したお茶漬けはフィナーレにふさわしい一品です。
まるたかの基本情報
- 住所
- 静岡県伊東市湯川1-16-6
- 時間
- 11:00~15:00(LO.14:30)、17:00~23:00(LO.22:00 ドリンクは22:30)
※コロナウィルス感染拡大防止のため、営業時間が異なる場合があります。詳細は直接お問い合わせください - 定休日
- 年中無休
- 電話番号
- 0557-38-0105
- アクセス
- JR伊東駅から徒歩約2分
- 駐車場
- なし
- 公式・関連サイト
- まるたか
<12:30>満腹後は「伊東オレンジビーチ」でゆる散歩
お腹も満腹になったところで、潮風に誘われながら歩くこと約10分。温泉街の先には、850mにわたる「伊東オレンジビーチ」が見えてきて、視界いっぱいに広がる大海原に気分もいっそう爽快に。夏には海の家が登場し、海水浴場として一番の賑わいを見せるほか、秋には神輿の海上渡御も開催されます。
遊歩道も整備されていて、伊東オレンジビーチから道の駅の伊東マリンタウンまでは徒歩で約15分。途中、初島や伊東の町並みも望めます。
また、伊東駅からバスで向かうことも可能です(本数は1時間に1本)。その後の行程や宿泊先によっては、フリーパスを購入した方がお得になることもあるので、伊東駅の東海バス案内所で尋ねてみるのもおすすめです。
<13:00>「伊東マリンタウン」で静岡の名産品を物色
水色の屋根に黄色やピンクといったカラフルな建物が並ぶ「伊東マリンタウン」は、ショップやレストラン、日帰り温泉など施設が充実している道の駅です。
20を超すお土産屋さんでは海産物からスイーツ、地ビールなどありとあらゆる伊豆の名産が販売されています。
ひと休みするのにもぴったり。「あさぎり」では、富士山麓の牧場から届く搾りたての牛乳を使ったソフトクリーム(370円)が濃厚と評判。特にこけももは、富士山で採れる高山植物の果実で、さっぱりとした味が特徴です。
もし時間があれば遊覧船にも乗りたいところ(所要時間 約45分)。マリンタウンからは1時間に2便が出航し、どちらも相模灘をぐるりと一周する行程です。カモメに餌やりができたり、潜水艦のように海中を覗いたりと、いろいろな角度から海の景色を楽しめます。また乗り場前には足湯もあるので、海を眺めながらのんびりすることも。海の絶景やグルメなど海三昧で1日目は終了です。
伊東マリンタウンの基本情報
- 住所
- 静岡県伊東市湯川571-19
- 時間
- ショップ 9:00~18:00、レストラン11:00~19:30(店舗により異なる)
※コロナウィルス感染拡大防止のため、営業時間が異なる場合があります。詳細は直接お問い合わせください - 定休日
- 不定休
- 電話番号
- 0557-38-3811
- アクセス
- JR伊東駅、伊東オレンジビーチより徒歩約15分 / JR伊東駅より東海バス「マリンタウン行き」で片道約5分
- 駐車場
- あり
- 公式・関連サイト
- 伊東マリンタウン
2日目<10:30>自然を満喫!伊東駅からバスに乗って山の方へ
2日目は、小室山と絶景を望めるカフェを目指します。伊東駅の1番バスのりばから東海バス「小室山リフト行き」(運賃 大人430円、小人220円)に乗ること、約25分。徐々に坂道を上り始め、車窓が住宅から芝生や木々など緑の自然であふれてきます。バスは1時間に1本で、Pasmo・Suicaなど交通系カードは使えません。2,000円札以上の高額紙幣は両替ができませんので、細かいお金のご準備をお忘れなく。
