福島、宮城、山形の桜の名所をピックアップ
桜前線が徐々に北上し、東北にたどり着く頃には梅と同時に咲くところもあり、カラフルな彩りに包まれ、まさに春爛漫の風景が見られます。また、東北は山も多いため、雪が残る山と桜のコントラストや雄大な自然との調和も楽しめます。
そんな東北の桜の名所を、写真家の館野二朗さんが2回に分けてご紹介。今回は福島、宮城、山形の南東北エリアの撮影スポットをピックアップします。
写真家
館野 二朗(たての じろう)さん
1975年、東京都出身。若い頃からバックパッカーの旅やフライフィッシングを通して自然と向き合い、手つかずの自然美にインスピレーションを受け、2000年頃から創作活動を開始。独創的な視点と撮影技術から生み出される想像を超えた現実風景は、見る人誰ものイマジネーションを刺激する。近年は、奄美大島をテーマに精力的に活動。今後も、旅をしながら地球上の美しい場所が仕事場となり、そこで生まれた作品をさまざまな形で発表していく。現在、雑誌、書籍、企業カレンダーなどで活躍中。
目次
おすすめの絶景スポット【1】花見山
写真家の故・秋山庄太郎氏が「福島に桃源郷あり」と称えて広く知れ渡り、今では全国的にその名が知られるようになった「花見山(はなみやま)」。春の時期の花は種類も多く、3月の初めから5月半ばまで途切れることなく花が咲いています。最盛期には色とりどりの花が一斉に咲き乱れ、まさに春爛漫の様子を楽しむことができるでしょう。
ここでの撮影アドバイスは、多彩な色を組み合わせての春らしいカットが醍醐味の一つであること。少し離れた場所では、福島市のシンボルでもある吾妻小富士と一緒に撮影できます。「花見山公園」を中心にとにかく広大な敷地なので、歩いて自分なりの花見山を切り取ってみてください。
花見山
- 住所
- 福島県福島市渡利原17
- 開園時間
- 散策自由(私有地のため日没~早朝の散策は遠慮ください)
- 料金
- 入園無料
- アクセス
- 【電車】JR「福島」駅よりタクシーで約15分、または臨時バス「花見山号」か乗合バスに乗車し、「花見山入口」下車、徒歩約15分
※臨時バス「花見山号」運行期間:2024年3月23日~4月14日(開花状況により変更の場合あり) - 公式サイト
- 花見山特設サイト | 福島に桃源郷あり
おすすめの絶景スポット【2】三春滝桜
日本三大桜の一つにも数えられる福島県三春町の「三春滝桜(みはるたきざくら)」の見ごろは、毎年4月中旬。枝ぶりや花付きがよく、圧倒的な美しさがあります。周りの畑では菜の花を植えている時もあるので、桜と合わせて撮影するのがおすすめです(年によってはない場合もあり)。あまり早い時間だと手前が日陰になってしまうので、日の出からしばらく経った時間帯に撮影するといいでしょう。
条件によってはこのように霧に包まれた滝桜を見ることも。ここでの朝霧はかなり稀なので、このような特殊な現象に出会えたらシャッターチャンスです。
毎年ライトアップも行われるので、訪れたらぜひ狙ってみてください。近くで撮影するのもいいですが、少し離れた高台から狙うのもおもしろいでしょう。
ライトアップが終われば、星の撮影にもチャレンジ。明るいレンズで見上げるように撮影すると、星もたくさん入って幻想的な滝桜を撮影できます。
三春滝桜
- 住所
- 福島県田村郡三春町大字滝字桜久保296
- 観桜時間
- 6:00~18:00 (開花の翌日から葉桜まで)
※期間中のライトアップは18:00~21:00(入場は20:30まで) - 観桜料
- 500円(中学生以下無料)
- アクセス
- 【電車】JR「三春」駅より臨時バス「滝桜号」に乗車し、「滝桜」下車、徒歩すぐ
※臨時バス「滝桜号」運行期間:2024年3月30日~4月7日(開花状況により変更の場合あり)
おすすめの絶景スポット【3】合戦場のしだれ桜
「三春の滝桜」から車で30分ほどの「合戦場(かっせんば)のしだれ桜」もほぼ同時期に見ごろを迎えるので、ぜひ一緒に訪れてもらいたい場所です。ここも周辺には菜の花があるので、桜と菜の花を入れた構図が作れます。少し離れた場所にも菜の花が咲いているので、中望遠のレンズがあるといいでしょう。
桜の下に菜の花がある時は、広角レンズでぐっと寄って、見上げるように撮影してみましょう。しだれた桜の花がまるで降っているかのような構図が作れ、広角レンズならではの迫力のある写真が撮影できます。なお、個人所有で私有地にあるため、ルールとマナーを守って観覧するようにしてください(※樹勢回復のため治療中で、実物と写真は見栄えが異なります)。
合戦場のしだれ桜
- 住所
- 福島県二本松市東新殿大林字142
- 時間
- 観覧自由
※2024年4月4日~14日「合戦場のしだれ桜まつり」開催。期間中の18:00~21:00はライトアップを実施 - 料金
- 観覧無料(桜育成募金への協力をお願いします)
- アクセス
- 【電車】JR「二本松」駅より車で約30分
- 詳細
- 合戦場のしだれ桜 | 二本松市公式ウェブサイト
おすすめの絶景スポット【4】鶴ヶ城
比較的標高の高い会津地方の桜は福島県内でも遅く、ほかの地域の桜が終わってからも楽しむことができます。
