箱根の玄関口「箱根湯本」にほど近いにも関わらず、喧騒を離れ自然に癒やされる「塔ノ沢エリア」。中でも大切な人との記念日に最適な温泉宿が「金乃竹 塔ノ澤」です。
箱根の森との境界線を取り払うように身を委ねられる客室は、全室温泉露天風呂付き。ラウンジでスパークリングワインを楽しんだり、居心地の良いお部屋で気兼ねなくくつろいだり、思い思いの時を過ごせます。源泉かけ流しの湯に浸かり、2人で非日常を体感する1泊2日宿泊記をご紹介します。
吊り橋から先は、宿泊者限定。「金乃竹 塔ノ澤」へのアクセス
2023年で10周年を迎えた「金乃竹 塔ノ澤」は宿泊者を13歳以上に限定した大人のための隠れ宿。「ノーラインリゾート」をコンセプトに、箱根の森と境界線(ライン)をなくすことで開放感あふれる滞在を叶えてくれます。
アクセスは箱根湯本駅より車もしくは路線バスで約5分。約20,000坪もの広大な敷地の入り口は吊り橋になっており、ここから先は金乃竹 塔ノ澤の宿泊者だけが入ることを許されています。
吊り橋の下は芦ノ湖から相模湾へと注ぐ早川が流れ、渓流と山々が織りなす美しい景色が広がります。ときには箱根登山電車が通り過ぎ、箱根らしい風景を見ることができます。
竹林が美しいエントランスにはスタッフが立ち、宿泊者をお出迎え。まるでアート作品のようなウェルカムゲートは現実との結界を表し、門をくぐった瞬間に非日常へと誘います。
箱根の森が広がる「ラウンジ」 でチェックイン
スタッフの案内で館内に入ると、ふわっとお香の良い香りを感じました。パウダリーなフランクインセンス(乳香)の香りです。美しく飾られた季節の生花とともに、目でも香りでも癒やされます。
ウェルカムドリンクとお茶菓子をいただきながら、自然を感じるラウンジでチェックイン。窓一面に箱根の森が広がり、まさにコンセプトの「ノーラインリゾート」を感じられる空間です。
ドリンクはスパークリングワイン、無濾過製法のビール「白穂乃香」、富士山紅茶などから好きなものを選択可能。さらにお茶菓子も2種類あり、この日は京都の老舗・一保堂茶舗の抹茶を使用した自家製「抹茶わらびもち」と、小田原のパン工房・ブンブン小麦市場の「チーズケーキ」が選べました。
自然の音に耳を傾け、お茶菓子とともにドリンクを味わう……日常に傾いていた心が一気に非現実の世界へ。ラウンジではアルコールを含めたドリンクが夜22:00まで、翌朝7:00からチェックアウトまで無料で楽しむことができます。
館内着として浴衣が用意されていますが、女性は色浴衣も選択可能。可憐な小花のデザインや大人の女性に似合う黒色など、4種類の柄から選べます。
全室露天風呂付き。「光(HIKARI)」に宿泊
金乃竹 塔ノ澤には全23室・8タイプの客室があり、今回は2階「光(HIKARI)」に宿泊。フラットなワンルームに低めの家具が配置され、ラウンジと同じく箱根の森と一体化したような空間となっています。
照明は最低限に抑え、現実的なテレビを置いていないことも特徴。洗面所の仕切りがなく、広々と使うことができます。「光(HIKARI)」 は定員3人の71~75平米と定員4人の約94平米の2パターンです。
森と溶け込むテラスは青森檜葉の露天風呂付き。自家源泉かけ流しの湯に、チェックアウトまでいつでも浸かることができます。身体を温めた後に湯涼みできるよう、露天風呂のとなりに「姫(HIME)ベット」が備わっているのも、「光(HIKARI)」 の魅力です。
自家源泉「金乃竹温泉」の泉質はアルカリ性単純温泉。pH 9.5で入浴するとお肌がスベスベしたような感覚になり、何度も入りたくなってしまいます。
シャンプー・コンディショナー・ボディウォッシュ・ボディローションはバリ島発オーガニックコスメ「Sensatia(センセイシャ )」。100%オーガニックなので川に流しても問題のない、環境に配慮したアメニティです。自然の香りが心地よく、指通りの良い髪に仕上げてくれます。
基礎化粧品やシートマスクが用意されているのもうれしいポイント。メイク落とし、洗顔ジェル、化粧水、乳液は日本発のナチュラルコスメ 「GemiD(ゼミド)」です。
