提供:ことりっぷ
本堂の奥に広大な竹の庭が広がる報国寺。古くから竹の寺としても親しまれ、竹林の奥には茶屋「休耕庵」がひっそりとたたずみます。一服の抹茶をいただいて静寂に向き合うひと時を過ごしてはいかがでしょうか。
緑に覆われた美しい山門をくぐって本堂へ
鎌倉駅から京浜急行バス・「浄明寺」バス停下車徒歩約3分
報国寺は足利氏と上杉氏のゆかりの寺院として栄えた臨済宗建長寺派の禅宗のお寺です。創建は室町時代がはじまる少し前の1334年で、孟宗竹が生い茂る竹の寺としても知られ、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」では三ツ星と評されています。
(左上)本堂(右上)鐘楼(左上)本堂裏には枯山水の庭園(右上)竹の庭への入り口
山門をくぐって参道を進み階段を登ると本堂が見えてきます。本堂の左手には茅葺き屋根の鐘楼があり、その屋根を覆いかぶさるように見える大きなイチョウの木は樹齢300年以上にもなるのだそう。春から夏は緑、秋には錦秋の山吹色に境内を彩ります。
竹の庭には本堂の横の建物から。ここで拝観料を納めて入ります。
心地のいい静寂が包む幻想的な孟宗竹の林
「竹の庭」(拝観料300円 抹茶600円)
本堂の奥に広がる竹の庭には孟宗竹が2000本生い茂り、一歩足を踏み入れただけでこれまでとは違う空気が流れるのを感じます。天に向かって真っすぐ伸びる竹で太陽の光が遮られる竹林の中は、静かで幻想的。風にそよぐ竹の葉の地面に舞い落ちるかすかな音が時おり聞こえてきます。
毎日職人さんが手入れをする竹の庭
美しい竹林の奥にほんのりとした明かりの灯る茶屋
竹林の向こうに見え隠れする休耕庵
開山した天岸慧広(てんがんえこう・仏乗禅師)は、この地にお堂を建てて修業をしたといわれています。余暇には詩作も楽しむ静かな晩年を過ごされ、お堂あとに美しい竹が生い茂るようになったのだとか。そのお堂の名前は「休耕庵」。竹の庭の奥にはそんな史実にあやかって茶屋「休耕庵」がたたずみます。
風情ある休耕庵の入り口
心静かに自分自身と向き合う贅沢な時間
抹茶で心和むひと時
赤い毛氈を敷いた茶屋では、しんと静まり返った中に遠くで水の流れる音が響き、まるで刻一刻と過ぎていく時の流れを表しているかのようです。静けさの中で自分を見つめる厳かな気分にもなりますよ。
目の前に広がる竹林
抹茶にはかわいいお干菓子がついてきます。季節によって変わり、取材の時は竹と足利家の家紋である二引き両をかたどっていました。
お懐紙にあしらわれた竹の墨絵は先代の住職によるものです。力強い筆からは、ここで詩作にふけった天岸慧広へとイメージも膨らみます。
丸盆にも竹の彫りが見られる
御朱印帳で結ぶ歴史のある寺院とのご縁
「御朱印帳」(1300円)色は赤・紺・黄緑の3色
お寺ごとに種類や大きさが様々な御朱印帳も竹をデザインしたオリジナル。シンプルで洗練されたデザインは表紙の裏側にも続きます。御朱印をいただいて約700年の歴史がある古刹とのご縁を深めてはいかがでしょうか。
文:高橋茉弓