カメラマンが教える絶景&撮影テクニック~京都、大阪、奈良…近畿エリアの冬の絶景スポット~

春日大社境内 火野

近畿のおすすめ絶景スポットをご紹介

もうすぐ冬本番。鮮やかな色味のある景色はなかなか見られなくなりますが、寒いからこそ起こる自然現象や、情緒あふれる日本の雪景色を撮影するチャンスです。そこで、そんな冬の絶景を撮影できる近畿エリアのスポットを、奈良県出身の写真家・高橋良典さんがご紹介。プロの撮影テクニックとともに解説します。

 

写真家
高橋 良典(たかはし よしのり)さん

1970年、奈良県生まれ。2000年にフリーの写真家として独立し、写真事務所「フォト春日」を設立。風景写真を中心とした作品をカレンダー・観光ポスター等へ提供。また、写真雑誌や出版物への写真提供および原稿執筆を行う。生まれ育った奈良県の魅力と、国内各地にて自然の中に潜む「何か」のすみかをテーマに撮影を続けている。
(公社)日本写真家協会会員・日本風景写真家協会会員・奈良県美術人協会会員

写真家 高橋 良典さん

 

おすすめの絶景スポット【1】新舞子浜の干潟

新舞子浜の干潟

兵庫県たつの市にある遠浅の新舞子浜海岸では、干潮時間の前後に干潟が現れます。クライマックスは干潟がオレンジ色に染まる夕方の時間帯。干潟は1年中見られるのですが、海側に太陽が沈む冬がベストシーズン! 日没時間と干潮時間が重なる日はそう多くありませんので、天気予報と潮見表を見ながら訪れるタイミングを計画しましょう。

空と干潟の明暗バランスを整えるため、ハーフNDフィルターを使うのが理想ですが、海での夕景は輝度差がそこまで大きくなく案外撮りやすいもの。RAWで撮影している方は、夕焼け空の白飛びを抑えるように撮っておき、後処理でシャドウ部を持ち上げてもよいでしょう。

JPEGで撮影している方は、カメラの明暗調整機能を活用して撮影時に輝度差を整えておくのがベター。干潮の時間を過ぎてからの撮影ではカメラに集中するあまり、潮が満ちてきて海水が足元まで迫ってくるのに気付かないことがありますので、注意しましょう。

 

新舞子浜の干潟

カメラを低く構えて画面中央付近の干潟模様にピントを合わせ、前後のボケで挟みました。絞り開放で撮影しています。全景だけではなく、望遠レンズで干潟の造形を切り取るのもおもしろいですよ。

 

新舞子浜

住所
兵庫県たつの市御津町黒崎1414
アクセス
【電車】JR「網干」駅よりタクシーで約15分
【車】山陽自動車道「龍野」ICより約15分

 

おすすめの絶景スポット【2】雪の美山かやぶきの里

美山かやぶきの里

京都府南丹市の美山かやぶきの里では、色濃く残る日本の原風景を見ることができます。どの季節に訪れてもすばらしいのですが、雪との組み合わせは格別。南丹市は京都の北部に位置するため降雪が多く、冬は高い確率で雪景色を楽しむことができます。

朝から晴天だと茅葺(かやぶき)屋根や木々に積もった雪に日が当たり、溶けていきます。訪れる際は早めの現地到着を目指しましょう。車の場合はスタッドレスタイヤなどの冬装備が必須です。冬の風景の冷たさを表現するためにはシャープさが重要。しっかりと絞って(フルサイズの場合、F11~16程度)、パンフォーカスで撮影することを心がけましょう。

 

美山かやぶきの里

画面の大部分が雪の場合、そのまま撮影したのでは写真が暗くなってしまいます。この写真では、露出補正を+1に設定。肉眼で見た通りの白を描いています。

 

美山かやぶきの里

住所
京都府南丹市美山町北
アクセス
【電車】JR「日吉」駅よりバス約1時間「北」バス停下車すぐ
【車】京都縦貫自動車道「園部」ICより約40分
公式サイト
美山かやぶきの里

 

 

おすすめの絶景スポット【3】大阪城公園の梅林

大阪城公園の梅林

梅の開花時期になると少しずつ太陽が高くなり、寒くても春の気配が感じられます。大阪城の梅林でも2月中旬頃になると梅が咲き始め、次第に満開を迎えます。梅林は広く、早咲きから遅咲きまでさまざまな品種があるので、約1カ月にわたって花を楽しむことができます。

梅は上方向に枝を伸ばすので、いざ構図を決めようとするとまとまらないことが多く、難易度が高くなります。枝ぶりの良さと花付き、そしてうまく大阪城とのコラボを狙える箇所を探してカメラを構えましょう。良い写真の要素として露出や光の読み方が重要なのはもちろんですが、いかに良い場所を探せるかのウエイトも大きいと言えます。晴れている日にはPLフィルターを使い、鮮やかな青空を引き出しましょう。

 

大阪城公園

住所
大阪府大阪市中央区大阪城1-1
アクセス
【電車】JR「大阪城公園」駅より徒歩約15分
【車】阪神高速道路森ノ宮出口、法円坂出口より約5分
公式サイト
特別史跡 大阪城公園

