沖縄都市モノレール「ゆいレール」は、那覇市街地と那覇空港間を結ぶ県内唯一の鉄道で、沖縄を訪れた際に使用したことがある方も多いはず。今回は、ゆいレールと徒歩だけでめぐる観光モデルコースをご紹介します。
2019年の延伸で注目を集めているエリアの歴史的建造物や、最新グルメにセレクトショップなど、レンタカーなしで気軽に立ち寄れるスポットだけを集めました。市街地から那覇空港へ向けて進むルートなので、旅行最終日の帰宅便までの観光におすすめです!
沖縄で唯一の鉄道「ゆいレール」
沖縄県唯一の鉄道、沖縄都市モノレール「ゆいレール」。沖縄の玄関口「那覇空港」駅から、那覇の中心部「県庁前」「牧志」駅などを通り、世界遺産・首里城の最寄り「首里」駅を経由し、浦添市方面までを走る、観光にとても便利な路線です。時間帯によって5~15分間隔で運行していて、車移動にありがちな交通渋滞も避けらるため、使い勝手は抜群。
2019年10月、首里駅の北側に延伸・開業したのが、「石嶺(いしみね)」、「経塚(きょうづか)」、「浦添前田(うらそえまえだ)」、「てだこ浦西(うらにし)」の4駅。道路渋滞の多い那覇市内~浦添市内がつながったことにより、市民の足としても一層便利になりました。
ゆいレール公式Webページ
フリー乗車券がおすすめ!
今回の記事では、ゆいレールと徒歩だけでめぐる1日観光モデルルートをご紹介。那覇空港も含め全部で4駅を下車するルートなので、「1日フリー乗車券」(おとな800円)を使うのがお得です。他にも、「2日フリー乗車券」(おとな1,400円)、路線バスもセットになった「1日周遊パス」(おとな3,000円)などもあるので、目的に応じて上手に使ってみてください。
フリー乗車券やパスを使わない場合は、2020年3月から利用可能となった、Suicaと相互利用する交通系ICカードでの乗り降りが便利です。
ゆいレール乗車券について(公式Webページ)
浦添前田駅
厳かな雰囲気に包まれた琉球王国のルーツ「浦添城跡」
最初の立ち寄り駅は「浦添前田」駅。那覇市街地からゆいレールで20分ほど北の方角に進んだところにあり、2019年10月に延伸した4駅の中の1つです。
延伸の目的は主に地元の方の利便性向上でしたが、話題となった新駅周辺の観光スポットに行ってみたいという方におすすめなのが、「浦添城跡(うらそえじょうあと)」です。
13世紀に築かれたとされる「浦添グスク」は、首里に王都が移るまで沖縄本島の「中山(ちゅうざん)」と言われた大切な場所。その後1609年に薩摩軍の侵攻により落城し、沖縄戦では大きな被害を受けました。現在でも進められている復元作業では当時の趣が再現されており、城跡から望む広々とした景色、王の墓や遺構などが、王朝の厳かな雰囲気を今に伝える場所となっています。
見学は、浦添前田駅から徒歩約5分の「浦添大公園 南エントランス展示室」からスタート。浦添城跡の入口にあり、歴史を学んだり、城跡から出土した鬼瓦のレプリカなどの展示があったり、お城の概要を予習することができる施設です。城跡内はしばらくお手洗いがないので、事前にここで済ませましょう。夏の晴れた日は日差しが強いので、飲み物などを事前に調達するのにも便利です。
浦添大公園 南エントランス展示室
- 開館時間
- 9:00~17:00
- 入館料
- 無料
- 休館日
- 月曜日・12月28日~1月3日(月曜が祝日の場合は開館)
- 電話
- 098-876-3555
- アクセス
- ゆいレール「浦添前田」駅から徒歩約5分
南エントランス展示室を出て、高台にある浦添城跡を目指します。展示室からすぐの階段を上り、しばらく歩くと石畳の道が出現。「第二尚氏」と呼ばれる王統時代に、当時の王である尚寧(しょうねい)が1597年に整備したと言われる歴史ある道です。
かなりの高低差があるので、歩きやすい靴で行くのがおすすめ。
登りきると、頂上は展望台。宜野湾市街や海まで一望できる、かつての王たちも眺めてきた絶景が広がります。
浦添の街並みや、乗車してきたゆいレール車両と新駅を見渡すこともできますよ。
さらに、ここまで来たらぜひ見ておきたいのが、王の墓である「浦添ようどれ」。展望台から階段を下りて進みます(階段の開放時間は9:00~18:00)。
琉球石灰岩の岩肌に囲まれた階段を下りて進んでいくと、先に見えるのが「暗しん御門(くらしんうじょう)」。かつては自然の岩盤と加工した石を組み合わせたトンネルでした。天井部分は沖縄戦で失われたものの、しっかりと組まれた石材は、至る先が厳かな場所であることをうかがわせます(復元)。
