提供:ことりっぷ
コーヒーを飲んだり、待ち合わせをしたり、ランチをしたり。喫茶店は日常に溶け込んだ憩いの場所。そしてモーニング文化が根付いている愛知県民にとっては毎朝通う人も多いミュニケーションスペースなのですが、長年愛されたお店がどんどんとなくなっているそう。それはもったいないと、古いインテリアをそのまま受け継いでオープンした、懐かしくて新しい喫茶店をたずねました。
40年以上の歴史ある喫茶店をそのままに
今回紹介する「COFFEE SHOP BEBE」は、40年以上この土地で愛されてきた喫茶店を受け継いでオープンさせたという小さなお店。以前のオーナーさんが高齢のため店を閉めるということを知った川尻さんがお店を訪ねたところ、その雰囲気に一目惚れ。自分の店を持ちたいと思っていたこともあり、川尻さんはお店を引き継ぐことにしました。
店名はもちろん、外観の看板やタイルなどもすべてそのまま。昔からの雰囲気を大切にしたいと、使えるものはできる限りそのままにしたという川尻さん。今まで通っていた常連さんはもちろん、川尻さんが受け継いだことで若い世代も訪れるようになっています。
今となっては貴重なインテリアを大切に
お店の一角には「TELEPHONE」と書かれた扉の奥に小さな空間が。以前は物置だった場所ですが、川尻さんは電話やレコードプレーヤーなどを置いて、ちょっとしたレトロ博物館のような空間を作り上げました。
このプレーヤーから流れる昭和の音楽がお店BGM。今再び注目を集めているレコードやカセットテープなども並んでいて、どれも川尻さんのお父さんなど親世代から譲り受けたものなのだとか。このお店に合うものをと集めたこだわりの空間です。
40年前の喫茶店ということで、どれも古いインテリアなのですが、鮮やかな赤いカラーリングがポイントになった家具など、今の時代にはない独特のデザインや色使いは、改めて見ると斬新&新鮮。ランプやメニューボードなど、いろいろなものにぜひ注目してみてください。
モーニングやランチ、デザートをのんびりと
コーヒー(モーニング500円)
川尻さんはお店の味も守りたいと、パンやコーヒー豆は、前オーナーと同じものを使うようにしています。コーヒーカップやトレイなども、もちろん使えるものはそのまま使って提供していて、お店で音楽を聴きながらこのモーニングをいただけば、40年前の気分を味わえます。
「ナポリタン」(000円)
そんななか、川尻さんが新たに作ったのは、ランチやデザート。実はオープン当時はご夫婦でお店を切り盛りしていたので、ランチなど食事の提供をしていましたが、ご主人が亡くなってしまい、一人で切り盛りしなくてはならなくなったので食事の提供を止めていたのだそう。川尻さんはナポリタンや生姜焼き定食など、王道喫茶店メニューをメニューに加えました。
若い世代にも、常連さんにも愛される店に
壊して新しいものを作るのは簡単だけれど、この素敵で貴重な空間を残すことで、次世代に昭和の喫茶店の魅力を伝えたい。川尻さんは若い世代にも興味を持ってもらえるよう、プリンなどのデザートを手作りしたり、SNSでお店の魅力を発信したりしています。
この時代に喫茶店という場所から生まれた文化やデザインはもはや文化遺産。昔を知る人は懐かしく、若い世代にとっても、不思議と懐かしくて新しい場所へ。ぜひ時間を超えたひとときを「COFFEE SHOP BEBE」で過ごしてみてくださいね。
文:田口真由美