氷見漁港の朝セリから始まる富山グルメ旅2日目は、氷見の特産品がなんでもそろう「ひみ番屋街」と高岡の街散策を通して、食を楽しみます。紅カニと寒ブリだけで終わらない、冬に楽しめる富山のグルメ旅を紹介します。
※この記事は、2020年3月31日に公開された内容に追加情報と修正を加えて更新したものです。
氷見漁港の朝セリを見学
「天然のいけす」と呼ばれる富山湾で、随一の水揚げを誇るのが氷見漁港です。四季を通じて多くの種類の魚が水揚げされる氷見漁港では、活気ある朝セリを見学することができます。朝セリの見学は無料で、予約も必要ありません。
氷見駅から徒歩約15分のところにある氷見漁港は、富山湾に突き出すように位置しています。朝セリは6:00頃から開始。冬はまだ暗い時間ですが、漁港の中はすでに活気に満ちていて、水揚げされた魚が次々と運ばれて来ます。
朝セリの見学は、氷見漁港の2階の通路からできます。入口は魚市場食堂ののぼりが目印。特に見学の案内は出ていませんが、L字の建物の右手にある、自動販売機が並んでいるところに近い入口から入っていきます。
氷見では定置網漁が一般的です。また、漁場が漁港に近いため、「きときと(富山弁で新鮮の意味)」な魚が水揚げされるのです。
「ひみ寒ぶり」は、氷見漁港で競り落とされたぶりというだけでなく、富山湾の定置網で漁獲されたぶりである必要があります。さらに、判定委員会が定めた期間内に獲られ、魚体や重さが一定の水準を満たしていなくてはいけません。
最盛期には、1日に数百本水揚げされることもありますが、全て販売証明書を付けて、統一デザインの青い魚箱に入れて出荷されます。
氷見漁港の朝セリ
- 住所
- 富山県氷見市比美町435
- 電話番号
- 0766-74-0170(氷見漁業協同組合)
- 営業時間
- 平日、土曜日 6:00~(朝セリの所要時間は1~2時間)
※能登半島地震の影響により、市場見学は中止しています(2024年1月10日時点)
- 休業日
- 日曜日、祝日及び市場の指定日
※詳細は氷見漁業協同組合の公式サイトにて確認
- アクセス
- 【電車・徒歩】氷見駅から徒歩約15分
【車】能越自動車道氷見ICから約10分
- 駐車場
- あり(無料)
- 公式サイト
- 氷見漁業協同組合
鮮度抜群の「きときと」な魚が食べられる「魚市場食堂」で朝食
氷見漁港の2階にある魚市場食堂は、競り場から数メートルの位置にあって、競り落とされた魚が直接届くことから、富山県でもっとも鮮度がいい魚が食べられるお店と言われています。開店は、朝セリが始まってすぐの6:30です。
ゆったりとした店内には、テーブルと小上がりを合わせて84席あります。セリを終えた関係者も食事をしに来るお店です。
その日に水揚げされたおすすめの魚を丼にした名物の「氷見浜丼」は、日によってネタが変わります。土鍋の漁師汁がセットになっている「氷見浜丼」は、ちょっこし盛(小盛)、やわやわ盛(並盛)、はんさ盛(大盛)から選ぶことができます。取材日のちょっこし盛にはぶりがたっぷり乗っていました。
氷見名物の骨まで食べられるぶり大根。口の中で溶けるような食感のぶりの骨と味の染みた大根のハーモニーがやみつきになります。
魚市場食堂
- 住所
- 富山県氷見市比美町435 氷見漁港魚市場2階
- 営業時間
- 6:30~15:00
- 定休日
- 年中無休 ※臨時休業する場合あり
- アクセス
- 【電車・徒歩】氷見駅から徒歩約15分(氷見駅よりタクシーで約3分)
食事からお土産までなんでも揃う「ひみ番屋街」
魚市場食堂から徒歩10分ほどのところにある「ひみ番屋街」は、氷見漁港の場外市場です。建物は漁師の作業小屋の番屋をイメージした造りになっていて、200台以上が停められる広大な駐車場の先には「氷見温泉郷 総湯」が隣接しています。
ひみ番屋街は、漁港直送の新鮮な鮮魚や加工食品などの富山湾の海の幸をはじめ、氷見うどん、氷見牛、氷見カレーなど、地元でしか味わえないさまざまな料理が味わえる飲食店、そして氷見の農産物などを扱う約30の店舗がずらりと並んでいます。
富山といえばます寿司が有名ですが、氷見ではぶりを使った押し寿司、ぶり寿司も人気があります。酢飯の上に ブリを敷き詰め、人参、昆布を散らし、甘酢で締めたかぶらの薄切りを並べた押し寿司です。
瓶から出してすぐに食べられる、焼きほぐし(ぶりフレーク)もひみ番屋街の人気商品の一つ。氷見で水揚げされた天然ぶりの骨を丁寧に抜いて、香ばしく焼き上げた逸品で、焼魚をそのまま食べているような味わいを楽しめます。一番人気の照り焼き味のほかに、レモンペッパー味やネギ塩味などもあります。
