美味しいコーヒーや食事、スイーツはもちろん、そこで過ごす時間も楽しみな純喫茶やレトロ喫茶。今回は京都市内各所から、すてきな店構えの喫茶店をまとめてご紹介します。京都の喫茶文化を豊かにしてきた重厚な雰囲気漂う老舗から、昭和レトロな空間に心が和む小さなお店、路地の町家まで、気分に合わせてぜひおでかけくださいね。
【木屋町】幻想的な青い光に満ちた歴史感じる空間「喫茶ソワレ」
照明、絵画、彫刻が一体となった幻想的な空間「喫茶ソワレ」へは京都駅からバスで約20分の四条河原町で下車、四条通から高瀬川に沿った木屋町通を北に曲がるとすぐです。
店内はフランスの田舎の教会をイメージしたBGMのない静かな世界。青い照明は、創業者の友人であり染色家でもある上村六郎の「女性が美しく見え、男性は若々しく見える」とのアドバイスによるものだそう。
当時の名だたる著名人らが持てる技を出し合って創り上げたソワレですが、創業当時は紳士の集う場でした。そこで、「若い女性にも来て欲しい」との願いから「目でも楽しめるもの」として誕生したのがゼリーメニューなのです。
サイダーに5色のゼリーとキウィが漂い、レモンとサクランボが添えられた彩りのよいゼリーポンチは、1975年頃からメニューに登場。50年近くたった今でも色あせることなく大勢の人を魅了し続けています。
【寺町】自家焙煎の珈琲と懐かしい味わいのホットケーキを「スマート珈琲店」
老舗のアンティークショップや和文具店が軒を連ねる寺町にある「スマート珈琲店」は、昭和初期の開業以来、時代を超えて親しまれてきた名喫茶です。木のあたたかみを感じる空間は、ミュンヘンオリンピックを機にヨーロッパ諸国を旅して立ち寄ったスイスの山小屋をイメージして作り上げたそう。
自家焙煎珈琲のおともには種類豊富なサンドウィッチもおすすめですが、3代目のおばあさま直伝のレシピでつくるブリンやフレンチトーストも人気です。ホットケーキは、昔ながらのしっかりとした食感。別添えのシロップをかけてどうぞ。
【烏丸御池】京都を代表する有名店「イノダコーヒ本店」
ここを目当てに訪れる人もいるという旧館テラス席。ギンガムチェックのクロスがキュート市営地下鉄烏丸御池駅から徒歩10分ほど、街並みに溶け込む町家造りの「イノダコーヒ本店」。京都で80年以上も愛され続ける老舗です。店内はとても広々。吹き抜けが心地よい本館のホール席、創業当時の面影を残すメモリアル席、大きな窓が人気の旧館テラス席(写真)、緑に癒やされるガーデン席など、趣の異なる4つの空間があります。
メニューは、イノダの代名詞でもあるコーヒー「アラビアの真珠」をはじめ、正統派のモーニングやスイーツ、軽食まで勢揃い。かつて東京・銀座で愛されたドイツ料理レストラン「ケテル」のレシピを受けついだ懐かしくも洗練された味わいも楽しめます。
【今出川】昭和レトロな空間でおしゃれなクリームソーダを「喫茶ゾウ」
40年続いた地元の喫茶店を受け継いでオープン。店頭の食品サンプルもキュート地下鉄今出川駅から徒歩10分ほど、京都御苑や晴明神社にも近い御所西エリアにある「喫茶ゾウ」。愛知県の味噌店「今井醸造」が手がけるカフェです。店内の家具や照明などは以前ここにあった喫茶店から受け継いだもの。昭和の純喫茶のような雰囲気と、お店のシンボルであるかわいいゾウがモチーフのグッズに心が和みます。
クリームソーダ(写真)や懐かしいババロア、固めプリン、サンドイッチなど喫茶店らしいメニューにまじって、味噌煮込みうどんなどの“名古屋めし”も。味噌屋さんらしく、卵サンドやタコライス、カレーなどに味噌を使ったユニークな味わいも楽しみです。
【四条河原町】京都高島屋前のレトロ喫茶「雲ノ茶カフェ」
四条河原町南西の角にある池善ビル内にある「雲ノ茶KUMONOCHA CAFE 四条河原町店」。店内は中世ヨーロッパを彷彿とさせるアンティーク調の家具やインテリアを配し、上質で重厚ながらもどこか懐かしさを感じる空間が広がっています。
