冬になると盛り上がるのがワカサギ釣り。実は東北には、全国から釣り人が訪れるワカサギ釣りの聖地があります。それが、福島県北塩原村の桧原湖(ひばらこ)。ワカサギ釣りというと、ハードルが高いように感じる人もいるかもしれませんが、桧原湖には初心者でも気軽に楽しめる施設が充実。例年11月初旬~3月下旬ごろまでワカサギ釣りが解禁され、冬のアクティビティスポットとして人気を集めています。
そんな桧原湖でのワカサギ釣りの魅力とともに、周辺の観光スポットや宿情報をご紹介します。
ワカサギ釣りは冬の桧原湖の人気アクティビティ!
福島県会津地方の北部に位置する北塩原村。名峰・磐梯山(ばんだいさん)や『ミシュラン・グリーンガイド』一つ星に認定された五色沼湖沼群(ごしきぬまこしょうぐん)など、雄大な自然を体感できるエリアです。
冬の北塩原観光の目玉といえば、桧原湖でのワカサギ釣り。子どもから大人まで楽しめると好評です。
桧原湖とは?
桧原湖は、大小さまざまな小島が浮かぶ裏磐梯エリア最大の湖。約31kmの湖岸周には散策路やサイクリングコースが整備され、四季折々の景観を満喫できます。春から秋にかけては遊覧船が運航。カヌーやカヤックも楽しめるとあって、年間を通して多くの観光客が訪れます。
東京から桧原湖へは、車で約4時間。公共交通機関を利用する場合は、東京駅から東北新幹線に乗車し、郡山駅で下車。磐越西線に乗り換え、猪苗代駅で下車します。そこから磐梯東都バスを利用し、裏磐梯高原駅で下車。徒歩約3分で桧原湖に到着します。
そんな桧原湖の冬の風物詩といえるのがワカサギ釣り。桧原湖で釣れるワカサギのおいしさや、釣り人向けの施設が充実していることから、ワカサギ釣りの聖地と呼ばれています。
ワカサギ釣りが解禁となる11月上旬から3月下旬にかけての時期には、大勢の釣り人が来訪。湖一帯が早朝からにぎわいます。
服装は?持ち物は?桧原湖ワカサギ釣りのチェックポイント
ワカサギ釣りを体験できる施設の多くは、初心者向けの釣りプランを用意。釣り竿やエサの用意もあるため、手ぶらでチャレンジできます。
また、ワカサギ釣りというと氷上に穴を空けて釣る姿を思い浮かべる人も多いはず。いちばん気になるのは寒さですが、湖に設置された暖房付きの建物で釣りを楽しめる桧原湖では、そんな心配もいりません。
ただし、屋外ではダウンジャケットやマフラー、手袋にブーツといった防寒対策が必須です。特に、釣り場まで船で移動する間は強い横風が直撃。帽子や耳当てなどもあるといいでしょう。
そのほか、釣りの最中は何度もエサやワカサギを触るので、ウェットティッシュも持参すると便利です。
未経験でも安心!初心者向けコースに挑戦
「ゴールドハウス目黒」でワカサギ釣り体験
今回は、レストランや売店、宿泊施設を備えるドライブイン「ゴールドハウス目黒」でワカサギ釣りにチャレンジ。シーズン中には受付開始となる6時半には釣り人が集まる人気の施設です。
初心者向けの体験コースは、半日コース(大人5,500円)と一日コース(大人6,700円※平日のみ)があります。インストラクターが釣り方をレクチャーしてくれるほか、道具のレンタルや釣ったワカサギの調理付きと至れり尽くせりのコースです。
「ゴールドハウス目黒」の店内では釣り具も販売しています。ワカサギ釣りにハマったら、こちらで道具をそろえるのもおすすめ。商品もバラエティ豊富なので、お土産選びにも最適です。
和船に乗って、いざワカサギ釣りへ!
受付を終えたらライフジャケットを着用し、船着き場へ。和船に乗ってワカサギ釣りを行う屋形へと移動します。和船は想像以上にスピードがあり、ちょっとしたアクティビティのようです。
湖に氷が張る2月上旬から中旬頃は、ソリを付けたスノーモービルでの送迎に。こちらも和船同様、爽快な移動時間を満喫できます。
到着したら、指定された屋形に入ります。
屋形内は真冬でもポカポカ
「ゴールドハウス目黒」では、10人用から32人用まで全13棟の屋形を用意。経験者向けのフリークコースの場合は、個室や小型ハウスの利用もOKです。
屋形の中はコートなど上着を脱いでも暖かく、快適な空間。飲食の持ち込みも可能で、お菓子を食べながらワイワイ楽しむ人も。
バイオマストイレ(バイオマス=木質材を活用して、バイオ=微生物の働きで分解し、自然蒸発させる処理装置付の循環式の水洗トイレ)があるのもうれしいポイント。長時間の釣りでも安心です。
次々と釣れるワカサギに大興奮!
