高速・観光バス各社が取り組む新型コロナウイルス感染防止対策

日常生活はもちろんのこと、移動や旅行のあり方にも多大な影響をもたらしている、新型コロナウイルス。交通手段のひとつである高速バス・観光バスにおいても、取り組みが進んでいます。中でも柔軟で個性的な取り組みを行う「WILLER EXPRESS」、「高松エクスプレス」、「さくら観光バス」、「はとバス」の4社の事例から、コロナ禍におけるバス会社各社の工夫をご紹介します。

マスク着用・アルコール消毒・検温を確実に行っているバス事業者

乗客の皆様に安心してご利用いただくために、下記バス会社は乗車前にマスクの着用確認・乗客の皆様の手指消毒・検温を徹底しております。乗車時の検温で37.5度以上だった場合は、乗車をご遠慮いただく場合がございます。

 

杉崎観光バス

運行路線:東京~大阪・名古屋・浜松

ユタカコーポレーション

運行路線:東京~大阪・名古屋

広栄交通バス

運行路線:東京~大阪、埼玉~群馬

琴平バス

運行路線:東京~四国

森山(ブルーライナー)

運行路線:京都~福岡

西東京バス

運行路線:東京~北陸

 
神姫観光バス

運行路線:大阪~丹後・東京

 

 

三密回避と衛生管理を徹底する「WILLER EXPRESS」

WILLER EXPRESS

そもそも高速・観光バスというと、長時間におよび密室で過ごすため、感染リスクへの不安を持たれる方も多いはず。そんな中、徹底した3密回避と衛生管理に取り組むバス会社のひとつが、全国各地へ手頃な価格で高速バスを運行する「WILLER EXPRESS(ウィラー・エクスプレス)」です。

高い座席仕切りやフェイスカバー、換気で3密を回避

WILLER EXPRESS

まずは、車内での3密回避について。バス乗車時、隣席との距離は気になるところですが、各座席の間に設置されている仕切りの高さを、顔の位置ほどまで大幅にアップ。これにより、周囲との飛沫接触を避けるとともに、乗車中のプライベート感も向上しました。

WILLER EXPRESS フェイスカノピー

さらに各客席には、顔を隠せるカノピーに加え使い捨てのフェイスカバーを装着することが可能です。
※フェイスカバーは運行ごとの使い捨てとし、ご希望のお客様にのみお渡しします。カノピーへのフェイスカバー取り付けはお客様ご自身でお願いします。

また、換気しづらい印象のあるバスですが、常時エアコンは「外気モード」にして運行。そのため、車内の空気は常に約5分ですべて入れ替わるようになっています。

▼車内換気の様子を動画で見る

乗客への呼びかけを通じてより高い水準を目指す、衛生対策

▼車内清掃の様子を動画で見る

車内の衛生への取り組みも進めています。車内では、運行終了ごとに徹底したふき取り除菌清掃を実施。バス乗降口には、アルコール消毒剤が設置されているので、乗客自身も手指の消毒を随時行うことができます。

ほかにも、乗務員・受付係員は検温の上、マスクを着用。接客時にはフェイスシールドと手袋も着用しています。
※熱中症予防のため、マスクのみの着用とさせていただく場合がございます。

WILLER EXPRESS 衛生管理について乗客へも協力を呼び掛ける

衛生・健康管理については、乗務員に限らず、乗客への呼びかけも徹底しています。バス乗車前には、乗客全員に対して非接触体温計による検温と、手指のアルコール消毒を実施。乗車と検温を待つ間は、フィジカルディスタンスを確保できる目印に沿って並びます。

もし検温で37.5度以上の熱があった場合には乗車ができませんが、キャンセル料はかからず、全額返金してもらえるのは安心できるポイント。

そのほか乗客には、乗車中のマスク着用や、ブランケット貸し出し中止にともなって体温調整しやすい服装での乗車が呼びかけられています。バス各社に広がりを見せている感染防止対策ですが、乗る側にも一層マナーを守った行動が求められます。

業界初のコロナウイルス追跡システムを導入した「高松エクスプレス」

高松エクスプレス

続いて紹介するのは、香川県高松市と神戸・大阪市街地などを結ぶ高速バスを運行する「高松エクスプレス」の取り組み。

バス車内の換気をはじめ、隣の空席を確保する「隣席ブロックシステム」(4列シートのみ)、医療用抗菌カーテンの導入(3列独立シートのみ)といった3密対策や、車内の除菌・消毒の徹底、乗車前の検温といった衛生対策も実施。中でも、注目すべき取り組みが、コロナウイルスを追跡する新システムです。

