叶 匠壽庵が手がける和菓子の桃源郷、滋賀・大津の里山「寿長生の郷」へ

叶 匠壽庵が手がける和菓子の桃源郷、滋賀・大津の里山「寿長生の郷」へ

提供:ことりっぷ

 

琵琶湖から唯一流れ出る瀬田川を下ると、やがて日本の原風景に抱かれた里山が目の前に。その自然豊かな丘陵地に、叶 匠壽庵(かのう しょうじゅあん)が手がける「寿長生の郷(すないのさと)」が広がります。野山を散策しながら、あんみつなどの和甘味やお抹茶で一息ついたり、また6月中旬から7月初旬にかけては梅の収穫体験もできるそう。この夏は、山あいにたたずむ和菓子の郷を訪ねてみませんか。

 

 

ゆったり時間が流れる里山で、四季の移ろいと和菓子を味わって

ゆったり時間が流れる里山で、四季の移ろいと和菓子を味わって 茅葺屋根の風情ある古民家(総合案内所)が迎えてくれる

「寿長生の郷」へは、JR石山駅から車で約30分。駅からはシャトルバスも出ているので、車がなくても気軽に訪れることができます。

「お菓子の原点は農にあり」という考えから、山を開墾し和菓子の原材料を育てるという、とてつもない計画が形になったのは約40年前のこと。今では、6万3000坪にもおよぶ広大な敷地で、材料を育て、お菓子を作り、それを味わうことができる場として地元で親しまれています。

 

(左)夏に咲く蓮は午前中の早い時間が美しい (右上)立派な実をつける香り高い城州白(右下)畑の雑草を食べる働き者のヤギは人気者

自然の地形を生かしたさんぽ道に沿って、野の花を楽しみながら進むと、やがて一面の梅林が広がります。2月から3月にかけて花を咲かせた梅が実をつけるのは梅雨の時期。城州白(じょうしゅうはく)という大粒の梅からは桃のような香りがふわりと漂います。

収穫された梅は、叶 匠壽庵の和菓子や梅酒などの材料となるそう。収穫体験で摘んだ実は、持ち帰って梅酒や梅ジャム、梅干しにしてくださいね。

 

梅林が窓いっぱいに広がる「梅窓庵」

梅林が窓いっぱいに広がる「梅窓庵」 長屋門に掛かるのれんには、和菓子作りに対する創業者の決意が綴られている

苑内には、散策途中にほっと一息つけるスポットがいくつかあります。そのひとつ、「梅窓庵(ばいそうあん)」は、梅林が目の前に広がるお食事&甘味処。立派な長屋門をくぐり、菓子売場を通り抜けた先にあります。

 

梅窓庵の窓際は梅林が望める特等席。テーブル間もゆったり 見た目にも涼やかな「抹茶クリームあんみつ」1,155円

梅窓庵で味わいたいのは、和甘味の王道ともいえる「抹茶クリームあんみつ」。抹茶・ほうじ茶・白寒天に、皮が薄く口当たりのよい大納言小豆の餡や白玉、季節のフルーツ、抹茶アイスクリームが添えられており、あっさりとした白蜜でいただきます。

 

夏にぴったり。爽やかな「梅おろし蕎麦(単品)」1,210円

梅窓庵では、甘味だけでなく滋賀の名物を使った食事も楽しめます。「梅おろし蕎麦」は、滋賀県の伊吹山麓で古くから伝わる伊吹蕎麦が使われており、紀州南高の梅干しと大根おろしでさっぱりといただく一品。他にも、近江牛や近江黒鶏、湖魚が味わえるメニューもあります。

 

庭園を望む静かなお茶室「清閑居」でお抹茶を

庭園を望む静かなお茶室「清閑居」でお抹茶を 茶室の設えは、時節に合わせ月ごとに替えられる

梅窓庵に近くには、本格的な茶の湯を体験できるお茶室「清閑居(せいかんきょ)」も。目の前で淹れてもらえるお抹茶と季節の上生菓子で、お庭を前に穏やかな時が過ごせます。鳥のさえずりや木の葉の音までが聞こえてくるのは、里山の自然に囲まれているからこそ。お茶室の名が「清閑居」というのにも頷けます。

 

