福島県屈指の観光地と言えば、会津若松。城下町であり、各所に史跡が点在するレトロな雰囲気の街です。会津戦争の際の白虎隊で有名な場所であり、大河ドラマ『八重の桜』の舞台にもなったのも有名ですね。
前半:1日目はバスに乗って会津若松城や天守閣周辺散策、老舗酒蔵など歴史に触れる観光を楽しみます。週末ふらりと行きたくなるモデルコースをご紹介!
1日目
(10:00)旅は会津若松駅から観光バスに乗ってスタート
旅の始まりは会津若松駅から。会津若松駅までは、東京から新幹線と在来線を利用して約2時間半、高速バスなら約3時間半で到着する都心からのアクセスの良さも魅力です。
まずは駅前のバスターミナルで会津若松の主要観光地をまわる「まちなか周遊バス」の1日フリー乗車券を600円で購入しましょう。まちなか周遊バスは、主要観光スポットの各バス停に約30分間隔で停車してくれます。
バスは「ハイカラさん」と「あかべぇ」の2つがあり、1回の乗車運賃は210円。3回以上乗る場合は、1日フリー乗車券がとってもお得です。
いよいよバスに乗り込み、さあ出発!
(10:30)まずは会津若松城「鶴ヶ城」の見学へ
最初に訪れたのは、会津若松駅からバスで約18分、会津のシンボルとも言われる「鶴ヶ城(つるがじょう)」。「鶴ヶ城入口」で下車すれば、徒歩約5分で到着です。鶴ヶ城は正式名を「若松城」と言い、幕末時代の瓦(赤瓦)をまとった日本で唯一の天守閣として知られています。
鶴ヶ城は、天守閣のまわりを散歩したり記念撮影するだけでも楽しいですが、せっかくなら天守閣の中へ行くのがおすすめです。
入口にあるのは、天守閣唯一の遺構である「塩蔵」。実際に塩蔵として使われていた様子が再現されており、タイムスリップしたかのような気分に浸れます。
一層から四層までは、鶴ヶ城の歴史や歴代城主の変遷、戊辰戦争や白虎隊などについて展示資料や映像で学ぶことができるようになっています。
そして最上階の五層に行くと、雄大な会津の街や美しい自然を一望できる展望台が!天気が良い日は、磐梯山や飯盛山も眺められます。歴代の城主たちもこの景色を見ていたのかと思うと、ロマンを感じてしまいますね。お城からの美しい景色に、心も癒されました。
(11:30)「茶室麟閣」で抹茶をいただこう
天守閣から徒歩約3分の「茶室麟閣(ちゃしつりんかく)」にも立ち寄ってみましょう。千利休の息子、千少庵(せんのしょうあん)が建てたと言われる茶室で、庭園を眺めながらお茶を飲むことができます。
豊臣秀吉の怒りを買って死んでしまった千利休。その時の会津領主・蒲生氏郷が利休の茶道が途絶えぬよう、少庵を会津にかくまったことから、少庵が蒲生氏郷のために建てたのがこの茶室です。
最後は、お茶席でちょっと休憩しましょう。お茶席でいただけるのは、お抹茶と薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)。茶室体験をしながら、歴史に思いを馳せる贅沢な時間を過ごしましょう。
鶴ヶ城、茶室麟閣
- 住所
- 福島県会津若松市追手町1-1
- 観覧時間
- 8:30~17:00
- 観覧料金(茶室麟閣共通券)
- 510円(税込)
- 抹茶体験
- 600円(税込)※お菓子付
(12:30)レトロな街並みの七日町通りで街歩き
再びバスに乗って約10分、「七日町駅前」で下車しましょう。七日町通りは日光、越後、米沢街道と会津五街道が走っており、古くから問屋や旅籠(はたご)、料理屋などで賑わっていた通りです。
今では蔵が立ち並び、会津木綿や和菓子、漆器、絵ろうそくなどさまざまなお土産屋が賑わいを見せている七日町通り。歴史的建造物も多く、大正ロマンな雰囲気が人気のスポットになっています。
七日町駅の「駅café」でお土産探し
まずはJR七日町駅構内にある雑貨や食べ物を揃えるアンテナショップ「駅café」に立ち寄りましょう。この七日町駅の駅舎もまたレトロで素敵です。
七日町通りにあるお店の商品も取り扱っているので、これから散策する上でなんとなく欲しいものや行きたいお店に目星をつけておくことができます。うさぎモチーフのお皿や可愛い箸置きなど、お土産にしたいアイテムが揃います。
