ならまちの名店「粟 ならまち店」で奈良の伝統野菜が主役のランチを

ならまちの名店「粟 ならまち店」で奈良の伝統野菜が主役のランチを

提供:ことりっぷ

 

かつては、奈良の東大寺や興福寺、元興寺の門前郷として栄え、今も当時の面影や歴史を色濃く残す「ならまち」。その風情あるまちなみの一角に、奈良の気候風土で脈々と育まれてきた「大和伝統野菜」が味わえる「粟 ならまち店」があります。店から程近い自家農園で無農薬栽培されている旬の伝統野菜をふんだんに使った料理は、滋味豊かでしみじみと味わい深いものばかり。ならまちに訪れたらぜひ味わいたい、名店のランチをご紹介します。

 

築140年の町家を改装した趣あふれる和食店へ

築140年の町家を改装した趣あふれる和食店へ 「ならまち」らしい細い路地の一角に暖簾を構える

江戸から明治時代の町家が立ち並び、新旧さまざまな店が軒を連ねるならまち。築140年の町家を改装した「粟 ならまち店」も、古き良きまちなみに溶けこむようにたたずんでいます。趣のある落ち着いた雰囲気の店内は、1階にカウンター席や坪庭を望む座敷などがあり、2階にもテーブル席や座敷があります。昼・夜ともに予約制で、人気店ゆえ早めの予約がおすすめです。

 

1階の座敷やカウンター席など。予約時、席の指定は不可

 

古都で受け継がれてきた「大和伝統野菜」とは?

古都で受け継がれてきた「大和伝統野菜」とは? 自家農園で収穫された旬の野菜を使用。今の時期は旬の冬野菜が登場

「伝統野菜」とは、その土地の気候風土に合わせて古くから作られてきた野菜のこと。各都道府県がそれぞれ独自に基準を設けており、それをクリアしたものが伝統野菜と呼ばれています。伝統野菜は全国各地にあり、地域の伝統的な食文化を育んできました。奈良では、2022年の時点で「宇陀金ごぼう」や「大和まな」など、20種類が「大和伝統野菜」に認定されています。

 

カウンターで調理する店主の新子さん。優しい口調で野菜の魅力をていねいに教えてくれる

その大和伝統野菜を栽培し、普及・発信に努める第一人者が、こちらの「粟 ならまち店」や本店である農家レストラン「清澄の里 粟」などを営むオーナーの三浦雅之さん。「粟 ならまち店」の店長で料理人の新子大輔さんも自家農園に足を運び、三浦さんやスタッフ、地域の農家さんたちと一緒に野菜を栽培・収穫をしています。

「大和伝統野菜は、認定されている20種類以外にも、地元農家さんが代々受け継ぎ栽培する小規模の品種がたくさんあります。大量生産に向かず、手間のかかる品種もありますが、食べるとおいしいので、大切な家族やご近所さんのおすそ分け用に大切に作られてきました。私たちは親しみを込めて「家族野菜」とも呼んでいます」と新子さん。

品数豊富な御膳には、産地ならではの「家族野菜」や伝統野菜をふんだんに使用。さらに、種の保存や研究などを目的に、世界の珍しい品種の伝統野菜なども栽培し、料理に使用しています。

 

奈良の食の豊かさを五感で楽しむ贅沢ランチ

奈良の食の豊かさを五感で楽しむ贅沢ランチ ランチで味わえる粟「収穫祭」御膳3500円(要予約)。黒米のご飯や大和芋の落とし汁、漬物など、最後の一皿まで味わい深い

店の一番人気が、写真の粟「収穫祭」御膳。朝採れのみずみずしい大和伝統野菜や世界の伝統野菜などが凝縮された、五感で楽しむランチです。素材本来の味わいや個性を引き出した彩り豊かな小鉢の籠盛り、揚げたての天婦羅、炊き合わせなどが、コース仕立てで堪能できます。その日の料理に使われる野菜は、配膳するスタッフが籠に盛った野菜を見せながら一つひとつ説明。初めて見る野菜の色や形、そのバリエーションの多さなどにも驚かされます。

粟「収穫祭」御膳には、鎌倉時代から飼育されている銘牛「大和牛」のローストビーフ、ステーキ、牛しぐれ煮の3種類が食べ比べできる料理も登場。奈良が誇るブランド牛を、伝統野菜とともに味わえるのも魅力です。

 

粟「収穫祭」に付く「大和牛の3種盛り」。食べごたえのある大和牛のステーキが付く「大和牛と野菜」コース4600円も人気 吉野葛でとろみをつけた上品な味わいの炊き合わせ この日のデザートはきな粉の自家製カヌレ

 

大和伝統野菜を守り、その魅力を発信し続ける

大和伝統野菜を守り、その魅力を発信し続ける 地産地消への関心の高まりで、ますます注目が集まる伝統野菜。「粟 ならまち店」や「清澄の里 粟」の取り組みがモデルケースとして取り上げられることも

「大和伝統野菜はもちろん、大和伝統野菜に認定されていない奈良ゆかりの野菜や食材も、料理を通して知ってほしいですね」と店長の新子さん。自らも畑に出向き、日々野菜と真摯に向き合いながら、その魅力を丁寧に発信し続けています。歴史と情緒が息づくならまちの町家で、奈良の食文化に触れるおいしい時を過ごしてみませんか。

 

 

文:山本恵里 写真:小川康貴

 

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