石川県にある奥能登の名物、輪島朝市。1000年以上の歴史を持つと言われており、色とりどり種類豊富な鮮魚が手ごろな価格で並びます。歩くだけでも楽しい活気あふれる市場では、安くておいしい海鮮を食べ比べたり、テイクアウトスイーツやかわいらしい輪島の工芸品土産を探したりできる、女子旅にもおすすめの場所! 輪島の名産品がたくさん詰まった輪島朝市に出かけてみましょう。
1000年以上の歴史を誇る輪島朝市
早朝からズラリと露店が並ぶ輪島朝市ですが、平安時代には神社のお祭りなどに合わせて魚や野菜などを物々交換していた記録が残っています。その後、明治時代には毎日市が立つようになり、輪島の生活に欠かせない存在となりました。
今でも、悪天時と月に2回の定休日を除いてほぼ毎朝市が立ち、1000年を超える朝市の歴史が重ねられています。
露店の数は200以上!日本三大朝市の一つ
輪島朝市は、通称「朝市通り」と呼ばれる全長360メートルほどの商店街に開かれます。露店の数は200以上! その規模から、日本三大朝市の一つとされています。
目の前に広がる日本海の海産物を中心に、惣菜、干物、食べ歩きグルメやスイーツに雑貨のお店、飲食店など様々なお店が立ち並びます。地元の方だけでなく、観光客も多く訪れる今や人気観光スポット。開催時刻は8:00~12:00ですが、11:00以降は片づけに入るお店も出てくるので、早めに訪れるのがおすすめです。
金沢からバスで約2時間!輪島朝市へのアクセス
輪島までは、金沢駅前から高速バス「輪島特急線」に乗車。輪島や奥能登の交通拠点であるバスターミナル「輪島駅前」まで約2時間で到着します。
- 時刻表など詳細
- 北陸鉄道バス公式Webページ
「輪島駅前」から朝市まで歩くと約15分。ですが、少し変わり種の市内巡回バスもおすすめです。「WA-MO(ワーモ)」は見ての通り、ゴルフカート。一般的なバスよりさらにステップが低く、街並みを眺めるのにもちょうど良いこの「バス」は無料で乗車できます。
1時間に1~3本程度運行している「周遊内回り」コースに乗り、朝市の最寄りバス停「足湯湯楽里」まで約5分で運んでくれます。
- 時刻表など詳細
- WA-MO 公式Webページ
車で向かう方は金沢から「のと里山海道」経由で約2時間。およそ100キロメートル以上のドライブになりますので、ガソリンにはくれぐれもご注意を。
さっそく海鮮ざんまい!自分で目利きした素材で豪華朝ごはん
お店の方との交流も楽しい食材探し
まずは、朝市ならではの新鮮な魚介を食べておきたいところ。輪島朝市には、海鮮丼屋や鮮魚を使った定食屋など飲食店は数々揃いますが、露店で購入した食材を持ち込むと調理してくれる食事処も多数営業しています。せっかくの朝市なら、魚屋さんをめぐりながら自分で目利きした食材で豪華朝ごはんをいただきましょう!
年間を通して種類豊富な輪島朝市の魚介は、見た目にもとてもカラフル! 能登ならではの珍しい魚介類に出会えたり、都心よりずっとお買い得だったり、驚きの連続で、歩くだけでも飽きません。
各露店には、名前の書かれた札が出されていて、親しみやすい雰囲気。「寄ってくだぁ?(寄って行かない?)」など、能登弁での気さくなコミュニケーションも、朝市の大きな魅力の一つです。輪島朝市の皆さんは、とても聞き上手で、サービス精神も旺盛。まとめて買ったり、いろいろ組み合わせると安くなったりする…かも? 気軽に会話を楽しんでみてください。
せっかくなら、この土地ならではの味を。注目したいのが、のどぐろです。首都圏ではなかなか出回らない「幻の魚」に、輪島朝市では基本的に年間を通して出会うことができます。水深およそ200メートルの海底でえびやかにを食べ続けた能登ののどぐろには、おいしい脂がたっぷり乗っています!
※のどぐろその他鮮魚の販売状況は、その日の漁獲高次第で異なります。
日頃見かける機会の少ないのどぐろの他、珍しい魚も多い輪島朝市。食べ方に悩んだら、お店の方に相談してみましょう。甘えびの殻はみそ汁の出汁に、のどぐろは表面をさっと炙って…など、食材の状態に合った食べ方を教えてもらえます。
お店の方が捌いてくれる露店も多く、3枚卸しなど基本的なしたごしらえをしてもらったら、食材探しは完了! 今回は、のどぐろ、紅鯛(あかだい)、あじ、甘えび締めて1,500円分を購入し、お店へ持ち込みます。
買った魚を調理してもらえる食事処で新鮮・豪華な朝ごはん
朝市通りの中ほどにある食事処「のと×能登」で調理をしていただき、1,500円のお買いものが驚くほど豪華な朝ごはんに! 調理代1,050円に、300円でご飯とアラのみそ汁を付けて、総額2,850円とは思えないボリュームです。
甘えびは、上品な甘さが口いっぱいに広がるお刺身に、頭や殻は露店で教えてもらった通りみそ汁の出汁にしてもらいました。えびの深い旨味を堪能できる一杯です!
