2019年10月31日に発生した火災で、首里城「正殿」「北殿」「南殿」など主要な建造物が焼失しました。最新の被害・営業状況や、寄付金の情報は以下よりご確認ください。
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琉球王国のきらびやかな歴史を物語る、世界遺産・首里城。14世紀頃に創建されて以来、約450年に渡って国の政治や文化の拠点となった、今や沖縄のシンボルともいえる一大観光スポットです。忠実に復元された城内は壮大で絢爛豪華。まるでタイムスリップしたかのような貴重な沖縄の風景に出会える場所です! 周辺にも、城下町の趣ある景色が続きます。せっかくの旅行なら、首里城で沖縄らしさをめいっぱい味わってみませんか?
まず押さえたい!世界遺産「首里城」の基本
現代に復元された琉球王国の古城
首里城は、14世紀頃に琉球王国の政治的拠点として創建されました。琉球の様式だけでなく、中国や日本の文化も融合した独特の築城技術を用いており、極彩色の色使いは絢爛豪華。王朝の栄華を物語っています。
1945年の沖縄戦で全焼しましたが、1992年に国営公園として現在の姿へ復元。2000年には「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として城内の一部が世界遺産にも登録された、沖縄観光の定番スポットです。
電車でも気軽にアクセス可能!
首里城周辺の町並み
沖縄本島観光の拠点となる那覇市内に位置し、アクセスも便利な観光地。電車なら、ゆいレール「那覇空港」駅から約30分乗車し「首里」駅を下車、駅から城内までは徒歩およそ15分の距離です。
より近くに到着できるバスを利用するなら、ゆいレール「旭橋」駅すぐの「那覇バスターミナル」より首里城下町線(7・8番)に乗り、「首里城前」バス停で下車。そこから徒歩約1分で到着です。
広大な敷地と高低差に注意!訪れる際は歩きやすい靴で
かつて一国を統べた首里城の敷地はとても広く、立派な石垣と数々の門、正殿に加え2019年2月より公開の始まった「御内原(おうちばら)」などを見学して所要時間はおよそ90分。標高120~130メートルの小高い丘に位置し坂や階段も多いため、スニーカーなど歩きやすい靴で訪れるのがおすすめです。
守礼門に絶景展望台!無料区域から散策スタート
※提供/国営沖縄記念公園(首里城公園) 園内地図
敷地内には数々の見どころが点在していますが、首里城を象徴するメインエリア・正殿付近は有料、駅やバス停から近い「守礼門」周辺は無料で見学することができます。今回は、守礼門から入って、有料区域へ抜けるルートをご紹介。無料といっても侮れない穴場スポットや、有料区域に入るからには見落としたくないポイントなど、この記事で確認してから観光に訪れてみてくださいね!
無料区域
二千円札に描かれた「守礼門」から散策開始!
まずは首里城の入り口にあたる「守礼門」から散策を開始。2000年に発行された二千円札に描かれた門として有名です。多くの客人を通してきたであろうこの門には、「琉球は礼節を重んずる国である」という意味が込められており、コンパクトで4本の柱がスタイリッシュに伸び、気品の高さを感じさせます。ここで最初の記念撮影をお忘れなく。
ちなみに、沖縄県外では目にする機会が少ない二千円札ですが、県内では広く流通しているため、コンビニなどのATMから出てくることも。出会えた際は取っておいて、本物の守礼門と比べてみるのも1つの楽しみ方です。
無料区域
石垣と門の壮大なスケール!正殿までの道のり
園比屋武御嶽石門
瑞泉門
守礼門を抜けるとすぐに見えるのが、「園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)」。かつて国王がお出かけになる際に道中の安全を祈った礼拝所です。
さらに敷地内を正殿に向かって進むと、「歓会(かんかい)門」、「瑞泉門」、「漏刻(ろうこく)門」と3つの門が。石垣に埋め込まれるようにして門が設置されている風景に入り込めば、まるで琉球王国へタイムスリップしたかのよう! 正殿に向けて登りが続きますが、忠実に復元された道なので、楽しみながら進むことができます。
