全室温泉付きで薬膳料理も。大切な人と「SOKI ATAMI」で過ごす、養生のひととき

SOKI ATAMI(そき あたみ)

温泉街の喧騒から離れた奥座敷に、無為自然に過ごすことを謳う温泉宿があります。名前は「SOKI ATAMI(そき あたみ)」。素の器を意味するこちらでは、和漢を使用したドリンクや地元の食材に薬膳を掛け合わせた食事をいただけるほか、最上階のテラスからは熱海湾と市街地を一望。全室が温泉付きで、おこもり旅行にもぴったり。自分をいたわり、大切な人との時間を慈しめる場所です。

 

 

温泉街を抜けて目指すは山手

東京と名古屋の間に位置する熱海は、新幹線だと東京駅から約40分、名古屋駅から約2時間。温暖な気候に恵まれた温泉地で、古くより多くの文人墨客が訪れ、日本の中でもいち早く見頃を迎える梅や遅い時期まで楽しめる紅葉を眺めたといわれます。

 

熱海駅から車・バスで坂を上ること約15分。閑静な住宅地の側に佇む「SOKI ATAMI」が見えてきます。25台分の駐車場を備え、最寄りのバス停からは徒歩約5分。鈍色の建物の背景に里山の景色が広がり、一瞬ここが熱海だということを忘れてしまいそうです。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

柔らかな笑顔が印象的なスタッフに出迎えられて、これからの滞在に期待も弾みます。

 

非日常の空間へと誘うレセプション棟

SOKI ATAMI(そき あたみ)

シックな装飾と間接照明の灯りに照らされたレセプションは、お部屋に移動する前にほっと一息つける格好の場。カウンターで立ちながらではなく、椅子に座ってチェックインできるのも、さりげない心配りです。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

木、石、和紙といった自然由来の素材を多用している「SOKI ATAMI」では、ルームキーも手になじみやすい木製。エレベーターに乗る際もこのカードをかざします。

 

わびさびが詰まった装飾

SOKI ATAMI(そき あたみ)

天然のものに対するこだわりは館内随所に展示されているアート作品にも。東京の浅草橋にある古道具店「白日(はくじつ)」が担当し、そのどれもが素朴で、歳月による変化を享受しているよう。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

「装飾に関しては、華美なデザインは施していません。ありのままの姿の美しさや経年変化の様子もお客さまに楽しんでいただきたいと思っています」と、スタッフの熊野さん。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)

その言葉が示すように、「SOKI ATAMI」の顔とも言えるのが本小松石(ほんこまついし)の美しさ。日本の三大銘石のひとつで、熱海に近い真鶴町でのみ採掘される石は、時とともに深い錆色へ変化するのが特徴。エントランスや中庭に置かれ、その存在感が光ります。まさに経年変化の醍醐味が詰まった素材。

 

「SOKI ATAMI」はデザインの独創性や革新性、機能性、品質、環境への配慮などが総合的に評価され、世界3大デザイン賞といわれる「iF Design Award」を2022年に受賞しています。

 

茶寮で和漢茶、養生茶でほっこり

SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)

最上階にある「茶寮」は、一度ならず時間を変えて何度も訪れたくなる、とっておきの場所。テラスからは空と熱海湾が一望でき、花火大会の日には、打ち上げ花火もみることができます。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

茶寮で15時から18時までにいただけるドリンクは、鎌倉の漢方家が監修した養生茶や静岡県産のお茶を使った和漢茶など身体に良いものが中心。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)

「和漢茶」(1,320円)は玄米茶、煎茶、和紅茶からお茶をひとつ選び、そこに自分の症状に合った和漢を組み合わせます。例えばリラックスを選ぶと、ナツメや青皮(みかんの果皮)など。1杯目はお茶本来の味を、次からは和漢を入れて和漢茶を味わうといった楽しみ方ができます。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

「季節の養生茶 秋のコース」(3,300円)は、まさにお茶のフルコース。お茶3煎に、和漢3種、さらにお茶請けが3品。和漢を複数組み合わせて、自分好みにブレンドすることも可能。お茶請けは、地元の和菓子屋「熱海 本家ときわぎ」の羊羹、10種類ものハーブがブレンドされたオリジナル薬膳チョコレートと味わいのあるものばかり。

 

熱海を一望できる「テラスバスプレミアムツイン」

SOKI ATAMI(そき あたみ)

全54室のお部屋は、海側と山側、ヒバの内風呂や陶器の露天風呂など形式様々で、10タイプから選べます。どのお部屋も温泉を堪能できるうえに好きな湯加減に調節できるのが魅力。「テラスバスプレミアムツイン」では、テラスから熱海湾が見渡せ、すぐ隣には露天風呂を配しています。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)

「テラスバスプレミアムツイン」はベッド2台がゆうゆうと並ぶ50平米。部屋の奥に進むと足裏の感触が気持ちいい畳が広がり、ソファやイス、テレビが置かれた空間は団らんにぴったり。壁は藁スサ入りの和紙が使われ、ふんわりとした空気を醸し出しています。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

