街全体が温泉のテーマパークのような城崎温泉
約1300年の歴史を持ち、古き日本の温泉街の佇まいを色濃く残す兵庫県の城崎(きのさき)温泉。街を流れる大谿川(おおたにがわ)に架かる石橋や両岸に立ち並ぶしだれ柳が印象的な風景は、都会とは違う温泉街ならではの情緒があふれています。
温泉街には、食べ歩きができるお店やカフェ、お土産屋さんが軒を連ね、7つの外湯(公衆浴場)が点在して見所も満載。街全体がまるで温泉のテーマパークのような城崎の観光モデルコースをご紹介します。女子旅ならかわいい浴衣に着替えて、そぞろ歩きを楽しんでみましょう。
城崎温泉の過ごし方 目次
城崎温泉に向かうには、特急を利用すると便利です。京都駅から「特急きのさき」に乗車、約2時間半でJR山陰本線「城崎温泉」駅に到着します。大阪駅からは「特急こうのとり」に乗って、約3時間です。
「特急こうのとり」に乗る場合は、JR西日本のインターネット予約サービス「e5489」のみで販売されている「こうのとり指定席きっぷ」を使うとお得。大阪市内からなら片道・普通車指定席が1,100円安い、4,500円(子ども料金は一律1,000円)で城崎温泉駅まで行くことができます。2人以上の利用限定ですので、グループで行く場合はぜひ利用したいですね。
2020年11月には、北近畿豊岡自動車道が約6km延伸し、温泉街まで車で約20分と便利な「但馬空港」ICが開通。大阪市内・京都市内から車でも3時間以内で到着できるようになりました。
静閑の宿「湯楽」にチェックイン、浴衣をレンタルして散策へ
城崎温泉駅から、まずは今回宿泊するお宿「城崎温泉 湯楽」へ向かいます。
柳の木沿いの道やレトロな橋、川のせせらぎなど、古き良き日本の温泉街の街並みを歩くこと徒歩約20分(※駅から送迎もあり)。
湯めぐり街道から1本細道を入っていくと、緑に囲まれた静かな空間にたたずむ「湯楽」が見えてきます。建物の三方が山に囲まれているため、温泉街の中心近くにありながら、静けさを満喫できるお宿です。
玄関を入ると、リニューアルされたばかりのロビーラウンジがお出迎え。全体が明るい色の壁で、ダウンライトの照明による演出がきれいです。リニューアルのコンセプトはジャパニーズモダンだそう。正面には庭園が望める大きな窓があり、開放的な空間です。
チェックインを済ませたら、色とりどりのおしゃれな浴衣の中からお気に入りをレンタル(レンタルは有料、着付け無料)。帯や下駄も選べるので、友人とお互いに選び合いっこするのも楽しそうです。
浴衣に着替えたら、外湯めぐりをしに温泉街へ。城崎温泉では浴衣は正装。街を歩く人も季節関係なく浴衣姿なので、気兼ねなく出かけましょう! 湯楽に宿泊すると、城崎温泉にある7つの外湯全てを無料で利用できます。フロントで外湯無料入浴券をもらうことをお忘れなく。また外湯めぐりに必要なタオルなども用意されています。
ご利益ある7つの外湯めぐりで温泉美人に
城崎温泉には、さとの湯、地蔵湯、柳湯、一の湯、御所の湯、まんだら湯、鴻の湯という7つの外湯があります。外湯はそれぞれ由来やご利益が異なるので、気になる外湯だけつかるのもよいですし、温泉街を歩きながら全ての外湯をめぐるのもよいでしょう。宿でもらった無料券を持って、今回は湯楽から近い「御所の湯」と「一の湯」に行ってみました。
御所の湯
まずは、湯楽から徒歩約5分、美人の湯とも呼ばれる「御所の湯」です。ご利益は火伏防災・良縁成就と言われています。京都の御所をイメージした建物の外観が隣の四所神社とマッチしています。
中に入ると休憩所には金箔の屏風絵や天井画! 本当に御所に来たような感覚になります。温泉は、天井が高く天空風呂とよばれる内湯と、三段滝がある岩造りの露天風呂はつながっていて開放感があります。ミストサウナがあるのもうれしいポイント。温泉だけでなく、建物も楽しめる外湯です。
#御所の湯
- 住所
- 兵庫県豊岡市城崎町湯島448-1
- 営業時間
- 7:00~23:00
- 定休日
- 第1・3木曜日
- 料金
- 大人800円、子ども400円
- アクセス
- JR「城崎温泉」駅から徒歩約10分
一の湯
続いて、御所の湯から駅の方へ向かって歩いて約3分、王橋前にある「一の湯」が2箇所目の外湯です。
「一の湯」のご利益は、合格祈願・交通安全といわれています。江戸時代に活躍した医師、香川修徳が「天下一の湯」と称した外湯。 広い内湯や自然の岩盤を削って作られた洞窟風呂などがあり、バラエティに富んだお風呂が楽しめます。
伝統的な黄色い壁の建物は、下駄箱や脱衣所のロッカーもレトロ調。昔に戻ったような気持ちになり懐かしくなります。
#一の湯
- 住所
- 兵庫県豊岡市城崎町湯島415-1
- 営業時間
- 7:00~23:00
- 定休日
- 水曜日
- 料金
- 大人600円、子ども300円
