伊香保温泉ってどんなところ?
群馬三名山のひとつ榛名山の中腹、700mほどの標高にある伊香保温泉。垂仁天皇時代に誕生したとも、天平時代に行基という僧侶に発見されたとも伝えられる、歴史ある温泉です。明治時代には、日本温泉医学の父ともいわれるベルツ博士が、日本で初めて医学的な指導をしたことでも知られています。
2種類の温泉がある(黄金の湯、白銀の湯)
伊香保温泉には2種類の源泉があります。
1つは茶褐色の「黄金の湯」。お湯の中に含まれる鉄分が空気に触れ、酸化して茶褐色になります。刺激が少なく肌に優しいお湯です。鉄分が多く体を芯から温めてくれるため、血行促進、子宝の湯として親しまれています。
そしてもう1つは無色透明の「白銀の湯」。これは比較的新しく、1996年に発見された源泉です。 源泉の量が多いため、今では多くの温泉でこのお湯が楽しめます。天然の保湿成分ともいわれる「メタケイ酸」を豊富に含むので、湯上りにはつるつるのお肌に!
伊香保温泉へは高速バス、電車とバスで手軽にアクセス!
伊香保温泉へは成田空港から「アザレア号」(所要約3時間40分〜5時間10分)が、また東京駅・新宿駅からは「上州湯めぐり号」(所要約3時間30分〜4時間)が運行しており、ともに乗り換えなしで伊香保温泉へ直行できます。
またJR高崎駅からは路線バス(群馬バス)が運行しており、伊香保温泉までおよそ1時間20分。JR高崎駅から電車を乗り継ぎJR渋川駅で降りる場合は、路線バス(群馬バス)で約25分で到着します。
伊香保温泉の中心街「石段街散策」からスタート
伊香保温泉に到着したら、石段を登ってみましょう。頂上の伊香保神社まで365段の階段が続いています。 まるで天まで続いているような石段からは、歴史と風情が感じられます。
伊香保温泉の由来、石段の歴史
石段には約400年の歴史があります。1980年から5年ほどの歳月をかけて行われた大改修では、石段に御影石が敷き詰められました。その一部には、この地を愛したことで知られる歌人・与謝野晶子の詩『伊香保の街』が彫り込まれています。「365日にぎわってほしい」という願いが込められ、頂上の伊香保神社まで365段になっています。
石段のところどころにあしらわれた干支のプレート。江戸時代に、ここは引湯権を与えられた12軒の宿があり「大家」と呼ばれていました。これらの「大家」に一つずつ異なる干支があてがわれ、家紋のような役割を果たしていました。現在ある干支のプレートは、当時宿があった位置を示しています。
絶景スポットを目指し、ロープウェイで「上ノ山公園」へ
石段の中腹まで来たら、絶景スポットを目指してロープウェイに乗りましょう! 石段街から徒歩5分ほどの「まちの駅ふるさと交流館」4階のロープウェイ発着所(不如帰駅)から乗ることができます。
ロープウェイからはまるで天空散歩をしているかのような絶景が広がります。遠くに赤城山・谷川岳の雄大な山並みが望め、春は新緑、秋は紅葉の美しさに目を奪われます。
終点「見晴駅」まではおよそ4分。そこから3分ほど歩いていくと、絶景スポットである上ノ山公園の「展望デッキ(ときめきデッキ)」に到着。
展望デッキからは、息をのむほどの雄大な絶景が広がります。草津白根方面から谷川連峰、赤城山までの大パノラマ! 初夏にはヤマツツジや新緑、秋には紅葉が美しいスポットです。
デッキには「輝望の鐘」があるので、恋人と一緒に来た際は、ぜひ鳴らしてみてくださいね。
帰りは、遊歩道から伊香保温泉まで歩いて10分ほど。ゆっくり自然を感じながら歩くもよし、ロープウェイを利用してもう一度絶景を楽しむもよし、お好みに合わせて移動しましょう。
渋川市営伊香保ロープウェイ
- 住所
- 群馬県渋川市伊香保町伊香保558-1
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 運行時間
- 15分おき(12:15の運行はなし)
- 料金
- 大人往復820円 片道490円 子供往復410円 片道240円
ランチにもおすすめ!ご当地グルメのお店
伊香保には地元の食材を使ったご当地グルメのレストランなどがたくさんあります。ランチに立ち寄りたいおすすめ店をご紹介します。
地元食材をたっぷり堪能できる「石段うどん」
伊香保ロープウェイから石段街を歩いて約7分の場所にあるのが、源泉かけ流しと自家製うどんが自慢の宿「青山旅館」が営むお食事処「石段うどん」。
