青い海と白い砂浜が広がるビーチや、星空保護区に認定された満天の星。南国のビーチリゾートとして人気の高い竹富島。でもここの魅力は自然だけではありません。赤瓦の屋根の民家の間を水牛がゆったりと歩く集落も魅力のひとつ。古きよき時代の沖縄の原風景に出会える、竹富島の見どころを紹介します。
竹富島は外周わずか9.2kmほどの小さな島。島の中の3つの集落(西集落、東集落、仲筋集落)は重要伝統的建造物群保存地区で、珊瑚の石垣に囲まれた赤瓦屋根の家を白砂の道がつなぐ沖縄の伝統的な街並みが残っています。
特にお土産屋さんやごはん処が集まっているのは西集落と東集落。集落をぶらぶらと散策していると、伝統的な住居をリノベーションしたオシャレなカフェやお土産屋さんを見つけることができます。
竹富島までは、東京・羽田空港から石垣島の「南ぬ島(パイヌシマ)石垣空港」まで直行便で約3時間、大阪・関西国際空港からは直行便で約2時間半。
空港からバスやタクシーで「ユーグレナ石垣港離島ターミナル」まで約30分。石垣港からは高速船で約10分で竹富島に到着します。高速船は7:30~17:30の間、30分~1時間おきに出航(季節によって異なる)。竹富島発の高速船は17:50が最終便です。片道の料金は大人(中学生以上)700円、小人(小学生)360円。
竹富島に到着すると、海を背に港のターミナルを出て左側の駐車場に、レンタサイクル店や水牛車観光の送迎バスが待っています。どちらも、事前予約でも当日申し込みでもOK。集落までは歩くと15分ほどかかるので、効率的に観光したいなら、レンタサイクルや各社の送迎バスを利用するのがおすすめです。
急げば半日で観光ができる竹富島は、日帰りの観光客が多いのですが、見逃せない観光スポットをゆっくり見て回るなら、宿泊するのがおすすめです。人の少ない早朝、美しい海と白い砂浜が広がる「コンドイ浜」や星の砂の「カイジ浜」、「西桟橋」から見る夕日や無数の星が輝く夜空は、宿泊しないと見られない情景です。
伝統的な集落を水牛車でゆったり巡る
ゆったりとした島時間の雰囲気を味わうなら、まず水牛車に乗って集落を巡りましょう。人が歩くよりのんびりしたスピードで、のどかな集落を1周30分ほどで回ります。
幼児が乗ると寝てしまうという心地よいゆれに身を任せながら、ガイドさんが方言で語る竹富島の歴史や三線の音に耳を傾けていると、島の空気に癒されて、ほっこりした気分になります。
現地でも予約できますが、夏休みなどの繁忙期は事前の予約がおすすめ。事前に予約をしておけば、港から出ている送迎バスに乗って集落まで来ることができます。
新田観光(水牛車観光)
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町竹富97
- 運行時間
- 9:00~15:30(定期船に合わせて概ね1時間おきに運行)
- 料金
- 大人(中学生以上)1,500円 小人(小学生以上)750円
- TEL
- 0980-85-2103
レンタサイクルで竹富島をサイクリング
竹富島は小さな島とはいえ、歩いて回るのは少し大変。自転車を借りて、風を切ってサイクリングを楽しみましょう。外周道路を自転車で回っても30分ほどで一周できます。
レンタサイクルは宿泊施設に用意されているほか、島内に4社のレンタサイクル店があります。料金は1時間400円~、1日2,000円。電動自転車などは異なるので注意。事前予約でも当日申し込みでもOKですが、繁忙期は事前に予約しておくのが安心です。
集落内の白砂の道は、雨が降ると水たまりやぬかるみができ、自転車では走りにくい場所も。雨が降った後は気をつけて運転しましょう。
竹富島を代表する遠浅の美しいビーチ
コンドイ浜
島の南西部にあり、透明度の高い青い海と白い砂浜の美しさで知られる遠浅のビーチが「コンドイ浜」。波がほとんど立たず、流れがゆるやかなために、子ども連れでも安心して海水浴ができる人気のビーチです。
シャワー、更衣室、トイレも完備しています。
海水浴もいいけれど、木陰で1日海を眺めたり、ごろりと寝転ぶ猫を眺めたりするだけでも癒されます。日帰り客の多い日中よりも、人が少ない午前中のほうが海を独り占めするような気持ちで、ゆったりした時間を過ごせます。