中に入ることはできませんが、崖を利用して作られた「浦添ようどれ」の墓室が現れます。向かって右の「西室」には日本の鎌倉時代ごろに活躍した中山王(ちゅうざんおう)の英祖王(えいそおう)が、左の「東室」は江戸時代にあたる第二尚氏時代に王となった尚寧がそれぞれ眠ります。約400年の時を経て力ある2人の王が隣同士に安置される、歴史のドラマを感じさせる場所。
さらに5分ほど進んだところにある「浦添グスク・ようどれ館」では、レプリカで西室(英祖王陵)内部の様子を見学することができます。石灯籠のようなものは、沖縄で骨壺にあたる「石厨子(いしずし)」。納骨される人によってデザインはまちまちですが、英祖王が沖縄に仏教を広めた第一人者ということを表してか、写真左の石厨子には、沖縄で現存する最古の仏教彫刻が施されています。神聖な雰囲気と、琉球王国のルーツをたどることができる場所です。
今回ご紹介した、南エントランス展示室、城跡、ようどれ、浦添グスク・ようどれ館をめぐるルートの所要時間はおよそ1時間30分が目安。時間計算の際は参考にしてみてください。
浦添グスク・ようどれ館
- 開館時間
- 9:00~17:00
- 入館料
- 大人100円、子ども50円
- 休館日
- 月曜日(祝日の場合は開館)、12月28日~1月3日
- 電話
- 098-874-9345
- アクセス
- ゆいレール「浦添前田」駅から徒歩約15分
首里駅
現在も見学できる無料エリアが満載!「首里城」と城下町
「浦添前田」駅から那覇空港方面へ7分ほど乗車すると到着するのが、2019年までゆいレールの終着点だった「首里」駅。
首里と言えば、世界遺産「首里城」の最寄り駅。駅からは歩いて15分ほどです。2019年10月の火災により「正殿」「北殿」「南殿」など主要な建造物は焼失したものの、首里城全体のおよそ8割にあたる約10ヘクタールは実は今でも無料で見学が可能。琉球王朝の栄華や強大な力は、今でも感じることができ、散策にもぴったりです。
※首里城の最新の営業状況は以下よりご確認ください。
首里城公園 公式Webページ
たとえば、城の入り口にあたる「守礼門」。「琉球は礼節を重んずる国である」という意味が込められており、沖縄では広く流通している二千円札に描かれたことでも有名な気品の高い門。お札の絵と見比べるのも楽しみ方の1つです。
他にも、国王の礼拝所「園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)」や、「歓会(かんかい)門」、「瑞泉門」、「漏刻(ろうこく)門」など、まるで当時にタイムスリップしたような、迫力ある石垣の合間に立派な門構えを見学することができます。
城壁の高さまで登りきれば、標高約130メートルにある「西(いり)のアザナ」から慶良間諸島まで見えることも。敷地の西側にあるため、日の入り時刻には夕陽を望むこともできるスポットです。
※写真は火災前のもの
首里城の敷地に隣接する、歴史ある人工池「龍潭(りゅうたん)」で、のどかに散歩を楽しむのもおすすめ。それ以外の無料エリアの詳細や、かつての首里城の様子、周辺グルメについては、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
▼首里城周辺の観光情報をもっと見る
※上記の散策ガイド記事は、首里城火災発生前に作成したものです。
首里城公園
牧志駅・美栄橋駅・県庁前駅
やっぱり外せない!随一の商店街「国際通り」
首里駅から再びゆいレールに乗車し、那覇空港方面へ約11分。「牧志」「美栄橋」「県庁前」の3駅いずれからもアクセスできるのが、沖縄随一の商店街「国際通り」です。約1.6キロメートル続く通り沿いにはお土産物店、飲食店が所せましと並び、枝分かれした小さな通り沿いにも個性的なお店がたくさん。
国際通りで楽しみたい食べ歩きや、コスメ、スイーツなどの穴場情報は、こちらの記事でご紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
▼国際通りの観光情報をもっと見る
美栄橋駅・県庁前駅
ヘルシーなグルメを楽しむのにピッタリ「浮島ガーデン」のランチ
沖縄そばやラフテーなどの定番グルメだけでなく、新しいグルメが集まるのもここ国際通りの特徴。いま沖縄で新しい、ヘルシーフードでランチをいただくのがおすすめです。美栄橋駅、県庁前駅それぞれから徒歩12分ほどで到着する「浮島ガーデン」は、沖縄のヴィーガンレストランの草分けともいえるお店。