無料区域
海まで見晴らせる「西のアザナ」
守礼門から約2~3分で城壁の高さを登り切ると、日時計「日影台」が置かれる目の前にある、首里の町並みを一望できるポイントへ到着。遮るもののない視界には、首里城の敷地を取り囲んで連なる石垣も収めることができます。
そのまま、すぐ背後にある券売所「広福(こうふく)門」で有料区域のチケットを購入し、正殿に入場することもできるのですが、もう1か所ぜひ立ち寄っておきたい無料区域のスポットがあります。
広福門をくぐり、木立の中に続く別の道を引き返す方向に進むとあるのが、「西(いり)のアザナ」。物見台として作られましたが、今では首里城の絶景スポットとして人気を集めており、上まで登ることができます。
頂上は展望台として整備されており、とても開けた景色の中には那覇市街地だけでなく、天気が良ければ東シナ海に浮かぶ慶良間(けらま)諸島が見えることも。敷地内の西側にあるので、日没の時間帯に訪れれば夕景も楽しむことができる場所です。
西のアザナ周辺には、「京の内」と呼ばれる城内最大の祭祀空間も。神様が祀られている御嶽(うたき)が数多く集まっていて、神聖で凛とした空気を感じられます。気づかず通り過ぎてしまう人も多く、一大観光スポットとして知られる首里城の中でも穴場的な存在。混雑を避けてゆっくり散策がしたい方に特におすすめの場所です。
朱色に輝く琉球王国の栄華!正殿周辺の有料区域へ
広福門でチケットを購入
西のアザナの絶景や、神聖な京の内での散策を楽しんだら、再び広福門へ戻り有料区域のチケットを購入しましょう。当日の購入も可能ですが、特に混雑が予想される週末や連休中の午前中は、Webで事前決済をしておくのもおすすめです(当日広福門窓口でチケットを引き換え)。
首里城有料区域入城Webチケット
有料区域に入ったあとに無料区域との行き来が可能になる再入場スタンプも、ここで押してもらえます。当日に限り、広い敷地内の出入りが自由になるので、近くの係員の方に声をかけて押してもらっておきましょう。
有料区域
独特の様式が鮮やかな「正殿」と「御庭」
広福門のすぐ左手にあるのが、「正殿」と「御庭(うなー)」。首里城を象徴する目にも鮮やかな極彩色の空間が広がります。
和漢折衷に加え琉球の様式が取り入れられた独特の建築で、琉球王国にとって最も大事な建物だったと言われています。御庭と呼ばれる中庭広場の紅白のラインは、儀式の際に諸官が並ぶための目印だったそう。
ここで注目したいのが、屋根の上や正殿入り口に鎮座する龍やシーサー。龍は王国の象徴、シーサーは沖縄で古くから厄除けの意味を持ち、阿・吽の口の形には仏教の影響も見られます。とても愛くるしい表情をしているので、正殿を撮影する際には忘れず収めてくださいね。
人気の撮影スポットですので、開園時間すぐの人が少ない時間帯がねらい目です。
※提供/国営沖縄記念公園(首里城公園) 御差床(2F)
※提供/国営沖縄記念公園(首里城公園) 下庫理
正殿内部も見学可能。国王が座られていた玉座が見られる「御差床(うさすか)」や、実際に政治を執り行った「下庫理(しちゃぐい)」などが、資料を元に忠実に再現されています。極彩色の王朝時代を体感できる場所です。
有料区域
癒しの空間「鎖之間(さすのま)」での一服
※提供/国営沖縄記念公園(首里城公園) 鎖之間
正殿のすぐ横、御庭に面した書院「鎖之間(さすのま)」も必見。かつての王子などの控え所で、現在では国の名勝として指定されている琉球庭園を眺められる、落ち着きある空間です。
※提供/国営沖縄記念公園(首里城公園) 鎖之間の伝統菓子とお茶
こちらで味わえるのが、琉球王国の伝統菓子とお茶のセット(500円)。沖縄のまるぼうろである「花ぼうる」や、ピーナッツあんが香ばしい「くんぺん」など6種類のお菓子と、さんぴん茶をいただけます。往時より大切にされてきた美しい庭園を眺めながら味わえば、特別なひと時になること間違いありません!