氷見といえば、寒ブリに代表される海の幸ばかりがクローズアップされますが、富山県最大の肉牛の産地でもあります。フードコートでは、氷見カレーをはじめ、氷見牛コロッケ、氷見牛まんなど、氷見牛を使ったさまざまなメニューを楽しむことができます。
氷見稲積梅(ひみいなづみうめ)も富山を代表する特産品の一つ。核が小さく、肉厚で梅干やジュースなどに適している稲積梅を使ったドレッシングやジェラートなどもあります。特別栽培された稲積梅と白山の伏流水で造られた蔵元仕込みの梅酒原酒は、ほどよい酸味で、ロックでもソーダ割りでも楽しめるお酒です。
ひみ番屋街(氷見漁港場外市場)
- 住所
- 富山県氷見市北大町25-5
- 営業時間
- 物販施設/8:30~18:00、鮮魚施設/8:30~18:00(鮮魚は売り切れ次第終了)、フードコート/8:30~18:00、飲食施設/11:00~18:00、回転寿司/10:00~20:00
- 休館日
- 1月1日
(※鮮魚施設は初競り市に準じます。 施設メンテナンスのため臨時休業があります。)
- アクセス
- 【電車・徒歩】氷見駅から徒歩で約25分
【車】能越自動車道氷見ICから約8分
- 駐車場
- 普通車 220台・バス 10台
- 公式サイト
- ひみ番屋街
高岡の街散策でも出会えるグルメ
氷見市に隣接し、石川県にも接する高岡市は、富山市に次ぐ第2の都市。加賀藩主・前田利長が築いた高岡城の城下町として栄え、その後は商工業都市として発展した街です。
現在は鋳物の生産が盛んで、鋳物の高岡銅器は、伝統工芸品に指定されています。氷見駅から高岡駅までは氷見線で約30分。東京駅から新高岡駅までは北陸新幹線で約2時間半のところに位置しています。
高岡鋳物発祥の地である金屋町は、今も格子造りの家々が軒を並べています。およそ500メートルにわたって続く石畳の道と千本格子の家並みが、映画やテレビの舞台としても登場しています。高岡駅からは、桜並木の続く千保川(せんぼがわ)を越えて徒歩20分ほどのところです。
ドラえもんやパーマンを生み出した藤子・F・不二雄さんは、高岡市で生まれ育ちました。市内のあちこちで、多くの藤子キャラに出会うことができます。高岡市美術館の2階にある「高岡市藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー」では、藤子・F・不二雄さんと高岡のつながりを知ることができます。
展示室には、どこでもドアのゲートから入場します。
展示室では、藤子・F・不二雄さんが少年時代に作成した幻燈機を再現。また10代のころに手作りした漫画雑誌、原点としての高岡から上京したときのカバンや漫画家時代の愛用品など、貴重な資料が作品とともに展示されています。
高岡市藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー
- 住所
- 富山県高岡市中川1-1-30 高岡市美術館2F
- 開館時間
- 9:30~17:00 (入館は16:30まで)
- 休館日
- 月曜日 ※月曜日が祝・休日の場合は開館し、翌平日に休館 、年末年始(12月29日~1月3日)
- 入館料
- 一般・大学生500円、高校生・中学生300円、小学生・幼児(4歳以上) 200円、3歳以下無料、シニア(65歳以上)400円
- アクセス
- 【徒歩】高岡駅より徒歩約20分
【電車・徒歩】万葉線志貴野中学校前電停駅を下車して徒歩約10分
- 駐車場
- 高岡市美術館駐車場:2時間まで無料/高岡文化の森駐車場: 無料
- 公式サイト
- 高岡市藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー
高岡駅から徒歩10分ほどのところにある山町筋は、商家の土蔵造りの街並みが続く街です。毎年5月1日に催される高岡御車山祭では、これらの街並みを背景に山車が練り歩きます。万葉線の片原町駅、坂下町駅からも徒歩3分ほどのところです。
洋風建築と土蔵をリノベーションしたエリア、山町ヴァレー。その一角にあるクラフタンは、富山県の郷土料理である昆布締めと日本産のクラフトビール、日本酒が楽しめるお店です。
北前船の寄港地として栄え、昆布の消費量は全国トップクラスの富山でも珍しい昆布締めの専門店で、魚の昆布締めだけにとどまらず、地元野菜や肉の昆布締めなど、昆布にこだわった料理を提供しています。
メニューは、自家製すり身揚げ定食(1,210円)、昆布締め野菜と鳥ささみのヘルシー定食(1,760円)、昆布締め野菜と鶏もも肉のさっぱり定食(1,650円)、昆布締め野菜と鳥もも肉のせいろ蒸し(1,980円)など。定食には土鍋ご飯、みそ汁、小鉢が付きます。写真の昆布締めの盛合わせ定食(2,420円)は、昆布の旨味が引き出すさまざまな食材のおいしさを味わうことができます。
クラフタン
- 住所
