キャンプ場や絶叫アトラクションが人気のアミューズメントパークなど、子ども連れで楽しめる施設が数多くある河口湖。他にも、ちょっと空いた時間にふらっと立ち寄れる、富士山の絶景やプチ冒険が楽しめる場所があるのです。子ども連れのご家族におすすめの河口湖〜西湖周辺の立ち寄りスポットをご紹介します。
『カチカチ山』の舞台で絶景を楽しむ「~河口湖~富士山パノラマロープウェイ」
「~河口湖~富士山パノラマロープウェイ」は、すそ野から広がる雄大な富士山と河口湖が一望できる絶景スポットです。展望台のある天上山は、太宰治の名作『カチカチ山』の舞台となった場所。物語にちなんで、この施設のいろいろなところに『カチカチ山』に出てくるウサギとタヌキのオブジェが置かれています。また、子どもと一緒に気軽にハイキングできるコースもあり、家族みんなで楽しめる場所になっています。
東京から河口湖までは中央自動車道で約1時間半から2時間※。富士吉田河口湖ICから車で約15分で、河口湖畔の東側にあるロープウェイ乗り場に到着します。駐車場は、河口湖畔の県営無料駐車場(約300台)を利用しましょう。
※行楽シーズンなどは、渋滞して時間がかかることもあります。
ロープウェイの乗車チケットは、河口湖畔駅入口の階段を上ったところで販売しています。大人往復900円(片道500円)、小人往復450円(片道250円)です。
世界遺産である富士山の絶景スポットなので、ロープウェイに乗るために行列ができることも。 行列を避けるために、土日祝日は日時指定乗車券サービスを利用すれば、待たずにアクセスできます。大人往復1,100円、小人往復550円を事前にスマートフォンで決済するサービスです。乗車日1カ月前の午前10時から、乗車当日の朝8時まで購入できますよ。
待ち時間が30分を超えることが予想される場合は、整理券が配布されてスマートフォンで順番をお知らせしてくれるサービスもあります。
チケット売り場からロープウェイ乗車口までの階段の壁には、『カチカチ山』の物語が順番に貼ってあります。順番待ちのとき、子どもに飽きさせない工夫です。子どもと物語を読みながら進んでいくと、さらに楽しめそう。
始発の河口湖畔駅から終点の富士見台駅までは、わずか3分ほど。標高1,075メートルにある展望台まで一気に上ることができます。
ゴンドラの屋根の上にも、ウサギとタヌキの籠屋さんのオブジェが乗っています。見落としがちなので、ぜひ忘れずにチェックして見てくださいね。
富士見台駅を降りて歩いていくと、右手に階段が見えてきます。この階段を上ると、展望台のある広場です。展望台からは、富士山の大パノラマと広大な裾野を一望できます。眼下に富士急ハイランドも見えますので、子どもと一緒に探してみましょう。
山頂売店「たぬき茶屋」の屋上からは、河口湖の全景も眺められますよ。
広場には子どもが喜びそうな、かわいらしいスポットもあります。「うさぎ神社」には、狛犬ではなく、なんと「狛うさぎ」が!観光客や登山者の安全や健脚を祈願してウサギの御神体をお祀りしています。
富士山と向かい合うように設置されている「天上の鐘」は、子どもたちにも人気のスポット。富士山のパワーを感じながら、無病息災を祈り子どもと一緒に鐘を鳴らしてみましょう。家族写真を撮るのにもピッタリな場所です。
「かわらけ投げ」は、めでたい時にだけ使われた土器の盃を、しめ縄の円の中に諸願成就を願い投げるもの。盃はたぬき茶屋の横に置いてあり、2枚1セット100円です。
盃を投げるのは、節分の豆まきのように「厄を払う」ことを意味しています。「円」は「縁」を意味しており、円の中をかわらけが通り抜けると「良き縁の中に飛び込んでいける」そうです。
しめ縄の円まで約3メートル。子どもが投げても十分届く距離ですので、お互いの願い事を話しながらチャレンジしてみては?
