箱根「はつはな」SDGsを踏まえたリニューアルが完了!環境・地域・宿泊客にやさしい宿へ

はつはな

女性にやさしい箱根の宿として開業した「はつはな」が、30年目の節目を迎える直前に大規模なリニューアルを実施(2022年9月11日リニューアルオープン)。客室を拡張し、さらに無料の貸切風呂やバリアフリーのお部屋を新設するなど、幅広い人たちがより快適に過ごせるようになりました。

 

箱根の伝統工芸、神奈川の食材といった地元とのつながりも深まり、地球環境を考慮した取り組みも実施。心配りが随所に感じられ、それは「はつはな」が醸し出す、やわらかな雰囲気へとつながっています。

 

 

「かながわプラごみゼロ宣言」に賛同

かながわプラごみゼロ宣言

持続可能な社会を目指すSDGsの中でも海洋汚染に目を向けた「かながわプラごみゼロ宣言」は、神奈川県が独自に実行しているもの。海洋生物に影響を及ぼすプラスチックごみの削減を目標にし、県内の企業との連携も進めています。はつはなを運営する「(株)小田急リゾーツ」は賛同企業として、使い捨てプラスチックの削減、ペットボトルの再生利用を行うことで、プラごみの削減に貢献しています。

 

地産地消から始まる循環型社会

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誰もが暮らしやすく、より良い世界を目指そうと始まった「SDGs」(持続可能な開発目標)。17の目標で構成され、環境や経済など多岐にわたっています。その中でも海洋汚染に目を向けた「かながわプラごみゼロ宣言」は、神奈川県が独自に実行しているもの。

 

「はつはな」の食卓には、南足柄産のブランド牛に認定された相州牛(そうしゅうぎゅう)や、秦野名水という湧き水で栽培された秦野野菜など、地元産の食材が勢揃い。これは地元経済の発展に貢献するだけでなく、食料を運ぶ際に排出される二酸化炭素を抑制する側面も。新鮮さも保たれるので、おいしさを損なわずに料理をいただけるのです。

 

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さらに、生ごみの廃棄にはバイオ処理機「SINKPIA(シンクピア)」を取り入れており、施設内で完結。運送する手間が省けるだけでなく、分解は微生物の力を使うため、エネルギーも使わずに済みます。

 

無駄にしない、間伐材で生まれたお箸

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食事の際に使用するお箸にもこだわりがありました。ディナーには箱根ひのきの間伐材で作られたお箸が登場します。持ってみると軽くて、食べものを摘まみやすいと好評。専用の箱が付いているので、一夜限りで終わらせるのではなく、そのまま自宅に持って帰り、使い続けることができます。

 

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もちろん、朝食にも桜の間伐材によるお箸を使用しているほか、ギャラリーショップで箱根の山桜でつくられたお箸も販売しています。

 

環境に配慮したアイテムの数々

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客室を見回せば紙や木といった自然由来の素材が多く使用されており、それは手元のキーカードも然り。木製のものが使われ、プラスチックごみの削減に対する配慮が感じられます。

 

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プラスチック製品の削減として、スキンケアセットを個別包装ではなくポンプボトル式にしたのもその一例。

 

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また、歯ブラシやヘアブラシといったアメニティも置かない決断をしています。「お客さまにご準備いただくことになるので、最初はどうなるのか半信半疑でしたが、お客さまからもご理解とご賛同をいただいております」と、副支配人の岩見さん。日常使いのものを持参することがごみ削減につながると聞き、それなら自分もできそうと思えてきます。

 

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冷蔵庫のフリードリンクも、ペットボトルではなく、リサイクル可能な缶や瓶入りのジュースやクラフトビールで揃えています。

 

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さらに「はつはな」は、寝具選びもこだわります。枕・掛け布団・ベッドパットの中綿は、ドイツの「ADVANSA社」が開発した、世界中で回収された海洋プラスチックを加工したもの。弾力性のある感触は、まるで本物の綿のよう。掛け布団1.5kgに対し、約75本分のペットボトル削減に貢献しているという逸品です。

 

地球に考慮したグッズで癒される「リラクゼーション」

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温泉地ならではの湯治セラピーが受けられる、リラクゼーション「まほろみ」。こちらの人気メニュー「まほろみトリートメント」は、フランキンセンスの香りが浄化を促し、オリジナルブレンドのアロマオイルがデトックスとリラックス効果をもたらします。その際、身体を温めるのに使われるのが「チェリーストーンピロー」です。

 

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チェリーストーンピロー

コットンの中に入っているのは、チェリーブランデーを製造する際に残ったチェリーの種。水分を含んだ種は温めることで熱を帯び、冷やして利用することもできます。自然素材100%なうえ、何度も利用可能。サイズは3種類あり、こちらで購入もできます。

 

地域の特産品が並ぶ「ギャラリーショップ」

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超絶技巧な箱根の伝統工芸「寄木細工(よせきざいく)」が並ぶ「ギャラリーショップ」は、ショップというより美術館のようです。手に取れば職人の熱意までも伝わってきそうな伝統工芸品や、地元の食材にこだわった商品を販売していて、まさにコンセプトの「作り手たちと出会い、想いを継ぐ」場所になっています。

