提供：テレビ大分
「手みやげ」それは感謝や親しみ、そして愛情を持って渡す贈り物。
今回ご紹介するとっておきの手みやげは中津市で受け継がれてきた伝統名菓。寒い時季に、じんわり滲み入るおやつです。
中津が誇る伝統銘菓「蛤志る古」
心と体をあっためる、とっておきの手みやげは中津が誇る伝統銘菓、武蔵屋総本店の「蛤志る古（はまぐりしるこ）」。穴を開けた最中にお湯を注ぐと、おしるこの出来上がり。おしるこの中からは、紅白の千鳥（チドリ）が出てくるようにもなっています。
そのお菓子を手がけるのが大正13年創業の武蔵屋総本店です。
「中津ならではのお菓子を作りたい」という初代の思いから始まったもので、当時から手法や味は一切変えていないとう。
ところで、なぜハマグリの形をしているのでしょう？社長に聞いてみると…
社長 一木松十郎さん
「初代は中津銘菓を生み出したいのが一番の目的だった。最中の皮は何でもいいかというとそうでもない。当時、中津の海岸は遠浅でハマグリがよくとれ、潮干狩りが盛んだった。足で掘ってとれていた。そういう海岸だったらしいです、当時は」
地域の名物であったハマグリを初代はお菓子に取り入れました。
この最中の種も工場で全て作っています。
餅米は宇佐市の契約農家で栽培されたヒヨクモチを使用、 ハマグリの型に流し込みじっくり焼いていきます。出来立ての最中はパリッパリです。
一番のこだわりは「手作りの餡」
焼き上がった最中は餃子と同じように水で包みますが、その中身にもこだわりがありました。
社長 一木松十郎さん
「もし、この乾燥餡に市販のものを使ったら他のお店で売っているお汁粉と同じと思う。この手作りの餡が一番の生命線。初代はどうやったら自分のところの味が出せるか、この乾燥餡にこだわった」
そして、熱した窯であんの水気を一気に飛ばしていきます。約70年前から続くこの製法こそ唯一無二。
海を飛ぶ浜千鳥（ハマチドリ）をイメージして作ったあられ。
これもまた、初代が地元の海岸で出会ったシーンをハマグリの中に包み込みました。
受け継いでいく「手作りの餡」
社長 一木松十郎さん
「これも自家製ですけど今後の課題です。どういう風にあとの人に教えていこうかと思って。焼く方はなんとかなる。元を作るのも技術がいるっていうか。今の若い人にね、私と同じ方法で続けさせるのはちょっと…まぁどうなんだろうな…」
気候や乾燥に左右される和菓子作り。そもそもこの千鳥の元となる餅を作れるのも春と秋のみ。絹のように薄く広く餅を伸ばす作業は熟練の技と話します。
時代に合った作り方ではないけれど、初代が確信した味と技法を可能な限り繋いでいきたい。そんな3代目の思いがまたひとつ、このハマグリの中に込められています。
来年創業100年を迎える武蔵屋総本店。
社長は「ひとつの節目として、できれば今の形は維持したいですけど…中津の憩いの場みたいな感じにできたらなぁとは思っている」という思いを話してくれた。
お菓子を通して伝えたい、地元の素晴らしさ、作り手の思いが届きますように…。
武蔵屋総本店
- 住所
- 大分県中津市牛神424-4
- 営業時間
- 9:00～18:00
- 定休日
- 元日
- 問い合わせ
- 0979-22-1191
- 公式サイト
- 武蔵屋総本店
※この記事は、2023年11月01日にテレビ大分「TOSオンライン」で公開された記事を転載したものです。
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