提供:ことりっぷ
ホテルや旅館がしのぎを削る河原町・烏丸エリアに構える「nol kyoto sanjo(ノル キョウト サンジョウ)」。伏見の老舗酒蔵・キンシ正宗の販売所だった京町家の良さを残しながら、現代アーティストたちの新しい感性を融合させてリノベーションしたホテルです。キンシ正宗の日本酒6種や京都のスペシャルティコーヒーの代表格「Unir」のコーヒーが滞在中フリーで楽しめるほか、老舗喫茶店のサンドイッチや錦市場近くの和食店の仕出しを味わえる朝食付きプランも魅力です。
築100年の京町家を再生
地下鉄のほか、市バスや阪急電車からのアクセスも便利
地下鉄烏丸線・烏丸御池駅から徒歩5分。御池通の一筋南を走る姉小路通を進み、堺町通を南下します。地下鉄東西線・京都市役所前駅からの所要時間も同じ。端正な一文字瓦の軒下に右から読む「キンシ」の文字と酒樽を掲げた、ひときわ目を引く建物が「nol kyoto sanjo」です。コンセプトは、自分らしく自然体で(naturally)、ふだんどおりに(ordinarily)、その地域を楽しめる(locally)ホテル。それぞれの頭文字を合わせて「nol」の名前が誕生したのだそうです。
現代アーティストたちが創造
光と影が織りなす陰影が美しい町家ラウンジ
堺町通に面した京町家が、ロビーを兼ねた「町家ラウンジ」。宿泊者だけが利用できるとっておきの空間です。まずは受付横のガラス窓に囲まれた坪庭にご注目。低木を配した庭に凛と立つ、しなやかな弧を描く高木はアフリカ生まれ。京都には坪庭が多くありますが、ほかでは出会えない珍しい植栽です。吹き抜けの天井には質感の異なる銅板が配され、下に走る梁から照明を当てることでほの暗さを演出。東側の壁に差し込む細い光は、一見自然光のようですが、照明の匠が創り出した光のアートです。
町家ラウンジで日本酒とコーヒーを堪能
箱階段を据えた壁側にドリンクコーナーがある
建物を譲り受けた縁からキンシ正宗の酒瓶を6種並べたサーバーがあり、滞在中はいつでも好きなだけ冷酒が味わえます。フルーティーな甘口からキリッとした辛口まで幅広くそろい、きき酒を楽しむこともできます。深々と座れるソファやチェアでゆったりと杯を傾けたり、リラックスできる客室で味わったり、檜葉風呂につかりながらお酒をいただくなんて贅沢も。京都の老舗菓子店である伊藤軒の煎餅やあられ、今西製菓の京飴も自由に召し上がれ。
地元京都の日本酒をウェルカムドリンクに 甘みとコクが感じられる「Unir」のハウスブレンド
ホテルが特注する仕出し料理を朝食に
朝食付きプランは基本プランに3000円ほどプラス
界隈には老舗喫茶店や京料理店、洋食店、ベーカリーなど京都グルメが充実。そのため基本の宿泊プランに食事は付いていませんが、3日前までに予約をすれば、朝食付きプランも。祇園の喫茶「ナカタニ」のサンドイッチか、「京菜味のむら錦店」の和食が選べます。和食は12種のおばんざいを彩りよく詰めた3段重。錦市場にある豆腐店の作りたて汲み豆腐や京都産新鮮卵の半熟卵、うの花コロッケやたっぷりの野菜など朝にうれしいヘルシーな料理が並びます。深みのあるだしに柚子の香りを効かせたあんで生湯葉をまとめた湯葉丼と味噌汁付き。8時半から10時までの希望時間に客室に運んでもらえます。
スタイリッシュな客室は3タイプ
客室棟の中庭。上の階からの眺めも美しい
町家ラウンジから5階建ての客室棟へと続く細い路地の先にモダンな中庭が現れます。空から光が差し込む水盤に1本の木がそびえ、美術館のようなたたずまいです。中庭を囲むようにめぐらせた客室は3タイプ。全室に檜葉風呂と洗濯乾燥機が付いています。ミニキッチンもあるので、徒歩圏内の京の台所・錦市場で気になる食材を買ってちょっとした料理を作るのも楽しそうです。
1室2名で2万5000円(宿泊税込)~。写真は「Hibaburo Deluxe」の部屋
ここだけにしかない空間に待ち受ける、ここだけにしかない京都時間。今度の旅は便利な街なかを拠点に、ゆったりと過ごしてみてはいかが。
文:佐藤理菜子 撮影:小川康貴