広場には、タヌキが背負った薪にウサギが火をつける場面のオブジェも。 オブジェを眺めながら、子どもに物語を読むように『カチカチ山』のお話をしてあげるのもおすすめです。
展望台にある「たぬき茶屋」では、炭火を使ってその場で焼き上げる串団子「たぬき団子」(400円)や「うさぎソフト」(400円)などの軽食を始め、『カチカチ山』や富士山に関するお土産物も販売されています。
茶屋の前には、やけどを負ったタヌキの背中に、からしをぬりこんでいるウサギのオブジェもありますよ。
ロープウェイのある天上山のハイキングコースは山梨の名峰三つ峠につながっており、天上山山頂にも行けます。三つ峠方面へと続く登山道のゲートをくぐり、途中の分かれ道で曲がって登っていくと、天上山山頂に約10分でたどり着きます。わずかな距離を歩くだけで山頂まで行けますので、子ども連れのご家族にもおすすめの手軽なハイキングコースです。
もっと体力があるお子さんであれば、天上山山頂からロープウェイを使わずに下山するコースに挑戦してみましょう。山頂から富士見台駅を通り、河口湖畔までは徒歩約40分。途中のナカバ平には太宰治の記念碑や天上山護国神社もあります。下りなので、楽しみながら歩けますよ。歩きやすい靴で行くと良いでしょう。
帰りのロープウェイを降りて河口湖畔駅の階段の下に行くと、泥舟に乗り沈んでいくタヌキと、木の舟に乗ったウサギのオブジェが。見事にウサギがおばあさんの敵討ちを果たした場面です。タヌキの泥舟が沈んだのが河口湖だといわれています。
子どもと『カチカチ山』の物語を楽しみながら、富士山の絶景やハイキングを楽しめるのが「~河口湖~富士山パノラマロープウェイ」の魅力です。
~河口湖~富士山パノラマロープウェイ
- 住所
- 山梨県南都留郡富士河口湖町浅川1163-1
- 営業時間
- 9:00〜17:00(下り最終17:20)※繁忙期は変更有
冬期(12/1〜2/28)9:30〜16:30(下り最終16:50)
- 定休日
- 無(点検・工事による不定期運休有)
- アクセス
- 富士急行線河口湖駅から徒歩または周遊バスで約15分
「富岳風穴(ふがくふうけつ)」で隠れハートを探そう!
子どもでも探検気分を味わえるスポットとしておすすめなのが富岳風穴です。風穴のどこかにハートの形に見える場所があるので、親子で探しながら進んでみましょう。
河口湖から車で国道139号線に出て、西に進んでいくと、左側に「富岳風穴」の無料駐車場(150台)と、「森の駅 風穴」が見えてきます。
国道139号線は「道の駅 なるさわ」付近を先頭にして、両方向ともに渋滞しやすい道路です。土日祝日や行楽シーズンなどの渋滞がひどい時は、河口湖畔沿いの県道710号線を通り、西湖から富岳風穴に抜けるルートがおすすめです。カーブが連続する道ではありますが、河口湖や西湖の景色を楽しみながら渋滞を避けられますよ。
駐車場から風穴までは、青木ヶ原樹海の中の自然歩道を歩いて行きます。安全で歩きやすい整備された道なのですが、樹海特有の自然や「ガス孔の跡」を見られます。
駐車場から徒歩約3分で、風穴のチケット売り場に到着。入洞料金は大人350円、小人(小学生)200円です。
「富岳風穴」はなだらかな横穴型の洞窟ですので、子どもでも歩きやすい洞窟。総延長201メートル、高さは8.7メートル。国の天然記念物にも指定されています。
今から1150年以上前の貞観6(864)年に、富士山の側火山である長尾山の噴火の際に流出した溶岩によって、この風穴は作られました。
高熱でドロドロの溶岩に含まれていたガス体や水蒸気が、外側の溶岩だけが冷めて固まり収縮したことにより、圧力差が生じて外に吹き出して大きな空洞ができたと考えられています。
風穴の中は夏でも寒いほど。一年を通して、平均気温は0〜3度です。見学コースは約15分ですが、夏でも長袖の上着があると安心。靴は、ぬれていて滑りやすい場所もありますので、スニーカーなどの歩きやすいものが良さそうです。
