高まる地方移住への関心。佐賀・唐津への移住者が感じた地域の魅力とは?

関綾乃さん

コロナ禍でテレワークなど働き方が変わり、ライフスタイルを見直す人が増えていると言われています。その中で注目されているのが地方への移住です。そこで今回、「あらゆるLIFEを、FULLに。」を掲げ、住宅情報の提供をはじめ、地方創生、地域移住マッチングなどに関わる事業を手掛ける株式会社LIFULLとコラボ。

内閣府が2021年9~10月に行った調査によると、地方移住に「関心がある」と回答した人は、東京都23区全年齢で37.3%。東京都23区20歳代に限ると49.1%。この結果を見ても、若年層の関心が高いことが分かります。

では、実際に地方移住した人は、どんな暮らしをして、どんなところにその地域の魅力を感じているのでしょうか? LIFULLが運営する移住プラットフォーム「LOCAL MATCH」を利用して、2021年10月に埼玉県から佐賀県唐津市へ移住した関彩乃さんにインタビュー。おすすめスポットも交えて教えてもらいました。

 

 

移住のきっかけ、現在の暮らし、唐津の好きなところ

関綾乃さん

関さんが移住先の佐賀県を初めて訪れたのは、2019年。以前から興味があった熱気球の大会「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」を見るための旅行でした。

 

「このときの旅は張り切って1泊2日の行程にたくさん詰め込んだのですが、とても楽しかった。訪れた先すべての満足度が高く、一気に佐賀が大好きになりました」(関さん)

 

移住前、関さんが勤めていたのは旅行会社。仕事にやりがいは感じていたものの、もっと地域の人たちと密に関わる職に就きたいと思い、退職を決意します。埼玉に住んでいましたが首都圏にこだわらず、全国に範囲を広げて就職先を探し始めました。その中で地方移住も視野に入れていましたが、当時は「海があって海鮮がおいしいところがいいな」という漠然としたイメージしか持っていなかったそうです。

 

「『LOCAL MATCH』の登録時に興味があるものをチェックするのですが、『まちづくり』『空き家』などを選択して候補地を絞っていくうちに、唐津への移住を支援するNPO法人「唐津Switch」で空き家コーディネーターを募集しているのを見つけました。大好きな佐賀だし、なにより海が近く、私の理想に近い環境だったんですよね。『これはおもしろそう!』と思い、応募の締め切りギリギリでしたが思い切って問い合わせてみました」(関さん)

 

その後、見事に採用された関さんの現在の住まいは、空き家を改修した唐津にあるシェアハウス「根の家」。そこは唐津湾と特別名勝「虹の松原」を見下ろせる展望台で有名な鏡山にあり、念願の海を望む生活を手に入れました。

 

関綾乃さん

「『根の家』は本当に居心地が良い場所。特に縁側が大のお気に入りで、時間があれば縁側に出て過ごしていますね。休日はのんびり過ごす日もあれば、友人と一緒にアクティビティに参加することもあります。仕事の関係で地域でアクティブな活動をする人とつながることも多く、この前もSUPに行ってきたところです」(関さん)

 

さらに他県へも足を伸ばし、移住生活を楽しんでいるという関さん。

 

「気分転換に福岡市内まで買い物に出かけることもあります。唐津の市街地から直行バスが出ているので、1時間ちょっとで行けて便利。時間があるときは電車で行くこともあります。バスよりも時間がかかりますが、車窓からの海の眺めは最高ですよ」(関さん)

 

関綾乃さん
空き家コーディネーターとして働く関さん

空き家コーディネーターとしての仕事は、空き家所有者の相談にのったり、空き家対策セミナーなどのイベントを実施したりすることが中心。一日中オフィスで仕事をする日もあれば、外出して空き家の所有者を訪ねる日も。終業は大体18時頃で残業も少ないため、週に一度は仕事終わりに温泉に入ってリフレッシュするそう。

 

「あまり知られていませんが、唐津は良質の温泉が各所に湧いています。行きつけは、シェアハウスから近い『鳴神温泉 ななのゆ』ですね。ここは休憩所やお食事処もあって、ゆっくり過ごすのに最適です」(関さん)

 

そのほか、唐津のおすすめ観光スポットについても聞きました。

 