鎖之間
- 時間
- 9:30~18:00(LO17:30)
- 伝統菓子とお茶セット料金
- 500円
- 場所
- 書院・鎖之間(有料区域内)
有料区域
男子禁制の場を復元した2019年公開エリア「御内原」
首里城には、長きに渡り公開されてこなかったエリアがありました。それが、正殿の真裏にある「御内原」。国王の私的なエリアだったとも言われ、城に仕える女性が住まう男子禁制の場所。いわゆる「奥」だった場所が、2019年2月ついに公開されました。現在は男女問わず追加料金なしで見学できるので、ご安心ください。
女官たちの居室や、国王が日常を過ごした「二階御殿(にーけーうどぅん)」など14史跡が忠実に復元されています。
中でも注目なのが、「東(あがり)のアザナ」。西のアザナよりも標高の高い、首里城一の展望スポットが公開されました。城下町だけでなく、首里城一体を見渡せる物見台です。
晴れた日には、「神の島」と呼ばれる聖地・久高島も拝めます。
御内原は正殿の真裏に位置するため、正殿を後ろから眺めることもできます。屋根の上の龍とシーサーは後ろ姿も愛らしいので、ぜひチェックしてみてください。
このエリアにある「美福(びふく)門」から「継世(けいせい)門」へ抜けると首里城の敷地外へ出られます。見逃した無料区域を再び散策するもよし、一度外で休憩してから有料区域に再入場するのもよし。好きなように散策ができるのも、首里城の魅力です。
首里城
- 住所
- 沖縄県那覇市首里金城町1-2
- 時間
- 【無料区域】
・4~6月、10~11月:8:00~19:30
・7~9月:8:00~20:30
・12~3月:8:00~18:30
【有料区域】
・4~6月、10~11月:8:30~19:00
・7~9月:8:30~20:00
・12~3月:8:30~18:00
※閉場30分前に入場券販売を締切
- 休場日
- 7月第1水曜・その翌日(一部エリアのみ)
- 料金
- 大人830円、高校生630円、小・中学生310円、6歳未満無料
- アクセス
- 【バス】首里城下町線7・8番「首里城前」下車、徒歩約1分
【電車】ゆいレール「首里」駅下車、徒歩約15分
【車】那覇空港から約40分
- 駐車場
- 有料駐車場あり
- 電話
- 098-886-2020
- その他詳細
- 首里城公式Webページ
風情の残る、首里城公園周辺の城下町散策へ
お城を見学したあとは、首里の町を散策しに出かけましょう。首里城の周辺は、沖縄らしさを感じさせる石畳や赤瓦の風景が残るなど、城下町の雰囲気を今でも楽しむことができる場所。今回は、首里城から特に近い立ち寄りスポットをご紹介します。
ランチは、ソーキそばの隠れ家的名店「首里ほりかわ」
守礼門から徒歩約3分のところにある「首里ほりかわ」。おしゃれでカフェのような店構えのこちらでいただけるのは、こだわりのソーキそばです。
人気メニューの「ソーキそば」(中・750円)は、カツオベースのあっさりとしたスープが存分に味わえるよう、ソーキが別皿に盛られています。骨付きの軟骨ソーキは箸でほぐれるほどに柔らか! 甘辛いタレが染み込み、澄み切ったスープと店内仕込みの自家製麺との相性も抜群です。
薬味にネギ、追い鰹、漬けしょうがが盛られており、お好みで黒こしょうもきかせれば、濃いめのソーキも最後までさっぱりといただけます。
店内のカウンター、テーブル席の他に、テラス席も。落ち着いて食事がとれる空間なので、首里城散策のあとの休憩にもぴったりです。
首里ほりかわ
- 住所
- 沖縄県那覇市首里真和志町1-27
- 時間
- 11時~売り切れ次第
- 定休日
- 木曜
- アクセス
- 首里城から徒歩約1分
- 駐車場
- 近辺に優待駐車場あり
- 電話
- 098-886-3032
首里城の姿を外から眺める「龍潭」
「首里城公園」として整備される敷地の一部が、人工池の「龍潭(りゅうたん)」。守礼門、首里ほりかわどちらからもすぐの場所にあり、池の奥に首里城が見られる散策に人気のスポットです。
人工池といっても歴史は古く、1427年(室町時代)に中国の使者をもてなすために造営。ここで舟遊びなどが行われました。
池の周囲はおよそ400メートル。帰りのバスの待ち時間に歩いてみるのも良いでしょう。木陰で休むアヒルや、昼寝中のネコに出会えるなど、のどかな雰囲気を楽しめますよ。
※提供/龍潭から見た国営沖縄記念公園(首里城公園) ライトアップ
夜まで時間がとれる場合には、龍潭からの夜景もおすすめ。日没から24時までライトアップされる首里城は、城壁の朱色が夜空に浮かび上がるようで、とても幻想的な風景を作り出します。
沖縄観光の定番スポット・首里城。忠実に復元された城内だけでなく、城下町としての面影を残す周辺エリアにも、沖縄らしい風景や体験がたくさん待っています。首里城を訪れて、ぜひ沖縄らしさあふれる旅行の思い出を作ってくださいね。
取材・撮影・文/蓮池ヒロ(撮影は、※の写真を除く)