いよいよワカサギ釣りに挑戦!
屋形の中の席に座ったら、お待ちかねのワカサギ釣りに挑戦。まずはインストラクターから電動リールの扱い方や、ワカサギを誘うコツなどを教えてもらいます。
紅サシと呼ばれるエサはとても小さく、仕掛け針に刺す作業は慣れるまで難しく感じるかもしれません。ポイントは紅サシの端をキュッとつまむこと。そうすると身が固くなり、針を刺しやすくなります。
うまく付けられない場合はインストラクターにお願いしましょう。
エサを付けたら湖に仕掛けを下ろします。トントントンと竿を上下させ、ワカサギを誘うのがコツだそうです。
そのまましばらく待って、ピンッと竿の先にわずかな揺れが出たらヒットのサイン。素早く電動リールを上げると、元気いっぱいに動くワカサギが引っかかっていました!
はじめこそ電動リールの使い方に戸惑ったり、ヒットの感覚がわからなかったりしたのですが、コツをつかむと次々にヒットするように。
釣果は日によって異なりますが、午前中の方が比較的釣れやすい傾向があるのだとか。なかには一日に数百匹もゲットする人もいるようです。
釣れたてのワカサギを天ぷらで堪能
活きのいいワカサギをその場で食べられる!
釣りが終わった後は、「ゴールドハウス目黒」内の食堂へ。そこで釣ったワカサギを天ぷらにしてもらえます。揚げたてのワカサギは臭みもなく、サクサクの食感。自分で釣ったワカサギだと思うと、より一層おいしく感じられるはず。
釣れなかった場合も食堂で用意しているワカサギを揚げてもらえるので、食べ逃す心配はありません。もちろん、そのまま持ち帰ることも可能。その場合は持ち帰り用のビニール袋と氷がもらえます。
桧原湖ワカサギ釣りをより楽しむには?
一日コースなら弁当の予約がおすすめ
「ゴールドハウス目黒」では、ワカサギ釣りのオプションとして昼の弁当配達も行っています。メニューは会津名物の「ソースカツ弁当」(1,100円)とジューシーな「手作り唐揚げ弁当」(1,000円)、「ミニカツカレー」(1,000円)の3種類。
スノーモービルに乗り、氷上遊覧
さらに氷が張る時期には、スノーモービルの氷上遊覧(15分 1人1,200円)も実施。雄大な磐梯山を眺めながら、氷上を走り抜ける体験は爽快です。ワカサギ釣りの前後に楽しんでみてはいかがでしょうか。
ゴールドハウス目黒
- 住所
- 福島県耶麻郡北塩原村桧原大府平原1172-4
- 期間
- 【ワカサギ釣り】毎年11月1日~3月31日(氷が溶けたら終了)
- 時間
- 【ワカサギ釣り 初心者向き体験コース】
半日コース/8:00~11:00、12:00~15:00
一日コース/8:00~15:00 ※平日のみ
【ワカサギ釣り 経験あり竿持込フリークコース】
6:30受付開始、15:30終了 - 料金
- 【ワカサギ釣り 初心者向き体験コース】
半日コース/5,500円、中学生4,800円、小学生4,000円(未就学児不可)
一日コース/大人6,700円、中学生6,000円、小学生5,000円(未就学児不可)
【ワカサギ釣り 経験あり竿持込フリークコース】
大人4,200円、中学生3,500円、小学生3,000円(未就学児不可)
※ワカサギの調理料は含まず - 定休日
- 無休
- 公式サイト
- 裏磐梯・桧原湖 ゴールドハウス目黒
- アクセス
- JR「猪苗代」駅より車で約27分
桧原湖周辺の人気スポットを紹介
「五色沼湖沼群」でスノートレッキング
「五色沼湖沼群」は磐梯山の噴火によってつくられた湖沼群で、毘沙門沼、赤沼、みどろ沼、龍沼、弁天沼など、大小30ほどの湖沼の総称です。沼によって水面の色が異なって見えることから「神秘の湖沼」と呼ばれ、2016年に『ミシュラン・グリーンガイド』一つ星に認定されました。
雪で覆われる冬の期間は、地元のツアー会社やホテルなどがスノーシューで五色沼湖沼群を巡るガイドツアーを開催。例年12月下旬から3月下旬にかけて実施され、真っ白な雪とさまざまな色をした沼とのコントラストの美しさは必見です。
おすすめは、「はれがさやアクティビティーズ」の五色沼ツアー。裏磐梯に精通したプロのガイド一押しのオリジナルコースを案内してくれます(2023年度は12月23日~2024年3月24日、対象は中学生以上、参加費は1人5,200円)。