「厳木町(きゅうらぎまち)の『環境芸術の森』は最近人気のスポット。移築してきた古民家の床に、季節ごとの景色が反射する様子が美しいです! 紅葉も良いですが新緑の季節もおすすめです。また、定番ですが『呼子大橋』もいいですね。有名な呼子のイカも食べられるし、近くの温泉にも入れます。あとは、やっぱり『唐津くんち』。毎年11月には50万人もの人が唐津を訪れるんですよ」(関さん)

 

もともと旅行好きで、旅先に関してのリサーチが得意な関さんでも、唐津に住まなければ知り得なかった絶景がたくさんあると言います。「唐津Switch」の同僚で移住コンシェルジュの三笠旬太さんも、そんな絶景を教えてくれました。

 

関綾乃さんと三笠旬太さん
「唐津Switch」の同僚・三笠さんと

「唐津に有人の離島が7つあることはあまり知られていません。宝くじ当選祈願の神社『宝当神社(ほうとうじんじゃ)』がある高島は有名ですが、それ以外の離島も魅力がたくさんあります。また、離島ではありませんが、加部島(かべしま)の『杉の原放牧場』も絶景ですね。三方を海に囲まれた崖で牛たちがのんびりと草をはんでいる、のどかな風景が楽しめます」(三笠さん)

 

「『いろは島展望台』から見える絶景もおすすめですね!  伊勢の島々に似てる気がして、私の中では『佐賀の伊勢志摩』と呼んでいます」(関さん)

 

移住してその地で暮らすということは、「食」も大事。すでにお気に入りの飲食店もあるのだとか。

 

「『ななのゆ』に近い、定食屋『ふゅうじょん』の唐揚げ定食がイチオシです。また、『環境芸術の森』まで足を伸ばすなら、お好み焼きの『山口お好み屋』にも寄っていただきたいですね。お好み焼きの概念が覆されますよ!」

 

シェアハウス
同居人の方々と。シェアハウスでは様々なイベントも開催しているそう

シェアハウス「根の家」に住む男女の割合はほぼ半々で、全員が移住者。佐賀牛の繁殖農家や唐津焼の勉強などを目的に移住してきた人たちが入居しています。「最近は子育て世代の移住ニーズが増えています」と話す関さん。お試し移住プランを提供している「唐津Switch」でも、ファミリーの移住体験に応えられるよう、新たな動きがあったそうです。

 

「2022年2月に『根の家』にファミリー向けの離れを増設しました。これで今後は、子ども連れでも唐津暮らしを体験しやすくなると思います。お風呂とキッチンはシェアハウスと共用ですが、リビングと寝室の2室、トイレを占有部分として使用可能です。最低限のプライバシーは守られつつ、夜はシェアハウスの大人たちと子どもが交流できるユニークな環境なんですよ」(三笠さん)

 

移住というとハードルが高く感じられがちですが、まずは気軽に滞在してみてほしいという関さん。

 

「お試し滞在の制度を利用したからといって、必ず移住しなければならないわけではありません。滞在中に地元のお店に行ってみたり、唐津で暮らしている人たちと交流したりして、土地との相性を感じることも大切だと思います。まずは1日でもいいので唐津に遊びに来て、少しでも唐津のことを知ってもらえたらうれしいですね」(関さん)

 

関さんがすっかり大好きになった唐津へ、移住を考えている人もそうでない人も、一度旅行してみてはいかがでしょう。

 

 

関さんのおすすめスポットを紹介

鏡山展望台

鏡山展望台からの風景

標高284mの鏡山は頂上が平らなため、どの角度からも台形に見える山。山頂の展望台からは、唐津湾や虹の松原などの絶景が一望できます。また、『肥前風土記』や『万葉集』にも登場する松浦佐用姫の悲恋物語の舞台としても知られています。

 

住所
佐賀県唐津市鏡
アクセス
【車】長崎自動車道「多久」ICから約40分、福岡方面からは今宿道路経由で約60分
詳細
鏡山(かがみやま) - 唐津市

 


鳴神温泉 ななのゆ

鳴神温泉 ななのゆ

佐賀県唐津市七山にある日帰り天然温泉。施設内に休憩スペースやレストランなど設備が充実しており、一日中楽しめます。また、RVパークも併設されており、車中泊で滞在する方にも便利な施設です。

 

