北陸を代表する山である白山は、富士山・立山と並び、日本三名山および日本三霊山の一つ。古くから信仰の対象とされ、人々に愛されてきました。また、夏は美しい高山植物がたくさん見られ、多くの登山者が集まります。そんな白山の絶景と撮影テクニックを、写真家の高橋智裕さんがご紹介します。
写真家
高橋 智裕(たかはし ともひろ)さん
1973年4月生まれ、福島県いわき市出身。現在、長野県上田市在住。JPU 協同組合日本写真家ユニオン理事/JSPA 日本風景写真家協会会員。内閣官房・内閣府主催 伊勢志摩サミットフォトコンテストで優秀賞を受賞し、首相官邸にて表彰を受ける。「写真」は「写心」の気持ちを忘れることなく、自然との共存、自然からの声をテーマに、情景的な風景を求めて全国をまわり、作品作りに尽力している。防災啓発活動をする「防災ジャーナリスト」としての顔も持つ。
日本三名山・日本三霊山の白山へ
白山国立公園内に位置する白山(はくさん)は、標高2,702mの御前峰(ごぜんがみね )、2,677mの剣ヶ峰 (けんがみね)、2,684mの大汝峰(おおなんじみね)の「白山三峰」を中心とした、周辺の山峰の総称です。
白山国立公園は富山・石川・福井・岐阜の4県にまたがり、それぞれに登山口がありますが、石川県白山市側から登るのが定番。早朝にスタートして日帰り登山をする人も多いですが、途中には宿泊可能な山小屋「白山室堂(はくさんむろどう)」もあります。
登っている途中、見上げるように撮影すると白山の高さを表現することができるでしょう。
白山は花の百名山でもあり、夏はたくさんの高山植物をおさめられます。
緑の中を天に向かって伸びる石段を撮影すると、高度感が出ます。
神の住む場所のような、幻想的な霧の中のつづら折りをおさめました。花を手前に入れることで、おどろおどろしさを軽減できるでしょう。
途中にあるわき水の「延命水」。ひと口飲むと3年長生きすると言われています。
山小屋「白山室堂」を過ぎ、頂上へ向かう坂道の中腹で振り返ると、室堂を眼下に見下ろせます。赤い屋根の天空の山小屋感を出しつつ、夏の雲を入れることで雄大さも表現できるはず。
手前に木を入れ、遠くに見える山々の奥行きを強調してみました。
こちらが、白山最高峰の御前峰。
御前峰山頂付近には「白山神社奥宮」が鎮座しています。
御前峰の上に太陽を囲んだハロ(光の環)が出ていたので、山を潰して強調。思い切って露出アンダーにすることで、幻想的な表現が可能です。
山頂付近には池が点在しており、「お池巡り」と呼ばれるコースがあります。下山時間に余裕がある場合は、ぜひチャレンジしてみてください。
白山は登山道もしっかり整備されていて、夏の登山では危険な箇所はほとんどありません。ただし、自分のペースで登り、決して無理をしないよう注意してください。
白山
- 住所
- 石川県白山市白峰
- アクセス
- 【電車・バス】JR「金沢」駅から白山登山バスに乗車し、終点「別当出合登山口」バス停下車
撮影・文/高橋 智裕