今話題になっている「ライフスタイルホテル」。デザイン性の高い空間と宿泊以外の付加価値を付け、宿泊そのものが目的となるような仕組みを作っているホテルのことを言います。
「ニッコースタイル名古屋」は名古屋初のライフスタイルホテルで、地元の伝統文化に触れられるほか、名古屋のカフェ「TRUNK COFFEE」が焙煎したコーヒーが飲め、流れる音楽が24時間1曲もかぶらないように選曲されているなど、滞在が楽しくなる仕掛けが盛沢山の空間になっています。そんな「ニッコースタイル名古屋」の滞在の楽しさを詳しくご紹介します。
オークラニッコーホテルズ初のライフスタイルホテル
「ニッコースタイル名古屋」は世界的なホテルブランド、オークラニッコーホテルズが手掛ける初のライフスタイルホテルとして、2020年8月7日、名古屋にオープンしました。場所は名古屋駅から徒歩約10分、国際センター駅からは徒歩約4分です。近隣の繁華街である名古屋や栄エリアは徒歩圏ながらも、ホテル周辺は比較的静かなのがうれしいポイントです。
さっそくチェックイン! 「ニッコースタイル名古屋」はカジュアルな雰囲気を持ちながらもオークラ ニッコー ホテルズの新ブランドホテルだけあり、どのスタッフもホスピタリテに溢れています。楽天トラベル ブロンズアワード2021を受賞し、クチコミがとても良いホテルであることも納得です。
「時間の概念」を忘れさせてくれる心地よいBGMとスペシャルなコーヒー
「ニッコースタイル名古屋」は名古屋ではまだ珍しい「ライフスタイル」というジャンルに位置します。「宿泊以外の付加価値」「サードプレイス」としての機能も兼ね備え、フロントより手前にある「コミューナルロビー」と呼ばれるスペースは、ロビーラウンジとカフェが一体化した空間になっています。
「コミュ―ナルロビー」は宿泊者以外の利用も可能で、お茶を楽しむ方、電源および高速WIFIが完備された大きなテーブルで仕事をされる方などもいらっしゃいます。イベントやワークショップが開かれることも多く、旅行者と地域の人がつながれる場所でもあります。
ホテルこだわりの一つが「音楽」。ロビーで流れる音楽を手掛けるのは「GINZA SIX」や「大丸心斎橋」のBGMを手掛けるKenichiro Nishihara氏。「優れたBGMとは、それ自体が無音のようにふるまうものである。」という信念のもと、選ばれた曲は、ある程度のボリュームで流れても会話の邪魔をしないから不思議です。
24時間1曲もかぶらないよう8,000曲のレパートリーがあるのも特徴で、「利用者に時間の概念を感じさせず寛いでほしい」という思いから前日の同じ時間に流れた曲が次の日の同じ時間には流れないようにしてあるなど、細かい気配りがされています。
名古屋で有名な「TRUNK COFFEE」代表の鈴木康夫氏プロデュースのオリジナルブレンドのコーヒーが飲めるのも注目ポイントです。鈴木氏はコーヒー先進国デンマークでバリスタ修行を積み、現地で日本人初のバリスタになった人物。
世界で2~5%しかないスペシャリティコーヒーをシングルオリジン(単一品種)で淹れるのが「TRUNK COFFEE」の特徴。これまでブレンドを作らないことでも知られていますが、「ニッコースタイル名古屋」のためだけに初めてオリジナルブレンドが考案されたというのだから大注目です。
コーヒーカップも鈴木康夫氏がプロデュースした岐阜・美濃焼のブランド「ORIGAMI」のアロマカップが使われます。ワイングラスによくある樽型で口に持っていくと鼻が隠れコーヒーの香りを存分に楽しめる形状になっています。このカップに一目惚れして、お土産に買って帰る人が多いというのも納得です。
1F「Style Kitchen」にあるカフェにあるマシン「POURSTEADY」にも注目です。元NASAのロボットエンジニアが開発したもので、「TRUNK COFFEE」の入れ方を忠実に再現します。ロボットによってお店の完璧な一杯が仕上がるから驚きです。
地元の伝統が息づくアートな館内