- アクセス
- JR「城崎温泉」駅から徒歩約9分
城崎の開湯伝説が残り幸せを招く湯と言われる「鴻の湯」、商売繁盛、一生一願の湯である「まんだらの湯」、子授安産のご利益と温泉街の風情を感じられ人気の「柳湯」、江戸時代に村民が多く入浴し家内安全のご利益がある「地蔵湯」、駅から一番近く無料の足湯もある「さとの湯」を合わせ、外湯は全部で7つ。気になるご利益や、宿から近いお湯を選んで訪れてみてください。
外湯のあとは体の中からも美しく!「城崎ビネガー」
外湯めぐりで体が温まったら、城崎の温泉街をのんびり散策。まずは、お風呂の後の水分補給を兼ねて、サッパリとした飲み物をいただきに行きます。
一の湯から徒歩で約2分のところにある「木屋町小路」は、飲食店やお土産屋さん、エステなどが集まる複合施設。その中にあるのが、お酢ドリンクが飲める「城崎ビネガー」です。
アップル、マンゴー、グアバ、レモン酢カッシュ、オーガニックオレンジ、グレープフルーツ酢カッシュの6種類のフルーツ果汁の中から1つと、リンゴ酢、トマト酢、玄米黒酢の3種類のお酢から1つをブレンドしたテイクアウトメニュー(300~450円)があります。
果汁と合わせるお酢ドリンクなので、ジュース感覚で飲みやすく、スッキリ、かつさっぱりしています。外湯めぐりの後に飲むと、果汁の爽快感もあり、一段とおいしく味わえます。
200mlのボトルの他に、50mlのボトルもあるので、自分用に購入するだけでなく、お土産にもよさそう。試飲もできるので、お気に入りのお酢ドリンクを見つけてみては。
#城崎ビネガー
- 住所
- 兵庫県豊岡市城崎町湯島391木屋町小路
- 営業時間
- 10:00~18:00
- 定休日
- 不定休
- アクセス
- JR「城崎温泉」駅徒歩約10分
スイーツや温泉たまごも!城崎の街をお散歩がてらグルメめぐり
スッキリとしたドリンクの後は、小腹を満たしに行きましょう。木屋町小路から徒歩約6分のところにある「湯あがりチーズタルト」を目指します。城崎温泉駅前通りにあるお店まで、カランコロンと下駄の音を鳴らしながら、歩いて行きます。
城崎の新名物「湯あがりチーズタルト」
「湯あがりチーズタルト」は、かりんとう専門店として有名な円山菓寮の姉妹店。甘い香りとお店のかわいい雰囲気に惹かれて、立ち寄りたくなるお店です。看板商品の「プレーンチーズタルト」や「丹波黒豆付きチーズタルト」(280円)などを販売。夏季限定の「ブルーベリーチーズタルト」(300円)、インスタ映え間違いない冬季限定の「カニタルト」(280円)なども見逃せません。
組み合わせが珍しい「丹波黒豆付きチーズタルト」の味は、チーズタルトのクリーミーさと、少しの塩気とすっきりとした甘さの黒豆が絶妙にマッチしていました。
また、円山菓寮の名物スイーツである「湯あがりぷりん」をこちらで購入することが可能です。甘さ控えめで、濃厚なミルクとバニラの味がするプリンはやみつきになりそう。
#湯あがりチーズタルト
- 住所
- 兵庫県豊岡市城崎町湯島233
- 営業時間
- 9:30~17:00
- 定休日
- 年中無休
- アクセス
- JR「城崎温泉」駅より徒歩約2分
源泉で自分で作る、ぷるぷるの温泉たまご
温泉街で食べ歩きの定番といえば、温泉たまご。城崎温泉では、自分で源泉につけて作る温泉たまごが点在します。湯あがりチーズタルトから温泉街を10分ほど奥に進んだところにある「城崎ジェラートカフェChaya」の店先「温泉たまご場」で作る温泉たまごは、無農薬の地卵を使用しているので、味がしっかりしていてぷるぷるとした食感が特徴。自分で作るので、好みの固さに合わせて茹で時間を調整可能です。
#温泉たまご場(城崎ジェラートカフェChaya)
- 住所
- 兵庫県豊岡市城崎町湯島857
- 営業時間
- 9:30~17:30
- 定休日
- 木曜日(祝日の場合は営業)
- 料金
- 3個300円~
- アクセス
- JR「城崎温泉」駅から徒歩約10分
大谿川の景色を眺めながら、のんびりカフェタイム
温泉街にあるお店をめぐりながらの食べ歩きもよいですが、カフェでゆっくりと時間を過ごすのもおすすめ。
木屋町小路の裏を流れる大谿川沿いにある「OFF. KINOSAKI」は、2018年4月にオープンしたおしゃれなカフェ。壁面にはワインセラーがディスプレイのように飾られていて、目を惹きます。窓際の席からは大谿川沿いの景色を眺めることができ、落ち着ける空間です。やわらかい曲調のBGMが流れる店内では、のんびり過ごすことができそう。
火~土曜日は、昼がカフェ、夜はビストロとしての営業、日曜日はブランチのみです。
カフェで頼める、「キャロットケーキ」と「オーガニックレモングラスティ」(季節限定・850円)は、白いチーズ入りのバタークリームに鮮やかな花が美しく、写真映えもばっちり!