<11:00>新スポットの「Café・321」では風景とドリンクが必見
終点でバスを降りると、目の前には標高321mの小室山がちょこんと登場。4月下旬から5月上旬は約10万本のつつじが満開を迎え、周辺がピンク色に染まります。毎年ゴールデンウィークには、つつじ祭りも開催。
山頂にある「Café・321」に行く方法は、リフト(片道 大人350円、小人180円)に乗って約5分の遊覧飛行をするか、約20~30分かけて自らの足で登るかの2通り。リフトは往復で購入すると割安になりますが、片道ずつリフトと登山を楽しむという方法も。
小室山の稜線に沿うように築かれたカフェからは間近に広がる海と水平線に溶け込むような青空といった眺望が見られ、壮麗な世界に思わず息がこぼれるほど。そして彼方には伊豆大島、そして富士山の姿も。
カフェの名前は標高321mの小室山にちなんだもの。数字の前の「・」は地図記号の標高点を意味します。アースカラーで地層を模した店内と、外にはウッドデッキがあり、日向ぼっこや風を感じるのにぴったり。
カフェ利用者だけが行ける細く突き出た展望ブリッジは格好のフォトスポットになっていて、週末になると行列ができることも。午後の方が混み合うので、訪れるなら午前中がおすすめです。
メニューは、オリジナルのブレンドコーヒーのほかアップルジュースなどのソフトドリンクがあり、人気なのはチョコレートソースで地層をイメージした地層カフェラテと“MISORA”ヨーグルトフラッペ(ともに600円)。修善寺で製造されている地ビール(800円)や、それに合ったおつまみも販売しています。
Café・321の基本情報
- 住所
- 静岡県伊東市川奈小室山1428
- 時間
- 10:00~16:00(LO.15:30)
- 定休日
- 不定休、天候不良およびリフト点検時の場合
- 電話番号
- 0557-45-1444
- 駐車場
- (小室山の駐車場)
- 公式・関連サイト
- 小室山レストハウス(Café・321)
<11:30>「小室山リッジウォーク“MISORA”」でアウトドア気分に
山頂には一周できるよう遊歩道が整備されています。遮るものが何もない360°のパノラマ景色を見渡せば、伊東の町並みや天城連山、空気が澄んだ日には房総半島まで見通せるのだとか。海と空が一体化した光景を望めることから「MISORA」と名付けられましたが、まさにその通りの場所です。
空を背景に撮れば写真も開放感たっぷりな一枚に。山頂には東海小室つつじ神社が鎮座し、山の中腹には巨大な恐竜がいる迫力満点の恐竜広場やアスレチックも。小室山からは徒歩約30分で坂道を下りながら川奈駅へ。そこから伊豆急行に乗り、伊豆高原へ向かいます。
小室山(小室山リッジウォーク"MISORA")の基本情報
- 住所
- 静岡県伊東市川奈小室山1428
- 時間
- 10:00~16:00(LO.15:30)
- 定休日
- 不定休、天候不良およびリフト点検時の場合
- 電話番号
- 0557-45-1444
- 駐車場
- (小室山の駐車場)
- 公式・関連サイト
- 小室山レストハウス(小室山リッジウォーク"MISORA")
<13:00>ランチは「伊豆高原ビール うまいもん処」でカラフルな漬け丼を!
