提供:ことりっぷ
夏の北海道といえば、一面を鮮やかな紫色で埋め尽くす富良野のラベンダー畑の風景が有名です。この美しい風景を代表するのが中富良野町にある「ファーム富田」。7月上旬からラベンダーの見頃を迎える夏の富良野へでかけ、ラベンダーの香りに癒されませんか。
ラベンダー観光の先駆けとなった観光農園
歴史あるトラディショナルラベンダー畑。花越しに中富良野の風景と十勝岳連峰が見える。写真提供:ファーム富田
JR富良野線中富良野駅から車で5分ほどの場所に位置する「ファーム富田」は、全国から多くの人が訪れる人気の観光農園。明治時代から続く農家の3代目の富田忠雄さんが1958(昭和33)年から栽培を始めたラベンダー園は、旧国鉄のカレンダーに採用されたことで、全国的に知られるようになりました。
今はラベンダーをはじめとする年間100種類以上の花々が咲く13か所の花畑のほか、ショップやカフェも充実した富良野観光にはかかせないフラワーガーデンです。
「倖の畑」は品種の異なる4種類の紫色を楽しんで。写真提供:ファーム富田
旧国鉄のカレンダーで紹介されたラベンダー畑が「トラディショナルラベンダー畑」。最初に栽培を始めた歴史ある畑です。「濃紫早咲(のうしはやざき)」「はなもいわ」「おかむらさき」の3種類のラベンダーを栽培しており、見頃は7月上旬から中旬。眺望もいい畑ですよ。
ラベンダー畑のメインとなるのが、7月中旬から下旬に見頃を迎える「倖(さきわい)の畑」です。「濃紫早咲」「ようてい」「はなもいわ」「おかむらさき」の4種類のラベンダーが植えられていますが、それぞれ濃淡があるので、美しい紫のグラデーションが見られます。
虹のように花が植えられた「彩りの畑」は見逃せないメインの花畑。写真提供:ファーム富田
ファームを代表する畑が「彩りの畑」。この畑はレインボーカラーに彩られたカラフルな畑で、紫色のラベンダー「おかむらさき」はもちろん、ピンク色のコマチソウや白のカスミソウなど、七色の花々が植えられています。見頃は7月中旬から下旬。花々が描く虹色に心がときめきく花畑です。
園内に咲く5種類のラベンダーの香りを比べる
無料でできる「香りの体験室」。紙のしおりに描かれたイラストもかわいい
畑を散策すると爽やかで、ほんのり甘いラベンダーの香りが漂います。ファーム富田では「濃紫早咲」「ようてい」「はなもいわ」「おかむらさき」「ラバンジン」の5種類のラベンダーを栽培していますが、その香りの違いがよりわかるのが「香りの体験室」。
ファーム富田のウェルカムハウス「花人の舎(はなびとのいえ)」の2階にあり、紙のしおりに5種類のオイルをそれぞれ吹き付け、香りを楽しむコーナーです。品種によって少しずつ違いがあるので、好きなラベンダーの香りを探してみましょう。
心も癒してくれるお気に入りの香りをおみやげに
数品種のラベンダーをブレンドした「ラベンダーオイル」12㎖ 1620円と、品種別に抽出したオイルで作ったラベンダーオイル3㎖の「おかむらさき」1045円、「濃紫早咲」990円、「ラバンジン」935円
香りの体験したあとは、「花人の舎」の1階でおみやげ探しを。ラベンダーはストレスを軽減して気分を安定させるため、リラックス効果が高いといわれています。香りを自宅でも楽しむなら、ラベンダーオイルがおすすめです。
園内にはラベンダーからエッセンシャルオイルを抽出する蒸留工場「蒸留の舎」があり、7月上旬ごろから蒸留作業も見られます。繁忙期の7月下旬は作業が深夜まで及ぶこともあるそう。その作業を経て、品種ごとにオイルが作られるのも、こちらの農園ならではの魅力です。フローラル感とウッディ感のある奥深い香りの「おかむらさき」は、フランスの品評会で1位にもなったオイル。品質も評価されています。