 

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「金指ウッドクラフト」が手掛けた生活用品やアクセサリーなどは、シンプルで丸みを帯びた形とは裏腹に、幾何学模様を描くために50種類もの天然木が複雑に組み合わされたもの。木と匠の芸術作品は使うほどに味わいが深くなり、年月経過とともに愛着も湧くはず。ものを大切にする気持ちも育まれ、SDGsが掲げる「つかう責任」も果たせそうです。

 

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桃色やはちみつ色など、色鮮やかなクラフトリキュールはディナーの食前酒にも登場する「はつはな」のオリジナル商品です。桜・梅・柚子・かぼす・ブルーベリーの5種類があり、そのどれもが神奈川県産の素材を使用しているという徹底ぶり。地元企業との協働から確固たるパートナーシップもうかがえ、地域産業への関わりにも注目です。

 

一体感があるユニバーサルデザインの制服

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性別や年齢など関係なく、誰もが快適な滞在を過ごせるように。分け隔てなく迎え入れる「はつはな」のおもてなしは、スタッフの制服にも表れています。男女ともに同じ制服は、落ち着いた孔雀色に、華やかな桜の柄を袖口にあしらったデザイン。襟まわりが和装の重ね着を彷彿させる独特のカッティングは、控えめでありながら雅やかさが感じられ、「はつはな」の雰囲気と調和しています。

 

健康を図れる湯治の機会を誰にでも

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経済や環境に注目されやすいSDGsですが、目標のひとつに「すべての人に健康と福祉を」が挙げられています。温泉に浸かることで怪我や病気を治療する湯治(とうじ)は日本に古くから伝わる文化で、今も健在。しかし、個人の事情や設備の問題により、すべての人が温泉を満喫できているかは定かではありません。

 

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貸切風呂「静寂(しじま)の湯」

そのような状況下でも、貸切風呂ならプライバシーが保たれて自分ひとりの時間、もしくは親しい人たちと癒しの時を過ごすことができます。束の間かもしれませんが、経験できることがきっと安らぎや幸福感につながるはず。病気や怪我だけではなく、多方面で満たされている状態をWHO(世界保健機関)は「健康」だと定義しています。

 

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大浴場「山の端(は)」

多くの人たちと共有する大浴場、少人数で堪能する貸切風呂。どちらにも異なる醍醐味がありますが、大切なことはすべての人が選択できる環境だということです。

 

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貸切風呂「川音(かわと)の湯」

「はつはな」には貸切風呂が4カ所あり、お部屋を予約する際に貸切風呂も予約できます。さらに空き状況によっては当日追加でも利用可能。それぞれが趣向を凝らしたデザインとなっていて、無料で利用できることから多くの人たちに温泉を満喫してほしい想いがうかがえます。

 

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バリアフリー設計の貸切風呂「水面(みなも)の湯」

そのうちの1カ所「水面の湯」は、屋外に水盤を配して山の風景を投影する設計。室内風呂でありながら開放感を味わえるこちらの貸切風呂は、脱衣所から浴槽までがひと続きになっており、車いすの方も入浴できます。

 

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客室「プレミアムユニバーサルtype」

貸切風呂がバリアフリーなら、もちろんお部屋も。「プレミアムユニバーサルtype」は、広さ88平米で最大4名まで宿泊できます。テラスの露天風呂とお手洗いには手すりを完備。車いすの方がお部屋から直接テラスに出られるように設計されているのも特徴です。スムーズにお部屋の露天風呂を利用できることから、繰り返し訪れるお客さまもいると聞きます。

 

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「はつはな」では、車いす数台も玄関先に用意しており、足の不自由な方が到着後すぐに利用できる態勢を整えています。

 

「はつはな」を起点に始まる個人のSDGs

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ラグジュアリー C type 緋(ひき)

リニューアルを経て、訪れるすべての人が快適なひとときを過ごす「はつはな」。こちらに滞在することで、箱根だけでなく、知らなかった神奈川についても色々と気づかされます。そうして培われた発見は好奇心となり、関心の輪は箱根の伝統工芸、神奈川の地産地消、やがて地球環境へ。「愛情の反対は無関心」という言葉がありますが、興味や好きな気持ちを増やすことが持続可能な社会につながるのかも。地域の魅力がぎゅっと詰まっている「はつはな」では、今日も新たなファンが誕生しています。

 

はつはな

住所
神奈川県足柄下郡箱根町須雲川20-1
アクセス
【バス】箱根湯本駅から「温泉送迎バス(オレンジバス)」または「箱根登山バス」で約10分「はつはな前」下車
【車】箱根新道「須雲川IC」出口正面
チェックイン
15:00 (最終チェックイン19:00)
チェックアウト
11:00
総部屋数
35室
駐車場
有り(25台)無料

 

 

取材・写真・文/浅井みらの

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