カラフルな絵柄が可愛い「和ろうそく」を発見! あとで七日町通りにある専門店に行くので、そこでゆっくり選ぶのもおすすめです。
カフェスペースもあり、コーヒーやスイーツメニューも充実しているので散歩休憩するにもおすすめです。
(13:00)ランチは「満田屋」で田楽グルメを堪能
七日町通りでランチにおすすめなのが「満田屋(みつたや)」。七日町駅からも歩いて10分ほど、バスで行く場合「七日町白木屋前」で下車するとすぐです。
「満田屋」は1834年創業、手作りの味噌や油、漬物を販売する老舗店です。
店内奥はお食事処になっているので、暖簾をくぐって入ってみましょう。お味噌の香ばしい香りが漂ってきます。
味噌蔵を改装して作られたという店内は、まるでドラマに出てきそうな雰囲気です。
会津の郷土料理のひとつである「会津みそ田楽」。串に刺した餅やこんにゃくに、赤みそに砂糖や薬味を練り込んだ味噌だれをつけていただきます。満田屋では、注文を受けてから目の前の囲炉裏を使い、炭火でじっくりと焼き上げてから1本ずつ提供してくれます。
おすすめはみそ田楽コース。こんにゃく(2本)、豆腐生揚げ、おもち、 しんごろう餅、里いも、身欠きにしんなど盛りだくさんのコースが1,400円(税込)で味わえます。焼き立ての田楽は素朴で懐かしく、味噌の香ばしさや風味が存分に感じられて絶品でした。
満田屋
- 住所
- 福島県会津若松市大町1-1-25
- 営業時間
- 10:00~17:00(田楽お食事16:50ラストオーダー)
- 定休日
- [1月~3月] 毎週水曜日 [4月~12月] 第1・第2・第3水曜日 [大晦日、元旦]
(13:45)「白木屋漆器店」で会津塗りの歴史を知る
満田屋でお腹を満たしたら、徒歩約2分の場所にある「白木屋漆器店」へ。大正2年に竣工されたという、大正ロマンあふれる建物が目印です。
白木屋漆器店は、創業300年余りという累代漆器の老舗。3階建ての店舗内では、1,000種類以上の漆器を取り扱っています。
漆器のお買い物でなくても、ルネッサンス様式を取り入れた土蔵造りの建物を眺めるだけでも楽しいですよ。まるで映画に出てくるようなお屋敷を見学してみましょう。
こちらは、大正時代に会津若松駅の待合室に掲載していたという白木屋漆器店の広告額。かつてはこういった広告がスタンダードだったんですね。大正時代の会津若松駅にタイムスリップしてみたい気持ちになりました。
また白木屋漆器店は、無料の資料館も併設。会津漆器の歴史や製造過程などが、資料とともに展示されています。こうして漆器の世界を知ることで、憧れが湧いてきますね。
かわいらしいスプーンやへらなども取り扱っています。高級なお茶碗は買えないけれど、初めての漆器製品を買ってみたい方におすすめです。
白木屋漆器店
- 住所
- 福島県会津若松市大町1-2-10
- 営業時間
- 9:00~17:30
- 定休日
- 年末年始および1~3月の水曜日、そのほか棚卸し等で休業日あり
(14:15)カフェタイムは「會津壹番館」へ
次は白木屋陶器店から徒歩約2分、「會津壹番館(あいづいちばんかん)」という喫茶店へ。明治17年に建てられ、かつて野口英世が左手に大やけどを負った際に手術を受けた病院「旧会陽医院」の1階が現在ではカフェになっています。
會津壹番館があるのは、七日町通りから1本脇に入ったところにある野口英世青春通り。このあたりは野口英世が15歳から19歳の間に過ごした街として知られています。
ここもまた、レトロな雰囲気色づく素敵な店内。おしゃれカフェや純喫茶好きにはたまらない雰囲気です。
会津の酒粕を使用した濃厚な酒粕プリンと自家焙煎のコーヒーのケーキセットをいただきます。コーヒーカップに描かれた、野口英世とメリー夫人のイラストは、思わず写真に収めたくなる可愛らしさ。
店内では、このコーヒーカップのほかにマグカップやティーポット、エコバッグなども販売。レトロで可愛い会津のお土産として、買って損はないですよ。
