まるでギャラリーに泊まっているよう!桑名の一棟貸し宿「MARUYO HOTEL」

MARUYO HOTEL

東海道五十三次42番目の宿場町でもあり、「七里の渡跡(しちりのわたしあと)」でも知られる三重県桑名市に、2020年オープンした1日1組限定一棟貸しの「MARUYO HOTEL」。築70年を超える木造建築をリノベーションし、大広間、客室、備品など細部に至るまで美しさを追求。選び抜かれた現代アートと古美術が融合するラグジュアリーな空間で過ごす、優雅な1泊2日の旅をお届けします。

 

 

往時の風情が今も残る東海道の桑名宿へ

MARUYO HOTEL

「MARUYO HOTEL」の最寄り駅はJR関西本線、近鉄名古屋本線、養老鉄道の3線が乗り入れる桑名駅。駅の東口を出てホテルのある海寄りの旧市街地までは徒歩約15分。時間に余裕がある方は、歴史ある桑名の街並みを眺めながらホテルまで向かうのもおすすめです。

 

MARUYO HOTEL

駅から「MARUYO HOTEL」のある旧市街地方面へまっすぐにのびる八間通(はちけんどおり)を歩くと、寺町通りの入口が見えてきます。ここは古くから地元で親しまれる、200mほどのアーケードが続く商店街。毎月3と8の付く日には「三八市(さんぱちいち)」という朝市が開催されています。

 

MARUYO HOTEL
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八間通を歩いていると、桑名をイメージしたさまざまなデザインのマンホールを発見。桑名市は江戸時代に鉄砲の製造を始めたことから、明治、大正を通じて「鋳物(いもの)の町」として発展した場所で、その象徴としてこのようなマンホールが作られているのだとか。

 

MARUYO HOTEL

桑名の街並みを見ながらしばらく歩くと「MARUYO HOTEL」に到着。明治に創業した丸与木材の、築70年を超える本家をリノベ―トした建物は、厳かな佇まいで旅人を迎え入れてくれます。

 

MARUYO HOTEL
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ホテルが立地するのは、かつての東海道・宮宿(名古屋市熱田区)と桑名宿を結ぶ海路「七里の渡し」のあった桑名市船馬町。伊勢参りの玄関口だったことから、「七里の渡跡」には伊勢の神宮に向かう最初の鳥居「一の鳥居」もあり、ホテルはこの場所から約200mという近距離です。

 

MARUYO HOTEL

到着して門を入ると迎えてくれるのは、ホテルを取り仕切る水谷恵さん。案内され暖簾をくぐると、建物の持つ凛とした空気感で異空間へといざなわれます。

 

美意識に包まれたラグジュアリーな空間

MARUYO HOTEL

「MARUYO HOTEL」は2階建てで、1階にはラウンジ、露天風呂、ツインの個室が2部屋。2階にはダイニングでもある大広間とライブラリーがあります。まず案内されたのは、1階のラウンジ。1日1組限定の一棟貸しで、チェックアウト後は基本的にスタッフもいなくなるため、最初にホテルの設備や過ごし方などについて案内していただきます。

 

MARUYO HOTEL
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ホテルの歴史や調度品の案内、周辺のおすすめ観光スポットなどのお話を聞きながらいただくのは、三重県産の茶葉を茶師が特別ブレンドしたケバ茶。三重県四日市市の伝統的な焼き物・萬古焼(ばんこやき)の美術館「BANKO archive design museum」を運営する陶芸家・内田鋼一氏作の器に入れて提供されます。お茶請けの桑名銘菓・安永餅(やすながもち)との相性も抜群です。

そばに置かれた消毒剤は、三重県出身の調香師・沙里氏がヒノキの香りをイメージしてブレンドしたもの。すべてが選び抜かれた三重の特産品です。

 

MARUYO HOTEL

「当ホテルには数多くのアート作品があるので、ゆっくりご覧ください」と水谷さん。内装とアート作品のセレクトは、ホテルオーナー・佐藤武司氏のパートナーであり、名古屋で現代アートギャラリーを営む正木なお氏によるもの。作家作品も多いのですが、例えばラウンジの壁に掛けられているのは、古い蔵の扉を絵画に見立てたもの。古道具をアート作品に昇華させる技も見事です。

 

MARUYO HOTEL
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館内に飾られている花は、オーナーのお母様でフラワーディレクターの佐藤志津さんが定期的に生けられているそう。花があることで、ホテルの洗練された佇まいがより際立ちます。

 

MARUYO HOTEL
MARUYO HOTEL

「MARUYO HOTELは今と昔、外と内をつなぐ場所なんです」と水谷さんが話すように、築70余年の歳月を経た建物の中に現代アートと工芸品、古美術が絶妙なバランスで融合しています。

 

新旧のアートが配され、贅沢で居心地のいい個室

MARUYO HOTEL

ラウンジを後にして、ベッドルームである個室へ。個室の1つは表通りに面した洋室です。近隣にある明治時代の洋館「六華苑(ろっかえん)」をオマージュした部屋となっており、白壁とフランス製アンティークのガラス戸が、建物の風情とよくマッチしています。

 

MARUYO HOTEL
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大正時代の医療用照明器具と蔵窓を上手に利用したテーブル周りや、現代造形作家の照明が置かれたベッド周りなど、目に入るものすべてがアートです。

 

MARUYO HOTEL
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ベッドルームそれぞれに洗面台とシャワールームが設置されているのもうれしいポイント。オーバーヘッドシャワーも付いています。

 