なお、五色沼湖沼群は自由に散策することもできますが、雪深い冬は道に迷ってしまう可能性も。スノーシュー未経験者は、必ずガイドツアーを利用して訪れましょう。
五色沼湖沼群
- 住所
- 福島県耶麻郡北塩原村桧原
- 営業時間
- 散策自由
- アクセス
- JR「猪苗代」駅より車で約24分
お土産選びは「道の駅 裏磐梯」へ
桧原湖の西岸に建つ「道の駅 裏磐梯」は、ランチやお土産選びにぴったりのスポット。2階には展望台があり、冬は雪化粧に覆われた桧原湖を一望できます。
館内の「レストラン檜原亭」には、地元ならではの料理が盛りだくさん! 特に人気なのが、特産の会津山塩を使った「山塩ラーメン」(750円)です。澄んだスープを口に含めば、まろやかな塩味が体にじんわり染み渡ります。
角のない味わいは、大塩裏磐梯温泉の温泉を煮詰めて作る会津山塩の特徴。喉ごしの良い縮れ麺とも相性抜群です。低温調理でやわらかく仕上げたチャーシューも絶品。
お土産の一押しは、北塩原村産の高原野菜を使った「道の駅裏磐梯オリジナルドレッシング」(各550円)。和風テイストの「高原大根」、クリーミーな味わいの「高原とうもろこし」、山塩ダレ入りの「高原紫大根」の3種類がそろいます。
スイーツなら、「裏磐梯 桜峠プリン」(380円)がおすすめです。プリンとゼリーの2層仕立てで、プリンは会津山塩入り。ゼリーには、裏磐梯エリアの花見の名所・桜峠に咲くオオヤマザクラの実を加えています。
いずれも「道の駅 裏磐梯」のみの販売。見つけたらぜひ購入しましょう。
道の駅 裏磐梯
- 住所
- 福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字南黄連沢山1157
- 営業時間
- 9:00~17:00
【レストラン檜原亭】10:00~16:00(11月中旬~4月中旬は11:00~15:00)
【だんご屋・森のアイス工房】10:00~16:00 - 定休日
- 水曜日(4月中旬~11月中旬は無休)
※だんご屋・森のアイス工房・農産物直売所は、11月中旬~4月中旬まで冬期休業 - 公式サイト
- 道の駅 裏磐梯
- アクセス
- JR「猪苗代」駅より車で約35分
「パン工房 ささき亭」の焼きたてパンは必食!
「パン工房 ささき亭」は、県内外にファンの多いベーカリー。北塩原村の美しさに引かれ、埼玉県から移住した佐々木さん夫婦が営むお店です。
パンはもちろんのこと、カスタードクリームやマヨネーズ、コンポートなども手作り。できるだけ地元の食材を使うことにもこだわっています。
ロッジ風の店内には、食パンや惣菜パン、スイーツ系など、常時約20種類のパンがずらり。お昼前には売り切れてしまうこともあるので、早めの訪問がベターです。
お店のおすすめは、円柱型のフォルムが愛らしい「ごまあんぱん」(180円)。頬張った瞬間に広がるごまあんの濃厚な風味と、生地に練り込んだごまのつぶつぶとした食感に、思わず頬が緩みます。
ふわふわの田舎パンでハムや卵を挟んだ「田舎サンド」(460円)も人気の一品。田舎パンのやさしい甘みに、自家製マヨネーズのまろやかな酸味がアクセント。食材のフレッシュさも相まって、ペロリと食べられてしまいます。
店内には喫茶スペースもあり、天気の良い日は窓から磐梯山を眺めながらパンを味わう、心地よいひとときを過ごせます。
パン工房 ささき亭
- 住所
- 福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字甚九郎沢山1097-110
- 営業時間
- 8:00~売り切れ次第閉店
- 定休日
- 月・火曜日(祝日の場合は翌日休み)
- アクセス
- JR「猪苗代」駅より車で約26分
誰でも気軽に挑戦できる桧原湖のワカサギ釣りは、ファミリーや友だち同士で楽しむのにぴったり。宿泊すれば、ワカサギが釣れやすい早朝からチャレンジできたり、周辺の観光スポットにも立ち寄れたりと、思う存分満喫できます。冬限定のアクティビティを楽しみに、足を運んでみてはいかがでしょうか。
取材・文/菅原 聡子 撮影/株式会社Harty 澤田 千春