會津壹番館の上は「野口英世青春館」という資料館になっています。気になる方はぜひ立ち寄ってみてくださいね。
會津壹番館
- 住所
- 福島県会津若松市中町4-18
- 営業時間
- 8:00~20:00
- 定休日
- 無休
(15:00)「福西本店」の大豪邸でアート鑑賞
會津壹番館の隣にある「福西本店」もレトロな街散歩に立ち寄りたいスポットのひとつ。福西家は江戸中期から大正初期にかけて繁栄を極めた名家です。こちらでは大正時代の豪勢な商家の風情を味わいながら買い物・グルメが楽しめます。
入口はお土産店になっています。畳み張りになっているので、靴を脱いで吟味しましょう。
そして奥に行くと、一族が居住していた母屋や座敷蔵、大広間などを見学することができます。その他にも、福西家が長い歴史の中で収集した美術品や工芸品もたくさん。
母屋蔵はギャラリーになっており、不定期でアートの展示なども行っています。筆者が訪れたときには、現代彫刻家の作品群がズラリと並んでいました。アートな彫刻が、建物のモダンな雰囲気とマッチしていますね。
またお土産店の一角には、福西家が代々使用してきた金庫があります。
申し出れば、中を見せてもらえます。今では全国的にも貴重な、旧家の建物を満喫できる福西家本店でした。
福西本店
- 住所
- 福島県会津若松市中町4-16
- 営業時間
- 10:00~17:00 ※冬季期間は16:00まで(最終入館はそれぞれ30分前)
- 料金
- 大人300円、中高生200円、小学生100円
- 定休日
- 水曜日(祝日の場合は翌日休)
(16:00)日本酒好きにおすすめの「末廣酒造」
福西本店から徒歩約5分、地酒の購入や酒蔵見学ができる「末廣酒造(すえひろしゅぞう)」へ。会津は「水」「米」「気候」とおいしい酒造りの条件が揃う場所。また福島県は「全国新酒鑑評会」で金賞受賞数が7年連続日本一と、国内外から評価されており、その原動力となっているのが会津と言われています。
1850年に創業した末廣酒造は、会津の中でも老舗の酒蔵。ここでは、予約不要・無料で酒蔵見学ができます。
日本酒の製造工程やお米の種類による味わいの違いを丁寧に説明してくれるだけでなく、仕込み蔵や資料館の見学も。日本酒の知識がない人でも、分かりやすい説明を聞いてさらに楽しく見学ができます。
かつての日本酒造りで使っていた道具。今ではずいぶんと技術が発達しましたが、歴史ある酒蔵だからこそ昔の苦労を知っているということが伝わってきます。
酒蔵見学の最後には、無料で日本酒の試飲もさせてもらえます。酒蔵見学をした後にいただく日本酒は、また格別な味!
併設されているカフェ「蔵喫茶 杏」では末廣酒造の日本酒が入った「大吟醸シフォンケーキ」が味わえます。ふんわりと日本酒の香りが漂って、美味しい! お酒抜きにすることもできるので、お店の人に伝えてみてくださいね。
日本酒のマスに入って提供される「水出しカフェ」が、なんとも粋! この水出しカフェ、日本酒作りに使用される仕込み水で淹れています。コーヒーとケーキはセットで100円引きになるので、一緒に注文するとお得ですよ。
酒蔵の入り口で湧き出ている仕込み水は、近所の人が汲みにくるほど評判なんだとか。末廣酒造に行ったら、日本酒だけでなくこの仕込み水の試飲もおすすめです!
末廣酒造 嘉永蔵
- 住所
- 福島県会津若松市日新町12-38
- 営業時間
- 9:00~17:00(「蔵喫茶 杏」は9:00~18:00)
- 酒蔵見学
- 毎日9:30~16:00の30分おき(見学は30分程度)
- 定休日
- 12月31日、1月1日
お城や茶室見学にランチ、カフェ巡り、豪邸や酒蔵探訪と盛りだくさんだった1日目。お腹も知的好奇心も満たされた旅になりました。会津若松旅後半は、東山温泉へ。
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会津若松モデルコース前半マップ
取材・撮影・文/秋山悠紀
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