「濃紫早咲」のオイルはやわらかい香り 。アロマディッシュキューブとラベンダーオイルのセットは2392円
ラベンダーオイルと一緒にそろえたいのが、アロマディッシュ。木のくぼみに数滴たらすと、ふわっといい香りが広がります。ファーム富田の「アロマディッシュキューブ」は、北海道産の樺で作ったもので、おみやげにもぴったり。単品でも購入できますよ。
「シリーズナチュラル ラベンダーソープ」781円(上)、「ラベンダーソープ おかむらさき」1180円(下)、「サシェ」440円、「ラベンダーハンドスプレーミニ」605円
ラベンダーアイテムはほかにもたくさんあります。ファーム富田で最初に商品化され、今も愛されているのが香り袋の「サシェ」。中にはラベンダーの花つぶが入っています。
一番人気は「シリーズナチュラル ラベンダーソープ」。ラベンダーのオイルや粉末を配合した無添加石けんです。新商品の「ラベンダーソープ おかむらさき」は、香りがとくにいい「おかむらさき」のみを使用し、素材を生かしたコールドプロセス製法で手作りしています。顔にも体にもやさしく洗え、ラベンダーの香りも楽しめますよ。
華やかなドライフラワーアレンジメントに心が躍る
美しいアレンジメントはどこもフォトジェニック
おみやげ選びとしてだけでなく、ぜひ立ち寄って見てほしいのが「ドライフラワーの舎」。天井の高いウッディな建物内には、壁や天井まで色とりどりの華やかなドライフラワーが飾られています。
このアレンジメントを手掛けたのは、オランダのフラワーデザイナー、レン・オークメイドさん。北海道の春がテーマだそうで、見ているだけで春が来た時のように気持ちが明るくなる空間です。店内中央にはフォトスポットも用意されていますよ。
(左上)入り口のディスプレイにも注目を (右上)「ドライフラワー 濃紫早咲」572円 (左下)左から「ラベンダープレート クレープL」1078円、「ラベンダープレートリネン」1056円、「ブレンドポプリS」1210円 (右下)橋をかけるなどの演出も楽しい
「ドライフラワーの舎」の人気のアイテムは「ドライフラワー 濃紫早咲」。「濃紫早咲」はラベンダーのなかでも観賞用として人気の高い品種で、濃くて美しい紫色の花穂が好まれる理由です。花束のようにまとめたタイプのため、アレンジもしやすいですよ。ラベンダーオイルをかけて、香りを漂わせて飾るのもおすすめ。
ほかに、ガラス瓶に色とりどりの花を詰めた甘い香りの「ブレンドポプリ」や、壁掛けにもぴったりな手作りの「ラベンダープレート」もプレゼントにぜひ。
花を楽しんだあとは、ラベンダースイーツを
「自家製ラベンダーシロップのかき氷」500円。4月下旬~10月中旬ごろの期間限定発売
園内のカフェではラベンダーを使ったメニューも味わえます。一番人気は天然のラベンダーエキス入りの「ラベンダーソフトクリーム」。ミルクの甘さとラベンダーの香りの相性がよく、爽やかな味わいです。
夏にぴったりなのが、美瑛にある名店「バローレ」のオーナーシェフが監修したかき氷。ふわふわの氷に特製のラベンダーシロップをかけた、鮮やかな紫色のかき氷をぜひ味わってみては。
夏はとくにラベンダーを目当てに、多くの人が訪れるファーム富田ですが、花畑は早朝から散策できるので、ショップの開店前に花を楽しみましょう。開店直後にゆっくりと、ショップでおみやげを探したり、カフェで楽しんだりするのがおすすめですよ。
文:細江まゆみ 写真:保志俊平