提供:ことりっぷ
高知県のほぼ中央を流れる全長124kmの仁淀川(によどがわ)は、全国の水質ランキングで常にトップを保つほど美しく清らか。ターコイズブルーにもエメラルドグリーンにも見える輝きを放つことから、その神秘的な色彩は「仁淀ブルー」と呼ばれるようになりました。川沿いには、絶景スポットやアクティビティ施設、カフェなどがあり、見て、遊んで、休憩してと、仁淀ブルーを満喫できるスポットがたくさん。そのなかでも、ぜひ訪れたい5つのスポットへとご案内。奇跡の清流で出会う、美しい青の世界を楽しんでみませんか。
【スポット1】まるで宝石のように美しい、秘境にある滝壺「にこ淵」
神秘の滝壺として知られるにこ淵
ひときわ美しい仁淀ブルーに出会うなら、上流の支流がおすすめ。その象徴的スポットが、山深い場所に現れる滝壺「にこ淵」です。滝壺までは急勾配の山道を階段で下る隠れた名所で、周囲を木々に覆われた秘境と呼ぶにふさわしいロケーションが広がります。光の量や差し込む角度により刻々と表情が変わる風景はまるで宝石のようにきらきらと輝きを放ち、その美しさは仁淀ブルーの名付け親であるネイチャーカメラマン・高橋宣之氏が「この青こそ仁淀ブルー」と賞賛するほど。
周囲は緑に囲まれているため、光が差し込む正午前後がもっとも美しい時間帯。また、にこ淵は水神の化身とされる大蛇が棲むという伝説が残る場所で、地元の人は近寄らない神聖な地。節度とマナーを守り、静かに観賞くださいね。
【スポット2】仁淀川屈指の透明度を誇る「安居渓谷」を散策
仁淀ブルーの代名詞となった安居渓谷の水晶淵
仁淀ブルーを散策しながら眺めるなら、安居渓谷を訪れてはいかがでしょう。仁淀川の支流・安居川に約10kmにわたって広がる壮大な渓谷で、一部区間に遊歩道も整備。飛龍の滝や乙女河原などのビュースポットが、訪れる人を迎えてくれます。
ひときわ美しい仁淀ブルーを見られるのが、仁淀川流域で屈指の透明度を誇る「水晶淵」です。川が深くなるにつれ濃くなる青のグラデーション、季節や時間帯、角度によって青にも緑にも変化する色彩は、ため息がでるほどの美しさ。その少し上流には「砂防ダム」があり、放流時には水のカーテンと仁淀ブルーのコラボレーションも楽しめます。見どころが次から次へと現れるので、散策には約1~2時間みておくと安心ですよ。
高さ20m、長さ64mの砂防ダム。周囲の緑と仁淀川の青が映える
【スポット3】透き通るほどの清流でカヌーやSUPを楽しめる「仁淀川アウトドアセンター」
まるで宙にういたように見えるほど澄んだ清流でカヤックを楽しんで
川幅も広くて流れも穏やかな仁淀川は、リバーアクティビティに最適のエリアです。アウトドア施設の豊富さ、高知市内からアクセスできる気軽さから、休日になると多くの人が川遊びを楽しんでいます。
今回紹介する「仁淀川アウトドアセンター」は、SUPとカヤックを体験できるアウトドア施設です。安居渓谷から水が流れ込む仁淀川の上流域が体験の舞台で、川底が透けて見えるほどの透明度に圧倒されます。こちらを訪ねたらぜひ体験したいのが、シースルーになったクリスタルカヤック。まるで宙に浮いているように見える浮遊感、青く輝く仁淀ブルーとの一体感が、ワクワクをかきたててくれます。流れが穏やかなので、初めてでも大丈夫。非日常のリバーアクティビティを楽しんでくださいね。
仁淀川アウトドアセンターでは一年中カヤックを楽しめるので、いつ訪れても大丈夫
【スポット4】 ノスタルジーな風景に仁淀ブルーが映える「浅尾沈下橋」
仁淀川と沈下橋、集落と山々が織り成すスローな風景
山あいを蛇行しながら全長124㎞を緩やかに流れる仁淀川。その景観に情緒を添えているのが沈下橋(ちんかばし)です。沈下橋とは、増水時に流されることのないよう、あえて川に沈むように設計された欄干のない橋のことで、地域と地域をつなぐ生活道として欠かせないもの。仁淀川本流には6か所の沈下橋が架かり、それぞれに趣が異なります。
たとえば、仁淀川の中流域、越知町鎌井田地区に架かる「浅尾沈下橋」。こちらは、映画『竜とそばかすの姫』をはじめ、ドラマやCMの舞台として何度も登場した沈下橋で、その絶景を見ようと多くの人が訪れる話題のスポット。仁淀ブルーと沈下橋、山裾の集落が織り成すノスタジルックな風景が魅力です。ほかにも、仁淀川の最下流に架かる「名越屋沈下橋」や、国の登録有形文化財であり県下最古の「久喜沈下橋」などもあり、仁淀ブルーと沈下橋をめぐる旅も高知ならではです。
全長約121mの橋は実際にわたることもできる
【スポット5】 仁淀川の眺めもごちそうな「茶農家の店 あすなろ」でカフェタイム
(左)仁淀川の恵みを用いた茶農家のごちそうランチ「あすなろ御膳」1370円 (右上)一面ガラス張りの店内から仁淀川を望む (右下)仁淀川沿いに建つグッドロケーション
仁淀川周辺には、わざわざ目指して訪ねたい素敵なカフェが点在しています。そのひとつが、仁淀川のほとりに建つ「茶農家の店 あすなろ」です。特等席は仁淀川を目の前に望むテラス席。川のせせらぎを感じながらの休息タイムに、心と体が満ちていくのを感じます。
仁淀川の上流域は四国有数の茶処として知られる場所で、おもに煎茶を生産しています。こちらのカフェでは、沢渡地区で自家栽培した「沢渡茶(さわたりちゃ)」を用いたランチやスイーツ、ドリンクが楽しめ、どれも丁寧につくられた逸品ぞろい。一部メニューはテイクアウトもでき、沢渡茶を用いた絶品みやげも充実しているので、旅の思い出にぜひ。
右から「沢渡茶のクリームラテ」「沢渡茶のスムージー」各680円
仁淀ブルーを感じられる5つのスポットはいかがでしたか? 仁淀川は見どころが点在するため、車での移動が便利。「中津渓谷 ゆの森」や「土佐和紙工芸村くらうど」など素敵な宿もあるので、1泊してゆっくり過ごすのがおすすめです。清流のほとりで体感する休息時間を、存分に味わってくださいね。
文:井手口陽子(forest)、写真:森昌史(forest)