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町竹富
- アクセス
- 竹富港から自転車で約10分
星の砂を探してみよう
カイジ浜
コンドイ浜より少し南にある「カイジ浜」は、別名「星砂の浜」と呼ばれるスポット。砂を手にとってよく探してみると、小さな星の形をした粒を見つけることができます。これが星の砂。
子どもの頃に憧れた星の砂を探してみてはいかがでしょうか。なお、星の砂を見つけても持ち帰ることはできません。
浜には星の砂の入った小瓶などの販売所もあります。旅の思い出に星の砂を持ち帰りたい場合は、こちらで購入を。また、カイジ浜は遊泳は禁止ですが、きれいな夕日を堪能できます。
集落を自転車で走っていると、野菜直売所ならぬ星の砂直売所を発見。珊瑚や貝、星の砂をお土産にしてもきっと喜ばれるはず。
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字竹富
- アクセス
- 竹富港から自転車で約15分
西集落から海に向かって5分ほど自転車で西へ走ると、登録有形文化財に指定されている西桟橋があります。ここは、夕日のスポットとして有名な場所で、海一面に広がるオレンジ色の空と海に沈む太陽を見ることができます。
一番日の長い6月は19:30前後、一番日の短い12月は18:00前後に太陽が沈みます。そのため、日帰りでは夕日が見られない可能性が高いので、夕日を見るなら宿泊するのがおすすめです。
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字竹富
- アクセス
- 竹富港から自転車で約7分
竹富島の伝統を知ろう
竹富島ゆがふ館
竹富島の伝統文化や芸能をもっと深く知りたい!と思ったら、フェリー乗り場から歩いて5分ほどのところにある「竹富島ゆがふ館」へ。ここは竹富島の人々が守り続ける自然や伝統文化、芸能を紹介するビジターセンター。
島外からのリピーターも多いという、年に一度の大きなお祭り「種子取(タナドゥイ)祭」などについても知ることができます。
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字竹富2350
- 営業時間
- 8:00~17:00
- 休館日
- 台風時
- 入館料
- 無料
- TEL
- 0980-85-2488
塔が立つ高台から集落の全貌を眺める
なごみの塔
西集落のほぼ中央にある見晴台が「なごみの塔」。壇ノ浦の海戦に敗れ、竹富島に漂着した平家の落ち武者・赤山王が建てた要塞の跡地に、西集落の住民によって、地域の集会や子どもの遊び場として建てられました。現在は老朽化のため、塔に上ることは禁止されています。
でも、塔自体が高台に建てられているため、その高台から集落を見下ろせば、赤瓦の屋根の家々が並ぶ風景を見渡すことができます。
赤瓦屋根は雨風にさらされることで徐々に黒くなります。なので、屋根の色を見れば新旧が一目瞭然。白っぽい屋根はまだ建てられたばかりの家なのだそうです。
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字竹富
- アクセス
- 竹富港から自転車で約6分
2018年に竹富島を含む西表(いりおもて)石垣国立公園が星空保護区に認定されました。竹富島で満天の星が輝く夜空を見られるのは、宿泊した人だけの特権です。
都会とは異なる暗く澄んだ夜空を見上げれば、驚くほどたくさんの星が! 夜空に目が慣れてくると小さな星まで見えてきて、まるで宇宙に漂う気分が味わえます。もちろん流れ星を見つけるのも簡単! 願いごとをいくつもお願いできます。
せっかく竹富島に来たなら、名物の八重山そばやラフテー丼を。食事だけでなく、散策途中の休憩にぴったりのカフェもあります。島人にも人気のごはん処やカフェで竹冨島グルメを楽しみましょう。
島胡椒をかけて八重山そばを
そば処 竹乃子
竹富島の名物・八重山そばやソーキそばを食べるなら、西集落にある「そば処 竹乃子(たけのこ)」。だしのきいたやさしい味が、暑さで少し疲れた体をほっこり癒してくれます。ピリッと辛くて香りがいい、竹富島の島胡椒「ぴーやし」をかけて食べるのがおいしい!
