SNSでかわいいポーズが話題のラッコに、つぶらな瞳がチャームポイントのジュゴンがいる「鳥羽水族館」。約1,200種類の生きものを飼育しており、その数は日本最大規模。世界的に希少な動物と出会え、1日を通して開催されるパフォーマンスショーやお食事タイムも魅力たっぷり!飼育員さんとの息の合ったパフォーマンスに引き込まれます。見どころ満載な鳥羽水族館の魅力をチェックしてお出かけしましょう。
目次
鳥羽水族館のロケーション
鳥羽水族館があるのは、全国から参拝者が訪れる「伊勢神宮」や入り組んだ海岸と島々の景観が美しい「リアス式海岸」で知られる三重県の伊勢志摩エリア。一帯が伊勢志摩国立公園に指定されており、海と山に囲まれた自然豊かな地域です。
水族館のすぐ近くには「ミキモト真珠島」や「鳥羽マルシェ」があり、遊覧船乗り場からは「鳥羽湾めぐりとイルカ島」の観光も可能。伊勢神宮にも近く、伊勢神宮の内宮までは車で約20分、水族館前から三重交通CANバスを利用すれば約50分でたどり着くことができるので、鳥羽水族館と合わせて観光するのもおすすめです。
水族館の最寄り駅は「鳥羽駅」。東京方面から公共交通機関で向かう場合は、名古屋で乗り換えになります。名古屋駅からJR快速みえ号を利用して約1時間45分、もしくは近鉄線・近鉄名古屋駅から約1時間35分。関西方面から訪れる場合は、大阪難波駅から近鉄特急で約2時間、京都駅からは約2時間13分で鳥羽駅に到着します。駅から水族館までは、徒歩約10分の近さ。車がなくてもアクセスしやすいロケーションです。
車で訪れる場合は「伊勢IC」が最寄りのインターチェンジです。伊勢ICから伊勢二見鳥羽ラインを利用して約15分、もしくは国道42号で約30分の道のり。そのほか、海からのアクセスも可能で、愛知県の「伊良湖(いらご)フェリーのりば」から水族館近くの「鳥羽フェリーのりば」に移動(乗船約50分)することもできます。
自由なめぐり方で館内を楽しもう
鳥羽水族館の館内はメインストリートを中心に展示室が並んでいる構造。「順路のない水族館」を掲げていて、決まったルートがないのが特徴です。ショーの時間に合わせて、行ったり来たりと移動することができ、興味の向くままに自由に見て回れます。
生きものそれぞれの魅力を引き出した展示はもちろん見応えありますが、「鳥羽水族館」に訪れたのなら、ショーとお食事タイムは見逃せません。プログラムは5種類あり、人気者のラッコから芸達者なアシカ、かわいいペンギンに迫力満点のアシカやアザラシ、そして愛嬌たっぷりのセイウチなど、バラエティ豊かな顔ぶれに出会えます。
まずは「ラッコのお食事タイム」
プログラムの中でも朝一番に行われる「ラッコのお食事タイム」は1日3回開催され、毎回多くの人たちが集まります。お目当てはSNSで人気上昇中のメイちゃんとキラちゃん。建物の端にある「極地の海」のエリアで会うことができます。
ラッコは唯一、手を使える海の生きもの。お食事タイムでは「いただきます」のポーズをしたり、おもちゃで遊んだりと、かわいらしい姿に終始癒やされます。
全体的に白っぽいメイちゃんは臆病な面もありつつ、何にでも興味を持つ好奇心旺盛な性格の持ち主。飼育員さんの肩をトントンと肩たたきしたり、得意のポーズを披露したり。メイちゃんは、なんと地元の応援大使にも任命されているのです。
一方のキラちゃんは、おっとりとしていてメイちゃんに餌を奪われることもしばしば。そのマイペースな振る舞いに飼育員さんも「ん?」と首をかしげることも。
ラッコを飼育している水族館は全国で2カ所と少なく、2頭を同時に見られるのは鳥羽水族館だけ。お食事タイムは、朝・昼・夕方。朝と夕方にはガラスに付いたイカを取る「イカ耳ジャンプ」が見られ、その跳躍力にびっくり。手が届かない高さにあっても何度も挑戦する姿は思わず応援したくなります。
