デートやホテルステイの強い味方となってくれる存在が、ホテルのバーです。ゆったり流れる時間の中、極上の一杯や会話を楽しむイメージがあり、一度は利用してみたいと憧れている人も多いのでは。
ホテルのバーには、ホテルならではの魅力やメリットが多数。まず、ホテルが持つ落ち着きと信頼感から、女性にとって安心して訪れやすい酒場であること。また、館内のレストランや宿泊フロアと合わせて、ワンストップでスムーズに利用できるのもうれしいポイントです。もちろん、宿泊客以外でも利用が可能。
ただ一方で、なんとなく敷居の高そうな印象もあり、特に若い人からすれば一見気軽に訪れづらい場所でもあります。「店内の雰囲気は?」「服は何を着たらいいの?」「注文の仕方は?」など、ルールやマナーが多数存在しそうなイメージを持つ人もいるのでは。
そこで今回は、バーを司る存在であるバーテンダーさんに、ホテルのバー初心者が気になるポイントをQ&A形式で解説いただきました。 気になるホテルバーの世界へ。その扉を開けて、あなたのホテルステイの力強いパートナーにしてみませんか?
初めての、オーセンティックなホテルのバーへ
今回取材にご協力いただいたのは、横浜ロイヤルパークホテルのメインバー「ロイヤル アスコット」。横浜のシンボル・横浜ランドマークタワー内に位置し、その圧倒的な存在感に、一度は泊まってみたいと憧れる人が多いのも頷けるロケーションです。
1Fロビーを抜けた場所に、同店のエントランスはあります。じゅうたん敷きの階段を上がるのに最初は少しだけ勇気がいりますが、足を進めればその華やかな雰囲気に少しずつ気分が高揚してくることでしょう。
店内へ入れば、みなとみらいの喧騒とは別世界の、落ち着きと温かみに満ちた空間が広がります。正面に見えるのは、つややかに磨きこまれたバーカウンター。その奥には世界各国の銘酒のボトルが並び、背面の鏡や照明に美しく彩られています。
英国貴族が集う競馬場の名称を冠した「ロイヤル アスコット」。現地から取り寄せられたタペストリーなどが壁面を飾り、オーク材のインテリアが落ち着いた雰囲気を持たせています。大きなソファーやテーブル席もあり、ゆったりとしているのも魅力的。日・祝以外は毎日店内でピアノ演奏が行われているとのこと。まさに英国貴族の社交場を訪れたかのような、非日常的な空間が広がります。
そんな素敵な店内で、同店のバーテンダー・伊藤優樹さんにお話を伺いました。ホテルのバーテンダーらしいキリリとした佇まいながら、柔和で話しやすい雰囲気もお持ちの伊藤さん。初歩的すぎて恥ずかしい…そんな質問の数々にも、優しく丁寧にお答えくださいました。
横浜ロイヤルパークホテル
ロイヤル アスコット アシスタントキャプテン
伊藤 優樹さん
2008年横浜ロイヤルパークホテル入社。以降バー部門でのキャリアを中心に重ね、スカイラウンジ「シリウス」を経て、2016年より「ロイヤル アスコット」でバーテンダーを務める。高校時代にお金を貯め、同ホテルに初めて自分で宿泊したときの感動を機にホテルマンを志した。
今さら聞けない!?初めてのホテルバー・Q&A
Q.洋服は、何を着ていったらいいですか?ジャケットじゃないと浮きますか??
A.カジュアルな服装でもどうぞ。ただし、ビーチサンダル、男性の短パン・タンクトップだけはご遠慮ください。
当店は、横浜という土地柄もありますが、都内よりも気軽な服装でいらっしゃる方が多いように見受けられます。ジャケットを羽織っていなくても、革靴でなくても、問題ありません。Tシャツ姿でも大丈夫です。もちろん、女性も同様で、ミュールなどを履かれていても差し支えありませんよ。Q.予約は必須でしょうか?飛び込みでいきなり行けないのでしょうか…?
A.ご予約なしでもお越しいただけます。
お時間があるときにお気軽にお越しください。もちろん、確実に来店の予定がある場合は、予約をいただいた方が安心です。Q.カウンターとテーブル席、どちらに座るのがいいんでしょう…
A.入店時、入口でお選びいただけますので、お好みでどうぞ。
二人の時間を邪魔されたくない、という方ならテーブル席でゆっくりされるのも良いでしょう。もし「どんなカクテルを注文したらいいか分からなくて心配」と言う人なら、バーテンダーが近くにいるカウンター席に座るのがいいと思います。 バーテンダーは、おいしいお酒をお作りすることはもちろん、お客様の楽しい時間を演出することも大切な役割だと思っています。カクテルのおすすめなどをバーテンダーに聞いていただいたら、喜んでご説明いたします。
Q.注文の仕方がよく分かりません…。どのように振舞えば?
