提供:ことりっぷ
静岡・清水町の国道一号沿いに位置する「柿田川公園」は、ほぼ全域が国指定天然記念物と認定されている、柿田川の起点にあたる場所。北に望む富士山など、上流に降った雪や雨水が地下水となって湧き出るポイントが見学できたり、緑豊かな広場で過ごしたりと、市民にとって身近な憩いの場で、涼やかなひとときを過ごしませんか。
都市部にある市民憩いの公園
芝生広場ではのんびりとピクニックを楽しむこともできる
大型ショッピングセンターのすぐそば、国道沿いにある柿田川公園。敷地内は、道路側からは想像がつかないほど、涼し気な水辺と周囲を包み込む緑の風景が広がっています。
木陰のベンチで休憩する人や芝生広場で遊ぶ家族連れ、観光で訪れるグループなど、年齢問わず思い思いに過ごせる公園です。大型の駐車場もあり観光スポットとしても人気ですが、地元の人にとっても気軽に訪れることができる身近な存在です。
夏になると子どもたちが水遊びを楽しめる湧水広場 ちょっとした小川にも澄んだ水が流れ、水音が心地よい
水の湧き出る様子を見学できる展望台へ
柿田川の最上流部となる第1展望台より
柿田川の最上流部にあたる柿田川公園。敷地内には富士山の伏流水が湧き出るポイントが大小数十カ所あるそう。そのポイントは「わき間」と呼ばれ、一年を通じてこんこんと水が湧き出ています。
まずは、階段を降り柿田川の起点にあたる第一展望台へ。
水底の砂が輪っか状になりもこもことしている様子も見られます。
ここが柿田川の始まり。南方向に向かって流れていきます。地下水として湧き出た水は透明度が高く、川底の植物や魚の姿がよく見えるほど。
魚の群れもはっきりと観察することができる
柿田川ブルーホールを求めて第2展望台へ
緑豊かな木々に囲まれた展望台へ
別の階段を下りて向かうのは第2展望台。こちらのわき間は、かつて紡績工場が利用していたもので、直径5mの円形の井戸になっています。ここは通称「ブルーホール」と呼ばれ、こんこんと水が湧き出る様子を真上からのぞくことができます。周囲には豊かな木々が繁り、天候や木漏れ日の反射具合により刻々と水の色が変化します。時には吸い込まれそうなエメラルドブルーを作り出すことも。その美しい風景に、時間を忘れて眺めてしまいます。
底までしっかりと見通せる透明度の高い湧水は、見ているだけでも涼を感じる
生物や動物にとっても大切な住処となっている自然環境
森林浴気分で、園内を周回できる遊歩道
園内は水辺に沿って遊歩道が整備されており、のんびりさんぽするだけでも癒やしのひとときが過ごせます。
緑豊かな自然は人だけでなく、多くの貴重な生物や動物たちにとっても居心地のいい環境。
白く小さな花を咲かせるミシマバイカモは、きれいな水質を好む花で、柿田川でも中・上流部でしか見られないとか。
「渓流の翡翠」と呼ばれ、清水町の町の鳥でもあるカワセミやアユ、柿田川流域でしか見られないとても珍しい品種のアオハダトンボなど、きれいな水が守られてきたからこそ、その姿が見られる、貴重な場所なのです。
都市部にあり気軽に足を運べる公園で、じっくりと自然観察をしてみるのもいいですね。
通称・舟付場と呼ばれる、かつて製紙会社が使用していた井戸 羽を休める野鳥の姿も見られる
散策ついでに立ち寄りたい柿田川 湧水の道
豆腐に合う調味料などもそろう豆腐館
柿田川公園に隣接する「柿田川 湧水の道」には、柿田川の湧水を利用した豆腐を中心に、みやげもの店やアイスクリームショップ、レストランなどが軒を連ねています。
豆腐館では、軟水で雑味のない柿田川の水を利用して作られる新鮮な豆腐を販売。宮城県産の「ミヤギシロメ」という品種の大豆を使用し、伝統のレシピで手間暇かけて作られた豆腐で、敷地内のレストラン「キッチンかわせみ」では、この豆腐を使った料理も楽しめます。
隣の店舗では自園のわさび沢で栽培された伊豆産のわさびや箱根西麓三島野菜の漬物、近隣の特産品などもあり、おみやげ探しにも便利です。
柿田川百年水豆腐/絹ごし・木綿(各270円) とうふアイスクリーム350円。カップまたはコーンが選べる
豆腐アイスクリームのお店では、豆腐の風味がしっかりと感じられる「とうふアイスクリーム」が季節ごとの限定味も含め5種ほどがそろいます。
豆腐の味わいを楽しむなら、まずはプレーンがおすすめ。濃厚ながら、後味さっぱりです。
「日本の名水百選」にも選定された柿田川。周辺には豊かな自然が広がり、そこに集まる人・動物・植物にとって、心地よい環境を残しています。
清流を眺め、水の冷たさを感じ、水の恵であるグルメを楽しむ、そんな当たり前のようで貴重な経験ができる公園へお出かけしてみませんか。
文:鷲巣友夏、撮影:清水ちえみ