会津のシンボルでもある「鶴ヶ城」は桜の名所としても有名で、お城と合わせての撮影が魅力です。城の周りに植えられた桜は約1,000本あり、日の光の回り具合に合わせて1日中撮影ができます。写真は、本丸の南側にある石垣の上から朝7時台に撮影しました。
こちらの写真は、城の西側の桜が数多く植えてあるエリアから撮影。桜の樹の下に入り、枝を額縁のように利用して城を囲むように撮りました。
鶴ヶ城
- 住所
- 福島県会津若松市追手町1-1
- 時間
- [鶴ヶ城公園]入園自由
- 料金
- [鶴ヶ城公園]入園無料
- アクセス
- 【電車】JR「会津若松」駅よりまちなか周遊バスハイカラさんに乗車し、「鶴ケ城入口」下車、徒歩約5分
- 公式サイト
- 会津 鶴ヶ城 Tsurugajo Castle
おすすめの絶景スポット【5】鶴岡公園
山形県内でも早めに満開を迎える「鶴岡公園」。ソメイヨシノだけではなく、シダレザクラや山ザクラなど700本以上あり、お花見客や観光客がたくさん訪れる場所です。
公園内にある赤いドーム型の屋根が特徴的な大宝館や、近くにある致道(ちどう)博物館の建物がフォトジェニックで桜と合わせて撮影できます。
鶴岡公園
- 住所
- 山形県鶴岡市馬場町4
- 時間
- 入園自由
- 料金
- 入園無料
- アクセス
- 【電車】JR「鶴岡」駅より庄内交通バスに乗車し、「致道博物館前」下車、徒歩すぐ
- 詳細
- 鶴岡公園の紹介
おすすめの絶景スポット【6】霞城公園
「霞城公園(かじょうこうえん)」内には1,500本もの桜が植えられており、山形県内有数の桜の名所です。
お濠沿いに桜が多くあり、東側にある二ノ丸東大手門では桜と合わせて山形新幹線を望めるスポットがあり、ほかでなかなか見ることのできないコラボレーションを撮影できます。
霞城公園
- 住所
- 山形県山形市霞城町1-7
- 時間
- 5:00~22:00
- 料金
- 入園無料
- アクセス
- 【電車】JR「山形」駅より徒歩で約10分
- 詳細
- 国指定史跡山形城跡「霞城公園」
おすすめの絶景スポット【7】やすらぎ公園
映画『おくりびと』などのロケ地としても有名な「やすらぎ公園」。春には樹齢約80年の大きな桜が馬渡川(まわたりがわ)を彩ります。土手沿いの約1.5kmにもおよぶ桜並木からは、天気が良ければ月山や鳥海山までも望むことができ、朝日も当たるのでぜひ狙ってもらいたいスポットです。朝日が当たった桜並木は赤く染まり、川にも映り込んで印象的な風景を撮影できます。
土手にある道には桜が覆うように張り出し、穏やかな風景を作りだしていたので、形のよい枝と川、地蔵堂と道を合わせて撮影してみました。広角レンズで近づいて撮影すると隙間の多い写真になるので、やや離れた場所から標準~望遠レンズを使用するのがいいでしょう。
やすらぎ公園
- 住所
- 山形県鶴岡市馬渡
- アクセス
- 【電車】JR「鶴岡」駅より車で約20分
おすすめの絶景スポット【8】中山河川公園
山形県遊佐町にある「中山河川公園」。石垣でできた護岸と白壁の家が並び、どこか懐かしい日本の原風景を思い起こさせます。毎年4月中旬頃になると桜まつりが行われ、鯉のぼりの川渡しやぼんぼりの点灯を実施。河岸を彩る桜並木と鳥海山、鯉のぼりなどと合わせて撮影できます。下流側から鳥海山を望むように撮影すると、奥行きも出るでしょう。
中山河川公園
- 住所
- 山形県飽海郡遊佐町直世南川向59
- アクセス
- 【電車】JR「遊佐」駅より車で約10分
- 詳細
- 中山河川公園
おすすめの絶景スポット【9】白石川堤一目千本桜
宮城県の大河原町と柴田町を流れる白石川には約8kmにわたり桜が植えられており、「白石川堤一目千本桜(しろいしがわづつみひとめせんぼんさくら )」と呼ばれ、春には大勢の人でにぎわいます。
満開時は残雪の蔵王連峰と満開の桜並木が白石川に映り、絶景を楽しめます。蔵王連峰と桜並木のリフレクションを撮影したい場合は、韮神堰(にらがみぜき)あたりが流れも緩やかになり、無風の時にはきれいな映り込みを期待できるでしょう。
韮神堰から少し下がった土手を上がると、桜並木と川に映った蔵王連峰を撮影できます。ここでは、日の光が桜に当たる時間帯を狙って撮影するといいでしょう。
白石川堤一目千本桜
- 住所
- 宮城県柴田郡大河原町大谷
- アクセス
- 【電車】JR「大河原」駅より徒歩約3分
おすすめの絶景スポット【10】西行戻しの松公園
日本三景の一つでもある松島を高台から見下ろせる場所にあるのが、「西行戻しの松公園」です。約260本の桜が植えられており、満開時には松島湾に浮かぶ島々と桜を撮影できる貴重なスポット。
なかでも「白衣観音(はくいかんのん)展望台」は一段高い場所にあり、ここから桜越しに広がる松島湾の風景は格別です。特に、朝日は正面から昇ってくるので狙い目。桜の色をきれいに出すためにはハーフNDフィルターの使用をおすすめします。
太陽が上がり、順光気味になった時もシャッターチャンス。この写真は「白衣観音展望台」から少し下がった場所の桜並木の間から撮影しました。天気の良い日はPLフィルターを使用することで、海と空の色も鮮やかに出てコントラストの高い写真が撮影できます。
西行戻しの松公園
- 住所
- 宮城県宮城郡松島町松島犬田2
- アクセス
- 【電車】JR「松島海岸」駅より車で約3分