日本屈指の米どころ・酒どころとして知られる、新潟県南魚沼市の「魚沼の里」。日本酒「八海山」を手掛ける八海醸造がプロデュースしており、魚沼の暮らしや雪国の文化を体験できる施設です。約7万坪の広大な土地に、日本酒の貯蔵庫を始め、飲食店やカフェ、ガーデン、地ビール醸造所なども擁する、一日のんびりと過ごしたい場所。温泉やスキー、アウトドアで人気の越後湯沢駅からもアクセス良好なので、立ち寄りスポットとしても最適です!
越後湯沢駅からおよそ40分、「魚沼の里」へ
「魚沼の里」は、全国的に有名な魚沼の日本酒メーカー「八海醸造」が手掛ける施設です。きれいな水をたたえ、恵まれた大地にある魚沼。魚沼産コシヒカリを始めとする農作物や、日本酒造りなど、雪国ならではの食にまつわる文化が古くから育まれてきました。そんな魚沼の暮らしや雪国の文化を伝えることをテーマにしているのが、ここ魚沼の里です。
銘酒の名前にもなっている霊峰・八海山のふもと、のどかな田園風景の中に魚沼の里はあります。約7万坪もある広大な敷地には、日本酒の酒蔵はもちろん、地ビール醸造所や食堂、さらに発酵食文化が根付くこの地ならではの商品が並ぶショップやカフェなどが点在しており、1日かけてのんびりと散策するのがおすすめです。
魚沼の里までは、越後湯沢駅からJR上越線の長岡行きに乗り約30分、「五日町」駅で下車すると便利。駅から車で約10分の距離ですが、路線バスは通っていないのと、施設内ではお酒の試飲サービスがあることを踏まえて、駅の到着時刻に合わせあらかじめタクシーを予約して向かうのがおすすめです。
雪国ならではの知恵や食文化を体験!八海山雪室
到着したらまず立ち寄りたいのが、「八海山雪室(ゆきむろ)」です。日本酒の貯蔵庫である「雪中貯蔵庫」の見学や、カフェに売店、キッチン雑貨店などが集まる場所。雪国の暮らしと食文化にさっそく触れてみましょう。
約1,000トンもの圧巻の雪量!雪中貯蔵庫見学ツアー
八海山雪室の目玉とも言えるのが、「雪中貯蔵庫見学ツアー」。1日10回(10:30~15:30の間)開催されており、日本酒や焼酎の貯蔵庫を案内してもらえます。参加は無料で、所要時間は15分程度。八海山雪室内のレジカウンター横で、当日に受付。各回の定員は15名なので、特に休日は時間に余裕をもった申し込みをおすすめします。
いざ「雪中貯蔵庫」の中へ。その名の通り、雪の冷気で庫内を冷やす日本酒の貯蔵庫のことで、使われている雪はおよそ1,000トン! 広々とした空間を継続的に冷やし続けるための雪室には、圧倒されます。ひんやりとした冷気に包まれ、日本酒を約36万リットル仕込んだ貯蔵タンクがずらりと並びます。
一般的に日本酒を冷やすときには、電動で温度調節された貯蔵タンクを使用しますが、雪室貯蔵は雪のもつ自然エネルギーによって静かに貯蔵されるため、まろやかな味に仕上がります。雪国ならではの知恵が活かされた、エコな貯蔵庫なのです。
室内の温度計は、2.7度。貯蔵庫内は真夏でも4度前後の室温が保たれているため、寒さが心配な場合は上着の用意があるとよいでしょう。
試飲カウンターで日本酒テイスティング
見学ツアーのあとは、雪室と同じ建物内にある試飲カウンターで約10種の日本酒をテイスティングすることが可能。貯蔵庫見学の際に同行・案内してくれたスタッフがカウンターに立ち、おすすめの日本酒の紹介や、一人ひとりの好みに合わせた提案もしてくれますよ。
ここではぜひ、見学した雪室で3年間熟成させた「純米吟醸 八海山 雪室貯蔵三年」の試飲を! とてもまろやかな仕上がりをぜひ体感してみてください。