のどぐろ、紅鯛、あじはそれぞれ1匹ずつをお刺身に。のどぐろも、教えてもらった通り皮目を炙ってもらうと、にじみ出る脂がほんのり香ばしく、引き締まった身は一層弾力ある食感に! 捌きたての紅鯛やあじも、臭みがなくすっきりとしています。能登の豊かな里山から海へ流れ出たプランクトン豊富な水をたっぷり吸収するため、このあたりで獲れる魚は旨味を増すのだとか。能登の海の清らかさを実感するような、新鮮な海の幸を味わえます。
「のと×能登」では、魚の持ち込み以外にも、地場産のお米や魚介を使った海鮮丼を始め、種類豊富な能登のお料理を提供してくれます。輪島の海の幸を自由に楽しんでみてください!
のと×能登
アツアツ干物をいただける!炭火コーナー
持ち込みの食材をその場で調理できる場所といえば、「炭火コーナー」も外せません。「のと×能登」のすぐそば、朝市通りの中程にある、七輪が無料で利用できるスペースです。紙皿と割り箸も自由に使えるので、好きな素材を持ち込めば輪島朝市の味を焼きたてで楽しめます。
ぜひいただきたいのは、干物。輪島朝市では鮮魚もさることながら、干物の取り揃えも豊富です。多くの場合、製塩業が盛んな能登の塩や、奥能登の伝統的な魚醤「いしる」を使って味が整えられており、能登のおいしさがたっぷり詰まっています。
特によく見かける干物は、ふぐの一夜干し(写真右)。価格は時価により異なりますが、都心で見るよりも手頃で、天然ふぐの漁獲高が日本一の能登地方ならではの商品です。
能登の塩で身が締まった干物は余計な水分が抜けているので、表面をさっと炙るだけで十分です。焼きあがると、表面は弾力があるのに、ほぐせば身はふっくら! ふぐ(写真左)は、白身のしっとりとした食感と上品な甘みを口いっぱいに感じられます。干物の定番である赤魚(写真右)も、ぱさぱさとした舌ざわりを感じず、いつもの魚との違いを実感できるはず。
炭火コーナー
- 住所
- 石川県輪島市河井町本町通り
- 営業時間
- 8:30~11:30
- 定休日
- 第2・第4水曜、1月1日~3日 ※臨時営業する場合あり
- 料金
- 利用無料
朝市通りで能登のおやつも食べ歩き!
朝市通りで楽しめるのは、海鮮だけではありません。おいしい魚のあとには、輪島ならではのスイーツやおやつを食べ歩きして楽しみましょう!
ゆずの酸味と能登牛ミルクがマッチする「ゆずぐるとソフトクリーム」
輪島の甘いものといえば、「柚餅子(ゆべし)総本家 中浦屋」が有名です。1910(明治43)年創業の老舗で、店名にもある柚餅子という柚子風味のお餅が名物。ですが、ここではぜひ朝市の新名物となったスイーツをいただきましょう。
周辺に何軒か点在する中浦屋の中で、朝市通りの東側で錦川通りとの交差点あたり「本町店」だけで取り扱いがある「ゆずぐるとソフトクリーム」(400円)です。能登の段々畑でおひさまをたっぷり浴びて育ったゆずの酸味が、コクのある能登牛のヨーグルト風味のミルクと絶妙のコンビネーションを繰り広げます。さっぱりとしていて、海鮮をお腹いっぱい食べたあとでもぺろりといただけます。
柚餅子総本家 中浦屋 本町店
笑顔を呼ぶ優しい甘みの「えがらまんじゅう」
朝市のほぼ西端にある「えがらまんじゅうの店 つかもと」の「えがらまんじゅう」(1個150円)も昔からの名物。朝市通りの路面店と、朝市開催時間中は店頭の露店でこまめに蒸して提供しています。
もち米をクチナシの実で黄色く染めて蒸しあげた、目にも鮮やかなおまんじゅう。色だけでなく、クチナシが香るお米に包まれた甘さ控えめでホクホクのあんこは、食べる人の笑顔を呼ぶ優しい味です。
ご主人いわく、2015年能登が舞台のNHKテレビドラマ『まれ』が輪島市内でロケを行なっていた頃は、出演俳優さんたちもこの味を求め来店されていたそう。輪島を代表する昔ながらの味を堪能してみてください。
えがらまんじゅうの店 つかもと
- 住所
- 石川県輪島市河井町朝市通り
- 営業時間
- 8:00~20:00
- 定休日
- 第2・第4水曜
- 電話
- 0768-22-0672
輪島の魚醤が香ばしい「いしるせんべい」
甘いものだけでなく、しょっぱいおやつも。朝市通りの和菓子の老舗「栄煎堂(えいせんどう)」の名物「いしるせんべい」(465円、5枚入り)は、その名の通りいしるを効かせてパリッと仕上げたせんべい。一口噛むたびに、香ばしさとほのかなしょっぱさが広がって止まらなくなる味わいです。
いしるは、新鮮な魚を1~2年漬け込んで発酵させた調味料。魚介独特の風味があって、せんべいや黒ごまの香りと相性は抜群です。袋詰めになっているので、食べ歩きにもお土産にもおすすめ。
栄煎堂
お土産も、朝市ならではの銘品を!
