提供:ことりっぷ
平安神宮といえば大きな赤い鳥居。でも、そこに「神苑」と呼ばれる美しい庭園があることは、意外と知られていません。四季折々の彩に華やぐ庭園を眺めながら味わえる、フレンチのシェフとパティシエによるアフタヌーンティーが静かな話題を呼んでいます。自然に抱かれた贅沢な空間でゆったりと時をすごしてみませんか。
平安神宮のすぐ隣にある結婚式場です
平安神宮の横にひっそりたたずむ会館
平安神宮会館へは京都駅からバスで約30分の岡崎公園美術館・平安神宮前で下車。平安時代の宮殿の門をイメージしたという平安神宮の神門へと向かいます。平安神宮へは入らず、門の右手へ進むと会館の入口が見えてきます。
平安神宮の神苑が窓一面に広がる特等席
このアングルから庭園を楽しめるのはここだけの特権
会館に足を踏み入れると、ロビーから見渡せる庭園の眺めにため息が。池にかかる屋根付きの橋は泰平閣(たいへいかく)と呼ばれ、京都御所から移された由緒あるものなんですよ。
席間もゆったりとられている贅沢な空間
アフタヌーンティーの席からも同じ風景がパノラミックに広がります。春の紅しだれ桜にはじまり、夏のカキツバタやハナショウブ、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季を通じて目を楽しませてくれるそう。
お茶にこだわるアフタヌーンティー
「Mighty Leaf」はサンフランシスコ発のティーブランド
席につくと、まず出されるのが飲み物。なかでも、お茶は「Mighty Leaf」のオーガニックティー6種を用意。ジンジャーツイスト、カモミールシトラスなど名前を聞くだけでもワクワクするようなハーブティーやフレーバティーが充実しており、茶葉の香りを確認したり、スタッフにおすすめを聞いたりしながら好きなお茶を好きなだけ味わえます。この日は、メロンとピーチの香りがブレンドされた緑茶ベースのホワイトオーチャードをチョイスしました。
和洋のマリアージュを愉しむ京アフタヌーンティー
紅葉の形をしたラングドシャで秋化粧したパフェ
フレンチのシェフとパティシエが創り上げる「京アフタヌーンティーセット」(4500円)
は、季節に合わせ3カ月ごとに内容が変わります。9月~11月にかけてのテーマは紅葉狩り。
最初にテーブルに運ばれてきたのは芋栗南京パフェ。ころんと丸いかぼちゃとキャラメルのムースの下には、わらび餅などの和素材も隠れています。
秋の食材をふんだんに使い、和テイストも取り入れたセット
いよいよメインの登場です。平安神宮にちなんだ紅茶の鳥居ティラミスが目を引きます。あれこれ目移りして何から食べようか迷っていると、スタッフの方が「スープや食事は、ぜひ温かいうちに」とアドバイスしてくれました。
かぼちゃのミネストローネで食事モードに気持ちを切り替え、デンマークのオープンサンドであるボロネーズとクリームチーズのスモーブロー、沖縄の郷土料理をアレンジした梅肉風味のシリシリサラダ、そしてもちもちチーズボールなどバラエティ豊かな料理が並びます。
洋梨の形をしたキャラメルマカロンがかわいい
こちらの器には、マカロンやチョコタルトなどの洋スイーツだけでなく、和スイーツも盛られています。色づく紅葉をイメージした黄色・ピンク・茶色のカステラのようなものは浮島。生地に餡を練りこんで蒸す伝統的な和菓子です。三角をした月見パイの中にも団子と餡がたっぷり。
プチフールには、かぼちゃのモンブランやほうじ茶のブリュレなども
フレンチのパティシエ渾身の力作はぶどうのムース。紫の丸いツルンとしたお菓子にスプーンを入れると驚くほど柔らかく、形を保っているのも不思議なほど。口にいれると、ぶどうの風味はしっかり、食感はとろけるよう。
それとは対照的なのが薄い煎餅のようなオレンジと人参のチュイル。こちらのパリッとした食感とムースの食感の違いも、味わいポイントのひとつです。
また、平安神宮会館のアフタヌーンティーの特徴のひとつは2時間半という時間の長さ。食事を味わい、目の前に広がる神苑を愛で、そして昼下がりのティータイムを楽しむ、そんな午後の時間が文字通りゆったりと過ごせます。目でも舌でも楽しめる贅沢な時をぜひ体験してみませんか。
文:戸塚 江里子 撮影:橋本正樹