- 富山県高岡市小馬出町6 山町ヴァレー 弐の蔵
- 営業時間
- 11:30~14:00/18:00~22:00
- 定休日
- 火曜日(夜営業のみ完全予約制)
- 席数
- 26席(カウンター6席、テーブル20席)
- 駐車場
- 9台
- アクセス
- 高岡駅から徒歩約13分
体験&和菓子を楽しめるクーポンを使って街を散策
高岡市観光協会が発行する「高岡雅美(たかおかみやび)」は、高岡の街を散策しながら、体験と和菓子を楽しめるお得なクーポンのセットです。5つの体験メニューから一つ、4つの店舗から2店舗を選んで和菓子などをいただくことができます。
高岡雅美
- 価格
- おとな 2,500円、こども 2,250円
※1日フリーきっぷ不要の場合は2,000円
- 問い合わせ
- 0766-20-1547(高岡市観光協会)
※体験メニューは当日、電話にて事前連絡が必要
- 販売場所
- 新高岡駅観光交流センター、高岡駅観光案内所、ホテルニューオータニ高岡
- 公式サイト
- 高岡雅美 | 高岡市観光ポータル
「高岡雅美」を利用して、山町ヴァレーの中にある「Orii Gallery八ノ蔵」で、銅板の着色体験ができます。「Orii Gallery八ノ蔵」は、高岡銅器の着色所momentum factry Oriiが手掛けるギャラリーで、斬新なスタイルのクラフト商品や表札などを展示販売しています。
「Orii Gallery八ノ蔵」での体験は、小さな銅板プレートを酸化させ、表面の色を変化させてオリジナルのキーホルダーを作るというもの。所要時間は約20~30分です。
Orii gallery 八ノ蔵
- 住所
- 富山県高岡市小馬出町6 山町ヴァレー内 Orii gallery 八ノ蔵(無人営業)
- 電話
- 0766-23-9685
- 営業時間
- 11:00~17:00
- 定休日
- お盆、年末年始
- アクセス
- 高岡駅から徒歩約13分
- 公式サイト
- Orii gallery 八ノ蔵
山町筋を外れ、万葉線の坂下町駅に出ると、通りの先に高岡大仏が見えてきます。高岡大仏は高岡市指定の文化財で、奈良・鎌倉に並ぶ日本3大仏の一つでもあります。銅器の街である高岡の人々が、鋳造技術と市民の力で作った大仏で、高さ15.85メートル。凛々しいお顔をしたイケメン大仏です。
高岡大仏
高岡大仏のすぐ目の前で、お抹茶・日本茶などの販売をしている「木田芳香園(きだほうこうえん)」。香ばしいお茶の香りが広がる店内では、石臼で挽いたお抹茶(250円・税抜)やお茶に合わせたスイーツをいただいてひと休みすることができます。
こちらのお店でも「高岡雅美」のクーポンを利用できます。クーポンでいただけるのは鹿児島産の茶葉を使用した煎茶と店内でも販売している野田の黒棒。ご主人が丁寧に入れくれたお茶と素朴な甘さの黒棒に身も心も温まりました。
木田芳香園
- 住所
- 富山県高岡市定塚町1200
- 営業時間
- 9:00~18:30(日・祝は~17:00)
- 電話番号
- 0766-24-0120
- 定休日
- 水曜日
- アクセス
- 高岡駅から徒歩約10分
高岡でぜひ訪れたいのが「国宝 瑞龍寺」です。高岡の開祖・前田利長公の菩提寺であり、仏殿・法堂・山門が、富山県で唯一の国宝に指定されています。
瑞龍寺
- 住所
- 富山県高岡市関本町35
- 拝観時間
- 9:00~16:30(12~1月は~16:00)
- 観覧料
- 大人500円、中高生200円、小学生100円
- アクセス
- 高岡駅から徒歩約10分もしくは新高岡駅から徒歩約15分
- 公式サイト
- 国宝高岡山瑞龍寺
瑞龍寺の近くにも「高岡雅美」を使って和菓子を楽しめるお店があります。それが「不破福寿堂(ふわふくじゅどう)」です。こちらのお店は明治22年創業で、鹿の子(かのこ)餅が看板商品。最近では女性にも食べやすくサイズを小さくしたかのこ姫が人気商品です。
生地と餡にたっぷりと抹茶を練り込み、練乳と生クリームでまろやかに仕上げた焼き菓子、高岡大仏をお茶と一緒に。濃厚な抹茶の風味にミックスされた練乳と生クリームの甘さに散策の疲れが癒されます。
鹿の子餅本舗 不破福寿堂
寒さの厳しい冬の富山は、魅力的なグルメが豊富です。特に魚介類は、寒いほど脂がのり、おいしくなります。「高志の紅カニ」「ひみの寒ぶり」のほかにも魚津で水揚げされるウマヅラハギや幻の魚と言われる深海魚ゲンゲ(幻魚)など、天然のいけすと呼ばれる富山湾の旬の味覚を味わい尽くすなら、冬の時期がおすすめです。
もう1泊する余裕があれば、石川県金沢市や能登半島の和倉温泉にも足をのばすことができます。訪れるエリアを広げて、ひと味違った北陸のグルメ旅を楽しんでみてはいかがでしょう。
取材・撮影・文/柴田誠