岐阜・大垣の里山カフェ「田の中屋」。思わず“ただいま”と言いたくなる懐かしさと居心地のよさ

岐阜・大垣の里山カフェ「田の中屋」。思わず“ただいま”と言いたくなる懐かしさと居心地のよさ

提供:ことりっぷ

 

岐阜県大垣市の郊外にある「田の中屋」は、自然豊かな里山にあるカフェ。のどかなロケーションと懐かしい民家のたたずまい、地元の食材を生かした滋味豊かな食事などにほっとするお店です。

大垣で160年以上続く老舗せんべい店が手がけているので、せんべい作りに使う自家製味噌を使った食事や、せんべいのオリジナルスイーツも楽しめます。お目当てにしたい魅力が詰まった里山カフェで、のんびりとした時間を過ごしてみませんか。

 

 

自然に囲まれたのどかな風景を楽しんで

自然に囲まれたのどかな風景を楽しんで お店の周りにも緑がいっぱい

岐阜県西部に位置する大垣市。美しい地下水に恵まれた水の都として知られています。「田の中屋」がある上石津町は大垣市の中心部から少し離れた飛び地の町で、西は鈴鹿山脈、東は養老山脈に囲まれた自然豊かな町。山々の間をぬうように牧田川が流れ、周囲には田園風景が広がるのどかなエリアです。

名古屋市の中心部からは車で約1時間。公共交通機関を利用するとJR関ヶ原駅からバスになりますが、バスの本数が非常に少なく、車でのアクセスがおすすめです。お店へ向かう車窓からは川で釣りや水遊びを楽しむ様子を見かけたり、畑へ近づく野生の猿の姿も。自然とともにあるおだやかな暮らしが伝わってきます。

 

気兼ねなくくつろげる民家のたたずまい

気兼ねなくくつろげる民家のたたずまい 大きなテーブルが置かれた土間や座敷など、思い思いに過ごせる店内

静かな里山風景の中を進むと、大きな民家の前に「田の中屋」の看板が出ています。2023年秋にオープンした「田の中屋」は、大垣市の老舗せんべい店「田中屋せんべい総本家」が手がけるカフェです。休日に家族と牧田川などを訪れていた社長の田中裕介さんが、自然に恵まれたこの地区に魅せられ、“この場所で何か始めたら、おもしろいことが起こりそう”というイメージを抱いたことからお店作りが始まりました。

 

縁側は窓からの眺めが楽しめる特等席

空き家になっていた民家を借りて、梁や建具などできるだけ元の素材を生かしながら改修した店舗。ゆったりとした空間のところどころに懐かしい趣が残り、田舎で暮らすおじいちゃんおばあちゃんの家を訪ねたような気分に。
窓の外には緑の木々が見えて、鳥のさえずりや蝉の声が聞こえてきます。「来るたびに好きになっていくような感じがいいかな」と田中さんが話す通り、気負わずリラックスできて、ゆっくりと愛着が湧くような居心地のよさ。ほっとしてくつろげる雰囲気で満たされています。

 

壁のタイルなども郷愁を感じるアクセントに 倉庫だった離れはこぢんまりしているが、天井が高くて落ち着く空間。イベントスペースとしても活用

 

地元のお米をかまどで炊いて、さらにおいしく

地元のお米をかまどで炊いて、さらにおいしく 「おにぎり豚汁定食」1,000円。豚汁にはさまざまな種類の野菜がたっぷりで、食べ応えも十分

こちらで頂く食事は、田中屋せんべい総本家が手がけるカフェならではのメニュー。創業以来、田中屋せんべい総本家が作り続ける「みそ入大垣せんべい」に使う自家製味噌を味わってほしいと、豚汁やキーマカレーに加えるほか、おにぎりにも添えられています。
おにぎりやカレーのご飯は、地元産のお米。「雪解け水を田に引いて流しながら米を栽培しているので、味がシャープですっきり。地元の人が自信を持っているお米を、よりおいしく食べてもらいたいと思い、かまどで炊いています」と、田中さん。ふっくらとしたお米の粒がしっかり感じられて、噛むほどに口の中で甘みが広がります。

 

ちょっと厚みのあるおにぎりは、一つひとつ丁寧に手で握る 地元産と全国から選りすぐりの素材に、田の中屋流の洗練されたアレンジも

お米のほかにも、野菜や上石津産の鹿肉ミンチなど、地元の食材を取り入れています。季節のご飯というメニューは、その時期に採れた野菜などがある時に気まぐれに登場。秋には自然薯や栗ご飯などを頂けるそうですが、あくまで採れた時と量次第というスタイルも自然で心地よく感じられます。

一見、素朴なメニューのようでいてスパイスなど調味料にひと工夫するなど、味付けや作り方に趣向を凝らしているのも、わざわざ食べに来たくなる秘訣。驚きや発見がある特別感も楽しめます。

 

せんべいの可能性を広げるおしゃれなスイーツ

せんべいの可能性を広げるおしゃれなスイーツ 「みそせんべいジェラート」600円。カップもみそせんべいなので残らず味わえる

自慢のせんべいを使ったスイーツも楽しみ。みそせんべいジェラートは、阿蘇ジャージー牛乳のジェラートに加えられたみそせんべいがしっとりとなじみ、その相性の良さに驚きます。

ほかにも、「まつほ」というせんべいに使う自家製キャラメルとクリームチーズのテリーヌ、半焼の白いみそせんべいに粒あんやキャラメルをのせ、オーブンで焼く「白まつほ」(14時から販売)など、田中屋せんべい総本家ならではのスイーツがラインナップ。ランチの後に、ぜひ味わってみたくなります。

 

田中屋せんべい総本家の看板商品、みそ入せんべい

自家製味噌やせんべいを使った料理やスイーツには、味噌やせんべいをこちらで味わうことで“みそ入せんべいってやっぱりおいしいな”と、再発見してもらえたらという想いも込められているそうです。

カフェの一角に設けられたスペースでは、みそ入せんべいをはじめ、田中屋せんべい総本家の各種せんべい、せんべい作りに使う砂糖や塩、ナッツなどの素材も販売。砂糖などの素材や一部のせんべいは量り売り。持ち帰りの容器を持参してもいいし、缶や瓶の購入もできますよ。おみやげにチェックしてみてくださいね。

 

量り売りは好きな量を購入できるのがうれしい

 

イベントや季節ごとの楽しみも

イベントや季節ごとの楽しみも さわやかなドリンクをテラスで。香りが良いムレスナティーの田の中屋オリジナルブレンド、アイスティー500円。自家製赤しそシロップがさっぱり、赤しそソーダ500円

今年春からはワークショップなどのイベントも開催。散策しながら野草を収穫して味わう”道草”イベントや、ダーニング、洗濯講座など、自然豊かな環境を生かしたり、モノを大切にしたり環境に配慮したりというコンセプトに基づいたオリジナリティあふれる内容が特徴です。スペースを提供したイベントもあるので、Instagramなどの告知をチェックしてみてくださいね。

季節の恵みを取り入れたメニューをはじめ、景観や気候、そこに暮らす生き物の営みなど、訪れるたびに違った出会いがある里山カフェ。街のにぎわいを離れてのんびりできる場所で、ただぼんやりしたり、物思いにふけったり、いつもと違うひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

 

 

文:豊野 貴子、写真:北川 友美

 

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