鉄鍋に入ったうどんをコンロで加熱して食べる鍋うどんが名物。「上州もち豚」や地元の野菜などがふんだんに使われた「上州もち豚肉汁うどん」が人気です。
コシのあるつるつるの冷たいうどんを、温かい汁につけていただきます。汁の中には群馬名物、上州もち豚がたっぷり入っています。
もう一つのおすすめメニューが、鉄鍋にうどんときのこがたっぷり入った「きのこ鍋うどん」。ガスコンロで温めて、熱々のうどんをいただきます。
のど越し抜群のうどんと、群馬県名産の香り高いきのこのハーモニーが絶妙です。
石段うどん
- 住所
- 群馬県渋川市伊香保町伊香保47 青山旅館
- 営業時間
- 12:00~19:00
- 定休日
- 火、水、木曜日
ボリューム満点!上州ロース丼
老舗旅館をリノベーションしたレストランSARA"S Terrace Arraiya(サラズテラス アライヤ)。ランチでおすすめの人気メニューは、リーズナブルに上州牛が味わえる絶品「上州牛ロース丼」。
極上の上州牛ロースをふんだんに使った丼。柔らかいお肉と甘辛ソースがよく絡み、卵を絡めていただきます。ステーキのように厚くて柔らかいお肉は何度も食べたくなる味わいです。セットでサラダがついてくるのも嬉しいですね。
デザートメニューも充実しているのでお腹に余裕があれば、是非オーダーを。「シトラスシトラス」は、グレープフルーツのジュレ、ナタデココの上にフレッシュルビーがトッピングされ、見た目も美しいデザート。フレッシュルビーのすっきりとした味わいに、弾力あるナタデココがよく合います。
SARA"S terrace Arraiya (サラズテラス アライヤ)
- 住所
- 群馬県渋川市伊香保町伊香保20
- 営業時間
- 10:00~18:30
- 定休日
- 不定休
小腹が空いたら!石段街の食べ歩きグルメ
石段街散策中に小腹が空いたら、手軽に腹ごしらえをしましょう。 石段街には食べ歩きにぴったりなグルメ店がたくさんあります。
食べ歩きスイーツは、サクサクふわふわ「ワッフル」を
石段街入口付近にあるワッフル屋さんでは、チョコレートクリーム味やカスタードクリーム味など、さまざまなテイストのワッフルを楽しめます。お値段は230円~300円(税込)とお手頃です。
今回は濃厚な味わいの「大人のティラミス」味をセレクト。甘さ控えめで大人も美味しく食べられます。さくさくの生地とふわふわのクリームが同時に味わえて、スイーツ好きにはたまりません。
石段街のわっふる屋
- 住所
- 群馬県渋川市伊香保町78
- 営業時間
- 10:00~17:30
- 定休日
- 火曜日
熱々の「玉こんにゃく」は外せない名物
石段を少しのぼると見えてくるのが「石段 玉こんにゃく」。甘酒やもつ煮、お好み焼きやチャーハンなど様々なメニューを店内でも食べられますが、なんといっても一番人気は、食べ歩きにも便利な玉こんにゃくです。
醤油やだしで煮込み、味付けした玉こんにゃくは、食べた瞬間に旨味が溢れ出します。お値段は1個100円(税込)。串に刺さっていて持ちやすく、ちょっと小腹を満たすのにぴったりです!
石段 玉こんにゃく
- 住所
- 群馬県渋川市伊香保町伊香保76-5
- 営業時間
- 9:30~18:00(売り切れ次第終了)
- 定休日
- 土・日・祝日のみ営業(8月は無休)
石段街を上りきったら「伊香保神社」参拝
365段の石段を登りきると現れるのが「伊香保神社」。参道の鳥居手前に社務所と手水舎があり、手を清めてから鳥居をくぐります。
「伊香保」の地名は古く、『万葉集』東歌にも詠まれています。「厳つ峰」(いかつほ)や「雷の峰」(いかつちのほ)と詠まれるように山岳信仰した、榛名山を指す古名でした。現在の場所には平安時代以降に移ったとされ、それ以降湯の神として崇拝されるようになったそうです。
縁結びや安産、子育て、良縁、金運アップのご利益があるといわれ、群馬県内で有名なパワースポットのひとつです。「子宝祈願」「縁結び」「開運招福」の3種類の絵馬が手に入るので、願掛けしてみてはいかがでしょうか。
伊香保神社
- 住所
- 渋川市伊香保町伊香保2
「河鹿橋」を歩いて、「伊香保温泉飲泉所」へ
伊香保神社でお参りを済ませたら、神社の裏手から湯元通りを歩き「河鹿橋」へ向かいます。5分ほど坂道を上ると、鮮やかに赤く塗られた橋が見えてきます。こちらは紅葉シーズンになると、ライトアップされ多くの見物客でにぎわいます。
