提供:ことりっぷ
ぽかぽか暖かい小春日和の日には、青空の下で深呼吸でもしたくなるこの頃。そんな気分になったら、京都きってのアートエリア・岡崎にある京都市京セラ美術館内のカフェ「ENFUSE(エンフューズ)」のピクニックセットがおすすめです。京都ならではの味が詰まったランチバスケットを片手に、敷地内の日本庭園や屋上庭園などでピクニックを楽しんでみませんか。
アートの殿堂にあるミュージアムカフェ
1933(昭和8)年築の京都市京セラ美術館
「ENFUSE」へは、京都駅から地下鉄で約20分の東山駅で下車、平安神宮の大鳥居を目指し徒歩で約7分です。
昭和初期に建てられたレンガ造りの京都市京セラ美術館は、2020年のリニューアルオープンの際に、人が集い憩う場として入館料不要のフリーエリアが設けられました。その地下1階にENFUSEがあります。
ガラス張りの明るい店内
「ガラス・リボン」とも呼ばれる軽やかな曲線を描くガラス窓
美術館の伝統を感じる建物とは一転し、カフェはスタイリッシュな雰囲気。地下とはいっても、ガラス窓からは春の陽射しが降り注いでいます。窓の外には、平安神宮の朱色の大鳥居と、通りの向い側の京都国立近代美術館。その風景のなかを行き交う人たちを眺めているだけでも、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
美術館のアートなロケーションでピクニック
ピクニックセットは「お弁当プラン」「サンドイッチプラン」「スイーツプラン」の3種
それでは、さっそくピクニックへ出かけましょう。まずは、あらかじめ予約しておいたセットをお店で受け取ります。フードやドリンクの他にも、下に敷くラグや手ぬぐい、読みものなどがセットになっています。
新館の屋上庭園「東山キューブテラス」
ここで重宝するのが、スタッフ手作りの美術館マップ。敷地内で飲食のできる場所が記されています。美術館でピクニックができるというだけでも驚きなのですが、そのロケーションにもビックリ。芝生あり、ベンチあり、さらに京都らしく日本庭園までもがあります。この日は、屋上庭園でお弁当を広げることにしました。
「お弁当プラン」1800円(2日前の19時までに要予約)
お弁当の蓋を開けるときのワクワク感、大人になってもやはり楽しいものです。塗りの曲げわっぱのお弁当箱には、京都の味が詰まっています。
ごはんは京都産の赤米、鮭は白味噌に漬けた西京焼きで上品な甘みが持ち味。また、近くの南禅寺は湯豆腐が名物でもあり、付近にはおいしいお豆腐屋さんがあることでも知られています。そのなかの一軒、京豆腐 服部の飛龍頭(ひろうす)の煮物は、出汁がジュワ~とあふれてきます。菜の花のお浸しが添えられているのも、春らしくて素敵ですね。
食後のデザートは、焼き菓子とコーヒー・紅茶・ほうじ玄米茶から選べるドリンクで。本を読みながら、アートめぐりの計画を立てるのもよいかもしれません。
レトロ感いっぱいのプリンアラモードと本格コーヒー
「ケーキセット(プリンアラモードとドリンク)」1350円
美術館を楽しんだら、今度は店内でほっとひと息しましょう。プリンアラモードは銀の器に盛られた懐かしい雰囲気。京都に根付く喫茶文化を意識して、あえてレトロな形にしているそうです。主役のプリンは、シナモンや八角が香る爽やかなもの。大人になってから食べるからこそ、おいしく感じられる新感覚のスパイスプリンでした。
自慢のコーヒー豆はおみやげとしても購入できる
また、セットのカフェラテもこだわりの一杯です。「農業を勉強していたので、コーヒー豆が植物の種に見えたんです。それをきっかけに、本格的にコーヒーに取り組むようになりました。自社で焙煎したスペシャルティコーヒーを使い、ラテは深煎り、そのままで飲むドリップコーヒーは浅煎りで、もちろん豆の種類も変えています」と店舗責任者の内藤さん。
アート鑑賞の合間に立ち寄るだけでなく、カフェ目的だけでも訪ねたくなるENFUSE。最後に、春におすすめのピクニックスポットを内藤さんに伺ってみました。「美術館内なら疏水に面した南側の桜並木がおすすめです。平安神宮前の芝生は枝垂れ桜がきれいですよ」。
美術鑑賞や岡崎散策のもう一つの楽しみとして、お弁当をもって桜の木の下でピクニックをしてみませんか。
文:戸塚江里子 撮影:保志俊平