提供:ことりっぷ
豊かな味わいや香りで、日本の食文化を支える「だし」。今回は、澄み切った「おだし」で知られる京都市内から、だしにこだわった料理が味わえるお店を6つまとめてご紹介します。学びと食を楽しめるテーマパークから立ち食いそば、和の伝統を気軽に楽しめるスタンドまで。さまざまな場所や料理で、京都ならではのだしの世界にひたりましょう。
【西陣】“こんぶやさんのラーメン”を堪能♪「昆布と麺 喜一」
「五辻のこんぶやさん」として親しまれてきた本店。2階が「昆布と麺 喜一」
だしの材料となる食材のなかでも“縁の下の力持ち”的な存在、昆布。120年ほど前に創業し、手削りのおぼろ昆布で有名な老舗「五辻の昆布」が、2023年4月にオープンしたのが、ラーメン処「昆布と麺 喜一」です。スープはもちろん、だしがきいた和素材のトッピングも味わい深い「昆布らぁめん」など、昆布づくしを楽しめます。
さまざまな食感や素材を味わいながら、昆布の奥深い世界を堪能できる
「昆布と麺 喜一」は、1階の店舗で1品以上の買い物が必要な“ワンコンブ”の予約制。ワイングラスに入った3種の水出しを試飲したあと、目の前で削る昆布を試食。昆布らぁめんと、昆布の佃煮がのったミニおむすびが続きます。麺のあとは「追いおぼろ」も楽しめますよ。
【嵐山】朝食にもぴったり。「出汁と米 MUKU ARASHIYAMA」
お店があるのはホテル「YADO Arashiyama」の1階。宿泊者以外も利用できる
日本の食事の基本といえば、ごはんとだしが香るお味噌汁。京都でも指折りの観光スポット、嵐山の渡月橋の近くにある「出汁と米 MUKU ARASHIYAMA」では、羽釜で炊いたごはんと多彩な汁物、豆皿料理などで、だしとお米の魅力をたっぷり味わえます。
豆皿料理には、旬の食材はもちろん湯葉や賀茂茄子など京都ならではの食材も並ぶ
朝食と昼食の営業で、どちらも豆皿料理がメインのコース。だしは、全国から選りすぐった乾物やオリジナルの鰹節を料理に合わせて使い分け、引き立てをいただけます。野菜のだし蒸し、だしがしみこんだ麩を巻いただし巻き玉子など、ユニークな料理もずらり。内容は定期的に変わるので、何度訪れても楽しめます。嵐山観光のスタートにもいいですね。
【伏見】だしのテーマパーク「京都離宮~おだしとだしまき~」
歴史ある日本家屋を改装し、既存の建物をリユース。美しい館内でおだしを楽しく学べる
2022年、伏見の城南宮近くにオープンした「京都離宮 ~おだしとだしまき~」。おだしを取り入れたサステナブルな暮らしを提案するおだしのテーマパークです。展示・飲食・販売の3つのスペースがあり、さまざまな形でだしを感じることができます。
だしまきは、4種類から“利きだし”して選んだ好みのだしで作ってもらえる
だしが香る館内の展示エリアでは見る・触れる・味わうなどの体験で楽しくだしの知識を深めることができ、飲食エリアではだしを生かした料理が並ぶ「だしまき御膳と釜たきごはん」をいただけます。予約なしで購入できるお弁当やだしを使ったドリンク、自宅で楽しめるだしパックや粉末だしなども販売されているので、好みや予定に合わせてどうぞ。
【祇園】だし茶漬けで〆る鴨のひつまぶし「Gion Duck Rice」
脂ののりが良く赤身もきめ細やかな最高級の鴨。新しい美味しさに出会えそう
四条花見小路にほど近いビルの地下、「祇園はんなり横丁」の一角にある「Gion Duck Rice(ギオンダックライス)」。フレンチ出身のオーナーシェフが手がける鴨のひつまぶし専門店です。最高級の素材と繊細で美しい盛り付け、楽しいしかけを楽しめますよ。
一人でも訪れやすいカウンター席が中心。木のトレーに並ぶドリッパーや試験管が遊び心たっぷり
こちらのひつまぶしは、とても華やか。自ら現地で選んだ紀州鴨を低温調理して、食感と光沢がよい「ひのひかり」のごはんにのせ、丹波産「金鵄の赤彩卵」の黄身を落としてエディブルフラワーを飾っています。鉄瓶入りのおだしと、追いだし体験ができるカツオ入りのドリッパー、3種のスパイスや薬味つき。さまざまな食べ方を楽しめます。
【清水五条】京都ならではの立ち食いそば「suba」
レトロな佇まいと大きく開いた入口が目印。いつもさまざまな人でにぎわっている
京阪清水五条駅から徒歩5分ほど、高瀬川と鴨川にはさまれた場所にある「suba(すば)」。関西では数少ない、立ち食いそばのお店です。町家の造りを生かした店内に置かれたカウンターは、陶芸作家・橋本知成さんの作品。立ち食いならではの気取らない雰囲気ながら、アートの上で食事をするという特別な体験ができます。
「たらばカニカマ天」。ジャンボなめこや丸ごとのなす、ピーマンなど個性豊かなメニューが揃う
濃いめの味つけが多い関東風に対し、「suba」は関西らしく甘めでやさしい味わい。専門店のプロに依頼したというだしは、利尻昆布や本ガツオ、サバ、ウルメイワシなどを使った“飲み干せる”味。お店で製麺するやわらかめのそばや個性的な具材ともよく合います。
【岡崎】伝統を気軽に♪「すりながしスタンド だしとうまみ」
館内1階、屋台のように気軽に立ち寄れるお店。2階のテラススペースでもイートインOK
平安神宮などの観光名所も多い岡崎エリアで、伝統工芸品やお菓子、お酒などを買ったり制作体験したりできる「京都ハンディクラフトセンター」。館内にある京料理店「匠 正阿弥」が手がける「すりながしスタンド だしとうまみ」では、火を通した旬の魚介や野菜などをすりつぶしてだしを合わせた伝統的な“和のスープ”、すりながしを気軽に楽しめます。
鮮やかな色合いはすべて素材の色。メニューは季節によって替わる
料理長の「手軽に楽しみながらも、体に良いものを」という思いで生まれた数々のメニューは、スイーツのようにキュートながら、素材と味のよさは折り紙つき。豆乳のエスプーマ、すりながし、だしのジュレの3層を太いストローとスプーンで楽しみましょう。
いかがでしたか?
今回は、過去に「ことりっぷweb」で紹介した中から、美味しいだしを楽しめる京都市内のお店をまとめてご紹介しました。営業時間や定休日などは最新の情報をご確認のうえ、おでかけくださいね。
文/高柳涼子