客室には2人でゆっくりとくつろげるようなアメニティが数多く用意されています。冷蔵庫の飲み物はすべて無料。ワイン、ビール、日本酒、ご当地みかんジュースなど、自由に味わえます。
金乃竹特製ナッツはお酒のおつまみにぴったり。甘い「はちみつ木の実」とスパイシーな「はちみつ木の実 黒胡椒仕立て」の2種類です。
エスプレッソマシンで淹れるコーヒーや、アメリカ発ティーブランド「マイティーリーフ」のお茶など、温かい飲み物も充実。マイティーリーフのお茶は「オーガニックミントメレンゲ」、「オーガニックアフリカンネクター」、「グリーンティートロピカル」から選べます。
自然のBGMも素敵ですが、上質なインテリアのように客室になじんでいるハーマン カードンのスピーカーで音楽を流すのもおすすめ。自分のスマートフォンとBluetoothで接続し、好みの音楽を聴くことができます。
もし記念日で利用するなら、宿へ事前にご相談を。無料でタオルアートの演出を用意することが可能です。2羽の白鳥のタオルアートはとてもかわいらしく、相手を喜ばせるサプライズにうってつけですよ。
夜は水盤に竹が反射。幻想的な「雫(SHIZUKU)」
光(HIKARI)のほか、おすすめの客室が「雫(SHIZUKU)」。広さは2パターンあり、定員3人の57平米~70平米と、定員4人の78平米~81平米です。
1階に位置しているため、箱根の森と水盤を眺めながらゆっくりと過ごせるのが特徴となっています。
雫(SHIZUKU)の露天風呂は御影石で、特に夜が幻想的。水盤に竹が反射し、アーティスティックな空間で湯浴みを楽しめます。
ペアも可能。オールハンド・スパトリートメントを体験
客室の温泉で身体を温めた後は、送迎車で坂を上った先にある「The Moon SPA」でリラックスタイム。古民家を改装した趣のある建物でオールハンド・スパトリートメントを受けることができます。
トリートメントルームはシングルとペアがあり、2人同時に受けることも可能。営業時間は10:00~19:00と限られているので、事前予約がおすすめです。
オーガニックコスメ「Sensatia」のアイテムを用いたメニューはボディトリートメント(60分 17,600円)が人気。
ラベンダー&ゼラニウムの「悠」、レモングラス&マンダリンオレンジの「巡」、グレープフルーツ&ローズマリーの女性限定「爽」の3つの香りから選び、体調に合わせた手技でほぐしてくれます。
上質を、少しずつ。ダイニングで季節の懐石を味わう
夜はダイニングで季節の懐石に舌鼓。京料理を基本とし、旬の食材や地元の食材を用いた品々を味わうことができます。驚くべきは、品数の豊富さ!この日は先附「いもたこなんきん」、添え「火取り金目鯛」、猪口「かながわ牛塩麹炙り寿司」から水物まで、計13品が登場しました。
お椀は北海道・白口浜真昆布と小田原の老舗「籠常商店」の鰹節を合わせた清汁仕立ての銀杏豆腐。出汁の旨みとともに、松茸より早く採れる「早松茸」が芳醇に香る、味わい深い一品でした。
金乃竹オリジナルの器は四季草花を描写した輪島塗。春の梅から始まり、夏の紫陽花、秋の撫子、冬の水仙、そして最後にまた梅が描かれることで四季の巡りを表現しています。
マグロ、マダイ、イカ、ヒラメ、ホタテと、新鮮な海の幸がずらりと並んで登場した「造里」。甘みのある土佐醤油のほか、珍しい「泡の塩」でいただきます。泡の塩はゼラチン・昆布出汁・塩を合わせたもので、白身魚と合わせると甘みをより引き立ててくれます。
焼物は「賀茂茄子と神奈川県・山北産ヤマメ 紫蘇の実田楽」、「鮑柔らか煮」、「石川小芋の絹被」、「才巻き黄身寿司」、「金糸瓜とびっこ和え」、「酢取り姫トマト」と6つの料理がお目見え。おいしいものを、少しずつ食べられる贅沢を噛み締めました。
北海道噴火湾産ズワイガニと箱根のたぐり湯葉を使用した温物「夏蟹とふかひれの蕪煮」、口直し「炙り鱧」と続き、メインとなる焜炉は「かながわ牛陶板焼き」。