ジューシーなソーキ(豚のスペアリブ)と素朴な味のだし汁がベストマッチなソーキそば(900円)。そばと合わせて食べたいスパムおにぎり「おっぽー」(250円)は、ボリュームたっぷりの厚切りスパムが豪快!
八重山そば(700円)は、細かくした豚の三枚肉がトッピング。さっぱりとしただしの味があとをひきます。
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字竹富101ー1
- 営業時間
- 10:30~16:00(夜は不定期営業)
- 定休日
- 不定休
- TEL
- 0980-85-2251
ボリューム満点のごはんや定食を食べよう
ガーデンあさひ
ガッツリごはんや定食を食べたい人は、西集落にある「ガーデンあさひ」へ。八重山そば(600円)や軟骨ソーキそば(750円)から、ラフテー丼(900円)、沖縄のアグー豚が入ったカレー(1,050円)、定食類などが食べられます。
ラフテー丼セット(1,150円)のラフテー丼は甘辛く煮た皮付き三枚豚とごぼうがごはんの上にたっぷり。ミニサイズのソーキそばも付いて、ボリューム満点です。
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町竹富163ー1
- 営業時間
- 11:00~15:00、18:00~21:00
- 定休日
- 不定休
- TEL
- 0980-85-2388
琉球民家カフェでまったり休憩タイム
カフェ&バー ちろりん村
仲筋集落にある琉球民家をリノベーションした「カフェ&バー ちろりん村」。南国産のフルーツを使ったスムージーやカクテル、軽食が人気です。日中はカフェ、夜は大人のバータイムを楽しんで。木のぬくもりを感じられる落ち着いた空間は、時間を忘れてまったりしてしまいそう。
自転車をこいでほてった体にアイスドリンクを。生パインスムージー(800円)はとれたてのパイナップルのままのように甘くてフレッシュ。朝挽きアイスコーヒー(500円)は、香りがよくてすっきりとした飲み口です。
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町竹富653
- 営業時間
- 10:00~24:00
- 定休日
- 不定休
- TEL
- 0980-85-2007
コテージやテイクアウトで冷たいスイーツを
ぱーらー願寿屋
東集落の端にあり、アイスクリーム、パフェ、かき氷など、冷たいスイーツが充実している「ぱーらー願寿(がんじゅ)屋」。島の風や音を感じながらコテージで冷たいスイーツを食べるのもよし、テイクアウトして、食べながらお散歩するのもよし。
沖縄といえばコレ! 「ブルーシール」のアイスクリーム(シングル400円、ダブル600円)や、酸っぱさがクセになるシークヮーサージュース(500円)もおすすめです。
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字竹富2279ー1
- 営業時間
- 11:00~17:00(L.O.16:30)
- 定休日
- 不定休
- TEL
- 0980-85-2211
竹富島のお土産なら、ぜひ島の伝統をモチーフにした工芸品やアートを! 家に帰ってそのお土産を手にするたびに、楽しかった竹富島の旅の思い出に浸れます。
沖縄伝統の焼き物・やちむんならココ
アトリエ五香屋
「アトリエ五香屋(ごこうや)」竹富島の生活になじみ、古くから愛されている素朴な焼き物・やちむんの工房です。ここで作られたコーヒーカップやお皿は「星のや 竹富島」でも使用されています。また、前日までの予約で「陶シーサー作り体験」(4,000円・送料別)を行っています。
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字竹富1478ー1
- 営業時間
- 10:00~17:00(ランチタイムはclose)
- 定休日
- 不定休
- TEL
- 0980-85-2833
竹富島の思い出を染めたTシャツやトートバッグを
手作り工房 KUMA
なごみの塔近くにある竹富島の伝統的な家屋が「手作り工房 KUMA」のギャラリー。
水牛やとかげ、花などをモチーフにした手染めのトートバッグやTシャツは竹富島のお土産にぴったり。貝殻と珊瑚を使ったジェルキャンドル作り体験(1,600~2,000円)やTシャツ、トートバッグなどの型染め体験(2,000~2,800円)なども行っています。