朝市を訪れたら、おいしいものや名物を自宅にも持ち帰りたいですよね。食べ物から工芸品まで、輪島の銘品が揃う朝市でお土産も探しましょう!
深海魚が豊富!珍しい魚を探してみよう
能登沖から富山湾にかけての水深が深いため、輪島朝市では深海魚が多く売られています。店先のあちこちに並ぶどっしりとした面構えのあんこうも、日によりますがお値打ち価格で手に入れることができますよ。
能登で「くにゃら」と呼ばれているこの魚は、「げんげ」という名の深海魚。ゼラチン質の身はとても柔らかく、唐揚げや煮付けに最適です。
旅行中だと買った魚の持ち運びに困ってしまうこともありますが、ほとんどの露店が配送に対応しているので安心です。えび、かに、はたはたなど、旬ごとに珍しい魚を探してみてください。
お料理の幅を広げる、いろいろな「いしる」
先ほどのいしるせんべいや、このあたりの地域で調味料として広く使われているいしるは、朝市の各所で購入可能。同じいしるでも発酵させる魚の種類によって色も風味も異なります。写真は左から、いわしのいしる・いかのいしる・さばのいしる(各550円)。焼き魚や煮物にかけるだけでなく、たとえばいわしのいしるはペペロンチーノやペスカトーレに少量かけると抜群の風味を醸します。1本あれば、お家の料理の幅をグッと広げてくれるはず。
醤油の入手が難しかった時代は、各家庭で魚を漬け込んでつくられていた、いわば輪島のソウルフード。まさにこの土地ならではのお土産です!
一生のパートナーになるかも!?美しい輪島塗
輪島朝市には、食べ物だけでなく工芸品などの雑貨も多く取り揃えられています。名産品である輪島塗の漆器は、およそ1年をかけて100を超える繊細な工程ののちに完成。見た目の美しさだけでなく高い耐久性も特徴です。
お椀であれば500円程度から購入可能。10回塗り、20回塗りなどうるしを塗った回数で価格が違うので、光沢の具合を見ながらじっくり選びましょう。動物や風景が描き込まれた絵付けは、色鮮やかでどれも表情豊かなものばかり。毎日の食卓をともにできる、一生のパートナーとなる食器に出会えるかもしれません。
衣料品も種類豊富に販売されています。中でもひときわ目を引くかわいらしいキャラクターグッズを発見。『キューティーハニー』や『マジンガーz』(各2,800円)のTシャツです。
こちらの露店は、「永井洋服店」の前にあります。数々のヒット漫画作者・永井豪さんのご親戚が経営されており、特別に許可を得てオリジナルTシャツを販売しているのだとか。限定のキャラクターグッズをお土産に探してみてくださいね。
輪島朝市
- 場所
- 石川県輪島市河井町周辺
- 開催時間
- 8:00~12:00
※露店により異なります。
※売り切れ次第終了となる露店もあります。
- 休業日
- 毎月第2・第4水曜、1月1~3日
※天候次第では臨時休業になります。
- アクセス
- 【バス・徒歩】金沢駅(輪島特急線)→「輪島駅前」バス停(徒歩、もしくは市内循環バス)→「足湯湯楽里」バス停 約2時間15分
【車】金沢市内→のと里山海道経由→輪島朝市 約2時間
写真提供:輪島市観光協会
輪島朝市には、海鮮はもちろん、食べ歩きできるスイーツや輪島ならではのお土産、素敵な工芸品雑貨など、女子旅で訪れたいスポットがたくさんありました。朝市から徒歩圏内には、能登のお祭りで使われる立派な燈籠(とうろう)が見学できる「キリコ会館」や、「輪島塗会館」などの他にも、輪島温泉のお湯を引いた足湯「湯楽里」といった、温泉地ならではの立ち寄りスポットも楽しめます。
車でおよそ15分のところには、世界農業遺産「白米千枚田(しろよねせんまいだ)」から続く、海岸線の美しいドライブルートもあり、いつ訪れても季節ごとに移り行く景色を堪能することができます。輪島朝市を始め、能登のさまざまな恵みを授かりに旅を計画してみてくださいね。
取材・撮影・文/宮武 和多哉
※記事中で紹介した鮮魚の販売状況は、その日の漁獲高次第で異なります。