甘いお酒も楽しみたいという女性におすすめのお酒も。「八海山 貴醸酒」(写真左)は、とろっとした上品な甘さが特徴。貴醸酒とは、三段仕込みの最終段階を水ではなく清酒で仕込む製法で造られた日本酒のことを言い、贅沢な味わいが堪能できます。他にも、日本酒の原酒で仕込んだうめ酒、ハチミツのように甘い本みりんなど、この機会にいろいろと試してみてくださいね。
見学ツアーに参加しなくても、テイスティングだけの体験も可能。見学の時間が取れない方は、開催場所である「焼酎貯蔵庫」付近へ直接向いましょう。
米・麹・発酵をテーマにしたアンテナショップ「雪室 千年こうじや」
試飲を終え、さらに同じ建物内を進むとあるのが「雪室 千年こうじや」。米・麹・発酵をテーマにした様々な製品が揃うショップです。
カウンターで試飲したお酒も、気に入ったものはここで購入できます。旅行中にはうれしい、小さな瓶に入ったお酒もあるので、お土産の持ち運びにも便利です。
ずらりと並ぶ日本酒の中でも注目は、「魚沼で候」(720ml 1,050円・税抜)。新潟県でも魚沼地域だけでしか販売されていない、お酒好きならぜひ買って帰りたい一品です。麹と米の芳醇な香りを味わってみてください。
お酒だけでなく、おつまみ類も充実。鮮やかさに目を奪われる、こだわり野菜を漬けたピクルス(619円・税抜)は、四季折々の野菜がより優しい味わいに感じられると評判の商品です。何種類ものこだわりのスパイスが入った酢で漬けてあるのが、おいしさの秘訣。
氷点下まで気温が下がる季節に乾燥させた「寒干(かんぼし)大根」や、豪雪地帯で作られる豆の保存食「打豆」など、この土地ならではの食材も販売。楽しくお買いものしながら、魚沼の食文化に触れる機会になるはずです。
清酒・八海山を使用したスキンケア「cotte(コッテ)」
お酒や食べ物以外の製品も人気を集めています。清酒・八海山から生まれたスキンケアシリーズ「cotte(コッテ)」です。すべての製品に清酒・八海山を配合。八海山系の伏流水である極軟水を使用したり、自然素材を厳選したりと、成分にとことんこだわっています。
中でも、日本酒をたっぷりと約10%も配合したハンドクリームは、季節を問わず使用できておすすめ。リッチな質感で伸びがよく、ベタつくことなく手肌にしっかりと潤いを与えてくれます。便利なミニサイズもあるので、ポーチに1本しのばせておきたいですね。
ちょっと一息したいときに「ユキムロカフェ」
館内には、カフェスペースも。「ユキムロカフェ」では、窓の外に広がる里山の自然を眺めながら一休みすることができます。
コーヒー豆を雪室で眠らせることで、すっきりまろやかな味わいになる「雪室珈琲」(360円)や、米麹の自然な甘みが引き立つ「麹ラテICE」(360円)など、この場所ならではのカフェメニューをぜひチェックしてみてください!
八海山雪室
- 電話
- 025-775-7707
- 営業時間
- 10:00~17:00
- 定休日
- 1月1日
- 雪中貯蔵庫見学ツアー
- 当日申込制(1日10回開催)
まるでまかない!?ゲストにも「同じ釜の飯」を
ランチタイムにおすすめなのは、「みんなの社員食堂」。その名の通り、ここは社員食堂。「同じ釜の飯を食べる」ことを大切にしている八海醸造では全社員がこの食堂を利用します。
ですが、お昼の時間帯に限り一部において一般開放を実施。社員でなくても、地元の方や観光で訪れた方、魚沼の里に来たすべての人がここで食事を楽しむことができます。
しっかりとパワーチャージできる「日替わり定食」(800円)の他、一般ゲスト専用の「八海定食」(1,000円)が人気。メインのおかずは肉と魚から選べ、お肉は塩麹漬けをソテーしたもの。お魚は、砂糖の代わりに甘酒を使用した煮つけです。小鉢は旬の野菜の漬物など、魚沼の家庭でふるまわれる食事を意識した献立。ご飯はもちろん、魚沼産コシヒカリをいただけます!