A5ランクのサーロインを自分好みの焼き加減でいただきます。ジューっという音とともに良い香りが立ち込め、食べた瞬間にあふれる上質な脂。とても柔らかく、岩塩や黒酢と玉ねぎを合わせたソースとともに堪能しました。
御飯「とうもろこしとじゃこの釜炊き」は留椀「名古屋・まるや八丁味噌の赤出汁」、香の物「5種盛り合わせ」とともに。季節を感じる釜炊き御飯は、お腹が満たされているにも関わらずおかわりしたくなるおいしさでした。
最後の水物はダイニングでも食べられますが、せっかくなので宿泊者専用の「Bar Bamboo」に移動していただきました。ワインセラーを備えたバーは大人な空気感を楽しみながらお酒を味わうことができます(バーとしての営業は2023年10月開始予定)。
水物も「和梨蜜煮 甘栗餡」、「イチジク羊羹」、「ほうじ茶ムース」、「ブルーベリー氷菓子」、「マスカット&長野パープル」と盛りだくさん。おいしい食事とともに会話も弾み、時を忘れて思い出に残る夜を過ごすことができました。
石垣島きたうち牧場プレミアムビーフを満喫する「鉄板焼 禅」
夕食はダイニングで味わう懐石のほか、2023年7月に開業した「鉄板焼 禅」もおすすめです。都内でもごくわずかの店舗でしか食べることができない「石垣島きたうち牧場プレミアムビーフ」を味わえます。
料理長の田坂洋平さんが惚れ込んだ石垣島きたうち牧場プレミアムビーフは常温でも脂がとけるほどの融点の低さが特徴。40カ月以上という通常より長い期間をかけて肥育し、生産性よりも旨みを優先させた牛肉です。
カウンター席もしくは個室で、月間に6頭しか生産されない希少な牛肉の口溶けをお楽しみください。
※「鉄板焼 禅」の予約は宿に直接お問い合わせください。
線香花火も、ワインもフリー。ラウンジ で楽しむ夜のひととき
1日の終わりはラウンジでフリードリンクを満喫。夜22時までスパークリングワイン、ビール、ハーブティーなどを飲むことができます。
遊び心の効いたラウンジのうれしいサービスが「線香花火」と「ラムネ」。2人で線香花火を楽しめば、記憶に残るひとときになります。都内では花火ができる場所が少なく、久しぶりの花火に胸が高鳴りました。
和・洋御膳が選択可能。地元の食材をふんだんに使った朝食
翌朝はダイニングでの朝食から1日をスタート。和・洋御膳から選ぶことができ、地元の食材をふんだんに使用しています。料理はコース仕立てで4回に分けて提供され、温かいものを温かいうちに食べられるスタイルです。
和食は小田原の老舗「かごせい」のかまぼこ、ビタミンEが豊富な「横浜食菜卵」の出汁巻き、小田原市下曽我の「曽我十郎梅干」、驚くほど分厚い相模湾産「アジの干物」、箱根湯本の老舗「豆腐処 萩野」のおぼろ豆腐、小田原シャモの西京味噌煮など、ごはんに合うおかずが惜しげもなく登場しました。
ごはんは五つ星お米マイスターの土屋一さんが選び抜いた山形県産の「つや姫」。「白米」もしくは「おかゆ」から選ぶことができます。
洋食も箱根西麓の三島で採れた野菜を中心としたサラダや神奈川県ブランドのやまゆりポークウインナーなど、地元周辺の食材を使用。パンに付けるジャムは神奈川県湯河原町の手作りジャム工房「やまげん」のみかんとブルーベリーの2種類です。「横浜食菜卵」をたっぷり使ったオムレツは臭みがなく、完熟トマトの長野ケチャップとともに味わえました。
箱根の自然に身を委ねながら、源泉かけ流しの温泉に癒やされる「金乃竹 塔ノ澤」。記念日にはタオルアートでサプライズをしたり、バースデープレートを用意したり、思い出に残るアレンジもサポートしてくれます。大人のための隠れ宿で、非日常の箱根旅を体験してみませんか。
金乃竹 塔ノ澤
- 住所
- 神奈川県足柄下郡箱根町塔之澤191
- アクセス
- 箱根湯本駅より路線バス又はタクシーで約5分
- 駐車場
- 無料(予約不要)
- チェックイン
- 15:00 (最終チェックイン:19:00)
- チェックアウト
- 11:00
- 総部屋数
- 23室
撮影/岡村智明 取材・文/小浜みゆ