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字竹富353
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 日曜日(その他不定休あり)
- 電話番号
- 0980-85-2377
島の特産品や手作りの民芸品をお土産に
てぇどぅん かりゆし館
フェリー乗り場の船客待合所の一角にあるのが「てぇどぅん かりゆし館」。「てぇどぅん」とは竹富島のこと。竹富島でとれる植物を使ったかごバッグ、地元の作家が作ったアクセサリーなど、ここでしか手に入らないグッズばかり。
竹富島名産のぴーやしなど、島特産の食品も扱っています。
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町竹富 竹富東港船客待合所
- 営業時間
- 7:30~18:00
- 定休日
- 年中無休(台風時、船欠航時、種子取祭期間中は除く)
冬の沖縄、竹富島旅行ってどうなの?とお思いの方も多いのでは? 事実、冬は旅行者が少ないものの、裏を返せば、航空券やホテル・宿も空いていて、夏に比べるとお得。観光地やお店も人が少なく、ゆっくりと旅行でき、狙い目といえます。そのほかの冬の竹富島旅行のメリット、おすすめポイントを紹介します。
冬でも温暖! ビーチやテラスでゆっくり過ごせる
石垣島周辺は、1年で一番寒い1月でも最高気温は平均20℃以上あり、最低気温も平均15℃以上と、1年を通して温暖な気候が魅力。夏は日差しが強く、外でゆっくり過ごすには厳しいものがありますが、冬なら日差しがやわらかく、美しい白砂のビーチやカフェのテラスなど、島の風を感じながら屋外でのんびり過ごすのに最適です。
台風の心配がない
沖縄気象台のデータでは、2006~2020年の15年間、12~3月の石垣島周辺への台風接近数はゼロ!(1951~2020年の50年間でみても、2004年12月に1つ接近しただけ!)冬は台風の心配をせずに旅行を楽しめます。
ブーゲンビリアのベストシーズン!
ブーゲンビリアは夏でも見られますが、強い日差しや台風の影響で枯れてしまうことがあり、冬のほうがおすすめ。集落内には満開のところもあり、ピンクの花の壁をバックにSNS映えする写真を撮る絶好のチャンスです。
南十字星が見られる!
北半球ではなかなか見られない南十字星も、竹富島を含む、八重山諸島では見ることができます。十字形に並ぶ4つの星をすべて見られるのは12~6月頃。冬は明け方近く、南の空の地平線(水平線)付近に現れます。
絶品の車エビが食べられる!
竹富島では車エビの養殖が盛ん。海水温が下がる冬の車エビは、身がしまって甘みが増します。その竹富島産車エビは、島内の食事処や宿などで味わえます。
西集落にある食事処「たるりや」のエビフライは、身が大きくぷりっとしていて、衣はサクサク! 頭もまるごと食べられるほどやわらかくて甘みがあり絶品です! 店内はテラス席のみで、ガジュマルの木の下で風を感じながら食事を楽しめます。
グリルガーデン たるりや
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字竹富384
- 営業時間
- 11:00~16:00、19:00~24:00
- 定休日
- 雨天時
- TEL
- 0980-85-2925
また、島内にあるホテル「星のや竹富島」では、漁獲量が少ないため市場にほぼ出回らず、しかも冬しか出合えない、“幻の食材”といわれる「セミエビ」を食べることができます。竹富島に行ったらこの貴重なエビもぜひ味わっておきましょう!
▼詳細記事
冬の竹富島旅行の服装
前述のとおり、冬でも平均最高気温は20℃以上と温暖な竹富島。晴れて気温が上がると、半袖で過ごせる日もありますが、冬は天気が変わりやすく、北風が強いことも。太陽が出ていないときや風が強いときは肌寒く感じます。
長袖のTシャツなどに、ウィンドブレーカーやパーカー、カーディガンなどちょっと厚めの羽織るものを持っていくのがおすすめです。
小さな島にたくさんの見どころが詰まっている竹富島。日帰りで済ましてしまうのはもったいない、たくさんの魅力にあふれています。ぜひ、宿泊をして海や夕日、星空など、ここでしか味わえない自然の姿はもちろん、沖縄の昔ながらの風景を感じながら、ゆっくりと散歩やサイクリングで島を楽しみたいですね。
取材・文/山本美和
[冬の観光情報]撮影/福羅広幸、取材・文/楽天トラベルガイド編集部