 

おすすめの絶景スポット【4】霜に覆われた飛火野

春日大社境内 火野

鹿と言えば奈良の代名詞。近年では奈良市内に雪が降ることは滅多にないのですが、春日大社境内の飛火野(とびひの)では、霜の風景に頻繁に出会うことができます。チャンスは夜中から早朝にかけて快晴の日。放射冷却のおかげでびっしりと霜が地面を覆います。霜は雪よりもさらに儚く、太陽が当たるとみるみるうちになくなっていきますので、撮影は時間との勝負です。

おすすめの狙い方は、霜のキラキラがより引き立つ逆光や半逆光です。輝度差が大きくなるので白飛びに注意して露出を決めましょう。

 

春日大社境内 飛火野

溶け始めた霜を手前にカメラを低く構えれば、きれいな玉ボケができますので試してみてくださいね。望遠レンズを使うとボケがより大きくなりますよ。

 

飛火野

住所
奈良県奈良市春日野町8
アクセス
【電車】近鉄「奈良」駅より徒歩約15分
【車】西名阪自動車道「天理」ICより約20分
詳細
飛火野

 

 

おすすめの絶景スポット【5】高野山の雪景色

高野山

和歌山県と言えば比較的温暖なイメージがあるかもしれませんが、標高の高い高野山は別。ひと冬の間に数回は雪景色を撮影できるチャンスがあります。開山から1200年余りを経た現代でも、高野山では聖地の趣を感じることができます。

建物の写真で意外と難しいのは、しっかりと水平と垂直を合わせること。カメラに付いている水準器を頼りに構図を決めるとよいでしょう。車で向かった際は、さらに南の高野龍神スカイラインまで足を伸ばしてみるのもおすすめです。ただし、冬季規制期間中は冬用タイヤやチェーンの携行・着装が必要なのでご注意を。

 

高野山

住所
和歌山県伊都郡高野町高野山
アクセス
【電車】南海高野山ケーブル「高野山」駅より南海りんかんバスで約10分
【車】京奈和自動車道「かつらぎ西」ICより約50分
詳細
高野山真言宗 総本山金剛峯寺

 

 

おすすめの絶景スポット【6】第1なぎさ公園のカンザキハナナ

第1なぎさ公園

色味にとぼしい冬ですが、滋賀県守山市の第1なぎさ公園では早咲きの菜の花、カンザキハナナの鮮やかな黄色が一面を彩ります。雪をかぶった比良山系とのコラボは、厳寒期ならではの美しい風景です。

撮影のポイントは遠近感。花畑になるべく近づき、広角レンズを使うことで広々とした雰囲気が出ます。パンフォーカスを意識してしっかりと絞りましょう。鮮やかな色表現のためPLフィルターの装着と調整も忘れずに。午後遅い時間になると隣にある建物の影がかかってきますので、花畑全体を撮影するなら午前中がおすすめです。

 

第1なぎさ公園

住所
滋賀県守山市今浜町地先
アクセス
【電車】JR「守山」駅よりバス約35分「第1なぎさ公園」バス停下車、徒歩約2分
【車】湖西道路「真野」ICより約15分

 

おすすめの絶景スポット【7】御在所岳の霧氷

御在所岳

御在所岳(ございしょだけ)は近畿、東海エリアを代表する霧氷の名所。標高が1,212mと高く、霧氷に出会える確率が高い山です。御在所ロープウェイの公式サイトでは霧氷の有無が公開されているので参考にするのもよいでしょう。

山上エリアまでは、山麓にあるロープウェイ「湯の山温泉」駅から約15分。標高差約780mをロープウェイで一気に運んでくれます。乗車中の眺めも楽しみのひとつで、日本一の高さを誇る白い鉄塔付近では、谷底がはるか下に見えスリル満点。高所恐怖症の人は目をつぶっておくほうが良いかもしれませんね。条件が良ければ、ロープウェイ「山上公園」駅を下車してすぐに霧氷の風景を楽しむことができます。

さらに足を伸ばしたいという人は、「山上公園」駅から観光リフトを利用するか(約8分)、徒歩(約30分)で御在所岳山頂を目指しましょう。山頂付近からは遠く琵琶湖までを見渡せます。晴れていればPLフィルターの出番ですが、雪景色と青空の取り合わせは空の色が濃くなりすぎて、青というより黒っぽくなってしまうことがあります。その場合はPLフィルターの効果を弱めて、空の色が肉眼に近くなるよう調整しましょう。

 

御在所岳

澄んだ青空に恵まれた時は絞って(F11~16程度)、光条(光の帯)を描いてみましょう。

 

御在所岳

住所
三重県三重郡菰野町菰野
アクセス
【電車】近鉄「湯の山温泉」駅よりバス約8分「湯の山温泉」下車、御在所ロープウェイで「山上公園」駅下車
【車】新名神高速道路「菰野」ICより約10分、御在所ロープウェイで「山上公園」駅下車
詳細
御在所ロープウエイ

 

撮影・文/高橋 良典

 

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