くつろぎのひとときはアメニティのお茶と一緒に。県内でも有数の茶の名産地にある「カネカ北川製茶」は、大正時代から続く老舗の茶問屋。お茶菓子の「來宮(きのみや)天狗こがし丸」は、地元のパン屋「久遠(くおん)」が、熱海の「來宮神社」に奉納する麦こがしを使用して焼き上げたクッキーです。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)

一部の部屋タイプは洗面所がダブルボウルだったり、シャワールームからそのまま露天風呂へ行けたりと水回りの使い勝手も抜群。自然派コスメ「OSAJI」の洗顔料やクレンジング、化粧水に保湿ゲルも勢揃いし、お肌も整いそう。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)

館内着の作務衣は肌触り良く、食事処にも着用したまま入れます。またお部屋を出る際は玄関にもご注目を。通常ドアノブに掛けることが多い清掃サインを遊び心のある小道具で用意、清掃希望の場合は職人手作りの「中津ほうき」、不要の場合は日本庭園などに置かれる「関守石(せきもりいし)」を置いて伝えます。

 

 

唯一無二の空間「SOKIスイート」

SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)

各客室は、蔦屋書店、アーティゾン美術館の設計などで知られる「TONERICO:INC.」(トネリコ)がインテリアデザインを担当。1室限定のスイートルーム「SOKIスイート」のみ、SOKI ATAMIの企画と運営を手がけるUDSがデザインした客室になっています。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

納得するまで何度も塗り直したという両側の漆喰壁は、しっとりした質感を帯び、お部屋に品格を添えています。そして異彩を放っているのが本小松石のテーブル。重厚感が感じられるほか、中央に置くことで漆喰壁や木材の床といった自然素材が引き立ち、まるで自然に抱かれているよう。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)

「SOKIスイート」は広さ66平米。2名利用には十分な広さで、その贅沢な空間は浴室にも。露天風呂と内風呂があり、シャワールームや2つのシンクも完備。熱海湾からの爽やかな風が吹き抜けます。檜の浴槽には移動式トレーも備わっていて、湯船に浸かりながらドリンクを楽しんだり、読書タイムを過ごしたりと、どう過ごそうか思案を巡らせてしまいそうです。

 

 

特別な日がさらに華やぐお祝いプラン

SOKI ATAMI(そき あたみ)

記念日や誕生日で宿泊する方も多い「SOKI ATAMI」では、特典付きのお祝いプランが人気。まずお部屋に入るとメッセージカードとタオルアートが歓迎してくれます

※花束はお部屋置きではなく、ご夕食のデザートの際にスタッフからお渡しします。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)
写真左から「旬のバラの花束」「SOKIオリジナル花束」「フレッシュスワッグの花束」

お祝いプランでは、花束もしくは、ホールケーキ(直径9cm)のどちらかを選択できます。花束は、旬のバラを集めた花束、ハーブを加えたSOKIオリジナル花束、ドライフラワーにもなるフレッシュスワッグの3種類から選べます。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

「大切な人と特別な日を過ごそうとお泊りなる方もいて、プロポーズをされた方や深夜0時に花束を頼まれた方もいました。サプライズをお手伝いする時はこちらまでドキドキしてしまいます」とスタッフの澤端さんがうれしそうに話します。

 

 

ゆったりと落ち着ける大浴場

SOKI ATAMI(そき あたみ)

お部屋に温泉があると知りつつも、大浴場も覗いてみたいもの。木漏れ日が差し込み、開放感たっぷりな露天風呂は、時期によって季節湯や薬草湯になることも。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

伝統的な湯治のあり方を感じていただこうと女湯には蒸気浴から着想を得た、スチームサウナを完備。安眠効果が期待できるラベンダーなど、季節毎に異なるアロマの香りが漂いリラックスしたひとときを過ごせます。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)

脱衣所にはお部屋と同じ、「OSAJI」のスキンケアセットに加え、シャワーキャップ、綿棒、髪ゴム、ヘアブラシ、ドライヤーなどアメニティが充実。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

そして、お風呂上りにうれしいのが無料のミネラルウォーターとコーヒー牛乳。火照った身体を潤す、至極のドリンクです。

 

夕暮れ時に訪れたいカクテルタイム

SOKI ATAMI(そき あたみ)

お部屋でひと休みした後は、再び茶寮へ。明るかった空間が一転、空が夕焼けに染まり、穏やかな時間が流れます。静岡県産の煎茶や和漢をブレンドしたカクテルをゆっくり味わいながら夕暮れタイムを満喫しましょう。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)

オレンジとハーブのリキュールにホワイトサングリアを加えた「ASAYAKE-朝焼け-」(1,320円)は鮮やかな色にすっきりとした味わい。ジントニックに煎茶が合わさった「煎茶ジントニック」(1,210円)は飲みやすく、まろやかな風味です。カクテルのほか、クラフトビールやワイン、ソフトドリンクもあります。

 

海の恵みと山の幸を五感で味わう夕食

SOKI ATAMI(そき あたみ)

地産地消と旬の食材、そして薬膳の要素を取り入れたお食事は「SOKI ATAMI」の神髄とも言えます。オープンキッチンでは料理人が新鮮な食材を調理し、活気が溢れていました。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

