提供：ことりっぷ
世界遺産・西本願寺の向かいに構える薫玉堂（くんぎょくどう）は、創業年が安土桃山時代にまでさかのぼる、日本最古の御香調進所です。寺町通にあるスタイリッシュな路面店「薫玉堂 寺町店」では、「香袋調香体験」と「線香調香体験」というふたつのワークショップを開催。香袋調香体験では、10種の香りの原料をひと匙ずつ合わせて好みの香りが作れます。心を豊かにしてくれる、奥ゆかしい香りの世界にふれてみませんか。
老舗や骨董店が軒を連ねる寺町通へ
落ち着いた雰囲気の寺町通に馴染む、シンプル＆シックな外観
薫玉堂の創業は、安土桃山時代の1594（文禄3）年。西本願寺の向かいの現在の地ではじめた本願寺出入りの薬種商が起源です。以来430年にわたり、日本最古の御香調進所としての伝統を継承しながら、現代の暮らしに寄り添う香りも提案しています。
2022年春にオープンした寺町店は、地下鉄東西線の京都市役所前駅から8分ほど。文具や和菓子、日本茶などの老舗やアンティークショップが軒を連ねる寺町通にあります。
黒を基調としたスタイリッシュな空間に商品の色彩が映える
「香袋調香体験」で、自分だけの香りを作る
参加費1名2200円、要事前予約。開催日時は公式HP内「イベント・ワークショップ」情報を参照
2階では予約制でワークショップを開催。「香袋調香体験」は、30分ほど（ひとつひとつじっくり選ぶ場合は～60分）で体験できる気軽なプラン。香りの原材料をひと匙ずつ選んで調合し、小さな巾着に詰めて自分だけの香袋（匂袋）を作ります。
はじめに、京ちりめんや麻など色柄や素材の異なる巾着から好みのものをひとつ、巾着を結ぶときに使う紐をひとつ選びます。
用意された香りの原料は、白檀、薫り香、ラベンダー、ローズ、カモミール、月桂樹など全10種類。薫玉堂のスタッフがそれぞれの由来や特徴について説明してくれます。
目の前には、香りをブレンドする器、調香レシピ、出来上がった香袋を持ち帰る袋などが用意されている 
スタッフから香りの原料についてひとつひとつ説明を受ける 
香りの原料はぜんぶで10種類。丁字や桂皮など調味料としてなじみのあるものも多い 
顔を近づけ、そっと香りを試す
10種それぞれの香りの特徴をつかめたら、調香をはじめます。
まずは、ベースとなる「白檀」「薫り香」を選びます。線香でおなじみの「白檀」は、甘さと爽やかさを兼ね備えた和の香り。木のチップにオイルで香りづけした「薫り香」は、華やかな洋風の香りです。
つづいて、他の香りを選んでガラスの器で混ぜ合わせればできあがり。工程そのものはシンプルなものですが、香りを吟味しながら思い描くイメージに近づけていくのが難しいところ。ひと匙、またひと匙と重ね合わせるごとに香りに深みが生まれ、豊かな香りの世界に引き込まれていきます。
ひと匙で香りの印象が大きく変わってしまうので、慎重に 
この日、華やかで気品のある「ローズ」は2匙使用
調合した香りを巾着に仕立てる
巾着がふっくらとなるよう、調合した香りを詰めていく
合計で10匙の香りの原料を合わせられたら、巾着に詰めます。布を手繰り寄せて紐を結んだら香袋が完成！ 鞄の中やベッドサイドなど、香りをまとわせたい場所にしのばせます。
紐の結び方に少し戸惑うけれど、丁寧に教えてもらえるので安心 
世界にひとつだけの香袋が完成♪ 
「香袋調香体験」のほか、香りを練り合わせ、専用の器具を使って線香を作る「線香調香体験」も。1名4400円。所要時間約90分
1階のショップで心を癒す香りのアイテムを
「嵯峨野の竹」「祇園の舞妓」「北野の紅梅」など京名所をイメージした香りも
薫玉堂のオリジナルからセレクトしたものまで、香りにまつわるさまざまなアイテムを取りそろえています。おすすめは、豊富なバリエーションから好きな香りを選んで詰め合わせできる「線香」。たとえば、「祇園の舞妓」という名の線香は、「初々しくも華やかな舞妓さんの立ち舞う袖に乗って漂うおしろいのような甘い香り」。「醍醐の桜」は、「白檀と桜皮を調合し、桜の花びらに包まれるようなみずみずしく可憐な香り」といったように、古都を彩る情景や季節風物が香りで表現されています。
ほかに、平安時代、室町時代、そして薫玉堂創業の安土桃山時代――京都の時代の移ろいをイメージした3種のエアーフレッシュナーや、キャンドル、フレグランスオイル、ディフューザーなども。
京都旅の余韻に浸りたいとき、ホッと落ち着きたいとき、明るい気分になりたいときなど、日々の心の移ろいに寄り添ってくれる、奥深い香りの世界を体感してみませんか。
壁には香りの甘さ～辛さ・軽さ～重さを示す図表があり、好みの香りへ導いてくれる 
香立、ディフューザー、エアーフレッシュナーなど香りにまつわるアイテムがそろう 
寺町が骨董の町であることにちなみ、店の奥にはアンティークの香炉を展示
文：佐藤理菜子 撮影：マツダナオキ