ハイタッチしたり、後ろ足で立ったりと「お食事タイム」と言いながらも見どころがたっぷり。しかし、これも飼育員さんによる健康チェックの一環です。入念に前足を確認したり、おもちゃを使って運動を促したりとその様子から深い愛情が伝わってきます。
一所懸命さが伝わる「ペンギン散歩」
ペンギンがペタペタと歩く様子が見られる「ペンギン散歩」は、1日1回のみなのでお見逃しなく!コツメカワウソやセイウチなどが展示されている屋外エリア「水の回廊」のステージで行われます。
フンボルトペンギンたちが威勢よく登場し、ステージの周りを巡回。ステージは360度にわたって座席が設けられているので、間近でペンギンが通過する様子を見ることができます。
全員がまとまって歩く姿は凛々しく、まるで動物映画のワンシーンのよう。たまに歩みを止める子を促すなど、飼育員さんが見守りながらの行進が微笑ましいです。
散歩の最後には障害物のバーが出現することもあり、ペンギンたちがジャンプで超えられるのかと固唾をのんで見守る展開に。最後の最後まで目が離せないショーです。
チャーミングな「セイウチふれあいタイム」
ペンギンが散歩した会場で行われるのが「セイウチふれあいタイム」。体重600kgを超えるツララちゃんが登場する様子は迫力満点!目を細めたりする豊かな表情や、飼育員さんのもとに健気に寄っていく姿に心が和みます。
合図に合わせて拍手をしたり、投げキッスを決めたりとステージをどんどん盛り上げていく姿は、もはや立派なプロのパフォーマー。
ショーではパフォーマンスだけでなく、セイウチの生態についても紹介してくれます。フサフサなひげには鋭い感覚が備わっており、口の吸引力は驚異的なのだとか。ホースにつないだ餌を一瞬で吸い寄せる様子には思わず目を疑います。
吸引力の後には、息を吐きだす様子にも注目。ラッパ型の先端からたくさんのシャボン玉がふわりふわりと飛んでいきます。そして、今度はハーモニカの演奏も。会場が歓喜に包まれた状態でショーが締めくくられます。
パフォーマンスごとに拍手をねだるポーズをしますが、そのポーズが必要ないほど常に大盛況。芸達者ぶりを発揮したツララちゃんは、退場する際に座席の近くを周回してくれ、その体に触れることができます。プログラムの中でも唯一、触れあえる生きものなので、ぜひ感触を確かめてみてください。
迫力満点の「海獣の王国 お食事タイム」
海に暮らす哺乳類のことを海獣(かいじゅう)と呼びます。「海獣の王国」ではアシカやアザラシなど、大きな生きものが悠々と泳ぐ姿を見ることができるエリア。1階は水中、2階は水上、3階からは飼育エリアを上から眺められる構造になっており、異なる目線から観察が楽しめます。
「海獣の王国 お食事タイム」では、数カ所に分かれて餌を食べている様子を見学。2階には展示エリアの真ん中まで行ける透明なチューブが設けられており、ギリギリまで生きものたちに近づけます。
お食事タイムでは、カリフォルニアアシカが体重測定をする様子も見られます。
何度見ても楽しい「アシカショー」
パフォーマンススタジアムで行われる「アシカショー」では、驚くべきアシカの身体能力や飼育員さんとの息の合ったプレーにほれぼれ。
まずは水中から目標物に向かってジャンプ!プールの端から端へと連続して高いジャンプを披露していきます。
その後も、器用に鼻でボールを運びながらバスケットゴールにシュートを決めたり、前足を使ってブレイクダンスを踊ったりと多彩な技が繰り広げられます。ステージと観客席を隔てているガラスの上さえもアシカにとっては通路のひとつ。移動中には停止してくれて、シャッターチャンスにまで応えてくれます。
ショーのクライマックスは、フープを連続でキャッチし、最後はフリスビーを口でキャッチする大技。飼育員さんとの一糸乱れぬコンビプレーに日々築き上げてきた絆の強さが感じられます。