階段を数段下りると、ひんやりとした空気に変わります。階段の上で長袖の上着を着てから風穴の中に下りていきましょう。
内部には溶岩鍾乳洞や縄状溶岩、溶岩棚などを見ることができます。
風穴の内部は不思議なほど音が反響しません。これは壁の玄武岩が音を吸収する性質があるためなのだそう。親子で試しに手をたたいてみると面白いかもしれませんね。
昭和初期までは天然の冷蔵庫として、蚕(かいこ)の繭(まゆ)や種子の貯蔵庫として使われていました。繭玉が成長しないように、また良質の種子を保存し芽吹きを良くするために冷蔵状態で貯蔵していたそうです。
隠れハートは見つかりましたか? 答えは……、出口です。
階段から見上げた出口の形がハートに見えるのです。
ちょっとした遊び心を加えると、子どもも盛り上がるはず。ぜひお試しください。
富岳風穴
- 住所
- 山梨県南都留郡富士河口湖町西湖青木ヶ原2068-1
- 営業時間
- 9:00~17:00(季節、繁忙期によって異なる)
- 定休日
- 無
※洞窟内安全点検のため、冬季に10日間程度の臨時休業あり。
- アクセス
- 中央自動車道河口湖ICより約20分
冒険気分を満喫できる「鳴沢氷穴(なるさわひょうけつ)」
富岳風穴から車で約2分の場所に、「鳴沢氷穴」があります。国道139号線から鳴沢氷穴の看板のあるT字路を曲がり進んでいくと、無料駐車場(100台)にたどり着きます。
鳴沢氷穴は縦穴なので、富岳風穴よりも探検気分が味わえます。富岳風穴と同様に国の天然記念物に指定されています。
縦穴なので急な階段が多くあり、小さなお子さんを抱いて入場するのは危険です。歩けない子ども連れの方は、交代での入洞となります。最後は急な階段を上らなくてはいけませんので、小さなお子さんや体力に自信のない年配の方は、きついと感じる場合があります。
入洞料金は大人350円、小人(小学生)200円。
氷穴の総延長は153メートル、環状になっているので内部を一周できます。入口から出口まで一周するのにかかる時間は、通常約15分。空洞の下に富士山の雪解けの地下水が流れているために、1年を通して洞窟内の気温が3度と低く保たれています。
洞窟内は天井が低い場所が何カ所もあります。頭をぶつけるとケガをする可能性がありますので、備え付けのヘルメットをかぶったほうが安心です。子どもにはサイズが大きくて前が見にくくなり、かえって危険なので、必要ありません。
この「鳴沢氷穴」は「富岳風穴」と同じ1150年以上前の長尾山噴火の時に作られたと考えられています。古い寄生火山の間を高温の溶岩流が下っていき、2つのトンネル状の洞窟ができました。幅は1.5メートルから11メートル、高さはなんと1メートルから3.6メートルしかありません。
急な階段をどんどん下って行きます。
鳴沢氷穴も気温が低く、平均気温は0〜3度。石を積んで作られた階段の上、ぬれたり凍ったりしている場所がありますので、ヒールのある靴では危険です。スニーカーなどの滑りにくい靴を履くと良いでしょう。
さらに階段を降りて行くと、天井が極端に低い「溶岩トンネル」が現れます。1100年前の巨木が溶岩に巻き込まれ、風化してできた跡です。 一番低い場所の高さはわずか91センチメートル、大人はしゃがまないと通れません。気をつけていても頭をぶつけてしまうほど。冒険好きの子どもならば、ワクワクして興奮するかもしれません。
この「地獄穴」は縦穴でとても深く、一度落ちたら最後、二度と帰ることができないといわれています。伝説によると、江ノ島の洞窟まで続いているとか。
最深部の氷の池はとても神秘的。一年中氷のある場所なので、通路を外れると滑りやすい場所もあります。特にお子さんは十分に注意してくださいね。
天井からしみ出した水滴が凍ってできた氷柱。夏は小さいのですが冬になると大きくなり、最大となる4月には直径50センチメートル、高さ3メートルにも成長することがあるそうです。
帰りは急な階段を一気に21メートルも上る必要があります。地中の奥深くまで探検したことを実感できますよ。
