提供:ことりっぷ
古い町並みが残る「ひがし茶屋街」から、一筋奥へ。喧騒を離れた風情ある東山エリアで、ひそかに人気を集めている体験があります。それは築100年の町家の茶室を貸し切って、香や心理学に精通する専門家と一緒に行う、オーダーメイドのお香体験。香りを作った後は、おいしい和菓子とお抹茶でリラックス。優雅な和の癒しに出会える、特別な金沢を旅してみませんか?
100年の歴史を刻んだ、味わい深い隠れ家
タイムスリップしたような趣ある外観
東山エリアの最深部。観光客でにぎわうひがし茶屋街から少し離れ、看板を頼りに路地裏を歩いて行くと、周囲の民家に溶け込むステキな町家にたどり着きます。
こちらは、お香の体験をはじめとして、お茶の教室、様々なイベントやワークショップを楽しめる習いの場。和情緒あふれる昭和初期の建物を金沢と四国の職人さんの手により改修し、2010年「町屋塾」としてオープンしました。
漆喰の白龍が目印
外壁には、土佐漆喰を用いて塗り上げた「漆喰彫刻」の白龍がお出迎え。訪れる人を見下ろしながら、悪い気を追い払うように大きく口を開いています。
心落ち着く茶室を貸切で
柔らかな日差しが心地よい「古志庵」
お香体験の会場は、「古志庵」と名付けられた茶室。掛け軸や活けたお花が飾られ、おもてなしの心を感じられます。
この体験の大きな魅力が、茶室を貸切利用できること。心地よい静けさの中、ゆったりと非日常なときを過ごせます。
深煎りの加賀棒茶
まずは座って、ほっとひと息。しばらくすると、参加者ひとりひとりに加賀棒茶が振る舞われます。お茶は喉の渇きを潤すだけではなく、感度を上げてくれる効果があり、香りの違いが分かりやすくなるのだとか。
香✕心理学で、自分らしい香りを見つける
博学で優しく、ときにユーモアあふれるトークが人気の香司 友代香さん
講師は、金沢生まれ金沢育ちの香司 友代香さん。医学部精神科の臨床心理職を経て、和の香りを楽しむ“香作り”の職人「香司」の資格も持つ、香と心に関するスペシャリストです。
「好きな香り、好きな色はどんなものですか?」「普段疲れたときは、どのように気分転換していますか?」
そんな風に友代香さんがカウンセリングを行い、参加者の心や体の状態に耳を傾けながら、香り作りをエスコート。ここでの時間は、自分を見つめる貴重な体験になります。
体験の内容は、塗香、または匂い袋のどちらか。人気が高いのは、調香体験がセットになった塗香作りです。
塗香作り体験は一人6800円(最大3名まで)、体験時間は約90分(午前or午後の1日2回)
香りの元となる材料は、植物の根や葉、実、茎など。どれも手に入れるのが難しい、貴重な漢方香材料や天然の香木ばかりです。
ぜんぶで数十種類ありますが、友代香さんが参加者にふさわしい香りをセレクトしてくれるので、特別な知識がなくとも大丈夫。心の中でゆっくり香りを聞き分けながら、直感に沿って、好きな香りを選んでいきます。
和やかな雰囲気の中、香りを聞いて、楽しみながら聞き分け、世界にひとつだけの“本当の自分に合った香”を作っていきます。
「シャキッと体を目覚めさせたい」「寝入りに時間がかかるので、リラックスして睡眠の質を上げたい」など、自分の願いや想いをカタチにできるのが、この体験の醍醐味。
優しい香りが漂う空間でリラックス
漆塗りの香炉使って香を聞く
自分だけの香が完成したら、今度は焚いて香りを楽しむ番。灰をうずめた香炉に温めた炭を置き、さらに熱くなった炭の上にお香をのせます。
すっと立ち上がる気流を鼻に近づけ、ゆっくり香りを聞きます。目をつぶって五感を煙に集中させ、深く深く香りを味わうことで、心がほぐれていきます。
お気に入りのケースに入れて、いつでも香を身近に
携帯に便利な紙の用筒ケース(各550円)
オリジナルの香りは、好きなケースに入れて、当日持ち帰れます。丸テーブルの上には、香りを楽しむための道具がずらり。お気に入りのケースを探してみましょう。
リーズナブルで人気が高いのは、紙でできた用筒ケース。麻の葉柄や青海波など、縁起がよく可愛らしいデザインがそろいます。持ち歩きに便利なサイズで、出先でさっと気分を変えるのにもぴったり。
お香体験後には、茶道文化が盛んな金沢らしい、美しい季節の上生菓子とお抹茶をセットで味わえます。職人さん手作りの上生菓子は、芸術品のような美しさ!泡がきめ細かく、後味さわやかなお抹茶といただくと、心が豊かになります。
旅の思い出作りに最適な、オーダーメイドのお香体験。金沢の楽しみをさらに広げたい方は、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
文:安藤美紀