夜のビストロは、お昼とはまた違う顔を見せます。ダウンライト照明が、大人の雰囲気を醸し出します。料理は但馬うしのステーキにフライドポテトが付いた「ステークフリット」がおすすめ。お肉の表面はカリカリ、中はしっとりしたレア食感。ボリュームのある一皿です。
昼も夜もどちらも楽しめるカフェで、城崎温泉での時間を過ごしてみてはどうでしょうか。
#OFF. KINOSAKI
- 住所
- 兵庫県豊岡市城崎町湯島536
- 営業時間
- 【火~土曜日】11:00~16:00(11:00~14:00ランチタイム)、18:00~22:00(ビストロ営業 ※お子様の入店不可)
【日曜日】10:00~17:00(ブランチ営業)
- 定休日
- 月曜日
- アクセス
- JR「城崎温泉」駅徒歩約10分
ロープウェイに乗って城崎の絶景を一望!
少し足を延ばすなら、城崎温泉の絶景スポット「城崎温泉ロープウェイ」で山頂を目指すのがおすすめ。
今回の宿である「湯楽」から徒歩約3分、温泉街の西側にある大師山を登るロープウェイで、観光名所の一つとなっています。山頂は、自然豊かな城崎の山並み、円山川、日本海が望める絶景スポット。一息つけるカフェや、但馬最古の寺「末代山温泉寺」などもあり、気軽に訪れることができます。
#城崎温泉ロープウェイ
- 住所
- 兵庫県豊岡市城崎町湯島806-1
- 運転時刻
- 9:10~17:10
※最終2便は下りのみ
- 定休日
- 第2・第4木曜日(祝日の場合は営業)
※新型コロナウイルス感染拡大防止、定期点検、修繕工事、天候不良などにより運休になる場合があります。
- 料金
- 大人(中学生以上)910円、6歳以上 460円
※山麓駅~山頂駅の往復
- アクセス
- JR「城崎温泉」駅からロープウェイ「山麓」駅まで徒歩約15分
- 詳細
- 城崎温泉ロープウェイ 公式サイト
山頂駅にある「みはらしテラスカフェ」で一息
ロープウェイに乗って約7分。終点にあたる「山頂」駅には、「みはらしテラスカフェ」があります。
景色を眺めながら飲み物や軽食、スイーツが食べられます。目の前に景色が広がるデッキ席が人気。
ドリンクのおすすめは、「スペシャルティコーヒー」(ホット420円、アイス450円)。自家焙煎所で焙煎した城崎珈琲が飲めます。こだわりのコーヒーは飲んでみる価値ありです。
スイーツなら、「山頂名物みはらし団子」(450円)。団子には、直営農家が無農薬で育てた「あいがも米」を使用していて、やわらかいのに伸びが良いのが特徴です。タレは甘すぎず丁度良いバランスで、団子の風味を引き立てます。
他にも「本わらびもち」、「本わらびもちパフェ」、「玄米ソフトクリーム」などが。軽食には「八鹿豚ホットドッグ」があり、小腹を満たすのにぴったりです。
#みはらしテラスカフェ@山頂駅
- 住所
- 兵庫県豊岡市城崎町湯島806-1ロープウェイ山頂
- 営業時間
- 10:00~16:00
- 定休日
- 第2・第4木曜日
- アクセス
- 城崎温泉ロープウェイで約7分
- 詳細
- 城崎珈琲 公式サイト
「かわらけ投げ」で運試し!