みんなの社員食堂
- 電話
- 0800-800-3865
※お客様相談室(平日9:00~17:00)
- 営業時間
- 11:00~15:00
※限定数に達し次第終了
- 定休日
- 1月1日
敷地内には、他にもランチをいただけるお店が。清酒・八海山と一緒に楽しみたいこだわりの手打ちそばなら「そば屋 長森」、南魚沼の市街地を一望しながら出来たてのビールとおつまみで軽く楽しむなら「猿倉山ビールバー」など、お腹の空き具合や時間と相談してお店を選ぶのも楽しいひと時です。
庭園散策をしながら、八海山ならではのカフェメニューを
ランチを楽しんだら、散策を再開。敷地内には、魚沼の自然を感じられる3つのテーマのガーデンがあり、目的地を目指して歩く道中も気持ちがいいですよ! 中でも「魚沼の里ガーデン」は、魚沼に咲く野花が育てられており、春には菜の花など四季折々の花が見ごろを迎えます。この土地の風土を感じてみてください。
テイクアウトスタイルのコーヒースタンド「little M.」
散策途中のカフェタイムなら、「little M.」に立ち寄って飲み物やお菓子をテイクアウトするのがおすすめ。みんなの社員食堂の近く、雪中貯蔵庫からは徒歩5分ほどの距離にあります。
1杯ずつ丁寧に淹れられたオーガニックコーヒーや国産素材・自然派原料にこだわった手作りのドーナツやパンは、おやつにもぴったりです。
「八海山あまさけとフレッシュグレープフルーツ」(500円)は、魚沼の里ならではのドリンクメニュー。ひと口目に甘酒の風味がふわりと広がり、次第にごろごろと入っているグレープフルーツの酸味と炭酸の刺激が調和して、喉をさっぱりと潤してくれます。
little M.-COFFEE AND SNACK-
- 電話
- 025-775-7115
- 営業時間
- 10:00~17:00
- 定休日
- 火曜
ビールやお土産にも息づく八海山の技術
魚沼の里には、その他にも日本酒や、日本酒の仕込み技術を活用した商品・体験が充実しています。興味に合わせて散策を楽しんでみてください!
八海山の仕込み水を使ったビールとパンが楽しめる!
「猿倉山ビール醸造所」は、八海醸造が誇るクラフトビール「ライディーンビール」の醸造所。ガラス越しに醸造タンクを見学したり、ビールバーで出来たてのビールを楽しんだりすることができます。
ライディーンビールにも清酒・八海山の仕込み水と同じ、魚沼の名水「雷電様の清水(らいでんさまのしみず)」を使用。IPAやピルスナーなど種類豊富で迷ってしまうという方には、「5種のテイスティングセット」(1,200円・税抜)がおすすめです。
館内に併設された「さとやベーカリー」でも、生地に清酒八海山の仕込み水を使用したパンが並びます。どれも優しい味わいに仕上がるのが特徴です。
猿倉山ビール醸造所
- 電話
- 025-775-7666(店舗)
025-775-7505(ベーカリー)
- 営業時間
- 10:00~17:00
- 定休日
- ビールバー・リカーショップ:1月1日
ベーカーリー:第2・4火曜(火曜祝日の場合は変更の可能性有)
新鮮な酒粕から作られた和洋菓子はお土産におすすめ
敷地の南側に位置する「菓子処さとや」では、こだわりの素材に日本酒や酒粕を掛け合わせて作った和菓子・洋菓子を販売しています。
特に、「さとやバウム」(小サイズ・1,350円)はお土産としても人気。生地に米粉と新鮮な酒粕を練り込みしっとりと仕上げた、この場所ならではのスイーツです。2階の喫茶スペースや屋外のテラス席でイートインも可能。
菓子処さとや
- 電話番号
- 025-775-3899
- 営業時間
- 10:00~17:00
- 定休日
- 1月1日
魚沼の里は、雪国の文化や伝統的な技術を学んだり、体験したりできる場所。古くからの知恵は、日本酒や食、スイーツにコスメなど身近なものに活かされていました。のどかな風景に囲まれながら、魚沼ならではの楽しみを見つけに出かけてみてください。
魚沼の里
- 住所
- 新潟県南魚沼市長森
- 電話
- 025-775-7707(八海山雪室)
- 営業時間
- 10:00~17:00(施設・店舗により異なります)
- 定休日
- 1月1日
- アクセス
- 【電車】JR上越線「五日町」駅より、タクシーで約10分
【車】関越自動車道「五日町」ICより約20分
- 駐車場
- あり、約90台
- その他詳細
- 魚沼の里 公式Webページ
取材・写真・文/堀江ゆき