三段トレイにのせて供される3種のアフタヌーンティーのほか、ティラミスも人気。淹れたてのコーヒーと共に、優しく流れるJAZZを聞きながら、すてきな午後のひと時を過ごして。
【三条】心ときめく元ギャラリー「喫茶ガボール」
階段を下りたガラス扉の向こうに広がる空間は“パリのキャバレーの楽屋”をイメージ京都の市街地の中でもにぎわう通りのひとつ、三条通に面した雑居ビルの地下にある「喫茶ガボール」。京都でも屈指の人気喫茶「マドラグ」のオーナーが、「古きよき場所を残したい」とギャラリーだった場所を受け継いでオープンしたマドラグの姉妹店です。ボールライトが光る赤が基調の空間は、妖艶なのにほっと落ち着ける雰囲気です。
メニューはドリンクからスイーツ、軽食まで豊富。6種類もあるプリンアラモードなど、個性豊かに揃います。マドラグと同じく洋食の名店「コロナ」から受け継ぎ、進化させたマドラグとは異なり忠実に再現した「コロナのサンドイッチ・元味」(写真)にも注目です。
【京都河原町】特別な時間が流れる老舗「フランソア喫茶室」
京都の文化人の集いの場ともなってきた場所。2003年には国の登録有形文化財に昭和初期の1934年、高瀬川のほとりで創業した「フランソア喫茶室」。船頭さんの住まいだった町家を改装したお店です。豪華客船をイメージした店構えは、漆喰の壁に名画の複製やステンドグラスが彩りを添える、華やかでクラシカルな雰囲気。蓄音機や、創業時から張り替えて使い続けているという赤のビロード張りの椅子も非日常感たっぷりです。
メニューは喫茶店の定番がずらり。変わらぬ姿で人気のレアチーズケーキや、地元の老舗ベーカリー「進々堂」の食パンを使ったトースト、一度は姿を消していたのが2021年に復活した特製プリン(写真)など、ゆっくりと大切に味わいたい逸品が揃います。
【東山】祇園・白川のほとりでのんびり♪「やまもと喫茶」
通りの向こうには白川。入口のテントは人気の「焼たまごサンド」と同じ色市バスの「知恩院前」停留所からすぐ、白川沿いにある「やまもと喫茶」。地元の常連さんから観光客まで幅広いお客に愛されています。オープンは10年ほど前ですが、温かな老舗のような雰囲気。ギンガムチェックの壁とコーヒーグッズが店内のアクセントです。
メニューは最新の機器で自家焙煎する深煎りコーヒーをはじめ、大人気のたまごサンドやクリームソーダ、季節限定の“レスカ”ことレモンスカッシュ、軽食まで。「あんこトースト」(写真)など新しいメニューも楽しみです。知恩院はもちろん八坂神社や平安神宮など有名スポットも近く。朝食メニューもあるので、一日のスタートにもぴったりです。
【清水五条】町家が並ぶ路地の小さな喫茶店「喫茶文六」
帽子やアート、食料品、オーダー家具などの店が並び、さんぽも楽しい京阪清水五条駅から徒歩5分、築100年以上の町家が並ぶ「あじき路地」。大家である安食弘子(あじきひろこ)さんが、ものづくりを行う若者を応援しようと入居者を募り、現在は13のショップや工房などが入っている京町家の長屋です。「喫茶文六(ぶんろく)」もそのひとつ。7席ほどのこぢんまりとした空間で靴を脱いでくつろげます。
ナポリタンやサンドウィッチなど喫茶店らしいメニューが揃いますが、手間や食材を惜しまず手作りしているのが特徴。ケチャップから自家製の「季節のナポリタン」(写真)や、サクサクに焼き上げたホットサンドなど、ほっとする味わいも魅力です。
いかがでしたか?
今回は、過去に「ことりっぷWEB」で紹介したお店の中から、レトロな空間がすてきな京都の純喫茶や喫茶店をまとめてご紹介しました。メニューや営業時間、定休日、感染対策などは最新の情報をご確認のうえ、おでかけくださいね。
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文:高柳涼子
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