別荘地やペンションが集まる一大リゾート地として名高い伊豆高原。豊かな自然に恵まれ、美術館や博物館などの施設のほか、陶芸などのクラフト工房も多いです。伊豆高原駅に到着したら徒歩約5分の「伊豆高原ビール うまいもん処」で、山盛りの漁師飯を食べてエネルギーチャージ。駅にはコインロッカーもあるので、身軽になって散策もできます。
漁師の漬けどんぶり(2,500円 お味噌汁付き)は、マグロ、サーモン、イカの3種を料理長の特製タレに漬け込み、ご飯とほぼ同じ分量を均整かつ山盛りにし、仕上げにイクラもかけるという贅沢なメニューです。
スプーンでいただきますが、気分はかき氷をすくっているよう。特製タレはお醤油ベースで、ご飯との相性もばっちり。3つのネタをそれぞれ味わったり、マグロとサーモン、イカとマグロなど違うネタ同士を掛け合わせて味わったりと、1つのメニューで多彩な味わいが楽しめます。
伊豆高原ビール うまいもん処の基本情報
- 住所
- 静岡県伊東市八幡野1180
- 時間
- 11:00~21:00(LO. 20:30)
- 定休日
- 第1・3木曜日(繁忙期は営業)
- 電話番号
- 0557-54-5300
- アクセス
- 伊豆急 伊豆高原駅より徒歩約5分
- 駐車場
- あり
- 公式・関連サイト
- 伊豆高原ビールうまいもん処
<14:30>「伊豆テディベア・ミュージアム」でふわふわの幸せ体験
ランチでお腹いっぱいになったら海に向かって歩くこと約15分。赤レンガ造りの「伊豆テディベア・ミュージアム」は、世界各国から集められたテディベアが展示されています。
テディベアの数は500~600を誇り、形や色もさまざま。ギネスブックにも乗っているテディガールは1904年に製作されたものですが、100年以上の歴史を感じさせない艶やかな毛並みに驚きます。
テディベア・ワンダーランドのエリアでは、どのテディベアも活き活きとした様子で、今にも動き出しそうなほど。ジオラマ展示の横にはそれぞれの名前や性格などが緻密に記載されています。
こちらではワークショップが連日開催され、世界で1つだけのオリジナルテディベアがつくれます(ホームページより事前予約、所要時間は約90分)。好きな色や洋服、おしりに付けるワンポイントを決めていき、完成したら記念撮影も。自分の手で縫製すれば家族の一員のように感じられ、一気に愛着がわくはず。
館内や『となりのトトロ』のキャラクターがいる庭園など、すべてが撮影可能。おとぎ話の国にいるような写真が撮れます。ほかに20種類以上のクッキーが並ぶクッキーショップでは、フィナンシェやスコーンもあり、お土産やギフトに好評です。
伊豆テディベア・ミュージアムの基本情報
- 住所
- 静岡県伊東市八幡野1064-2
- 時間
- 9:30~17:00(最終入館 16:30)
- 定休日
- 第2火曜(2・3・6・12月のみ。祝日の場合は開館)、第2水曜(6月のみ)
- 電話番号
- 0557-54-5001
- アクセス
- 伊豆急 伊豆高原駅より徒歩約9分
- 駐車場
- あり
- 入場料
- 大人1,500円、中高生1,000円、小学生800円(小学生未満・75歳以上は無料)
- 公式・関連サイト
- 伊豆テディベア・ミュージアム
<16:00>城ヶ崎海岸「橋立つり橋」で体感!地球がつくった地形
旅のクライマックスは、やっぱり最後も海を眺めながら。伊豆テディベア・ミュージアムから、歩いて約15分の「橋立つり橋」へ向かいます。対島川(たじまがわ)沿いの遊歩道を進むと、徐々に緑が生い茂る森の中へと入っていきます。
ハイキング気分で海岸線を歩き続けたら視界がひらけ、全長約60mの橋立つり橋が出現。断崖絶壁の両端に架かったつり橋は揺れやすく、スリル満点!橋からは急峻な地形に加え、この旅でずっと傍にいた海の姿も。
時間があれば、そばの奇勝として有名な大淀・小淀も立ち寄りたいところ。柱状節理にできた潮だまりには、新鮮な海水が満たされ、夏にはこの天然のプールで水遊びをする人たちも。大淀・小淀からは橋立つり橋の全貌も確認できます。
※お車でお越しの場合:「橋立つり橋」周辺に駐車場はありません。伊豆高原駅周辺の駐車場を利用してください。伊豆高原駅から吊り橋へは徒歩約15分です。(橋立観光駐車場(無料・10台程度)/リパーク伊豆高原(有料)、他)
<17:00>伊豆高原駅で旅の余韻を
伊豆高原駅ではお土産屋さんやカフェもあるので、電車の時間を確認しつつ、最後にショッピングや旅の思い出を振り返ってみて。
海の蒼さに息を呑み、新鮮な魚介に舌鼓。温泉に浸かれば日々の疲れも癒されて、緩やかな山並みで気持ちも和やかに。海、山、温泉、温暖な気候とあらゆる自然の恵みを享受している伊東を巡れば自然とパワーもみなぎってきそう。せっかく旅をするなら欲張りが一番。伊東には多彩な楽しみが詰まっています。