A.軽く合図してくだされば大丈夫。スタッフは常にゲストに目配りをしています。
さり気なくスタッフに向かって手を挙げてください。もしくは、メニュー表を閉じたタイミングをスタッフが見ていますので、こちらからお伺いに行くのをお待ちいただければOKです。Q.カクテルの種類や選び方が、いまひとつ分かりません。
A.「ショート」と「ロング」、このふたつの違いをまず知ってみませんか。
カクテルにはショートとロングの2種類があることをご存知ですか。ロングカクテルとは氷が入っているものを指し、ある程度の時間が経っても冷たく飲めるのが特色です。一方、ショートカクテルは氷が入っていないもので、短い時間で飲まれる方が多いです。 カクテルもお料理と同じで、できたて・作りたてが一番おいしいもの。とくにショートカクテルは、作りたてを早めに召し上がっていただくのがおすすめです。
Q.気分を伝えてカクテルを作ってもらう…そんな高度なテクはアリですか?
A.もちろんできますが…まずは素直に「分からない」ことをお訊ねください 。
昔は「私をイメージして」と言ってカクテルをご注文されるお客様もいらっしゃいました。でも、最近は少ないですね(笑)。もちろん、ご要望があればお作りしますよ。例えば女性でしたら、マニキュアの色に合わせたカクテルをお作りすると、喜んでいただけることが多いです。また、お好きなフルーツを伺って、それに合わせてお好みそうなものをご提案することも。 ただ、バーデビューの人がそのような注文をするのは、少しハードルが高いかもしれません。バーテンダーに「おすすめの一杯」を尋ねていただき、それを味わうのがスマートではないでしょうか。
Q.そもそも、バーの滞在時間ってどれくらいが適切なんですか…?
A.1時間程度、サッと利用するのが「粋」ですよ。
大抵の場合、バーはお食事の前後に利用されるのではないでしょうか。居酒屋のように長く飲み続ける場所、というよりも、お店とお店の中継地点的に利用するのがおすすめですね。中には30分程度楽しんでお帰りになる方もいらっしゃいますよ。Q.正直、予算の見当が全然つかないんですけど…
A.目安ですが、お二人で1~2杯程度召し上がって、5,000~6,000円程度です。
ちなみに「ロイヤル アスコット」では、17時~19時半までの間は「ハッピーアワー」を実施しています。カクテル・ウイスキー・生ビールなどのドリンクが50%OFFでお楽しみいただけます。また、私どもではテーブルチャージを頂戴しておりませんので、お財布にも優しくご利用いただけるのではないでしょうか。
Q.それでもやっぱり、デートでエスコートするのは緊張しそうです。
A.まずは、お一人で下見はいかがでしょう。おすすめです!
時折、デートの前にお一人で、下見としてご利用されるお客様がいらっしゃいます。仕事でもそうですが、準備って大切ですよね。一度でもお店に来てしまえば、不安や気掛かりも払拭されるはずです。私は、一度お会いしたお客様の顔をしっかり覚える方ですので、「下見で来た」と打ち明けてくださったお客様が次にいらしたときは、ぜひ協力したいな、と思います。お客様からしても、顔見知りのバーテンダーが店内に居るのは安心かもしれません。
絶品のお酒を味わえるだけでなく、バーで過ごす時間や会話など、目に見えない部分にも大きな価値を持つのがホテルのバーなのだと実感する取材となりました。そして、初心者には敷居が高く見えても、実は排他的でなくフレンドリーな場所。それこそがホテルバーの本質なのかもしれません。
次は大切な人を誘って(心配ならばその前に下見もおすすめ!)10年20年と通い続けたい、素敵なホテルバーを見つけてみませんか。
ロイヤル アスコット
- 住所
- 神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1-3 横浜ロイヤルパークホテル2階
- 営業時間
- 月~土17:00~23:30(L.O.23:00) 日・祝17:00~22:30(L.O.22:00)
アフタヌーンティー 土・日・祝14:00~16:00(L.O.15:00)
- 定休日
- なし
- アクセス
- みなとみらい線「みなとみらい」駅より徒歩約3分、JR「桜木町」駅より徒歩約5分
取材・写真・文/伊藤祐介
※掲載内容は公開時点のものです。ご利用時と異なることがありますのでご利用の際は公式ホームページなどでご確認ください。