鳴沢氷穴は富士山の噴火が作り出したアドベンチャーワールド。ヴァーチャルなゲームではない、リアルな冒険が気軽に楽しめる貴重な場所です。
富岳風穴と比べてみて違うところを親子で探したり、「隊長」と「探検隊員」になりきって冒険ごっこしたりしても楽しいですよ。
鳴沢氷穴
- 住所
- 山梨県南都留郡鳴沢村8533
- 営業時間
- 8:30〜18:00(4/27〜5/6、8/10〜8/18)、9:00〜17:30(4/1〜4/26、5/7〜7/31、8/27〜10/15)、9:00〜18:00(8/1~8/9、8/19~8/26)、9:00〜17:00(3/16〜3/31、10/16〜11/15)、9:00〜16:30(11/16〜3/15) ※最終入場は営業終了30分前まで
- 定休日
- 無(臨時休業日はホームページに掲載)
- アクセス
- 中央道河口湖ICより約20分
湯船から富士山を堪能! 富士眺望の湯「ゆらり」
ひえひえの風穴や氷穴で冒険を楽しんだ後は、温泉でのんびりしましょう。車で約5分、湯船から富士山が見える、日帰り温泉施設の富士眺望の湯「ゆらり」へ。道の駅「なるさわ」の奥にあり、「ゆらり」専用の無料駐車場も完備されています。
「ゆらり」は手ぶらで天然温泉が楽しめる施設。入泉料に貸バスタオルとフェイスタオル料(子どもは貸フェイスタオルのみ)が含まれています。ヘアブラシやスキンケア用品などの無料のアメニティも用意されています。
雪解け水から湧き出る天然温泉。露天風呂の「霊峰露天風呂」や「パノラマ風呂」からも雄大な富士山を眺められます。
内風呂の「高見風呂」からも、富士山を見ることができます。なんて贅沢!
他にも、アロマテラピー効果で心身ともにリラックスできる「香り風呂」や、ドーム型低温バブル風呂の「洞窟風呂」、発汗作用のある「蒸し風呂」「サウナ」、運動後の疲労回復や美肌効果のある「炭酸泉」まで用意されています。
貸切風呂も用意されていますが、「富士緑の休暇村」に宿泊した方のみ利用できます。
「ゆらり」には、山梨の食材を利用した料理をいただけるお食事処「ふじざくら」と個室「お狩場」があります。子ども連れのご家族には「お狩場」が人気です。SLが部屋まで料理を運んでくれるのです。土日祝日は予約をしておくと安心です。
お狩場では、河口湖名物ほうとう鍋のコース(一人1,460円・税別)や、甲州牛のすき焼きコース(一人2,740円・税別)などのメニューが用意されています。利用時間は基本的に90分。追加料金(30分300円・税別)を支払うことで延長も可能。
鍋料理の他にも「ふじざくら」のメニューも注文できます。鍋料理以外の食事は別途利用料金が必要です(大人利用料金500円・税別、子ども無料)。
お子さまラーメンやお子さまカレーなどのキッズメニュー(ジュース付き各630円・税別)や、忍野サーモン丼(960円・税別)、デザートなど、豊富なメニューの中から選べます。子どもも喜ぶこと間違いありません!
富士眺望の湯「ゆらり」
- 住所
- 山梨県南都留郡鳴沢村8532-5
- 営業時間
- 10:00〜22:00(最終入館21:00)
- 定休日
- 無(メンテナンス日のみ年に数日休業)
- 入泉料
- 大人(貸バスタオル・フェイスタオル付) 10:00〜19:00 平日1,300円、土日祝日1,500円。19:00〜22:00 平日1,100円、土日祝日1,300円
子ども(貸フェイスタオル付) 平日650円、土日祝日700円
- アクセス
- 河口湖ICより車で約15分
絶景を眺めたり冒険したりした後に、お風呂に入って、おいしいものを食べれば、子どもだけでなく、家族全員が満足できる旅になるはず。キャンプや遊園地で遊んだ後に立ち寄ることもできます。河口湖や西湖周辺でどこへ行こうか悩んだ時は、ぜひ寄ってみてくださいね。
撮影・取材・文/北川りさ
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