館内には愛知エリアの伝統文化を感じさせるアレンジされた手工芸品がちりばめられています。館内には名古屋市の有松町・鳴海町地域で作られる有松絞りで「Suzusan」が製作したタペストリーやランプシェードが使われています。カフェや部屋のクッションやレストランで使われているコースターなども有松絞りです。
各階のエレベーターホールには階数を数で表した瀬戸焼のプレートが飾られています。モチーフは名古屋市の花であるユリの花です。
各部屋の番号プレートも瀬戸焼です。名古屋城、シャチホコの鱗、手羽先、天むす、味噌田楽など6種類のデザインがあり、どんなプレートがあるのか探すのが楽しいですよ。
コミューナルロビーにあるおしゃれなイスはイタリア製なのですが、よく見るとシャチホコにしか見えなくなるので不思議です!ここで写真を撮っている人も多いです。
同場所には天井まで続く本棚があり、厳選された調度品がズラリと並びます。圧倒的な存在感で、こちらも写真映えするスポットです。
「このアメニティはすごい!」の発見がたくさんある客室
次に客室をチェックしていきましょう! ホテルは全室30平米で「Premier Floor」「Deluxe+ Floor」「Deluxe Floor」の3タイプ。家にいるような感覚で過ごしてもらいたいという思いからどのタイプの客室も一般的な居住空間に近い正方形に設計されています。同じ広さでも広々と感じられ、動線もよく使い勝手が良いのが特徴です。
3タイプの部屋の広さは一緒ですがベッドマットレスやアメニティなどに細かい違いがあります。「Premier Floor」「Deluxe Floor」はシモンズのベッドが採用されています。最上位クラスの「Premier Floor」ではVODや楽天マガジンも無料で楽しむことができます。
「Premier Floor」のアメニティは特別なインバスアメニティ「PANPURI(パンピューリ)」がセット。タイの高級スパを起源としたウェルネスブランドで、国内で採用しているのは同ホテルを含めて数施設のみなのだとか! ジャスミンとミントの程よい香りは最高のリラックス感を演出してくれます。
「Deluxe+ Floor」は快眠に特化した部屋で、「エアウィーブ」のマットレスになっています。その中でもハリウッドツインタイプのお部屋のベッドサイズは240cm×24cm小さいお子様と一緒に寝ても十分なスーパーキングサイズのベッドで、傍には快眠にいざなう砂嵐の音(ホワイトノイズ)が出る機械もセットされています。アメニティで蒸気のアイマスクなどがあり、チェックアウトも12時まで! たっぷり眠りたい人にぴったりです。
全室で主要な動画サブスクリプションのサービスを49インチの大画面でみられるだけでなく、スイス高級オーディオメーカー「GENEVA」のラジオ付きスピーカーAcustica Lounge Radioも完備されているので、Bluetoothでスマホとつなぎ、お気に入りの曲をいい音で流すことができます。
部屋でも「TRUNK COFFEE」を飲むことができるよう、ドリップバッグも用意。「バルミューダ」のドリップケトルもあるので、ご自身で淹れたてのコーヒーを飲むことができます。
ニッコースタイル名古屋オリジナルの「TRUNK COFFEE」のブレンドコーヒーは、程よい酸味と苦みで、思わず「おいしい!」と声が出てしまう味ですよ。
感動的なのは、「LOUVREDO(ルーヴルドー)」の復元ドライヤーPRO。低温、育成光線、マイナス電子の相乗効果で髪のうるおいを取り戻してくれます。すごいのは顔や体へも当てることができる点。髪だけでなく、肌のケアまでできてしまいます。
そのほか、貸出グッズも盛沢山。家電製品から仕事関係のPC機器、お子様グッズまでその数は50種類以上! 今回は「バルミューダ」のランタンとHDMIケーブルをチョイス。部屋でも快適に仕事ができ、コミューナルロビーとお部屋を行き来しながらワーケーション的な滞在もできました。
部屋と洗面所やトイレがあるスペースを間仕切りできるようになっていたり、バスとトイレが別々で、洗い場のあるバスルームになっていたりするのも、ポイントが高い点です。
世界で経験を積んだシェフが作り出す、幸せな気分になれるディナーを!