7品から成るコース料理の前菜「SOKI盛り合わせ」は、駿河湾産の生しらす、伊豆鹿のロースト、本鮪の中トロ、里庭燻製カマンベールチーズなど一口サイズで多彩な味わいを楽しめる一品。さらに柚子胡椒、カラスミジオ、酒粕ソースなどの調味料も添えられ、組み合わせは幾万通りにも。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

漢方薬局監修の薬膳鍋「駿河しゃもと鱧(はも)の青さ海苔鍋」は、ナツメや山椒、八角など9種の生薬をベースに食べやすいようアレンジを加えたもの。透き通ったスープを一口飲めば奥深い滋味の味が五臓六腑に沁みわたります。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

「静岡うなぎのから揚げ 薬膳七味」は、味だけでなく見た目も楽しめるメニュー。特製タレで漬け込み、カラッと揚げたうなぎは口あたりがふわっと軽く、見た目との違いに驚くはず。食が進む人気料理です。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

「静岡県産の食材を多く取り入れつつ本来の味や旨みを生かそうと、あえてやりすぎない調理を心がけています」と話す、料理長の田中裕太さん。「SOKI ATAMI が持つ心地よい雰囲気を食事処でも感じてほしいです」と微笑みます。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)

やりすぎない料理の言葉通り、「本日の原始焼き 大根染めおろし」は、じっくりと炭火で炙るという究極のシンプルさ。遠赤外線効果で無駄な水分が飛び、ふっくらと仕上がりますが、微妙な火加減ですぐに味が落ちるため、炭火に近づけたり遠ざけたりと繊細な調整が求められるのです。

 

 

早朝のみ訪れる絶景の瞬間

SOKI ATAMI(そき あたみ)

朝早く、熱海の一日は海から始まります。眠い目をこすりつつ茶寮へ訪れてみたら、早起きのご褒美がもらえるかもしれません。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

紺碧の空が徐々に白み、それに応じて街の灯がぽつり、ぽつりと消えていく。夜の終わりと朝の始まりのちょうど間、賑やかな熱海の街が目覚めようとしています。

 

五味調和にのっとった朝食

SOKI ATAMI(そき あたみ)

今日という一日を最高の状態で過ごせるように。「SOKI ATAMI」の朝食を味わっていると、料理人の想いまでいただいているようです。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

身体を整えられるよう準備されたお膳は、五行説に基づく酸・苦・甘・辛・鹹(しおからい)の五味をバランスよく取り入れたもの。例えば干物魚と大根おろし添えは辛味、豚の角煮は甘味、静岡で採れた青菜のお浸しは苦味を表しています。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

ビュッフェカウンターには、うの花、手作り豆腐、フルーツなどの小鉢が日替わりで並んでいて、お膳に組み合わせて自分好みの組み合わせが楽しめます。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

ビュッフェでは、食欲を刺激する薬膳カレーもおすすめの一品。口に入れた途端に芳しい薬膳の香りが鼻に抜けていきます。

 

 

最後までゆっくりと養生を

SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)

「SOKI ATAMI」のチェックアウトは11時。朝食後もゆったりと過ごせます。食事処から眺めていた里庭のベンチで休憩したり、伊豆半島で栽培が盛んな柑橘類や和漢植物の樹木を近くで観察したり、季節を感じながらリラックス。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)

茶寮では、香り高いひのきチップにミントやローズマリーなどの蒸留水を吹き付けて、オリジナルのサシェ(匂い袋)をつくることができます(無料)。衣類と一緒に保管したり、枕元に置いたり。自宅で香るたびに楽しかった旅の思い出がよみがえるアイテムです。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)
SOKI ATAMI(そき あたみ)

レセプションでは、お茶菓子に登場した「來宮天狗こがし丸」や夜の茶寮を灯していた木工ランプなどを購入することができます。ガラスに銀箔を施した器や釉薬にみかん灰釉を塗った器など、この地域に根付いた工芸品も並んでいるので、ぜひ見てみてください。

 

本来の自分を取り戻せる場所

SOKI ATAMI(そき あたみ)

訪れた人々がありのままの自分と向き合い、無為自然に過ごせる旅を目指す「SOKI ATAMI」。お客さまと接するうえで「距離感」を大切にしていると言います。

 

「館内のアート作品に興味をお持ちの方にはご案内をしたり、一方でのんびりリラックスされたい方には必要以上に話さないようにしたり、心地よさは人によって様々ですので、皆様が快適に過ごしていただけるよう努めていきたいです」とスタッフの澤端さんと熊野さん。

 

SOKI ATAMI

飾らずにそのままが良い。宿を去るころには昨日よりも素直になった自分と出会えそうです。

 

SOKI ATAMI(そき あたみ)

住所
静岡県熱海市小嵐町4-36
アクセス
JR熱海駅より車・タクシーで約15分
チェックイン
15:00 (最終チェックイン 24:00)
チェックアウト
11:00
総部屋数
54室
駐車場
25台(無料・事前予約制)

 

 

取材・写真・文/浅井みら野

 

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