「追跡システム」で、同乗者の感染が発覚したら通知が届く

高松エクスプレス コロナウイルス追跡システム

新たに導入された「コロナウイルス追跡システム」は、もしも自分が乗車したバスの同乗者にコロナウイルス感染が発覚した場合に知らせてくれるシステム。

車内の座席ポケットにあるQRコードを読み込み、専用フォームにメールアドレスと乗車便名を入力すれば、簡単に通知を受け取ることが可能。さらに、万が一、通知があった際には、最寄りの保健所や市役所、コールセンターを案内してもらうこともできます。

「西日本ジェイアールバス」が、高速・一般すべての運行便で追跡サービスを導入

西日本ジェイアールバス

こうした取り組みは広がりを見せており、大阪を拠点とする「西日本ジェイアールバス」は高速バス(京阪神~東京・名古屋・四国など各地)と一般路線バス(京都市内・金沢市内など)の全運行便で、新型コロナウイルス追跡サービスを導入。車内に掲示されたQRコードを読み取り、空メールを送信すれば登録が完了します。
※西日本ジェイアールバス運行便のみのサービスとして開始いたします。
※西日本ジェイアールバスでは、接触機会の低減並びに窓口での混雑緩和を図るため、インターネットでの乗車券予約・購入を推奨しています。
 

バス車内の衛生対策に尽力している「さくら観光バス(ミルキーウェイエクスプレス)」

さくら観光バス(ミルキーウェイエクスプレス)

埼玉を拠点に、全国各地で高速バスを運行している「さくら観光バス(ミルキーウェイエクスプレス)」。こちらも、乗務員の体温測定やマスクの着用、乗客への手指消毒とマスク着用の呼びかけ、車内換気やアルコール除菌による車内清掃の強化といった基本的な対策に取り組んでいます。

バス車内にはオゾン発生装置を装備

さくら観光バス(ミルキーウェイエクスプレス) オゾン発生装置を設置

特に力を入れているのが、衛生対策。バス車内には、消毒用スプレーと次亜塩素酸の除菌シートを完備。乗客自身が気軽に手指を消毒したり、手が触れる場所を拭いたりできます。

さらに車内には、「オゾン発生装置」を設置。オゾンは一定の濃度と放出時間によって、コロナウイルスを不活化させるという研究結果もあり、最先端の知見に基づいた衛生環境への配慮がなされています。

細やかな対策を取り、東京観光バスを運行再開した「はとバス」

はとバス

首都圏を中心とした観光・バスツアーで人気を集めている「はとバス」も、これまで紹介してきたようなバス車内の3密回避・衛生管理対策を実施の上、運行を再開しました。

車内のみならず、営業所や待合所でも感染防止に向けた取り組みを実施。受付窓口に飛沫感染防止用の透明シートを設置する、不特定多数の人が触れるパンフレットラックは撤去し窓口での手渡しに限定する、待合所の座席シートで隣の人との距離を確保できるよう目印をつける、など細やかな対応を行っています。

バスなのに「密」にならない2階建てオープンバスから運行

はとバス 2階建てオープンバス「'O Sola mio(オー・ソラ・ミオ)」

運行を休止していたはとバスが、いち早く6月13日より運行を再開したのが、2階建てオープンバス「'O Sola mio(オー・ソラ・ミオ)」。屋根がなく、開放感抜群のオープンバスなので、車内に空気がこもることを気にせず過ごせます。バスの座席も、フィジカルディスタンスを考慮した配置なので、車内で心地よい風を感じながら、接触リスクが少ない状態で東京観光を楽しめます。

最初に運行再開となった「TOKYOパノラマドライブ」は、東京タワーやお台場、銀座などの名所をめぐる約1時間のドライブコース。東京湾にかかるレインボーブリッジからの絶景は見逃せません。


乗車時間が長くなる傾向がある観光・高速バス。そんな車内でも安心して過ごしてもらえるようにと、バス各社が力を入れている感染症対策をご紹介しました。

各社の3密対策や衛生管理の取り組み事例は、今後の新しいスタイルとなっていくことが予想されます。一方で、マスク着用や検温など、バス会社側だけでなく乗客側も安心な運行づくりに協力することが求められます。事前に各社の取り組みをチェックして、旅の計画の参考にしてみてください。

文/市川茜

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