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もう1つの個室は和の空間となっており、昭和時代のすりガラス越しに見える坪庭が癒しを与えてくれます。

 

MARUYO HOTEL

最大の特徴は、ヒノキの露天風呂が設置してあること。庭を眺めながらゆっくり体を休めることができます。

 

MARUYO HOTEL
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こちらの部屋にも作家・佐藤貢氏の美術工芸品や江戸時代の杉戸絵などが飾られており、美術館のごとく照明を作品に当てるなど、光の演出にもこだわりが感じられます。

 

ホテル周辺には桑名の歴史的名所が満載

MARUYO HOTEL
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ひと休みしたら、部屋に荷物を置いて周辺散策へ出かけました。まずはホテル至近の「住吉神社」へ。桑名はかつて水運業の拠点港として発展し、全国から多くの廻船業者が集まっていました。この人たちによって航海の安全を祈り、現大阪市の住吉神社から神仏の分霊を迎えて建立されました。

 

六華苑

続いて、「住吉神社」の道路を挟んで西側にある「六華苑」へ。山林王として知られた実業家・二代目諸戸清六(もろと せいろく)の新居として1913(大正2)年に竣工された建物で、鹿鳴館の設計で有名なイギリス人建築家、ジョサイア・コンドル設計による洋館と、池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)庭園を持つ和風建築からなる貴重な文化財です。

 

大広間とライブラリーでゆったりと過ごす午後

MARUYO HOTEL

宿に戻ったら、2階の大広間へ。階段を上がり切ると、目の前に絵画のような「住吉神社」と揖斐川(いびがわ)の眺めが飛び込んできます。

 

MARUYO HOTEL

大広間には現代美術家・堀尾貞治氏の作品が飾られています。当時の建築資材をそのまま生かした土壁との相乗効果で、より贅沢な空間が作り出されています。

 

MARUYO HOTEL

大広間の隣にあるのはライブラリー。ソファも設置されており、本などを読みながらゆったりとした時間を過ごすことができます。

 

MARUYO HOTEL
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陶芸家・内田鋼一氏の瓶子(へいじ・へいし)をはじめ、ライブラリーにも美術作品が展示されています。今では希少な昭和時代のすりガラスから差し込むやさしい光とともに、リラックスできる雰囲気が流れています。

 

MARUYO HOTEL
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ドリンクやスナックが置かれたバーカウンターも。1872(明治5)年に創業した「桑名・たがねや」のせんべいなどをつまみに、伊勢角屋麦酒のクラフトビールなどが無料で飲めるようになっています。

 

MARUYO HOTEL

日が落ちたら、和室の露天風呂に入るのがおすすめ。昼の景色とは違った雰囲気の中で気持ちの良いバスタイムを堪能できます。

館内には時計やテレビが設置されていないのも特徴で、昼と夜で顔が変わる建物の中で時の流れを体ごと感じてもらいたいという想いが込められています。

 

竹素材リネンの寝心地の良さを実感

MARUYO HOTEL

この日は、ホテル近くのお店で夕食をすませて就寝。

「MARUYO HOTEL」のベッドリネンは竹を原料としたレーヨンを使用しています。静電気が起きにくい素材で、滅菌・消臭効果が高いそう。肌触りも滑らかで、上質な眠りへ導いてくれます。

 

MARUYO HOTEL
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ルームウェアも同じ素材を使ったこだわりの一着。これを着て眠りにつき、朝目覚めた時のすっきり具合は格別でした!

 

三重の食材を使った洋食スタイルの朝食

MARUYO HOTEL

翌日の朝食は2階の大広間でいただきます。2階に上がると、水谷さんが来館して朝食を用意してくださっていました。

 

MARUYO HOTEL

まずは目の前で搾ってくれるオレンジジュースで、頭をシャキッとさせます。

 

MARUYO HOTEL
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朝食はシンプルながらも選び抜かれた品ばかり。グラノーラは桑名産の米油と米粉が入ったホテルオリジナルで、それを豆乳ヨーグルト、桑名の舘養蜂場(たちようほうじょう)のモチノキから作られたはちみつと混ぜていただきます。やさしい甘さとサクサクの食感が、身体を目覚めさせてくれます。

 

気持ち良い朝の散歩の後にチェックアウト

MARUYO HOTEL

チェックアウトの前に、少し朝の散歩へ。宿から約200mの場所にある「七里の渡跡」まで向かいます。この辺りは揖斐川の河口付近のため川幅も広く、海風のような心地よい風を感じます。

 

MARUYO HOTEL

「七里の渡跡」から少し南へ進んだ場所にあるのが「九華(きゅうか)公園」。桑名城跡の本丸および二之丸跡を整備した公園で大きな堀が残されており、市民の憩いの場として親しまれています。

 

MARUYO HOTEL

日常を離れ、特別な世界へ連れていってくれるような滞在が楽しめた「MARUYO HOTEL」。名残惜しいですが、心も体も満たされてチェックアウトします。

 

MARUYO HOTEL

ホテルから桑名駅までは車で送迎してもらうことも可能。オプションで、名古屋駅や中部国際空港セントレアまでの送迎も行っています。

桑名という場所をよく知ることができるとともに、アートな空間で心穏やかに過ごせた1泊2日のステイでした。

 

MARUYO HOTEL

住所
三重県桑名市船馬町23
アクセス
JR・近鉄・養老鉄道「桑名」駅よりタクシーで約5分
客室数
1室
チェックイン
15:00
チェックアウト
11:00

 

撮影/島田香 取材・文/各務ゆか

 

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