山頂まで来たらあわせてぜひ試したいのが、「かわらけ投げ」。素焼きのお皿であるかわらけを高いところから投げることで厄を落とすと言われています。小さな的に当てることができるのか、願いを込めて運試し! かわらけは3枚セットで、こちらも「みはらしテラスカフェ」で購入することができます。すぐそばにある温泉寺 奥の院をお参りしてからチャレンジしてみましょう。
#かわらけ投げ
- 住所
- 兵庫県豊岡市城崎町湯島806-1ロープウェイ山頂
- 時間
- 10:00~16:00(みはらしテラスカフェに準じる)
- 定休日
- 第2・第4木曜日(みはらしテラスカフェに準じる)
- アクセス
- 城崎温泉ロープウェイで約7分
- 詳細
- 城崎温泉ロープウェイ かわらけ投げ
夜は宿でフルーツとお花の貸切露天風呂を堪能
温泉街の散策を終えたら、宿に戻ってくつろぎの時間を過ごしましょう。
「湯楽」の館内は、いたるところにお花が生けてあるので、館内を歩いているだけでも癒されます。
お部屋は全部で24室、その中でもおすすめは限定5室の特別フロア「璃楽(Riraku)」。
城崎の自然をイメージさせる「空・風・月・水・雪」をテーマに、建築家の土居英夫氏が設計したデザイナーズルームです。広々としたジャパニーズモダンなお部屋は、シンプルで清潔感があります。それぞれのテーマを元に、京からかみの文様がデザインされた行灯(あんどん)が特徴。行灯の薄明かりが、お部屋をムーディで落ち着いた空間にしてくれます。また各部屋で異なる障子のデザインにも注目です。
「璃楽」限定のアメニティとして、パリの老舗ブティック「デタイユ」とポーラがコラボレーションして誕生した「デタイユ・ラ・メゾン」が用意されているのも、うれしいポイント。
温泉は大浴場と露天風呂、そして貸切露天風呂があります。ラン・ローズ風呂、オレンジ・ライム風呂、りんご風呂の3種類の内1つを選べますが、なんとこちらは無料。貸切露天風呂は、チェックイン後に予約できるので、早めのチェックインをおすすめします。
カニ、但馬牛、旬の食材が美しく彩るお料理を味わう
湯楽はお風呂、お部屋と共に、お料理も魅力的です。
2018年8月にオープンキッチン付お食事処「TAJIMA」(イス・テーブル席)がリニューアルオープン!
城崎温泉でオープンキッチンがある宿泊施設は、湯楽だけだそう。実際に調理しているところが見えて、とても安心できると好評です。迫力もあり、訪れた人は動画を撮るなどして楽しんでいます。
女性料理長の感性が活かされた、美しい色彩で盛り付けられたお料理は、見た目にも鮮やかで、視覚からでも楽しめるもの。発色のいい黄色と黄緑色の模様があるガラスの器、しゃぶしゃぶの赤いお肉と緑のお野菜に白いお豆腐、そこに綺麗なグリーンと黄色と紫色のかまぼこが添えてあるなど、バランス良くまとめられた彩りのメニューが目を惹きます。
今回いただいたメニューの中では、特に柿の和風グラタンが印象的。皮まで食べられるほどに柔らかく、嫌みのない柿の甘さが口の中に広がります。
冬季にはブランドがにとして人気の高い、地元・津居山港や柴山港から早朝に水揚げされた松葉がにのかに刺しや、かにと但馬牛のWしゃぶ鍋まで味わえる、贅沢なコース料理を堪能できます。
#城崎温泉 湯楽 Yuraku Kinosaki Spa & Gardens
- 住所
- 兵庫県豊岡市城崎町湯島844
- 総部屋数
- 24室
- 駐車場
- あり(25台・無料)
- アクセス
- JR「城崎温泉」駅から徒歩約20分(送迎あり)
大阪・京都の市街地から2~3時間で行ける城崎温泉。そこには昔の風情を残しながら、新しいお店も増え、何度訪れても飽きない魅力があります。 1泊したあとは、城崎温泉から約1時間半で行ける、女子旅でも人気のスポット「天橋立」や「伊根の舟屋」を観に行くのもおすすめです。
日常生活ではなかなか着る機会がない浴衣を着たり、レトロな街並みを背景に写真を撮り合ったり、温泉以外にも楽しみがたくさん。ワイワイと食べ歩きしながらお店をめぐるもよし、ゆっくりと外湯をめぐるのもよし、様々な過ごし方が城崎温泉にはあります。友達と素敵な思い出つくりに行きませんか?
▼城崎温泉から行ける観光地情報
今回ご紹介した城崎温泉おすすめ観光スポットMAP
取材・写真・文/風花ルル