【京都よりみちこみち】歴史ある名店が連なる堺町通・高倉通 前編

【京都よりみちこみち】歴史ある名店が連なる堺町通・高倉通 前編

提供:ことりっぷ

 

大通りに囲まれた、街中を南北に走る歴史あるふたつの通り。喫茶店や甘味処、京菓子の老舗など、街に溶け込む名店を訪ね歩いてみませんか。今回は、烏丸駅や錦市場からも近く、観光でも立ち寄りやすいこのふたつの通りをめぐります。

 

京都御所の南に伸びる歴史あるふたつの通り

京都御所の南に伸びる歴史あるふたつの通り 高倉通と三条通の交差地点に建つ京都文化博物館。赤レンガの別館は界隈のシンボル的存在

堺町通は、京都御所の南の入り口である境町御門から五条通まで伸びる通り。京都三大祭で名高い葵祭と時代祭では、御所から出発した華麗な行列が都大路に出るまでの通行路でもあります。

高倉通と三条通が交わる場所に建つのは「京都文化博物館」。赤レンガ造りの別館は旧日本銀行京都支店として今から110年以上前に建てられた、明治時代を代表する近代建築です。三条通に面したクラシカルな旧営業室は、音楽会や展示会などのイベント時以外は自由に見学可能。散策してレトロな雰囲気を味わってみて。

 

なめらかなこしあんと、やわらかな寒天が競演するあんみつ

なめらかなこしあんと、やわらかな寒天が競演するあんみつ 「月ヶ瀬あんみつ」(850円)。あんを粒あんに、黒みつを白みつに変えることもできる

1926(昭和元)年創業、「あんみつの月ヶ瀬」と呼ばれ世代を超えて愛される甘味処の堺町店へは、地下鉄烏丸駅から徒歩5分ほど。細い路地を進み暖簾をくぐると、モダンな雰囲気の店内に迎えられます。甘味はもちろん、小腹がすいたときには老舗料亭仕込みの滋味に富んだ料理が並ぶ堺町通り店限定の点心もおすすめ。

 

右上:テイクアウト用のあんみつは600円。右下:たまご寒天やちりめん山椒ごはん、すまし雑煮などが味わえる「ミニ点心」(1350円・数量限定)

やわらかな寒天、ふっくら炊かれた赤えんどう、もちもちの求肥入りのあんみつは、すべてがうまく交わるようにと粒あんではなくこしあんなのが月ヶ瀬流。あんを口に運ぶとさらさらとほどけていきます。プラス料金で白玉やあんを増やすなどカスタマイズできるのも楽しいですよ。

 

スペシャルティコーヒーとおしゃれなレンタサイクルのお店

スペシャルティコーヒーとおしゃれなレンタサイクルのお店 京都の町並みに合うようにとセレクトした日本のブランド「CRAZY SHEEP」の自転車を扱う。1日1400円~

堺町通と姉小路通が交差する角にある、「THE GOOD DAY VELO BIKES & COFFEE KYOTO(ザグッドデイヴェロバイクスアンドコーヒーキョウト)」。スペシャルティコーヒーのスタンドと、モダン&クラシックな国産ブランド自転車のレンタサイクルショップが融合したお店です。

 

左:人気のバナナアイスミルク500円。右:ミニテーブル、ラグ、クッキー、4種の豆から選べるコーヒーとマグカップが付いたピクニックセット(2000円・要事前予約)。右下:ヴィーガンクッキー1枚350円~も販売

世界中を旅し、京都でのサイクリングツアーガイドを長年経験した石原直樹さんが、日本のこと、京都のことを知ってもらえる場所に、とオープン。朝7時半からのサイクリングツアー(2名~)では、人の少ない朝の京都の町並みを楽しめます。季節によって花の名所や穴場ツアーを実施することもあるそう。

一杯のコーヒーを片手に、地元の人と旅人、日本の人と海外の人が笑顔を交わしたり語り合ったり、新しいコミュニティの橋渡し的存在となっています。

 

時を超えて慈しまれてきたアンティークに出会う京町家

時を超えて慈しまれてきたアンティークに出会う京町家 20周年を迎えた一昨年、風が通り抜ける空間へとリニューアル

高倉通の隣り合う2軒に、和家具、照明器具、古道具、古い磁器やガラスなど約9000点のアイテムが並ぶアンティークショップ「Pro Antiques 古夢」。

 

左:懐かしいデザインの扇風機も。季節を問わず飾っておきたくなる。右上:コースターはビールやジュースをグラスで飲むのがハイカラだった時代の象徴。アクセサリー入れにもぴったり。560円~。右下:グラスは時代別に展示されており、添えられた解説も興味深い

「生活に溶け込む和のもののあり方を追求したい」と話すのは代表の位乃花さん。お店で取り扱うのは、大量生産される前、江戸時代の後半から昭和初期にかけて日本で作られたもの。アンティークの器やグラスがよく馴染む雰囲気のある陳列棚や空間づくりは、空間作成などの制作活動を続けてきた位さんらが手がけています。

 

季節を映す京菓子を伝統の座売りスタイルで販売

季節を映す京菓子を伝統の座売りスタイルで販売 3月ごろの季節の上生菓子各380円。上から時計回りに「花ふぶき」「花ひらく」「さくら」。心まで春めくような菓銘も素敵

「御菓子司 亀屋則克」は、店内の畳敷きの間で座売りする昔ながらのスタイルを守り継ぐ、1916(大正5)年創業の京菓子店。干菓子を木型から打ち出すコンコンという音が奥の仕事場から聞こえてくる店内では、長机の前に並ぶ商品見本を見て注文を。

夏にお目見えする琥珀羹の涼菓「浜土産」で知られるほか、茶人や粋人たちをとりこにしてきた四季折々の干菓子や上生菓子もおすすめです。

 

左:春の干菓子「桜蕨」(大・1600円)。右下:店の間の壁に飾られた菓子の見本帳。古来の意匠を大切にしている

干菓子は、特別に挽いてもらうという、混ざりもののないきめ細かな粉糖を100%使用。わずかな気温の上昇や摩擦熱で溶けてしまわないよう熟練の技で作りだすこだわりの逸品です。味は、プレーンときな粉の2種。魅惑の口どけをぜひ試してみて。

 

 

文:Rinako Sato(Rakutabi) photo:Yasutaka Ogawa 編集:ことりっぷ編集部

 

本記事は2022年4月発売の「ことりっぷマガジンvol.32」の掲載内容を再編集したものです。

 

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