提供:ことりっぷ
美濃焼の町として知られる岐阜県多治見市。陶器にまつわる見どころやお店が多いのはもちろん、クリエイターが集うエリアならではの個性豊かなアイテムや、セレクトが魅力的なお店の充実ぶりも見逃せません。美濃焼文化を色濃く残す町の通りにある複合施設「かまや多治見」も、立ち寄ってチェックしたいスポットの一つ。女性店主の豊かな感性で編集されたショップで、心ときめくお買い物を楽しみませんか。
陶器の町・多治見を感じる本町オリベストリート
全長400mほどの通りに陶器店やギャラリー、飲食店などが並ぶ
岐阜県の東濃地方に位置する多治見市は、1300年の伝統を誇る美濃焼の歴史や技を受け継ぐ町。名古屋からはJRや車で1時間以内とアクセスも良く、陶器さがしや町歩きを楽しもうと訪れる人でにぎわいます。
多治見めぐりの拠点となるJR多治見駅から徒歩15分ほどの場所にあるのが、本町オリベストリートです。明治から昭和初期には美濃焼の陶磁器問屋が軒を連ねていた通りで、現在はその面影を残した陶器店やカフェ、雑貨店などさまざまなお店が集まっています。
暮らしを彩るショップが集う「かまや多治見」
通りに面した「かまや多治見」の正面は歴史を感じるたたずまい
本町オリベストリートの中ほどに建つ、黒い壁の建物が「かまや多治見」。1877(明治10)年から140年以上町の移り変わりを見つめてきた三軒長屋が、2023年4月、1階に2軒のショップとスパイスカレー店、2階に事務所などが入居する複合施設として生まれ変わりました。ここに集うお店や人が家族のようにつながり合うことを願って、かま“家”と名付けられています。
個性豊かな作品が集うワンダーランド「ハナタロウ商店」
素朴な和の空間に使い込まれた棚などを配した店内は、じっくり商品と向き合いたくなる雰囲気
1階の店舗の一つ「ハナタロウ商店」は、店主の加藤有子さんが自分で使って人にも薦めたい品や、紹介したい作家さんの作品を集めたお店。多治見をはじめ全国の多彩な作家さんの作品が、陶器をはじめ、布製品やガラス、紙製品など幅広くそろっています。
店内で目を引くのが、50点ほどのマグが並んだ壁。有子さんの夫である加藤貴也さんが家業として営む、司電気炉製作所の窯から生まれたマグがずらりと並んでいます。同社の窯を使う作家さんが思い思いに製作した個性あふれるマグが集う、”司ワンダーマグ”のコーナーです。
オンラインストアでも展開している”司ワンダーマグ”。実店舗では実際に手に取って選べるのがうれしい 多治見と沖縄在住の2人によるデザインユニットkitocoのTシャツ。多治見を代表するモチーフを描いた多治見Tシャツなどユニークなデザインが特徴
店内には個性豊かな作家さんの作品がいっぱい。それぞれに強い個性を放ちながらも、どこか通じる世界観を持っているのは、加藤さんの編集力によるものと感じられます。
陶器や多治見にゆかりのある品などおめあてを絞って探すのも、その時々の出合いやひらめきで選んでも楽しいラインナップ。気になるアイテムを見つけたら、商品についてはもちろん作家さんのことなど、加藤さんに話しかけてみて。お話しするうちに他の作家さんや他のアイテムともつながって、新たな出合いや発見があるはずです。
一つひとつ異なる作品の違いを味わいながら、じっくりと選びたい スパイスカレー店「cafe NEU!(カフェノイ)」など、多治見の飲食店が作ったオリジナルソルト スリーブのイラストにときめく、多治見のフルーツカフェ「lupos(ルポ)」のクッキーBOX
暮らしに彩りを添える「Grass & Leaves~organics&living~」
エッセンシャルオイルの香りが漂い、リラックスできる店内
同じく1階にあるのが、オーガニック食材と暮らしを彩る商品を取扱う「Grass & Leaves~organics&living~」。海外で暮らした経験を持つ店主の羽渕聖子さんが、世界各国から選りすぐった食材や器、雑貨などがそろっています。
食材は産地や安全へのこだわりを第一に、羽渕さん自身がおいしいと感じるものやちょっと珍しいものを中心にセレクト。オーガニックを選択肢の一つとして提案し、当たり前のものとして少しずつ浸透していけばという想いを込めています。
身の回りに置きたくなる素敵なパッケージの商品がいっぱい フランスを代表する天然塩の一つ、カマルグ。フルール・ド・セルやきめの粗いグロ・セルなど用途によって使い分けたい ニューヨークに本社を置くミッシェルデザインワークスのソイワックスキャンドルは、香りのイメージが広がる箱も素敵
品質が良く、素敵なパッケージだったらなお良いという観点でも選ばれた品々は、他ではあまり見かけないものも多く、見ているだけで楽しい気分に。シンプルで素朴というオーガニック食材のイメージを良い意味で裏切ってくれます。ジャンルや国を越えた多様なアイテムからはどれも羽渕さんの確かな審美眼が伝わってきて、安心して使える・長く愛用できると信頼して手に取ることができますよ。年内にはオリジナル商品の展開も企画されているそうなので、楽しみにしてくださいね。
陶芸家と現代アーティストのコラボレーションから生まれたクッションプレート
町歩きのひと休みにも立ち寄って
紹介した2軒は通りに面しているので、外から覗いて雰囲気を感じることも
「かまや多治見」の1階には他にも、陶芸作家さんによるカレーのお店があります。1階中央のイベントスペースで展示会を行っていたり、催しがない時はフリースペースになっていて、町歩きの足を休める場所として利用することもできるので、ぜひ気軽に立ち寄ってみてくださいね。
文:豊野 貴子、写真:山本 章貴