河鹿橋
- 住所
- 群馬県渋川市伊香保町伊香保590
少し歩くと「伊香保飲泉所」に到着。温泉水と普通の水2種類が流れ出ていて、据え置きのコップで飲み比べができます。飲泉では痛風や慢性アレルギー疾患、肥満などに良いとされているそうです。ただし、鉄分が多く含まれているので飲用は食後にして、飲みすぎないように気をつけてくださいね。
群馬県渋川市伊香保湯元
- 住所
- 群馬県渋川市伊香保湯元
- 営業時間
- 24時間
日帰り温泉「伊香保露天風呂」へ
飲泉所から徒歩2分ほどの場所にある「伊香保露天風呂」。脱衣所も男女別になっており、鍵付きのロッカーも無料で利用可能。露天風呂が男女1つずつあり、温泉は「黄金の湯」100%の源泉かけ流し。
どことなく懐かしさを感じる露天風呂。神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、疲労回復、動脈硬化などへの効果が期待できるそうです。旅の疲労回復にも効果的です。
伊香保露天風呂では、明治時代に伊香保で湯治を指導したベルツ博士の銅像や、湧出口から源泉が勢いよく噴き出す様子も見られます。
伊香保露天風呂
- 住所
- 群馬県渋川市伊香保湯元581
- 入浴料金
- 大人450円 子供200円
- 営業時間
- 10月~3月10:00~18:00 4月~9月9:00~19:00
- 定休日
- なし(点検により定休になる場合もあり)
石段中腹には、温泉を気軽に楽しめる足湯も!
石段の中腹にある足湯スポット「辰の湯」。こちらは 老舗旅館「岸権旅館」の入口で、足湯が無料で楽しめます。ここでは、石段街周辺の風情ある景色を眺めながら足湯を楽しむことができます。
伊香保の源泉を引いた「黄金の湯」が、歩き疲れた足を癒してくれます。旅館に宿泊している方は無料でタオルの貸し出しがありますが、タオルを忘れた場合は向かいのお土産屋さんで購入可能です。
岸権旅館 足湯
- 住所
- 群馬県渋川市伊香保町伊香保甲48
- 営業時間
- 8:00~19:00
- 料金
- 無料
伊香保のお土産はこれで決まり!
温泉饅頭
次は伊香保温泉で外せないおすすめのお土産をご紹介します。全国の温泉地にある温泉饅頭ですが、実は伊香保が温泉饅頭発祥の地なのです。
中でもおすすめのお店が、伊香保神社の石段の下にある「勝月堂」。伊香保温泉の茶色い湯の花をイメージして作ったのが、温泉饅頭が始まりなのだそう。保存料を一切使用せず、100年以上変わらない製法で毎日職人さんが手作りしています。
温泉饅頭は、ばら売り1個100円、箱入り6個720円~30個3,300円まで(税込)。自然なあんの甘みと、ふわふわモチモチの皮が美味しく引き立ちます。ぜひ近くに立ち寄ったら、蒸かしたての温泉饅頭を食べてみてください。
勝月堂
- 住所
- 群馬県渋川市伊香保町伊香保591-7
- 営業時間
- 9:00~18:00
- 定休日
- 元日(他不定休日あり)
水沢うどん
日本三大うどんの一つとされる「水沢うどん」は、伊香保の水澤寺周辺が発祥のため、伊香保温泉の定番土産です。自宅でゆでて、本場の味が楽しめる水沢うどん、ぜひお土産にいかがですか?
石段通りにあるお土産店「のほほん」では水沢うどんをメインに、手作りの雑貨、湯の花まんじゅうなどを取りそろえています。
中津屋 のほほん
- 住所
- 群馬県渋川市伊香保町伊香保49
- 営業時間
- 9:00~18:00
- 定休日
- 水曜日
伊香保地ビール 石段物語
伊香保限定の地ビール「石段物語」は、伊香保温泉でしか買えないので、お土産にぴったり。アルコール度5%のヴァイツエンで、とても飲みやすいビールです。
今回購入したのは石段街にある「十一屋酒店」。地酒や日本酒など、さまざまな種類の酒が取り揃えられている人気の酒屋です。
十一屋酒店
- 住所
- 群馬県渋川市伊香保町伊香保21-1
- 営業時間
- 9:00~21:00
- 定休日
- 火曜日
伊香保温泉石段街の周辺は、露天風呂や足湯で温泉を堪能したり、ロープウェイで山に登って絶景を楽しんだりと、さまざまな観光の楽しみ方ができます。素敵な思い出が生まれる伊香保温泉に、ぜひ足を運んでみてくださいね。
取材・写真・文/ちり
※掲載内容は公開時点のものです。ご利用時と異なることがありますのでご利用の際は公式ホームページなどでご確認ください。