古民家を改装した店内は、どこを撮っても絵になるような、とてもおしゃれで落ち着ける雰囲気。奥には店名の通り「ガーデン」席も用意されています。
「名物ベジタコライス」(1,400円・税抜)。肉や魚だけでなく、卵やチーズ、はちみつに至るまで、動物由来の素材は一切使用せずに、沖縄名物のタコライスを表現。ひき肉にはなんと島豆腐が使用されています。
他県の豆腐よりもしっかりした固さのある島豆腐は、島野菜たっぷりのサルサソースで味付けされていて、お肉が入っていないのが嘘のように風味も食感も豊か! 西表島(いりおもてじま)の無農薬有機米との相性は抜群です。
「自家製酵素スカッシュ」(料理にプラス150円)など沖縄産のフルーツを使ったセットドリンクを合わせれば一層ヘルシーに。こだわりの自然派ワイン(白・赤各プラス300円)といったアルコールメニューを選べるのも、電車旅の醍醐味です(いずれも税抜)。
浮島ガーデン
- 住所
- 沖縄県那覇市松尾2-12-3
- 営業時間
- ランチ:月~金 11:30~15:00(LO14:00)、土日 11:30~16:00(LO15:00)
ディナー:17:00~22:00(LO21:00)
- 定休日
- 木曜日
- 電話
- 098-943-2100
- アクセス
- ゆいレール「県庁前」駅から徒歩約12分
- その他詳細
- 浮島ガーデン 公式Webページ
県庁前
沖縄中のおしゃれな名品が集まる新スポット「樂園百貨店」
ランチでお腹を満たしたら、空港に向かう前に最後の立ち寄りスポットへ。
「沖縄のいいモノ」を中心に、おしゃれな雑貨や食料品が手に入るセレクトショップ「樂園百貨店(らくえんひゃっかてん)」は、お土産探しにおすすめのお店。県内唯一の百貨店であり、「県庁前」駅から直結している「デパートリウボウ」の2階に展開されています。
沖縄出身・在住のデザイナーやクラフターによって新しい風を吹き込まれた工芸品、アクセサリー、食品など約600点が揃います。琉球ガラスや陶器、職人技で絵付けされる「琉球みやらびこけし」も、ここなら一味違ったおしゃれなデザインのアイテムが手に入ります。
食品類も充実。「ガーデンパナ」の「ブレンドハーブティー」は、沖縄原産の月桃やピパーチといったハーブ類・スパイス類をブレンドしたオリジナル商品で、ティーバック5種10個入りが1,166円など、手頃な価格も魅力です。
「特産離島便」は、離島の農家やアンマー(沖縄の言葉でお母さん)の手作りジャムや惣菜を手のひらサイズに瓶詰。久米島の「島らっきょ入り島ラー油」(810円)は、しゃきっとした島らっきょに生ピーナッツの隠し味が効いた一品です。
樂園百貨店オリジナル商品として開発されたのが、沖縄素材を使用した石鹸やクリームなどのコスメ。自然由来のやさしさを表すような、かわいくて印象的なパッケージは沖縄出身のイラストレーター「MIREI」さんがデザインしたのだそう。
中でも沖縄らしさを満喫できる、シークヮーサーと月桃のアロマオイル(各1,650円)はいちおし。爽やかな香りで包み込み、身も心もリフレッシュできます。
沖縄のローカルフードにこだわった「樂園CAFE」も併設。先ほどご紹介した「浮島ガーデン」プロデュースのヴィーガンフードも提供されていますよ。季節のトロピカルフルーツを生かしたドリンクで一息つきながら、ショッピングを楽しむことができます。
樂園百貨店・樂園CAFE
- 住所
- 沖縄県那覇市久茂地1-1-1 デパートリウボウ 2F
- 営業時間
- 樂園百貨店:10:00~21:00
樂園CAFE :8:00~21:00
※営業時間は変更になる場合がございます。
- 定休日
- なし(デパートリウボウの休日に準じます)
- 電話
- 098-867-1171
- その他詳細
- 樂園百貨店 公式Webページ
最後に立ち寄った「県庁前」駅からゆいレールに乗車し、那覇空港まではおよそ13分。離陸ギリギリまで沖縄を楽しめるのは、沿線スポットだからこそです。
沖縄観光というと、レンタカーを借りて楽しむイメージが強いものですが、ゆいレールと徒歩だけでめぐれる名所も満載。訪れる際には参考にしてみてくださいね。
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取材・撮影・文/Churako