ディナーはホテル1Fの「Style Kitchen」で。正面にキッチンがある開放的でおしゃれなお店です。個室も用意されているので、家族やグループで楽しみたい場合も便利。
料理を担当するシェフは都内のホテルで腕を磨いた後、フランスやスイス・ローザンヌなどで修業を積み世界のトレンドを把握する人物です。シェフ季節のコースは日替わりのアミューズ、スープ、冷製前菜、ミニホットドッグから始まり、メインはオーラキングサーモンローストとオーストラリア産牛フィレ肉のグリル。そしてデザートまで、一皿一皿ワクワクする料理が運ばれてきます。
華やかな演出ながらも、素材本来の味を最大限引き出すためにシンプルな味付けに仕上げてあるのがこだわり。
上質な素材を探すため生産者の元に足を運ぶことも多いそうで、丁寧に仕上げられたお皿からは食材への愛情も伝わってきます。
料理に合うワインや日本酒も豊富。心を奪われたのは、名古屋のレストランではレアな「WAKAZE」というブランドのお酒です。フォニア(写真右)は国産のシトラス、スパイスの香りがするジューシーなお酒で、オルビア(写真左)は赤ワインの熟成樽で仕込まれた芳醇な香りが楽しめます。料理との相性も抜群です。
女性が喜びそうな見た目にも華やかなカクテルも。ノンアルコールカクテルも豊富に揃っています。
地元の素材がふんだんに使われたモーニング
モーニングは同じく「Style Kitchen」で。朝日が差し込むとレストランの雰囲気が夜とは一変します。
スクランブルエッグやオムレツを選べるアメリカンスタイルプレート、生ハムとチーズのフレンチトーストプレート、和御前の3種類からチョイスするスタイル。地元の食材がふんだんに使われており、例えばスクランブルエッグには、豊田市「宮澤鶏卵」の卵が、ごはんは粒が大きくやさしい甘みが特徴の「あいちのかおり」が、味噌汁には同市「桝塚(ますづか)味噌」が使われています。
スクランブルエッグの傍らにシェフオリジナルの手羽先が付いていたり、お漬物が岐阜県飛騨地方の赤かぶ漬けだったりと、惣菜にもさりげなく東海地方の食材が散りばめられているので、おいしい地元グルメを発見できます。
ドリンクやパンなどはビュッフェ形式に。名古屋で約40年愛され続ける「守山ベーカリー」のパンもラインナップ。
ボトルもかわいいヨーグルトには、三重県桑名市にある大正元年創業の最高品質の「九華(くわな)はちみつ」をかけていただきます。
ホテルのウリである「TRUNK COFFEE」もセルフで飲み放題!朝の時間帯は敢えて濃いめのモーニングブレンドを試してみてください。
「Tokyo Bike(トーキョーバイク)」で名古屋の風を感じに行こう!
東海地区では初めての「Tokyo Bike」のレンタルバイクもあります。街を走ることに特化した東京発の自転車ブランドで、どなたでも気軽に乗れるので、名古屋の街の散策にもぴったりです。
定番コースはホテルのホームページにも載っていますが、ホテル→名古屋城→栄→大須→ホテルと名古屋の主要スポットをさっと回るのも自転車なら簡単です。
ちなみに名古屋城まではホテルから北へ約15分、そこから栄には10分ほど、大須へはさらに5分ほどで着きます。
その途中には名古屋で最も古い商店街の一つ「円頓寺商店街」もあるので立ち寄ってみるのもおすすめです。中にある「金刀比羅神社(ことひらじんじゃ)」の「名古屋弁おみくじ」 がとても面白いのでぜひやってみてください。
2020年秋に栄地区の久屋大通公園に誕生した「ヒサヤオオドオリパーク」もぜひ行ってほしい場所です。名古屋のシンボルである「テレビ塔」を望む芝生公園と飲食店をはじめとする店舗がズラリと並んでいます。おやつやドリンクを買ってサイクリングの休憩をするのにもぴったりです。
自分の生活にも生かしたい「気づき」がたくさんあるホテル
「ニッコースタイル名古屋」は、主軸となっている「音楽」や「コーヒー」というコンテンツによって贅沢な時間を過ごすことができるとともに、自分の暮らしをアップデートするために参考にしたいグッズがたくさんあり、その発見をできるのが楽しいポイントです。
美濃焼のアロマカップや現代風にアレンジされた有松絞のクッションカバー、復元ドライヤーPROに「PUNPURI」のアメニティなど、そのセレクトはホテルスタッフが実際に足を使って探した“多くの人には知られていないけれど、おすすめしたいプロダクト”ばかり。宿泊者から「このグッズはどこで買えますか?」と聞かれることも多く、スタッフもそれがうれしいのだといいます。
ホテルを後にし、帰路についてからもホテルで過ごしたシーンを不思議と思い出すことが多く、自らの暮らしにも刺激を与えてくれていることに気づきます。宿泊だけにとどまらない付加価値を体験しに、ぜひ「ニッコースタイル名古屋」を訪れてもらえればと思います!
ニッコースタイル名古屋
- 住所
- 愛知県名古屋市中村区名駅5-20-13
- アクセス
- JR名古屋駅桜通口から徒歩約10分、名古屋市営地下鉄 国際センター駅3番出口より徒歩にて約4分
- 客室数
- 191室
取材・撮影・文/各務ゆか