「アシカショー」は1日3回開催(時期により4回開催)されます。その回によって登場するのがカリフォルニアアシカだったり、オタリアだったりするので、何回見ても面白いです。パフォーマンススタジアムの入口には、ショーに出演する動物たちが紹介されているので、終了後に自分が見た子を確かめてみてくださいね。
鳥羽水族館でしか会えない生きもの
ショーが充実している「鳥羽水族館」ですが、ここに訪れたのなら「人魚の海」で展示されているジュゴンも必見!世界中の施設で飼育されているのはたった3頭のみ。そのうちの1頭が鳥羽水族館にいるセレナです。
つぶらな瞳で、その表情からも感じられる穏やかな性格。白っぽい淡い色の体をゆっくりとしならせながら泳ぐ姿は優雅で、人魚伝説のモデルになったと聞いても納得です。
そして、ジュゴンに引き続き、お隣の「ジャングルワールド」にいるアフリカマナティーも日本では鳥羽水族館でしか見られません。丸みのあるボディに加え、尾びれが丸いのも特徴的。こちらも人魚伝説のモデルになったと言われています。
「ジャングルワールド」は、熱帯雨林を再現しているエリア。鋭い歯を持つピラニアや、ほのぼのとしたかわいらしさのカピバラにも出会えます。
多様な生きものを見られる展示エリア
展示エリアの「伊勢志摩の海 日本の海」では伊勢湾と熊野灘にいる生きものを紹介しています。その中には三重県を代表する特産品の伊勢海老がいて、その大きさに驚き。ミズダコやクロダイ、メバルなど馴染みのある魚も観察できます。
同じエリアには、イルカでありながら背びれを持たず、流線形の美しい形が特徴のスナメリの姿も。生態系の豊かさについて新発見できるのも水族館ならでは。スナメリが伊勢湾にも生息していることを知り、伊勢志摩の海に対する興味がさらに深まります。
「コーラルリーフダイビング」では、巨大な水槽に突き出た位置から水中をのぞくことができ、幻想的な世界に包まれます。カラフルなサンゴ礁の周りを熱帯魚が泳ぎ回る様子にうっとり。
イソギンチャクのすぐ側では、カクレクマノミの姿も見られます。
館内は、ほかにもスナドリネコがいる「奇跡の森」、生きた化石と呼ばれるオウムガイとカブトガニが展示された「古代の海」、不気味ながらも好奇心がかき立てられる「へんな生きもの研究所」、滝や急流で水しぶきが豪快に上がる「日本の川」など12エリアに分かれていて、見ごたえたっぷり。
クラゲやチンアナゴが見られる特別展示室、ザリガニコーナー、骨格標本などが並ぶマリンギャラリーもあるので、訪れた際はお見逃しなく。
レストランでひと休み&エネルギー補給
レストランは館内に2カ所あり、エントランスホールすぐの「花さんご」は落ち着いた雰囲気。メイちゃんをイメージしたカレーライスは甘口と中辛が選べて、子どもにも大人にも人気のメニューです。(メイちゃんカレーの提供時間は11:00~14:30まで)
もうひとつのレストランは、鳥羽湾に面した「ベイサイド」。明るい陽光が差し込み、開放感たっぷりの景色を楽しめます。
食事は自分で受け取りに行くフードコート式で、伊勢神宮に近いことから名物の伊勢うどんやオムライスなどをいただけます。
約1,200種類の生きものを飼育する「鳥羽水族館」。今回紹介した動物達のなかに、気になる生きものはいましたか?実際に訪れて動作を観察したり、生態を学んだりして、その魅力を感じてみましょう。
鳥羽水族館
- 住所
- 三重県鳥羽市鳥羽3-3-6
- 営業時間
- 9:30~17:00 ※時期によって異なるため公式サイトをご確認ください
- 料金
- 大人2,800円、小・中学生1,600円、幼児(3歳以上6歳未満)800円
- 駐車場
- 3カ所あり(500台)1日1回 800円 ※鳥羽駅前のみ500円
- アクセス
- 【電車】JR近鉄線「鳥羽駅」より徒歩約10分
【車】伊勢自動車道「伊勢IC」より、伊勢二見鳥羽ライン(有料道路)経由で約15分、もしくは国道42号線で約30分 - 公式サイト
- 鳥羽水族館
取材・写真・文/浅井みら野