住所
佐賀県唐津市七山滝川1150
アクセス
【電車】JR「浜崎」駅より昭和バス「ななのゆ」バス停下車
公式サイト
鳴神温泉 ななのゆ

 

 


環境芸術の森

環境芸術の森

唐津市厳木町の作礼山(さくれいざん)斜面に広がる私有林を活かし、人工物を極限まで削って誕生した「森の空間」です。ショートコースとロングコースがあり、訪れる人のペースで森を楽しめます。特に、敷地内に移設された古民家の床に反射する景色が美しいと、近年SNSでも話題のスポットです。

 

住所
佐賀県唐津市厳木町平之667
アクセス
【車】長崎自動車道「多久」ICより約20分
公式サイト
唐津 紅葉の名所・観光|【公式】環境芸術の森

 

 


呼子大橋

呼子大橋

佐賀県唐津市の離島である加部島と九州本土を結ぶ道路橋。夕日を背景にしたシルエットは、呼子の新しいビューポイントともなっています。また、呼子大橋のすぐ下にかかる弁天遊歩橋も絶景を眺めながら散歩できるポイントとして、観光客に人気です。

 

住所
佐賀県唐津市呼子町殿ノ浦
アクセス
【電車】JR「唐津」駅より車で約25分
詳細
呼子大橋と加部島 - 唐津市

 

 


いろは島展望台

いろは島展望台

いろは島は伊万里湾に点在する大小48ほどの島々の総称。高台にある「いろは島展望台」からは、その美しさに弘法大師も筆を投げたと言われる景色が一望できます。

 

住所
佐賀県唐津市肥前町満越537-2
アクセス
【車】西九州自動車道「前原東」ICより約60分

 

 


杉の原放牧場

杉の原放牧場

イカで有名な呼子と「呼子大橋」でつながっている加部島。その最北端に位置する「杉の原放牧場」は、海に突き出た断崖の上にあり、青い海と緑の草原のコントラストが美しいと評判です。50頭ほどの牛が草をはむのどかな風景が見られます。

 

住所
佐賀県唐津市呼子町加部島411-1
アクセス
【車】西九州自動車道「唐津」ICより約50分

 

 


唐津くんち

唐津くんち

「唐津くんち」は、11月の2~4日に開催される唐津神社の秋季例大祭で、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。ヤマと呼ばれる巨大な山車が城下町を練り歩く「曳山巡行」が最大の見どころで、毎年多くの観光客が訪れます。

 

開催場所
旧唐津市内一帯
アクセス
唐津神社 【電車】JR「唐津」駅より徒歩約10分

 

 


宝当神社

宝当神社

唐津湾に浮かぶ高島にある「宝当神社」は宝くじが当たる神社として有名で、宝くじ当選、開運、金運のご祈願で全国から多くの参拝者が訪れます。唐津からは定期船か海上タクシーでアクセス可能です。

 

住所
佐賀県唐津市高島523
アクセス
【車】長崎自動車道「多久IC」より厳木多久道路経由で「宝当桟橋(高島渡船場)」まで約30分、
        福岡方面からは都市高速唐津方面へ、「宝当桟橋(高島渡船場)」まで車で約30分、
        渡船場から定期船、または海上タクシーで高島まで約10分
【電車】JR「筑肥線唐津」駅より「宝当桟橋(高島渡船場)」までタクシーで約5分
公式サイト
宝当神社

 

 


山口お好み屋

山口お好み屋

1959年(昭和34年)創業のお好み焼き店。地元の人だけでなく、ツーリングする人やドライバーも多く来店し、多くの人に愛される老舗です。自家製ソースは甘みを抑えたスパイシーな味わいで、箸が進みます。

 

住所
佐賀県唐津市厳木町岩屋1077
アクセス
【電車】JR「岩屋」駅より徒歩約15分

 

 


食事処ふゅうじょん

ルーシーキキ ディナー

唐津市七山(ななやま)の居酒屋兼洋食店。七山産のお米や野菜を使用し、唐揚げ、チキンカツなど定食類のほか、カレー、オムライス、グラタンなどの洋食メニュー、お酒の肴になる一品料理など豊富にそろえ、地元のファミリーなどで賑わう。

 

住所
佐賀県唐津市七山仁部1097-6
アクセス
【車】西九州自動車道「吉井」ICより約15分

 

取材・撮影・文/カミイマイ

 

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