「主菓子と抹茶のお茶席」1,650円(写真は春の主菓子)

「お茶席が初めて」という人は、体験教室でお作法を教わることもできます。お茶席、体験とも予約がおすすめですが、空席があれば当日受付もできるので、寿長生の郷に到着したら古民家(総合案内所)や菓子売場で申し込みましょう。

 

「城州白梅 梅ジュ ース」1本1,080円(数量限定)と、「標野(しめの)」1個 216円

お茶室の隣には、寿長生の郷内の工場で作られたお菓子が並ぶ菓子売場があります。
梅を使ったお菓子の代表格「標野(しめの)」は、甘酸っぱい芳醇な梅ゼリー。飛鳥時代の女性歌人である額田王が詠んだ恋の歌にちなんだお菓子です。城州白に加え、赤が鮮やかな露茜(つゆあかね)という梅が使われているそう。

 

ベーカリー&カフェ「野坐」で和菓子屋さんの作るパンを

ベーカリー&カフェ「野坐」で和菓子屋さんの作るパンを 風景に溶け込む和風建築。1階がベーカリー、2階がカフェ

実は、寿長生の郷のある大津市はパンの消費量が全国でも1~2位を争うパンの町。数年前には、苑内にもベーカリーが誕生し、今や開店と同時にモーニングを味わうリピーターさんもいるという人気ぶりです。

 

緑を眺めながら、ゆったりソファーでひと休み

2階のカフェ席も、緑に囲まれた心地よい空間。10時から11時までは、サイフォンで淹れたコーヒーや紅茶に、トーストまたはサンドイッチが付きます。まずは、ここで朝ごはんを食べてから、苑内を散策するのもよさそうです。

 

「選べる野坐のパンプレート(ドリンクセット)」1,540円(11時~の提供) おみやげにもぴったり。「あんこバター」238円

1階のベーカリーでは、国産小麦と天然酵母を使い、低温で時間をかけて発酵させたパンが並びます。なかでも、相性抜群の餡とバターをサンドした「あんこバター」が人気。パン専用に炊き上げられる餡には、地元滋賀で収穫された小豆「浅井大納言」が使われています。

 

天然氷を使ったかき氷と銘菓「あも」

天然氷を使ったかき氷と銘菓「あも」 竹林を望むテラス席は、赤い野点傘が風情たっぷり

おいしいものを味わい、野の自然を満喫したら、寿長生の郷を後にする前に茅葺屋根の古民家でクールダウンを。

日光で天然氷を生産する「四代目徳次郎」の氷を使ったかき氷「氷室守(ひむろもり)」は夏季限定のメニュー。寿長生の郷の入り口近くにある古民家で味わえます。抹茶小豆、完熟あまおうなどがそろいますが、この季節に訪れるのなら、苑内で収穫された城州白とアンズの果肉を合わせた自家製ソースのかかったかき氷がおすすめです。

 

「氷室守 城州白梅」1,320円(アルコールを含みます) 「選べる あも歌留多 香煎茶セット」550円

代表銘菓の「あも」もこちらで楽しめます。一晩かけて蜜をふくませた丹波大納言小豆の餡に、とろけるような羽二重餅が入った「あも」を、食べるときに最中種で挟んでいただきます。最中種には、かるたの聖地・近江神宮に眠る百人一種を色鮮やかに再現。「あも」は、粒餡、こし餡のほか、季節ごとの味から好みのものを2種選べます。

 

古民家で買える店舗限定の梅酒「寿長生の郷 梅蔵」300ml 1,320円、500ml 1,980円

野をめぐり、お菓子を味わい、お抹茶体験や時期によっては梅の収穫ができる「寿長生の郷」。半日から1日かけて、ゆったりした休日が過ごせます。

大河ドラマ『光る君へ』の主人公・紫式部ゆかりの石山寺の前後に合わせて訪れるのもよさそうです。また車で行くなら、宇治田原町の正寿院や、宇治市の平等院へも30分程度の距離。この夏は、ぜひ滋賀の自然豊かな里山で、贅沢な時を過ごしてみませんか。

 

寿長生の郷 梅狩り2024

期間
2024年6月15日(土)~7月7日(日)予定
公式サイト
寿長生の郷

 

 

 

文:戸塚江里子 撮影:道海史佳

 

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